007「カジノロワイヤル」感想。ジェームズ・ボンド、最初の大勝負

カジノロワイヤル

007シリーズの第一作

 イギリスの諜報組織MI6のエージェント、007ことジェームズ・ボンドの活躍を描く、スパイアクションシリーズの第一作。
 映画のシリーズも有名だけど、これはその原作小説シリーズの第1作。
なので映画も含めて、真の意味での、ジェームズ・ボンド初登場作品。

 とりあえずボンドにまったく凄さが感じられない。
ちょくちょく話題などに含まれる経歴だけは、ある程度の大物感があるが、そのせいで、より本編中でのショボさが際立っているとも言える。
作品自体もアクション要素が薄い。
 しかし、全部読み終えたらわかるが、これはまさに最初の作品。
007というより、ジェームズ・ボンドというスパイが、スパイとして完成されるまでを描いた話として考えたなら、このショボさも納得できると思う。

確かに007が007になった話

 この作品のボンドは既に00エージェント。
00エージェントは、MI6内でも英雄的かつ伝説的な存在であり、例えば「00エージェントの者と一緒に仕事が出来る」というだけで、同僚から嫉妬されたりするくらい。
 しかしボンドは言う。
00エージェントは英雄とかではない。
ただ殺人を冷静に行える者ならば、誰でもなれる。
ただそれだけという存在。

 しかしこのカジノロワイヤルの話の中で、ボンドは多くの失態をおかしてしまい、自らの甘さを痛感。
それに自分が黒か白か、どっちのつもりかもわからなくなる。

 そうした苦難を、乗り越えたというより、乗り越えざるを得なかったボンドは、自分が結局どれほどスパイであるかというのを自覚していく。
 007は、真に007となっていく訳である。

ギャンブラー、ボンド

 そもそも作中でボンドが任された任務は、「ギャンブルに勝利せよ」という、それだけ聞いたら、ナンデヤネン?とツッコみたくなるようなもの。
 そしてボンドは優れたスパイというだけでなく、優れたギャンブラーでもあるらしく、まさにプライドを賭けてこの勝負に挑んでいく。
ただし、自信満々という感じでないのがまたダサい。

 ぶっちゃけ緊迫感的にも、話の流れ的にも、作品全体で言えば中盤である、このギャンブル対決が、面白さのピークかもしれない。

 ボンドと敵であるル・シッフルは、(ルールは作中でしっかり説明されてる)バカラで、勝負する。
まあまあ逆転に次ぐ逆転で、高額という数字演出もあり、ここはけっこう面白かった。

 まあ、この話『スパイ物』なんだけど。

Mというキャラ

 スパイ物ならでは、情報戦略は描かれてるが、わりと先の展開、というかオチは読めてしまうかもしれない。
 というか、かなり腕利きかつ、用心深いはずのボンドの、妙なほどの失態が、完全に物語の為のギミックになっている。
「現実はフィクションのように上手くはいかないのさ」などという、いかにもフィクションぽいセリフが、計算か天然か知らないけど、ちょっとネタに思える。
 
 ただ大筋じゃなく、任務が終わった後の上司Mとのやりとりはよかったと思う。
 凄くそっけないメッセージだけと思わせておいて、そもそも彼がそうする事自体が、の流れがなかなか。

 「報告書は英語で書きたまえ。舌噛みそうな外国語の知識をひけらかしたいなら、大学でも行くんだな」
諜報部内の雰囲気けっこういい感じかも。

まあ、無意味でもない恋愛要素

 
 「あなたが欲しいのは奥さんでなく、奴隷でしょう」
という、とあるキャラのセリフ通り、ボンドはあからさまな性差別主義だが、このような性格付けはどうも、作者のイアン・フレミングが、受けると思った要素らしい。
多分、彼には無縁だと思われてた愛がどうたらって話も、そうだろう。
 ただ、そういう話を入れるのはともかく、ちょっと長すぎな気もする。

 ただそういう設定も、単なる設定に終わらず、ストーリーに上手く絡めてたのはよかった。

マティスとCIAの彼

 ボンドは単独行動が好きで、かつ仲間がつくと聞いて、「どうかそいつが足手まといになるような雑魚ではないように」などと祈る。
かなり偉そうであるが、これはわりと口だけ。

 マティスと、ついでにCIAのエージェントの方が、わりと気のいい人たちで、、ボンドはすぐに彼らと距離を縮める。
マティスは特に、けっこうボンドを助けてくれ、とあるシーンで「何やってる?この役立たずが」などと心の声で叫ぶボンドの小物感を強くしている。

 まあ、ボンドがしょぼい方が、結局この話(007が007となる話)としては正解なのだと思うが。

 とりあえず、ボンドが受けた、謎の二人組の爆破攻撃にマティスが気づいた時。
このシーンが、この話で一番(ぶっちゃけ一部の映画シリーズくらいしか知らなかった)僕のイメージ的に007という作品の演出だった。
まだ方向性が定まっていないとも言えるかも。
 

スメルシュの魅力

 ソ連の組織であるスメルシュの扱いは、あれでいいのだろうか?
まあ、続編を最初から想定してたのかもしれないが。

 アウトローなスパイキャラとして見た場合、完全にボンドより、ちょっとしか出てこない、スメルシュのエージェントの方が凄そう。
 それでいいのか?
00エージェント。

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