「ロードス島戦記」精霊世界と魔法。TRPG的ファンタジー世界の戦い

かつて魔法王国だった島の英雄伝説

 ロードスという島を舞台として、古い魔法王国の支配の名残から、これまで多くの戦いの歴史もあり、島にかかっているとも噂されていた呪いを、何人かの英雄が解いていく。というような話。

アレクラスト大陸の南。ロードスという島

 ロードス島は作中で、以下のように説明される。
「ロードスはアレクラスト大陸の南に位置する辺境の島。大陸からは20日あまりの船旅の距離。その日数だけでなく、危険のために、大陸とロードスとの行き来は少ない。ロードス北西部にある自由都市ライデンの商人たちがガレー船によって行う貿易だけが、その少ない行き来の全てと言っていい。そして大陸の住人の中には、そのロードスを呪われた島と呼ぶ者もいる。呪われていると考えられるのは、帰らずの森や風と炎の砂漠、地下迷宮などの魔境がいくつもあるから。また、根強く信仰されている暗黒神ファラリス。 さらに(シリーズ1作目の開始時点より)30年ほど前に起きた、最も深いとされていた古代王国の地下遺跡から現れた魔人の軍勢が、島中を恐怖に包んだ事件のため。その30年前の時には人間と、エルフやドワーフなどの妖精族が一致団結し、魔神はまた封じられたとされている」

 各作品ごとに何年かくらいの時間が経っていて、その間に語られない戦いとかも結構ある設定で、主人公のパーンをはじめ、(物語全体を通して)メインキャラたちの成長をある程度感じれる。
最初の話から敵として出てくる、古代王国の失敗に学び、特別な唯一の支配者を作らないよう、戦いの歴史などをコントロールしてきた魔女カーラ。パーンの物語は、仲間だった盗賊の体を奪ったようなそのカーラを追って、いくつもの戦いを超えていくもの、とも言えそうだが、その途中で様々な戦いに巻き込まれていく訳である。

 ロードス島のみならず、この話の、そもそも世界全体が完全な架空世界と思われるが、一時期、王を失った国が、崩壊こそしなかったものの混乱し、 戦士や魔術師や司祭の誰もが、治安維持のために働かなければならなかったり、社会の動きは普通の文明世界イメージそのもので、そこは王道的(普通のよくある昔話、古い伝説的)と言うべきか。

現代の魔法。古代王国の魔法

 魔法は古代語の詠唱で影響を与えられる、万物の根源たるマナに関連してる現象というように描かれている。

 古代に繁栄したが、滅びてしまった大王国が、滅びた原因は魔法(魔力)の暴走だったようだが、 その魔法技術は凄かったとされる。水上都市、空中都市に、強力なドラゴンを従わせることすら可能だったとか。
王国末期には、魔法を無尽蔵に使うことが可能な、無限魔力を生み出す装置まであったという。その装置と時空を超えて繋がる小さな水晶玉を額に埋め込まむことで、無限の魔力を共有することもできた。
さらにその王国が魔法により支配した領土は、精霊界をも含む。 しかし歩き方から魔法が行使された時、それを支えきれなかったため魔法装置が失われ、 それなしでは魔法を使えなくなってしまっていた魔術師たちも、みな蛮族に殺されたと。

 魔法にあまり詳しくないものは、それをただ1種類の力だと勘違いしている場合が多いのだが、実際には魔法というのは3つの系統に分かれるという説明もある。
つまり、精霊たちの力を利用する『精霊魔法』。500年以上前に栄えていた古代王国にて研究されていた体系で、古代語(ハイエンシェント)のルーンを習得することで使える『古代語魔法』。そして自らが信じる神の代行者としてその神に祈り、力を授かることで奇跡を再現してみせる『神聖魔法』。
精霊魔法を使うものは精霊使い(シャーマン)。古代語魔法を使う者は魔術師(ソーサラー)。神聖魔法を使う者は司祭(プリースト)区別される。

 しかし描写だけなら、単なる原理の違いであって、どの魔法であっても(規模などの違いはあれど)出来る事は基本的に同じで、それは自然現象のコントロールと言える。ただしこの自然現象の中に、精神の動きまで含むこともあるから、そういう場合は人の意識を操作してるとか、そういう技にもなる感じである。

 ただ生理的な能力を変えること。例えば水の中で呼吸ができるようになるとか、そういうことをどう実現してるかに関しては、描写からは判断しにくい(実際には水の方を変化させているのか、肉体の機構の方に影響を与えているのかが不明)。つまり生物の存在における物理的領域を、自然領域の物質というカテゴリーとして、どの程度まで考えてよいのかが少し謎ではある。

精霊召喚魔法

 精霊召喚の方法に関しては、「精霊を呼び出すためには、その精霊が属している精霊界の門を開くための鍵が必要。例えばそれは、大地の精霊ならはむき出しの地面、風の精霊ならば自然に吹く風、水と炎の精霊ならば水や炎そのものが門を開く鍵」と、なかなか興味深い説明がある。風は自然のもので、水と炎は自然のものでなくてもいいようにも受け取れるか。また、精霊は意識に直接語りかけてくるような感じなのだが、召喚者側が命令する場合には、必ず精霊語を言葉に出して言わなければならない。そうしなければ強制力がないというのが、精霊と交信する時の規則とも。
それ自体に関しても「(精霊は)あらゆるものや力に潜んでいる。精神の働きにも関係している。しかし精霊は自身だけでは物質世界において魔法を使えない。物質世界に精霊が影響を与えるためには必ず物質世界の住人によって召喚される必要がある。一度召喚されて支配されている精霊に、他の精霊使いは接触できない。下級精霊の場合はあまり大したことでもないのだが、上位精霊が支配されている場合、それよりも下級の精霊たちが、他の精霊使いにも利用することができなくなったりする」などと説明される。
そもそも、上位の精霊は下級精霊に命令ができる立場、存在のようでもある。

 精霊には正義も悪もなく、召喚者の命令を忠実に守るから、自分が召喚した場合は心強い味方だが、敵対する者が呼び出した場合の精霊は脅威となる。

魔物と妖精。妖精の領域

 明らかに魔物(モンスター)と呼ばれるような生物種が、恐ろしい存在、悪の存在として描かれている。

 人間以外の種族に関して、魔物的なもの以外では、普通に言葉による会話ができる知的種族としてエルフ、ドワーフ、グラスランナー(ホビット)が登場する。
例えばエルフたちが、炎が破壊の力にすぎないために火の精霊を嫌っているという設定。そうした、炎の精霊に対する嫌悪感は、エルフ独特の感情に関係している。 というような 精神文化の違いのようなものが時々語られているが 所属同時に根本的な 違いが何かあるかと言うと それほど明確には描かれてないような感じである。ただ、人間とエルフは近い存在で、子供を作ることすらできるが、エルフは 不老不死のようだ。

 エルフの呪いがかかっているともされる「帰らずの森」というのが出てくる。エルフの自分にとってはエルフに今も昔もないと言う、エルフ娘の仲間キャラ、ディードリッドは、森に伸びているある細道の前で語る。「この先に道がある。これだけは守って、森の中では決して休んではダメ。あまり驚くのもダメ、強い感情は森の木々に悪い影響を与える」
実際にはそれは、世界を構成する3つの異世界の内、 物質界と精霊界を結ぶ中間ともされる妖精界の道。
妖精界に関しては、ドワーフも元々は妖精界の住人だったが、偽りの黄金ではなく真の黄金、大地の恵みを欲して旅立ったという話もあり、エルフとドワーフ、両種族の関わりが示唆されたりもする。グラスランナーも、完全に物質世界に馴染んでしまった元妖精種族とされる。
妖精界は単なる異世界というより、時間の流れの違いなど、妖精伝承における「妖精の国」などにイメージが近いか。