目次
- ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで
- 宇宙のことがだいたいわかる 通読できる宇宙用語集
- インフレーション宇宙論―ビッグバンの前に何が起こったのか
- 惑星へ
- 宇宙をプログラムする宇宙―いかにして「計算する宇宙」は複雑な世界を創ったか
- ブラックホール戦争 スティーヴン・ホーキングとの20年越しの闘い
- エレガントな宇宙―超ひも理論がすべてを解明する
- 隠れていた宇宙
- ワープする宇宙 5次元時空の謎を解く
- ゼロからわかるブラックホール―空を歪める暗黒天体が吸い込み、輝き、噴出するメカニズム (ブルーバックス)
- 4%の宇宙 宇宙の96%を支配する見えない物質と見えないエネルギーの正体に迫る
- 繰り返される宇宙―ループ量子重力理論が明かす新しい宇宙像
- 四次元の世界 : 超空間から相対性理論へ (ブルーバックス)
- タイムマシンの話 : 超光速粒子とメタ相対論 (ブルーバックス)
- 熱学思想の史的展開〈1〉~〈3〉
- 流体力学 (図解雑学)
- 流れ―自然が創り出す美しいパターン2
- 光と電気のからくり―物を熱するとなぜ光るのか? (ブルーバックス)
- 理論電磁気学
- だれが原子をみたか
- 「量子論」を楽しむ本―ミクロの世界から宇宙まで最先端物理学が図解でわかる
- クォーク 第2版 (ブルーバックス)
- 鏡の中の物理学
- 量子力学
- 素粒子論はなぜわかりにくいのか
ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで
宇宙論やら物理学やらの知識が全くないけど、宇宙に興味があるという人が最初に読むのにオススメ。
凄まじい計算能力の持ち主である、車椅子の物理学者ホーキングが、「E=mc^2」以外の数式を使わずに宇宙論を解説してくれます。
アリストテレスやプトレマイオスの天動説から、アインシュタイン、そしてホーキング自身に至るまでの宇宙論の小歴史。
わかりにくいのが当たり前である「粒子のスピン」に関する話以外は、かなりわかりやすかったと思う。
特に「ブラックホール放射」や「虚数宇宙」に関しては、ホーキング自身、当事者なんで、どうも楽しそうに感じる。
さらりと流してるような部分も多いが、扱ってる内容は重要だと思われてる事ばかりなので、自分の学びたい事を知る足掛かりにもなると思う。
宇宙のことがだいたいわかる 通読できる宇宙用語集
まさに本の通り、宇宙関連のだいたいの事が、だいたいわかる本。
かなり幅広く扱っているが、どちらかというと、重要な事と言うより、多くの人が疑問に思ってるような事が中心になっているように思う。
例えばいろいろな基準とか、有名な天体とか。
最初に読む宇宙の入門書としては、かなりよい本と思う。
インフレーション宇宙論―ビッグバンの前に何が起こったのか
インフレーション理論を提唱したひとりである佐藤勝彦自身が、インフレーション理論をテーマに書いた本。
この本に限らず、この人の本は、わかりやすく書かれていて、かつ多くの人が気になっているような事に、ページを費やしてくれる傾向にある。
(ただけっこう本ごとに内容が被ってたりする話もけっこうあるんだけど)
この人ですら、ヒモ理論に関する説明で、レオナルド・サスキンドの書いた一般向けの本を参考にしている辺り、ヒモ理論の意味不明さがよくわかる。
それと親近感わくと思う。
とりあえず、グースより先なのはわかった。
海外の本ではよく無視されているのを気にしてるんだろうか?
勝負に勝ったが、ユーモアで負けた、という所か。
「インフレーション理論」ビッグバンをわかりやすくした宇宙論
惑星へ
惑星探査計画『ボイジャー計画』に深く関わったカール・セーガンが、太陽系、遥かな宇宙、そして地球、現代的自然哲学について述べた1冊。
書かれた時期的に当たり前だけど、冥王星がまだ惑星扱い。
同著者のコスモスの続編か、あるいは姉妹本的な感じだけど、個人的にはこっちの方がオススメ。
現在の太陽系の知見というか、この本より後の時代に、別の探査機で実際に確かめられた、例えば土星の衛星タイタンなどの調査記録と、この本に書かれてる内容を比べると、なかなか興味深かったりします。
この人の本はどれもそうだけど、宗教への批判がわりと強めなので、そういうの嫌いな人は注意かも。
「太陽と太陽系の惑星」特徴。現象。地球との関わり。生命体の可能性
宇宙をプログラムする宇宙―いかにして「計算する宇宙」は複雑な世界を創ったか
これまで解き明かされてきた、この宇宙の機構が、いかにコンピュータのシミュレーションプログラム、あるいはコンピュータそのものぽいかを、ひたすらに説明している。
どうもこの宇宙は、電子コンピューターではなく、量子コンピューターなようである。
かつてギリシャの哲学者たちは、「世界は数字で出来ている」なんて考えたが、この本で紹介されてるようなシミュレーション仮説は、それの現代版と言えるか。
「宇宙プログラム説」量子コンピュータのシミュレーションの可能性
ブラックホール戦争 スティーヴン・ホーキングとの20年越しの闘い
ブラックホール情報パラドックスより、ホログラフィック原理が提唱されるまでの論争を軸に、ブラックホール、エントロピー、量子力学など、物理学の様々な話を解説している。
副題からは、いかにも「大科学者のホーキングに挑む」というようなイメージだが、この本の著者自体、物理学界の超大御所の人である。
物理学者は変人であるというイメージを払拭したいらしく、話に絡んでくる方々が、いかに魅力的な人達か、その人間性も説明してたりする。
例え話が非常に上手いと思う。
「ホログラフィック原理」わかりやすく奇妙な宇宙理論
エレガントな宇宙―超ひも理論がすべてを解明する
無謀にも数式一切なしで、ひも理論の説明を試みた凄い本。
一切の予備知識なしを前提としている為か、前提知識として、前半は相対性理論と量子力学について解説している。
例え話に工夫が見られるが、人によっては逆にわかりにくいかもしれない。
それでも、例え話の後に、簡潔な説明を再度行っている事も多く、総合的にはわかりやすいと思う。
ひも理論に関しては、後に別の本で著者自身が「上手くいったか自信がない」というような事を述べているが、それでも数式を使わない本の限界レベルまで、この本は解説してくれてると思う。
「超ひも理論。超弦理論」11次元を必要とする万物理論
隠れていた宇宙
前述の別の本。
パラレルワールドに関係する様々な宇宙論を次々に紹介していくという構成の本。
エレガントな宇宙の頃に比べると、例え話がかなり洗練されているように感じる。
章ごとに独立性が強いので、ある章の宇宙論がよくわからなくても、とりあえずは置いておいて、次に進むのがよいと思う。
人工的に作られたシミュレーション宇宙にまで書いているのが楽しい。
ワープする宇宙 5次元時空の謎を解く
一般向けのヒモ理論関係の本としては、初心者向けなようで、かなり上級者向けだと思う。
ブライアン・グリーンのエレガントな宇宙と同じく、前半は相対性理論や量子力学などの話を中心にしているが、この辺りは非常によく出来ていると思う。
問題は、著者自身の研究成果である「余剰次元」の話が絡んでくる後半である。
例によって数式は使わずに、非常に巧みに解説されているものの、その内容はかなり高度で、理解難易度は非常に高いと思う。
エレガントな宇宙とどっちがよいか?
と思ったかもしれないが、先にエレガントな宇宙を読んでおいてから、こちらに挑戦するのがベストだろうと返しておく。
ゼロからわかるブラックホール―空を歪める暗黒天体が吸い込み、輝き、噴出するメカニズム (ブルーバックス)
ブラックホールに関する入門書。
万有引力の定理から導かれるダークスターに始まる、光すら逃がさない暗黒の天体について研究の歴史が詳しい。
ブラックホールとは結局どのような星であるのかが、よく解説されている。
ホーキング放射や、粒子加速器などに関してはちょっと触れられている程度で、主に実際に観測されたりしている現象がメイン。
4%の宇宙 宇宙の96%を支配する見えない物質と見えないエネルギーの正体に迫る
ダークマターとダークエネルギーに関する本。
例によって、なぜそれが発想されたのか、その歴史も学べる。
宇宙が好きだった少女が、大人になって、あまり気にされてなかった銀河の回転から、新しい発見をしたという展開はなかなかドラマチック。
個人的には本題以外にも色々と興味深い。
高性能の大型望遠鏡を取り合う科学者たちの、リアルな研究事情がけっこうわかる。
繰り返される宇宙―ループ量子重力理論が明かす新しい宇宙像
数多く存在する弦理論の本に比べると、珍しい、ループ量子重力理論を扱った本。
どっちにしてもループが出てくるというところがちょっとややこしい。
粒子に答えを求める弦理論に対し、ループ重力量子理論は空間に答えを求めている、というような話が興味深い。
弦理論に比べるとマイナーだろうから、ちょっと馴染みにくいかもしれない。
四次元の世界 : 超空間から相対性理論へ (ブルーバックス)
古いが、四次元というものに関しての、かなりの良書。
超立方体がどのようなものかをよく知れる。
扱っているテーマがテーマのため、相対性理論に関する記述も多く、 むしろそちらの一般向けの本としても非常に良書。
双子のパラドックスについて、かなりわかりやすく解説されている。
例え話が、そのままSF小説に使えそうなくらいに興味深くておもしろく、センスに溢れている感じ。
タイムマシンの話 : 超光速粒子とメタ相対論 (ブルーバックス)
上記と同じ作者の、タイムトラベルをテーマとした本。
この手の本にしては、タイムパラドックスに関する記述はわりとあっさりしているように思う。
時間をどうやって動かすかとよりも、時間が動かされた(特に戻された)時に、何が起こるのかということを詳しく扱った本。
やはり例え話が小説的で、よくできている。
熱学思想の史的展開〈1〉~〈3〉
熱力学の発展史として、これ以上ないほどに素晴らしい本である。
ただし長い。
全三巻
文字通り、一冊(正確には三冊だけど)ですべてを網羅してしまってます系。
ただし、あくまで古典物理学における熱力学の歴史の本。
ラプラスやキャベンディッシュといった優れた科学者たちの間違いについても、かなり詳しい。
間違った理論がなぜ間違ったのかについても、普通に数百ページくらいかけて書いている。
熱力学の三法則の登場がいかにもドラマチックに描かれている感じで、ある意味、下手なSF小説よりもよっぽど楽しめると思う。
流体力学 (図解雑学)
流体力学という分野は、図解と相性がいいように思う。
単純に内容だけで考えても、この本は入門書としてよくできている。
車や飛行機など、身近な乗り物を使った例が多いから、馴染みもしやすい。
なかなか興味深いのが、他の一般向けの本でよく勘違いされていることなどについての説明があったりする。
流れ―自然が創り出す美しいパターン2
シリーズ本の二作目に当たるが、単体で読む分にもそれほど問題はないだろう。
流体力学の一般向けの本として優れているのはもちろん、流れというものに関して、人類がどのように考え、イメージを持ってきたのかという思想史としても素晴らしい
普通にベルヌーイから始める本が多い中、この本はなんとレオナルド・ダヴィンチから始めている。
光と電気のからくり―物を熱するとなぜ光るのか? (ブルーバックス)
電磁気学をテーマとした本の中では、個人的に一番くらいに誰にでもオススメできる素晴らしい良書。
数式を極力使わず、わかりやすいイメージで電磁気現象の振る舞いについて説明している本だが、本当にかなりわかりやすい。
量子論にまで話をしっかり進めているのもいい。
創作のネタや、雑学として電磁気について知りたいというだけなら、この本一冊でいいくらい。
理論電磁気学
定番というか、人気の教科書。
まったくの初心者にオススメできる本ではないが、しっかりと学びたいという人にはピッタリであろう。
電磁気学の本だが、そこから発展した相対性理論に関しての記述もあるので、いかにして相対性理論が生まれたのかの概要も知れる。
量子場の理論を学ぶための入り口としても使えるはず。
敷居は高いが、完成された体系としての電磁気学を、総括的に学べるので、単純に物理学という分野の本格的な入門書としても適していると思われる。
だれが原子をみたか
その研究の歴史とともに、原子というものを学べる本。
古代ギリシャの論争から始まり、名だたる科学者たちが、いかに原子という、直接目では確認できないものの存在を確信するようになっていったのか、その経緯がよくわかる。
かなり子供向けを意識しているような感じもする。
記述がかなり平易でわかりやすい。
ちょくちょく参考にしている本を紹介し、「読んでみよう」なんて書いてあるのが、なかなか共感。
「量子論」を楽しむ本―ミクロの世界から宇宙まで最先端物理学が図解でわかる
量子論について書かれた本としては、かなりの初心者向け。わかりやすさにかけては圧倒的かと思う。
量子論が形成され、受け入れらるようになった過程も、ある程度書かれてる。
ただ、どちらかというと量子論に反対した人達(アインシュタイン、シュレーディンガーなど)が印象に残るような構成である。
後半、「シュレーディンガーの猫」より、量子論的なパラレルワールドに触れてる辺り、一般人が何を知りたがってるか、よくわかってると思う。
「量子論」波動で揺らぐ現実。プランクからシュレーディンガーへ
クォーク 第2版 (ブルーバックス)
初期の弦理論の提唱者の一人としても有名な南部陽一郎(1921~2015)の名著。
クォークモデルに関してはもちろん、中間子理論が考えだされた経緯や、対象性に関する話にも詳しい。
特にこの本が一般向けの本として素晴らしいのは、クォークのような素粒子を、物理学者がいかにして観測してきたか、観測しようとしてきたか、その発想や手段についてもけっこう詳しいことであろう。
鏡の中の物理学
日本における物理学という分野の大家である朝永振一郎(1906~1979)は、一般向けの文章も多く書いているが、これはその内の三編、「鏡のなかの物理学」、「素粒子は粒子であるか」、「光子の裁判」を納めたもの。
古典的であり、さすがに内容(というか文の雰囲気)が古臭いとか、無駄にまわりくどいと言われることも多いが、それも味わい深いと楽しめる人も多いと思う。
まわりくどいというより柔らかな表現の小説的で、特有のユーモアもあり、一般向けというより、家族向けって感じがする。
本当に、老若男女誰に対してもオススメできる、科学の思想の素晴らしい入門書でもある。
量子力学
朝永振一郎の書いた、タイトル通りに量子力学の教科書。
一般向けの本も多く書いている彼だが、これはちょっと一般向けとは言い難い。
全2冊であるこの教科書の素晴らしいところは、やはり量子論の考え方の発展の歴史を、まるで追体験するかのように感じれることであろう。
著者自身が「量子力学を学ぶのに、今更プランクから始める必要はまったくない」としつつも、しっかりとプランクの公式がいかに導出されたのかの話から始めている。
じっくり深く学びたいという人のための本。
素粒子論はなぜわかりにくいのか
素粒子論というよりも、素粒子論の具体的なイメージがテーマというような本。
場の量子論の一般向けの解説書とも言えよう。
一般向けの量子論関係の本では、よく量子というものが「粒子の性質と波の性質を合わせ持つ」というふうに紹介されている。
その量子であり、波である性質というのは、具体的にどういうことであるかをひたすらに語っている本でもある。
これは一般向けではあるだろうし、いい本だが、最初に読む量子論関係の本としては向かないと思われる。