ゲームや漫画のノベライズ版の事
1998年発売のPlayStation用ゲームソフト、『スターオーシャン セカンドストーリー』のノベライズ小説。
思えば日本のRPGというのは、この頃くらいから、めちゃくちゃしっかり世界観を構築して、アニメ的なストーリーをしっかり描くようになったのだと思う。
スーパーファミコンの時代とかでも、しっかり設定を考えてたりしたのかもしれないけど、スペック的に表現できなかったりしただろうし。
こういうゲームや漫画のノベライズ版ってファンアイテムってイメージも強いかもしれないけど、別に普通に小説としてもよいと思う。
ゲームらしい発想の設定て、今は特にライトノベルとかに凄い増えたけど、それって逆にゲーム的設定の面白さがあるからこそだと思うし。
もっと原典を辿るとD&D的発想のゲーム。
「ゲイリー・ガイギャックス」D&Dの歴史の始まり、最初のRPG誕生の物語
あっちが結局、指輪物語的だという声もあろうが、D&Dが指輪物語の影響を受けてるのは世界観であって、システムは古くからのウォーゲームなどの流れを組んでる。
「指輪物語」ホビット族。剣と魔法と仲間たち。ひとつの世界のファンタジー
ゲーム的設定は、ゲームシステムを小説という形式にはめ込み、オート的に動かしてるというようなものだと個人的には思う。
まあとりあえず、この小説は、普通にSFファンタジーという感じで、原作ゲームをプレイした事ある人も、そうでない人も、今ではよくあるゲーム的設定の話として楽しめると思う。
それとこれは一応スターオーシャンシリーズの二作目だけど、別にストーリー的には、この作品だけで全く問題はない。
後、ストーリーの流れはある程度沿ってるが、ゲーム版とは、一部キャラの印象がけっこう違ってるのは注意。
設定とかの見どころ
宇宙に進出している話で、未開の惑星に偶然やってきてしまった系の話だけど、エネルギー兵器が伝説の光の剣として誤解されるという設定は、王道だけど好み。
ただもうちょっと引っ張ってほしかった気はする。
タイトル負けしてる内容というか、確実に大袈裟なタイトルでもある。
舞台は二つの惑星のみだし。
スターオーシャン(星の海)なんてタイトルからは、宇宙の様々な星を冒険するような物語を連想するが、そんな話では、とりあえずない。
視点というか、メイン側が、主に未開惑星の住人側なのはいいけど、それならもうちょっと他惑星から来てるクロードやオペラをミステリアスな雰囲気で描いた方がよかったんじゃないかとも思う。
それと、なるべくイベントをカットしないでおこうと欲張ったためか、テンポがかなり早い。
これはむしろ賛否が別れるくらいにテンポが早い。
バトル描写は丁寧に描かれてる感じ。
クロードが最初弱いのもよかった。
しかしテンポが早すぎるためか、成長過程が雑な感じがする。
最後の十賢者との連戦は、なんかバトルものの少年漫画のよう。
これは個人的には凄くよかった。
ほんとに少年漫画みたいで、各戦闘で、仲間キャラに順にスポットが当たっていく。
のだが、ここがけっこう妙というか、ばったばったと仲間キャラが死んでいく。
そしてすべての戦いが終わった後、奇跡の力でみんな復活という(ご都合主義と言われても仕方ないような)凄い展開。
魔法みたいな力の科学的解釈の事
話の舞台は、前半がエクスペルという惑星。
後半がエナジーネーデという惑星になる。
ただエナジーネーデに主人公達が来る過程で、エクスペルは高エネルギー体とぶつかり消滅してしまう。
のはよいとして、それを空間と時間の位相をずらす事で、消滅前のエクスペルを引っ張ってこれるという設定が出てくる。
ぶっちゃけ、よくわからない所ではある。
「特殊相対性理論と一般相対性理論」違いあう感覚で成り立つ宇宙
ただ、最後のキャラみんな復活する展開も、この設定でいっとけばいいだろうにとは、ちょっと思った。
しかしこの手の設定を見る度に思うが、(例えば局所的にでも)時間を巻き戻したり出来るという理解でよいのだろうか。
ならば、進んだ時間が、また戻ってというようなものが時間なのだろうか。
もしくは巻き戻した後の時間軸と、巻き戻す前の時間軸とでパラレルなのだろうか。
あと、この手のSF設定において、紋章術やらネーデ人という種族が有する治癒能力などの、科学的解釈などがでないのは、ちょっと妙な感じはする。
まあファンタジーですからと言われたらそれまでなんだけど。
十賢者の敵としての魅力
この作品で一番よいのは、十賢者という敵の設定だと思う。
かつてネーデという星は、かなりの科学技術を有していたが、それを利用して、宇宙中を支配しようとした。
しかし、反対勢力に封印されたという設定。
この話のメインキャラの半分くらいは、未開惑星の住人である。
しかしこの十賢者は、普通に地球人達も属する銀河連邦よりも、優れた技術を持つ。
そういう訳だから、満を持してこの十賢者が登場した時の絶望感がけっこうあるのである。