口内炎、単純口腔ヘルペス、歯周病「よくある口の病気」

アフタ性潰瘍。単純と複雑の口内炎

 「潰瘍かいよう(Ulcer)」は皮膚組織などの欠損が原因である出来物などのこと。
そして口内こうないにできる、代表的な『口腔潰瘍こうくうかいよう(Oral ulcer)』である、直径1~10ミリほどの、たいてい白っぽい潰瘍を、『アフタ(aphthous)』と言う。

 かなり典型的な「口内炎(stomatitis)」である。

 10ミリ以上のサイズのアフタは「大アフタ」と言い、病変全体の10%ほどとされている。

 『アフタ性潰瘍(aphthous ulcer)』をわずらった人は、面倒な痛みを感じ、食べたり喋ったりするのが辛い場合もある。

 大きく『単純性アフタ(simple aphthous)』と『複雑性アフタ(complex aphthous)』に分けられる。

 単純性アフタの方はかなりよくあり、症状は軽く、たいていが1~2週間ほどで治り、再発もあまりない。

 一方で複雑性アフタは、「疾痛とうつう(pain)」、つまり痛みの影響が大きく、「機能障害(dysfunction)」を伴う場合もある。

 シリアル食品や果物、チョコレートなど特定の食べ物のアレルギーが原因となっている場合もある。
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注意すべき歯磨き粉の成分。有効なうがい薬の成分

 まず、口内炎に悩まされる間は、香辛料や酸味の強いいわゆる刺激の強い飲食物や、固い歯ブラシはなるべく避けるべきである。

 「歯磨き粉(tooth paste)」などに使われることがある「ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate。SLS。NaC12H25SO4)」の利用を下げることが、ある程度予防になるとされている。

 「うがい薬(Mouthwash)」や「薬用石鹸(Medicated soap)」などに使われる「トリクロサン(Triclosan。C12H7Cl3O2)」がSLSの毒性を防ぐ効果を持っていて、やはり予防によいという。
トリクロサンを含む歯磨き粉もある。

 「鎮痛剤ちんつうざい(Analgesic)」として「アセトアミノフェン(Acetaminophen。C8H9NO2)」や「スクラルファート(sucralfate。C12H54Al16O75S8)」。
「塗り薬(ointments)」には、「トリアムシノロンアセトニド(Triamcinolone Acetonide。C24H31FO6)」や「アンレキサノクス(Amlexanox。C16H14N2O4)」などが使われることがある。
スクラルファートやアンレキサノクスはあまり推奨されないことも多いようだ。

 鎮痛剤として「局所麻酔薬(Local anesthetic)」の「リドカイン(Lidocain)」が使われる場合もある。

 重度の症状の場合は、「クロベタゾールプロピオン酸エステル(Clobetasol propionate。C25H32ClFO5)」などの強力な効果の「軟膏剤なんこうざい(塗り薬)」が使われたりもするが、子供にはあまり推奨されないという。

 また、トリアムシノロンアセトニドなどは、炎症を抑えたり、体の免疫力を抑制したりする「ステロイドホルモン」を利用した、「ステロイド剤」である。
このステロイド剤は特に、よくあるようなアフタと紛らわしいが、ウイルスが原因の「ヘルペス」の患者などには、まったく有効でないので推奨されない。
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ウイルスによる、単純口腔ヘルペス

 ウイルスが原因である「単純口腔ヘルペス」、あるいは「口腔ヘルペス」は、初期症状として唇の腫れや、その周囲にできる「水疱すいほう(Blister)」などが知られている。
それらに痛みや熱さを伴う場合もある。

 水疱は破れた後に、赤い潰瘍を形成することが多い。

 潰瘍が口内に現れた場合は、普通の口内炎とちょっとややこしい。

ツァンク試験による見極め、清潔さが大切

 ヘルペスの水疱には、特定の疾病で見られる「ツァンク細胞(多核巨細胞)」というのが見られる。
そこでサンプルを染色させてそれを探す「ツァンク試験(Tzanck test)」という手法で、水疱の原因がウイルスかどうかを確かめられる。

 症状が軽度であり、初期症状の発生から12時間以内の場合は「ドコサノール (docosanol。C22H46O)」が有効される。

 症状が軽度と言えないくらいのひどさなら、「抗ウイルス薬(Antiviral drug)」である「アシクロビル(Aciclovir。C8H11N5O3)」や「バラシクロビル(Valaciclovir。C13H20N6O4)」、「ペンシクロビル(Penciclovir。C10H15N5O3)」などが処方されたりする。

 ペンシクロビルなどは、飲み込む方法の投与では吸収性が悪いとされ、軟膏剤として使われる場合もある。

 ヘルペスウイルスが、 他の皮膚の部分や、目などにうつらないように、潰瘍の周囲を清潔に保つことも大事である。
特にそこに触れることのあろう手は、よく洗っておく。
また、例えばキスとかのような、他者との接触もよくない。

 普通、症状は二週間程度で治るが、再発することもけっこうあるという。

歯の脱臼。完全に取れている場合、そうでない場合

 「脱臼だっきゅう(dislocation)」とは、骨と骨が繋がる関節部分にズレが生じていること。
『歯の脱臼(Tooth dislocation)』、あるいは『脱臼歯だっきゅうし(Dislocated teeth)』とは、ようするに歯がとれたか、とれかかってるような状態である。

 子供に多く見られるともされるが、その原因はドジ以外に、ケンカの場合もある。
いずれにしろ原因は、直接的な打撲によることが多い。

 口内の、歯が収まっている穴部分を「歯槽窩しそうか(Alveolar fossa)」と言うが、この歯槽窩から、「永久歯(Permanent teeth)」が完全に取れてしまっている場合は、特に「完全脱臼(Complete dislocation)」と呼ばれる。
これに対して、グラグラと揺れたりしているだけの状態は、「亜脱臼(Subluxation)」と言われる。

 通常、歯槽窩に埋まっている歯の「歯根(Tooth root)」部分が折れていなければ、歯槽窩と繋がるための「歯根膜(Periodontal ligament)」により、歯がぶら下がっているような状態になることもある。

重要な保存液。再植はなるべく早く

 歯が取れてから、病院などの診察にかかるまでの時間や、 抜けてしまった歯の保存状態などはとても重要である。
それによって、傷口からの感染病などの危険もあるからだ。

 歯槽窩に出来た隙間に、異物が入り込んでいないか。
完全にとれている状態ではない場合どの程度ぐらつくのか、 それに周囲の歯などにも影響が出ていないかをチェックする。
子供の場合は、失われてしまった歯が「乳歯(Milk teeth)」なのか、永久歯なのかも当然重要となる。

 打撃が原因なら、歯の脱臼のようなわかりやすい症状以外にも、例えば顎の骨へのダメージのように、他にも傷を受けている可能性があることも注意。
ひどい場合、取れた歯やその破片が、口内部にめり込んでいたりすることもある。
場合によっては、「X線検査(X-ray inspection)」なども推奨される。

 歯は再植する場合もあるし、それでなくても取れてしまった場合は、すぐさまその抜けた箇所に戻すことが保存方法としてもよいとされる。
ただ、歯が粉砕されている場合は、 破片が埋もれていたりする場合もあるから、微妙である。

 完全に取れてしまった歯の保存場所としては、患者の意識がある場合は、本人の口の中、例えば舌の下とか、歯と頬の間とかがいいとされる。
本人の意識がない場合は 冷たいミルクとか食塩水が保存溶液として適しているとされている。
最良ではないが、かなりよくあるものとしては、普通の水が一時的な保存液として使えなくはない。
当たり前だが、一番は「平衡塩溶液(Balanced salt solution)」のような、医療用保存液である。
外部で歯槽膜を少しでも長く維持するために、絶対に乾燥だけはさせてはいけない。

 コンタクトレンズ用の液が、保存液として使えるという説もあるが、デマらしい。

 永久歯が部分的に脱臼していたりするだけの場合は、本来の位置に押し込めばよいこともあるが、かなり痛い場合もあるので局所麻酔使用も視野に入る。
押し戻された永久歯は、しばらくガーゼを噛むなどして、しっかり固定させる。

 乳歯の場合は、後から永久歯が生えてくる邪魔になると考えられるため、再植自体が推奨されない。

 完全に取れた永久歯を元の場所に戻す場合は、まず局所麻酔で患者の痛みを失わせてから、洗浄などして不純物や血を排除してから行う。
元々形にはまっていたものだから当然、 元に戻された歯は、普通はすぐに安定する。
その安定を強固にするためにガーゼを噛んだりもし、 さらに完全にくっつくまでの期間は、ワイヤーや、「歯周パック(Periodontal pack)」と呼ばれる固まらせるための物質を用いて、歯を固定する。

 歯がとれて2時間以上(保存状態が悪ければ数十分)経っているなら、歯の歯槽膜の機能は死に、再植後の歯の(また抜けるまでの)寿命がかなり短くなってしまうとされる。
さっさとつけることはもちろん、取れてから付けるまでの保存状態も非常に重要ということである。

 また、歯を失ってしまうかもとショックを受けている患者も多いという。
そこでわ治療においては、痛みの軽減や、物理的なことはもちろん、心のケアも重要とされる。

歯周病、歯肉炎、急性壊死性潰瘍性歯肉炎

 その名称通り、歯の周囲の辺りに起こる疾病の総称。
歯根や歯槽窩を囲っている辺りの「歯肉(Gingiva)」の炎症を特に「歯肉炎(Gingivitis)」と言う。

 軽度の場合でも歯肉の部分が出血しやすくなり、赤く腫れたりするが痛みなどはあまりない。
しかし症状がひどく進行してしまうと、重大な感染症である「急性壊死性潰瘍性歯肉炎(Acute necrotizing ulcerative gingivitis。ANUG)」に繋がることもある。

 ANUGは激しい痛みは大量出血を伴う。
栄養不足の人や、喫煙者や、心理的ストレスを抱えた人が、かかりやすいとされている。
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電動歯ブラシの有効性

 軽度の歯肉炎は、数時間ごとの暖かい食塩水によるうがい。
「別名重炭酸ナトリウム(sodium bicarbonate。NaHCO3)」入りの歯磨き粉の利用などが有効とされている。
また通常の歯ブラシよりも、電動歯ブラシの方が効果が高いようだ。

 重度の場合は「テトラサイクリン(Tetracycline。C22H24N2O8)」、「フェノキシメチルペニシリン(Phenoxymethylpenicillin。C16H18N2O5S)」、「エリスロマイシン(erythromycin。C37H67NO13)」などが処方されたりする。
ただしテトラサイクリンは、歯の永久的な変色を危惧し、10歳以下ぐらいの子供には使用されないようである。

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