食道閉塞、異物混入、お腹のいたさ「消化器官のよくある病気」

食塊による食道閉塞。唾液が溢れる危険

 まず「食道(esophagus)」とは、口から体の中に食べ物が入ってから、「胃袋(stomach)」までの通り道のこと。
普通の成人で、だいたい長さ25センチメートル、太さは2~3センチくらいとされている。
それが通ってる大体の範囲を言うなら、口のすぐ下から、心臓の少し下ぐらいまでである。

 食道は大きく「頸部けいぶ食道」、「胸部きょうぶ食道」「腹部ふくぶ食道)」にわけられるが、胸部食道と腹部食道はしばしば一緒くたにされる。
全く名前の通り口の中から入ってから首(頸部)の辺りの食道が頸部、胸の辺りが胸部、腹の辺りが腹部である。

 そして十分に噛まずに食べてしまった食物はもちろん、単純に、一気に口に入れすぎた場合とかでも、直後にそれらを食道につまらしてしまうことはある。
いわゆる「食塊しょっかいによる食道閉塞へいそく(Esophageal food bolus obstruction)」というやつだ。

 これは、「酩酊めいてい(drunkenness)」、つまりひどく酔っ払っている状態とか、予想外に固い肉を吐き出すのを躊躇ちゅうちょしてしまった時とかにも起こりうる。

 患者は不快感や、心筋梗塞にも似た痛みを感じることがあり、たいていの場合、食道のどの辺りに詰まっているのかを、しっかり指で示すことができる。

 また唾液(よだれ)が溜まり、 とにかくだし続けないと、「誤嚥ごえん(aspiration)」、つまり唾液が「気道(airway)」の方に流れたり、詰まって、「呼吸困難(Dyspnea)」が誘発される危険がある。
あるいは、『嘔吐おうと(vomiting)』のような二次被害に繋がってしまうこともある。

 基本的に食塊による食道閉塞は、高齢者に起こることが多いようである。

便利な造影剤、経鼻胃管。とりあえず吸引機

 詰まっているものが骨などの鋭い物質の場合は、食道に傷、最悪、穴ができてしまっていることも警戒し、X線などでその辺りを調べることがよいとされる。
特にわかりにくい場合は、特定の組織をコントラストを付けるなどして強調するために投与される「造影剤(ぞうえいざい(Contrast agent)」を使う。

 造影剤は、生体組織とは写り方が異なる物質を取り込ませて、画像上の特定部位の写り方を変化しているかのように見せる。
例えばX線撮影において、X線を遮蔽する物質などを用いる。
もちろんそれら導入される物質自体も、生体組織になるべく副作用が少ないとされる、ヨウ素化合物、バリウム化合物、ガドリニウム化合物、二酸化炭素などである。

 軽症なら、「経鼻胃管けいびんいかん(nasogastric tube)」などと呼ばれる チューブを挿入し、低圧力で断続的に、詰まったものを吸引するという方法がある。
ただしチューブ挿入自体に不快感を抱く人も多い。

 いずれにしても、飲み込ませられない場合は、基本的に「吸引機(aspirator)」を使うようである。

 場合によっては、「ヒドロモルフォン(Hydromorphone。C17H19NO3)」や、「フェンタニル(Fentanyl)」のような、注射によって投与される(口を通さない)「鎮痛剤(Painkillers)」を使うことも考慮される。

異物を飲み込んでしまった時

 玩具はもちろん、硬貨や安全ピンなどを、幼児が誤って飲み込んでしまうことは多い。
飲み込んでしまった本人はまったく平然としてる場合もあるが、呼吸困難や嘔吐、多量のよだれや痛みに苦しんだりすることもある。

 食道に異物があると、本人にもわかりやすいことが多いが、胃の中に異物がある場合は自覚症状がでにくい。

 認知機能に問題のある人も、異物を飲み込んでしまうことがある。
しかも幼児に比べると気づかれにくく、それが溜まってしまうこともある。

案外大丈夫なこともあるが、油断は禁物

 幼児か、精神が正常でない人は、異物を飲み込んでしまった経緯について、正確に説明できない場合がある。
症状を説明できるなら、呼吸が困難か、嘔吐や腹痛があるかなどを確かめる。
気道や「ちょう(intestines)」などに問題があるかを見極めるため。

 腸は、食物が胃で溶かされた後、栄養や水分を吸収し、余分なものを体内から便として排出する入り口となっている「肛門(anus)」まで運ぶ経路となっている器官。

 本当に異物を飲み込んでしまったのか、患者自身がわからなくなっていることがある。
そうなるとけっこう厄介なようである。
X線検査をしても、異物がX線透過性のために結局あるかどうかわからないというケースもあったりするのだと言う。

人体内部を検査するための医療器具である「内視鏡ないしきょう(Endoscope)」で、物理的に検査をした方がいい場合もあるが、抵抗がある人も多い。

 飲み込んでしまいそうな異物の中でも、特に(生体組織の死を招くことがあるため)危険とされてるのがボタン電池で、食道に詰まってしまった場合は、早急に取る必要がある。
しかし胃にまで到達すると、後は問題なく排出される場合もあるという。

 当然、安全ピンのような尖ったものも、さっさと削除しなければ危険である。

 ある意味、判断が難しいのが最も厄介な問題といえる。
危険とされているものでも、何の問題もなく排出される場合もあるからだ。

便秘、下痢、嘔吐、裂肛。お腹がいたい辛さ

 「大便(feces)」の排便回数の減少、不完全な排便など、厄介な『便秘(constipation)』は、「腹痛(stomach ache)」を伴うこともある。

 排便すると腹痛の方は楽になることが多いが、硬かったり、『下痢(diarrhea)』である場合もある。

 便秘と下痢の症状が交互に起こることもある。

 下痢はしばしば、腹痛と重なり、時には嘔吐とも併発する。
ひどい場合は発熱も伴う。
軽症の場合は、出血は普通なく、腹痛も大したものでない。

 硬い大便や下痢により、肛門が裂けて傷ができることもあるが、それを『裂肛れっこう(anal fissure)』と言う。

 裂肛による出血は、紙で少しふけばいいくらいの少量であることも多いが、痛みは、ひどい場合はまるで刃物で斬られたようなものともされる。
粘液の分泌が原因で、かゆみが発生することもある。

 排便時の痛みは、数時間ほど続くこともある。

恥ずかしさが難敵

 肛門の検査や治療は、たいてい患者の恥ずかしさを伴う。
そこで「ドレープ」と呼ばれる、手術の際に体の一部を覆ったりするカバーを上手く使って、恥ずかしさを軽減したりする。

 下痢や嘔吐が連続する場合は脱水に注意する。
成人で、かつ排便後に症状がやわらぐ程度なら、基本的に気にかけなければならないのは十分な水分補充くらい。

 下痢に有効な薬としては「ロペラミド(Loperamide。C29H33ClN2O2)」がよく知られている。

 便に白血球が含まれてないなら、ウイルスか毒が原因の可能性が高いとされる。
基本的にはウイルス性の方が脱水に繋がりやすいようである。
「ウイルスとは何か」どこから生まれるのか、生物との違い、自然での役割  裂肛患者の場合は、直接的な検査時の痛みも問題となるので、鎮痛剤推奨なことも多い。

 傷自体にも、痛み的にも、便が硬すぎるのはよくない。
なので「ドクサート(docusate sodium。C20H37NaO7S)」や、「ラクツロース(Lactulose。C12H22O11)」のような、便を柔らかくする「瀉下薬しゃげやく(laxative)」が有効。

 鎮痛剤には便秘を誘発するものもあるのは注意。

直腸への異物混入。普通はないけど……

 また、肛門ちかくの腸の部分を「直腸(rectum)」と言う。

 直腸に異物が混入し、腹痛や便秘、出血などの症状が発生することがある。
しかし普通に生きている人がそのような事態に見舞われることはあまりない。
そうなった原因は、たいていが恥ずかしいものであり、患者はあまり言いたがらない傾向にあるようだ。

 そういうことになっている人がいる場合、原因は酷い暴行などの可能性も高いようだから、心理的な配慮も必要な場合が多い。

心理カウンセリングの検討

 最も重要な問題は当然、その混入された異物が何であるか、どういうふうにそれが混入されたかということである。
それを除去しなければならないの当然だが、その方法はその異物が何かによってまったく変わってくる可能性があるので、医者は苦労する。

 普通に、物質の形や大きさ、素材、壊れやすさなどを踏まえて、医療器具を様々に駆使しなければならない。

 原因が自業自得であるならば、心理カウンセリングを真剣に検討する必要はある。
悩む人「臨床心理学」カウンセリングのテクニックの裏側