指輪物語3「王の帰還」切なくも希望溢れる大円団

王の帰還

最終決戦とその後

 指輪物語三部作の第三部。
指輪物語自体の概要と、第一部についてはコチラ
旅の仲間指輪物語1「旅の仲間」感想と魅力紹介 第二部についてはコチラ
二つの塔指輪物語2「二つの塔」キャラクターの思惑が交差する第二部  上巻は、ついに王を迎えた人間達と、旅の仲間の前に立ちはだかる最後の試練。
 下巻は、指輪所持者(達)の、闇の力との最終決戦と、使命を終えたキャラクター達のその後が描かれている。

 描写や登場人物の台詞などから察するに、時系列的には、
「二部上巻=二部下巻の前半→二部下巻の後半=三部上巻の前半→三部上巻の後半=三部下巻の序盤」
という感じに思われる。

 第二部と同じで、上巻に主人公であるフロドは一切出てこない。
そして、下巻の前半で大筋の戦いは終わるから、全体的にはあまり出番がないはずなのに、誰が主人公ぽいかと言えば、やはりフロドが主人公。
 フロドが出ない上巻でも、一番大切なのは指輪所持者の使命であるのは、何度か言及されているし。
それに、フロド以外の仲間達側の話は、悪の注意を引き付ける為の抵抗、という流れなので。

 後、エピローグというか、アフターというか、この手の話としては、ラスボスを倒してからの、その後の話が長めと思う。
ここは賛否別れるとこと思うけど、個人的にはよかった。

第三部のポイントと見所

王の帰還

 「いや、なんだってこんな小さな村の安酒なんか王様が知ってるんで?」

 アラゴルンは、人間の王に返り咲き、人間の王として、呪われし死者達すら味方につける。
 また王の癒しの力で、仲間達の傷を癒し、最後の戦いに挑む流れ。

 アラゴルンなら指輪を持ったとしても、それでサウロンを倒した後、それを正しい事のみに使えたかもしれない。
とまで彼を評するレゴラス。

 闇の勢力との戦いが終わった後、王として各地をよくしていこうと決意するアラゴルンだが、その彼のお気に入りだった、ブリー村での酒場でのフロド達と店主の会話は必見。

デルンヘルム

 「人間の男に我は殺せぬわ」

 フロドとサムは最も困難な指輪を葬りさる為の旅。
 アラゴルン、レゴラス、ギムリは死者の道へ。 
 ガンダルフとピピンは、闇の勢力との直接の戦い。

 旅の仲間で唯一、置いてけぼりをくらってしまったような状態に悩むメリー。
 その彼と、共に戦う為に、彼を馬に乗せる若き兵士デルンヘルム。

 デルンヘルムの正体、その苦悩、戦いの流れもよく出来てたと思う。

最終決戦

 「裏切り、裏切りがあるだろう。あの哀れむべき奴の裏切り」

 騙され、罠にはめられた後、次にゴクリと会ったなら、もう容赦はしない、と決めていたはずのサム。
 しかし彼も一時期だけ指輪所持者となり、その苦しみを知ってしまう。

 ついに滅びの山の火口を前にして、力ずくで襲いかかってくるゴクリ。
それまで不利益ばかり生んできたゴクリが、ここで役に立つ。

 そしてゴクリにとどめをさせないサム。

 最後の時。
最後の瞬間。
しかし、この最後の最後に、指輪はついにフロドの心をも捕らえてしまう。

 全ての後。
指輪が滅びてから、正気に戻ったフロドとサムのやりとりはなかなか印象的である。

9本指のフロドの伝説

 「いつか子供達は揃って言う、「9本指のフロドと指輪の物語」を聞かせてよ」

 使命を果たしてから、力尽きようとしたフロドとサム。
サムは、最後に力を振り絞り笑顔を見せる。
 二人はしかしガンダルフに助けられる。

 そして、まるで全ては夢であったように思うサム。
しかし夢ではないどころか、自分の語った話が現実になっていく。

 指輪物語は、本当に、その後の経緯を上手く描いてると思う。
 闇の時代の終わりと、人間の時代の始まり。
サルマンの最後も、ホビット達の結末も。
 

ifについて

 指輪物語が書かれたのは、ちょうど世界対戦の時代。
 そこで発表当時から、この壮大な物語には、作者トールキンなりの自論や哲学、社会への風刺などが盛り込まれているのかもと、考えられたりしたらしい。
 ただトールキン自身が、後書きでしっかり書いている。
この小説に、そういうメッセージ性とかを込めたらつもりは一切ない。
指輪物語という話は、あくまでも純粋なフィクションであると。

 しかし、トールキンが、もし世間の情勢などへの自らの関心が、作品に影響を与えていたら、指輪物語はこうなってたろう、とするif設定は、なかなか興味深かったりする。

 例えば、書き始めの当初から想定されてたように、話の最後、指輪が葬られる事によって、悪は滅んだ。
 トールキン曰く、もし世間の話題などを取り入れてたなら、
指輪はおそらく葬られなかった。
 主人公達は、指輪を葬る道ではなく、(実際、作中で何度か言及されてるように)それをあえて利用して、戦う道を選んだであろう。
  また、サルマンが、その指輪に関する叡知を存分に集結し、第二の指輪すら作ったであろう。
 という風にトールキンは述べている。

 これはこれで面白そうだと、個人的には凄く思う。