「ゴジラミレニアムシリーズ」宇宙生物、if日本、初代と繋がる様々なゴジラ

ゴジラ2000 ミレニアム

 電子プラズマの散乱強度の変化を電圧変動として捉える。地表に電荷変動が生まれた場合の、上空のプラズマの誘導、大地の振動との間の法則性を計測する地震計を使う。地震の震源は動かないが、しかしその震源が一定の距離で移動していたとしたら……。
というような、テクノロジー説明から始まる。
雷 「電磁気学」最初の場の理論。電気と磁気の関係 プレート地図 「プレートテクトニクス」大陸移動説からの変化。地質学者たちの理解の方法
 1954年に、一作目の話があり、それから現在に至るまで、ゴジラは定期的に日本に現れ、破壊をもたらしているという設定。
そういう訳だから、ゴジラそのものが、自然災害のような扱いをされており、政府公認の対策組織などが存在している世界観。
民間にも、ゴジラ予知ネットなる組織が存在していて、主人公の科学者、篠田しのだは、そのリーダー的な存在。

 一見は無差別に見えるが、特にエネルギー関連の施設を破壊して回っているようなゴジラの行動を見て、ひょっとするとゴジラは文明を恨んでいるのかもしれない。ゴジラを殺すなんて人間の思い上がり。そういうふうな考えから、篠田の立ち位置は、初代『ゴジラ』の山根やまね、『ゴジラ(1984)』の林田はやしだも兼ねているぽい

 一方、ゴジラ対策の中心組織CCIは、海底に沈む謎の岩塊を調査する内に、その正体である宇宙生命体の円盤を、長い眠りから覚ましてしまう。それは本来は光を動力源としている宇宙からの飛来物体が、光の届かない深海の底に落ちてしまったために6000万年停止を続けていて、それが探査艇の光の当たったことで覚醒したと説明される。
そしてこの目覚めた宇宙生物が、今作の実質的な敵役となる。

 平成シリーズの「VSビオランテ」や「VSスペースゴジラ」で『ゴジラ細胞』なるガジェットが登場したが、今作品ではオリジナル設定として、より根源的な『オルガナイザーG1』というのが登場する。
ゴジラの表皮から取れた細胞サンプルをさらに詳しく調べることで発見された、細胞の復元と個体形成の機能を有する特殊な形成体。ゴジラという生命体の核であり、その驚異的な再生能力の秘密の鍵。

 そして、長期の生存を維持するため肉体を捨てた宇宙生物の目的が、驚異的な生命力を手に入れるためのオルガナイザーG1だというのが面白いところ。
さらに、地球の電子ネットワークにアクセスして情報を集めたりなどの行動は、なかなか(少なくとも当時の水準では)最新的な宇宙人侵略物って感じがある。

 この作品はまた、ノベライズ版の出来もけっこういい。
映画では登場しないオリジナル設定がのほとんどがよかった。
例えば小説では、主人公の篠田がなぜゴジラにああも心酔する事になったのか、その過程がよく描かれているのだが、その途中で出てくる山根博士の手記に、彼の(一作目当時の)心境の変化などが綴られていたり、特に一作目好きな人には(あくまで解釈のひとつとしてだが)楽しめると思われる内容。
それに宇宙人が故郷を失い、肉体を捨てる事になった、その理由もしっかり書かれている。
※ただこのノベル版。ひとつだけ微妙だったのが、ゴジラは本編の五年前までは、列島に姿を見せなかったという設定。それ自体はいいけど、「若い世代がゴジラの存在を知らない」というのは、ちょっと無理があるんじゃないかなと思う。

ゴジラ×メガギラス G消滅作戦

 シリーズの中でもif世界観がかなり強い作品。
1954年でのゴジラ襲撃の時に、おそらく芹沢博士のオキシジェンデストロイヤーはなく、ゴジラを倒したという話もなかった。そして壊滅した東京に代わり、日本の首都は大阪に移された。さらには1966年、操業を開始したばかりの原発がゴジラによって破壊され、ゴジラ上陸の原因が原子炉夢発電所の放射能であるという研究結果から日本は原発の影響放棄を決めたという設定。
しかし原発を放棄したためにエネルギー不足の問題が発生。そこで1996年、科学技術庁が中心となって、ゴジラの破壊を受けないクリーンエネルギー開発を 目指した研究所も設立された。
そして、重水素を原料とするプラズマ発電が開発される。

 プラズマエネルギーを利用したマイクロブラックホールで、ゴジラを消滅させるというトンデモ作戦が描かれる。
そして、その実験によって時空が歪み、古代の巨大昆虫空メガヌロンの卵も現れてしまう。
その巨大昆虫とは、『大怪獣ラドン』で登場したメガヌロンだが、この作品ではさらに、その成虫だというメガニューラ、そしてそれが怪獣にまで変異したメガギラスが出てくる。
メガニューラは群れで行動するのだが、1体を選んで巨大化、そして巨大になったそのメガギラスは、周囲を破壊しながらテリトリーを広げていく、という設定。
そのメガギラスの破壊描写は、わりとラドンに近い感じもする。ただし、昆虫でかつ悪のイメージの怪獣のためか、見た目はバトラにも似ている。

ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃

 オカルト趣味の雰囲気が強いゴジラである。
ゴジラの圧倒的な強さの理由は、それがただの生物ではなく、太平洋戦争でその命を散らした兵士たちの残留思念の集合体という、あまりに特殊な存在だから、とういうような設定が出てくる。
ただし、明確にそうというような描写があるわけではない。ただのオカルティストの見解というような解釈も、できなくもない。

 もう1つ重要なのが、ヤマト国(日本)の守護神である、護国聖獣という3体の怪獣の存在(この作品においては、バラゴン、モスラ、(キング)ギドラ)。
自衛隊にも結構スポットが当たっている感じだが、怪獣の強さに歯が立たない感じの描写ばかり。

 監督が、人気の高い平成ガメラシリーズの人だが、怪獣同士の戦闘描写はさすがに上手い。
ただ、音楽などの演出や、作品の雰囲気までガメラぽく、加えてオカルト要素が本当にかなり強めなため、怪獣映画としてはともかく、SFのゴジラとしては微妙という人は多いと思う。

ゴジラ×メカゴジラ

 台風の報道しているアナウンサーの後ろからゴジラが出現し、そのまま自衛隊との激突が描かれるという、なかなか最初からアクセル全開の作品。
音楽がかなり共通なために、×メガギラスと近い雰囲気だが、いろいろな面で、あちらよりも進歩している感じがする。

 ミレニアムシリーズは女性主人公が多いことが特徴でもあろうが、この作品は、途中で変わる総理大臣の最初の方が女性である。結構時代の変化を感じさせる。

 世界観としては、ゴジラ自体は1954年以降、その姿を現していなかったが、2体目のゴジラが、1999年に再び現れた設定。
しかしゴジラの出現から、日本の生態系が崩れたかのように、巨大生物が頻繁に出現するようになっているという設定。
初代『モスラ』や『サンダ対ガイラ』の出来事もあったという世界観である。

 精鋭中の精鋭を集めた超エリート部隊であるはずが、やや感情的で大人気ない感じのやつがいたりと、ちょっとマンガ的な部分も目立つ。

 オキシジェンデストロイヤーが葬った初代ゴジラの骨から、細胞を採取して、半クローンみたいな生体メカとも言うべき、メカゴジラを造りだす。
ゴジラの骨格をベースにしてはいるのだが、そもそもその形体が、工学的にかなり優れていて、戦闘のためのフォルムとして、1つの完成形というふうに説明される。
さらに伝達システムにはDNAコンピューターを使っている。それは、DNAの塩基を1ビットとしたコンピューターで、0と1のタイプよりもかなり高い演算能力を実現できるというもの。
コンピュータの操作 「コンピューターの構成の基礎知識」1と0の極限を目指す機械 1ビット 「ビットとは何か」情報量の原子は本質的にも原子であるのか
駆動可能時間は約2時間だが、近くの自衛隊基地から、マイクロウェーブ方式で、現場上空の特殊航空機『しらさぎ』を通し、エネルギーを供給できる。
そして最大の切り札が、『アブソリュートゼロ(絶対零度砲)』。その名称通り、超低温のビームのようなもので、結果的に対象を原子レベルで崩壊させるというもの。

 子供の目線を通して、人間の身勝手のせいで生み出され、そして戦うことになったゴジラ同士のこと。生命体哲学もよく描いてるように思う。

ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS

 謎の飛行確認飛行物体として 確認された物体と、 戦闘機の会合。そしてその謎の物体がモスラと確認されるところから、物語が始まる
終盤には成虫のモスラと、幼虫の2体のモスラが対話をしているかのようなシーンもあり、ゴジラよりメカゴジラより、個人的には見所と思う。

 全シリーズを通してもバトル重視の作品であるように思う。
とにかく、ゴジラとモスラが戦い始めてから、その後メカゴジラとゴジラの戦い、再び参戦してきたモスラと戦いと、それなりにしっかり描かれてるバトルが連続しているので、長めな印象がある。

ゴジラ FINAL WARS

 ゴジラシリーズのみならず、東宝の過去の名作特撮映画で描かれてきた、様々な要素を盛り込んだ、文字通りのお祭り映画。ギャグ描写が多めなこともあり、むしろパロディ映画という言い方のほうがしっくりくるかも。

 昭和時代のお祭り映画とも言うべき、『怪獣総進撃』と同じように、近未来が舞台。そもそも、いろいろと設定が似ている。ただしあちらよりもさらにお祭り感は上がっているか。

 この映画では、地球人同士での争いとかは無くなっていて、人類は団結し、次々と現れる怪獣の脅威に対抗するための組織が結成されている。人類同士が争う時代は終わり、人類と怪獣の戦いの時代に突入している。
度重なる戦争と環境破壊、発達しすぎた科学が、地球の環境を歪め、眠っていた多くの怪獣を呼び覚ましたという設定。

 また、DNAを構成する四つの塩基に、さらにもう1つ、未知のM塩基が加わったものを有する、特殊能力者ミュータントが、ハリウッド映画みたいなアクションシーンを見せてくれるが、いくらなんでもちょっと、それに時間を取りすぎな感じはある。

 ミニラと旅する、子供と、マタギみたいなおじさんがまた、昭和的な雰囲気作りに一役かっている。
「昔、人間が大きい火を焚いちまったんだ。ゴジラはその時の怒りを決して忘れねえんだ」

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