「特殊相対性理論と一般相対性理論」違いあう感覚で成り立つ宇宙

時空の歪み

それは必然に続く必然だった

 アインシュタインのいわゆる相対性理論には、『特殊相対性理論(Special relativity)』と『一般相対性理論(General theory of relativity)』の2種類がある。
これら2つの相対性理論はもちろん全く関係のない理論というわけではない。

 もっとも、全く知らない人が、個別に概要だけ(例えば、特殊の方は運動する物体の時間で、一般の方は空間の歪みの影響だとか)聞いたなら、それらにあまり強い繋がりは感じないかもしれない。
 しかし2つの理論の繋がりは、提唱者と名前だけのものではない。

 特殊相対性理論がまず考え出された後、その欠点を補う為に考え出されたのが一般相対性理論である。
より具体的に言うなら、特殊相対性理論は単に時間という、この世界を構成する要素ひとつだけを扱った理論。
そして一般相対性理論は、その定義された要素が他の全ての要素と矛盾しないように提唱された、従来とは異なった世界モデルなのである。

 そうして2つの相対性理論により描き出されたのは、それまで考えられていたような「誰の感覚にも関係なしに成り立つ絶対的なひとつの宇宙」ではなく、「全ての意識の違い合う感覚で成り立つ、それぞれの宇宙」だった。
 そしてそれは現在でも、限りなく正解に近い宇宙モデルとされているのだ。
「アインシュタイン」人類への功績、どんな人だったか、物理学の最大の発明家

常識との戦い

時空間の本質

 考えるまでもない常識というものがある。

 例えばあなたが地球から飛び立つロケットを見る時を考える。
もしロケットの窓に、宇宙飛行士の友人が映っていたなら、あなたは、ロケットと共に上に飛んでいく彼を認識できるだろう。
 ではロケットが、マッハ31(アポロの最高速度)くらいの速度をいきなり出したとする。
その場合には、友人は確認出来ないかもしれないが、その速度を計る事は出来るだろう。
もちろんしかるべき計測装置があればの話だが、ロケットの速度はマッハ31と計測されるはずである。
 
 しかしもし、立場が逆なら、宇宙飛行士のあなたには、地上から見送る友人が見える。
自分かロケットによって動いているのに対して彼は、動いてない。
もし友人の速度を計ったなら、その速度は0となるだろう。

 というような話は、明らかに地球の動きや、太陽系や、銀河系すら、広大な宇宙の中を常に動いているという事実を華麗に無視している。
太陽系「太陽と太陽系の惑星」特徴。現象。地球との関わり。生命体の可能性 しかしそれは、我らが存在する「時間と空間なんてもの」の本質を考える上ではどうでもいい。
その本質を考えるのに、必要なのは、あなたと友人の、異なる2つの速度だけだ。

 誰が何をしてようと、どう動いてようと、この空間と時間というのは不変なもの。
「あなたと友人とロケットの話」が示している時空間の本質とはそういう事である。

 そして相対性理論は、その認識が間違っているのだとする理論である。

不変な速度で観測されるモノ

 例えばもしも、人間という生物が、常に秒速1mの速度で観測されるような存在だとしたらどうか。
地上に立ってるだけのあなたが、マッハ33のロケットに乗った友人を観測した場合、その速度は秒速1m。
逆にロケットの友人が、地上のあなたを計った場合も、その速度は秒速1m。
 普通、そんな事はありえない。

 しかしそんな事がもしありえるなら、それは観測し合う二人の間で、体感的な空間の長さや、時間の流れる速度がズレているのだと考えるしかない。
今の人類の知見ではそう考えるしかない。

 だが古代ギリシャより続く2000年以上の科学の歴史の中で、そんなモノは発見されなかったから、そんなモノはないという考えはいつの間にか常識となっていた。

 そんなモノとは、つまり「どのような運動状態にある者が観測しようとも、不変な速度で観測される何か」である。

電磁波と光

 余計な事をしてくれたのはマックスウェル(1831~1879)とかいう物理学者だった。
彼は電気が磁気を、磁気が電気を生み出すという事実から、「電磁波」というものを予想した。
雷「電磁気学」最初の場の理論。電気と磁気の関係  電磁波とは、つまり電気と磁気が連続して形成された波であるが、マックスウェルは記号化した電気や磁気で作った数式をいじくる内に、この概念を発見した。
さらに彼は、数式をいじり、その速度まで導出してしまった。
そしてその速度の値が、実検により確認されていた光速度(秒速30万kmくらい)と同じだったから、彼は「電磁波とは、つまり光である」と結論した。

 後に電磁波の存在はしっかり確認され、光がその一形態だという事もわかったが、それは問題をはっきり浮き彫りにしてしまった。
電波「電波とは何か」電磁波との違い。なぜ波長が長く、周波数が低いか

常識を捨てる

 マックスウェルが立てた、電気と磁気の関係を示した数式は、観測者の時空間的な位置を限定していない。

 つまりその数式が示す電磁気のふるまいは、誰が観測しても、同じになる。

 家に引きこもってようと、新幹線に乗ってようと、「あなたの読む本の文字数」や「あなたが好きなゲームジャンル」が変わらないのと同じだ。
 電磁気のふるまいは変わらない。
その速度も。

 マックスウェルの式から導き出される光速度が、観測者の運動状態に左右される事はない。
彼の式の正しさを証明する事は、光速度が不変である事を認めることと同義なのである。

 マックスウェルは紛れもなく天才である。
 その間違いを見つける事は誰にも出来なかった。

 それでも常識を信奉していた世界中の偉大な頭脳達は、なんとか光速度の不変性を無効にする抜け穴を探しまくった。

 「常識を捨てる(Abandon common sense)」という単純な発想に至ったのは、大学での態度が悪かった為に、目指していた研究職につけなかった、若き日のアルベルト・アインシュタイン(1879~1955)だけだった。

特殊相対性理論

座標系と座標変換

 時空間の中のある位置を示す為に『座標系(Coordinate system)』という概念は存在する。
我々が生きているとされる3次元の世界では、ひとつのある座標系は4つの数値によって表現される。
横の座標x。
縦の座標y。
奥行きの座標z。
それに現在時刻の座標tである。
ある座標A(x=A、y=A、z=A、t=A)に存在する物が、別の座標B(x=B、y=B、z=B、t=B)まで移動する場合、それは座標AからBへの変換を意味する。
 
 相対性理論以前は、現実の世界における、座標AからBへの変換の際に、tはさほど問題にならなかった。
なぜならtは、位置座標x、y、zがどのように動こうと、常に決まった速度で動くから。

 例えば1秒の間に縦の(x軸)方向に5m、動いたモノを観測する場合を考える。
 まず動く前の座標系Aを、「x=0、y=0、z=0、t=0」だとする。
座標系Aからの観測では、モノの移動後の座標系Bは、「x=5m、y=0、z=0、t=1秒」となっている。
 もしモノが1秒に動いた距離がx軸方向に546m、y軸方向に21m、z軸方向に6532975mだったとしてもtだけは変わらない。
1秒後のモノの座標系は「x=546m、y=21m、z=6532975m、t=1秒」である。

 上記のような座標変換は、時空間がモノ(x、y、z)の動きに不変である場合に成り立つ。
しかしマックスウェルが意図せず証明してしまったように、時空間はどうやら不変ではないらしい。

 そこで、光速度が不変である事を前提とした座標変換である『ローレンツ変換(Lorentz transformation)』が考え出されたのである。

ローレンツ変換

 tの変化速度が不変でない場合を、想定するだけならば容易い。

 それは、例えば「x=0、y=0、z=0、t=0」の座標系から、1秒で、x軸方向に5m移動したモノを観測した場合に、その座標系が「x=5m、y=0、z=0、t=2秒」になっていたりする可能性を認めるという事である。
何かおかしい感じはするかもしれないが、そういうものだと納得するだけなら誰でも出来ると思う。

 ローレンツ変換は、変換時に、光速度が常に光速度になるように調整した座標変換である。
実際的に、それはtが不変でない座標変換であった。

 ローレンツ変換はローレンツという人が提唱したからローレンツ変換と呼ばれている。
だが惜しい事に、ローレンツはこの変換法を現実の世界には適用しなかった。

 適用した結果が、特殊相対性理論であった。

ミンコフスキー時空

 ローレンツ変換は光速度の不変性を示しているだけではない。
それによると、tの速度が、人間が認識できるレベルで変化するのは、光速度にかなり近い速度のモノを観測する場合に限られる。
 これは、たいていのものの速度が、光速度の1%にすら到達出来てない、我々の日常の領域では、従来の「tの速度を不変とした変換」が近似的に使えるという事を示している。

 そういうtが不変でない空間を『ミンコフスキー時空(Minkowski space)』と呼ぶ。
 ローレンツ変換とはつまり、「光速度が不変であるミンコフスキー時空における座標変換」。
 そして特殊相対性理論とは、「現に存在している時空間は、光速度が不変であるミンコフスキー時空である」という事を主張する理論なのである。
 

光時計の思考実検

 多細胞、脳、哺乳類、人間。
どの段階で手に入れたのかは知らないけど、我々の持つもっとも実用的な道具は、想像力に間違いない。
 光による時空間のズレを調べたいと思ってもそれは難しい。
そこでアインシュタインは、想像の世界で、それを調べる事にしたのである。

 アインシュタインは光速で動きながら、光を見たらどうなるか?
そういう実験を頭の中で繰り返した(『思考実験(thought experiment)』というやつだ)。

 彼の行った実験は、現在ではよりわかりやすく改良されている。
 例えば『光時計(Optical clock)』というのを想像しよう。

光時計のイラスト

 これは縦方向に30万kmの長さの時計である。
また、この時計の上下はレーザーの発射口になっている。
まず上から発射されたレーザーが、下に届くと1秒と時を刻み、次は下からレーザーを発射、上に届くとまた1秒という機構になっている。
光速度が秒速30万kmだという事を利用した時計という訳である。

 では光時計と共に、次は透明ガラスで作られた「スケルトン仕様ジェット」に乗り込もう。
そしてジェットを秒速11.16km(マッハ31)で横方向に加速させてみる。
あなたが光時計を見ると、もちろんその時計は30万kmレーザーの度に1秒と、実に正確に時を刻んでいる。

 ここで、ジェットの中のあなたと光時計を見ている友人の目を考える。
彼にはいったい何が見えるのか。
ジェットが横に動いている為に、光時計のレーザーの道筋が斜めになっているのが見えるはずである。
それは光時計の上下間の道筋が長くなっている事を意味している。
だが光速度が誰から見ても不変な為に、普通に考えるなら光時計は友人の目には狂って見える。

 だがこの世界が観測者によって時空間を変形させるとするならどうか?
仮に加速している光時計が、止まっている友人には縮んで見えるなら、その縮みが、移動によるレーザーの道筋の変化を打ち消すだろう。

 しかしだとすると時間はどうなるのか?
あなたは光時計と一緒に動いているのだ。
友人から見れば縮んでいる光時計と並んでいる。

 ここで、光時計は縮まないとして、時間がズレるとアインシュタインは結論した。
つまり友人の見る、動いている光時計の1秒は、光時計と共に移動しているあなたが見る1秒とは異なっている。
友人の時間の方が、あなたの時間より速く過ぎ去るのだと考えたのである。

時間のズレの求め方

 光時計を利用する事で、秒速(11.16だと半端で面倒だから)10kmで動くあなたと、動いていない友人との体感時間のズレも簡単に調べられる。

 とりあえずあなたの1秒が、友人にとってどのくらいの時間かを調べてみる。
 友人の見る「レーザーの道筋(30万キロ)」を斜辺、そして「縮んでいる(と想定できる時空間的な)光時計の縦の長さ」と「ジェットの移動距離(10)」を残りの2辺とした直角三角形を描いてみよう。
 直角三角形の斜辺cと残りの2辺a、bとの関係が、

ピタゴラスの定理の数式

だという「ピタゴラスの定理」に、判明している数値を代入すると、

光時計の数式の例1
光時計の数式の例2
光時計の数式の例3
光時計の数式の例4
ピタゴラス数「ピタゴラス数」求め方、見つけ方の公式。ピタゴラス方程式とは何か  「光時計の時空間的長さ」が約299999.9998333333km に縮んでいるという事がわかる。
光速度は不変の秒速30万kmなので、友人の1秒の間に体感するあなたの1秒は0.999999999444(299,999.9998333333÷300,000)
つまりあなた達の時間の1秒ごとのズレは0.000000000556(1÷0.999999999444=1.000000000556)秒くらいという事になる。

 仮に、あなたがそのままの速度で 3110400000000秒(10万年)旅した後、その間ずっと動かずにいた友人と再会したとしたらどうなるか。
友人の時計はあなたのより1729.3824秒も進んでいるのである。

 特殊相対性理論の時間の遅れの式は、記号を使い一般化すると、

特殊相対性理論の時間の遅れの数式

となる。
Tが「静止した観測者」。tが「加速してる物体」。vが「物体の速度」。cが光速度である。
タイムトラベル「タイムトラベルの物理学」理論的には可能か。哲学的未来と過去

宇宙の最高速度

 光時計の式などを使い、光速度以上の速度のモノを観測する場合を考えたらわかるが、答は明らかに無意味なものとなる。
つまり時空間の長さが虚数(2乗したら-記号がつく数)となってしまう
 これは光速度が、この世界の最高速度である事を示しているのだろうか?
示しているとされている。
そしてその証拠は他にもある。

 特殊相対性理論の数式から導かれる、重大な結論に、有名な

エネルギーと質量の変換式

 がある。
Eはエネルギー、mは質量、cは光速度である。

 勘違いされがちだが、実はこの式は、静止している状態の物体のエネルギーを表す式である。
 相対性理論の数式によると、ある速度vで動く物質のエネルギーは

特殊相対性理論のエネルギーの数式

となるのだ。
 そしてこの式において速度vを光速として考えた場合、やはり無意味な答が出てくる。
つまり0で割った数(そんな数は存在しないか、無限大)になる。
ゼロの空間的な何か「ゼロとは何か」位取りの記号、インド人の発見  つまり、マックスウェルの電磁気の式が、光速度が不変ある事を示しているように、特殊相対性理論の式は、光速度が宇宙の最高速度である事を示しているのである。

光を追い越した時

虚数と無限

 でも、ある数式からは虚数が、ある数式からは無限(?)が導かれるのは奇妙なんだろうか?
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この場合は、光速度が最高速度だとすれば、vにそれ以上の数値が入る事はないから

 同時にこれは、光速度より速い物が発見された時、この世界が我々の現在の知識では理解出来なくなってしまう事を示しているように思える。

 アインシュタインも常識に縛られてたんじゃないだろうか?

 マックスウェルが導いてしまった不変の光速度が常識外れだったように、我々は、無限や虚数のステータスなど存在する訳ないという常識に、まだ縛られてるんじゃないだろうか?
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プラスとマイナスの反転

 また、光速度まで加速出来ないのなら、なぜ光は光速度なんだと疑問に思ったかもしれない。

 ひとつの突破口は、光の質量を0だと考える事である。
いささか奇妙さは残るが、質量0なら、mの後の数が「現にありえる謎の数(Number of mysteries actually present)」だろうと無限だろうと、問題はなくなる。
0には何をかけても0だからである。

 そういう訳で、現在は、否定的な確認もされていないし、光は質量0だという考えが一般的である。

 また、これはある意味、さらに奇妙だが、光速度以上の速度のモノは、マイナスの質量を持つ事になる。

 では光速度に達していないモノを加速し、光速度を越えさしたなら、どうなるか?
数式上では、ただ質量がマイナスになるだけだ。
しかし現実の世界ではどうなるのだろうか?
コネクトーム「意識とは何か」科学と哲学、無意識と世界の狭間で

一般相対性理論

最も困難な選択

 実は特殊相対性理論は、最初から欠陥品であった。
この理論は、電磁気よりも古くから知られていた、あらゆる物に働く力を無視していたのだ。
その力とはつまり、あらゆる質量に働く力、『重力(gravity)』である。

 そこでアインシュタインの前には三つの選択肢があった。
まず、「とにもかくにも、重力を考慮しなければ上手くいくのだから、とりあえず無視していればいい」と開き直るという選択。
それに「という事はこの理論は間違いだったのだ。惜しいけど捨てよう」という諦める選択。
アインシュタインは、最後のひとつ、最も困難な道を選択する。
つまり彼は、特殊相対性理論が欠陥品にならないような、新しい重力理論を考え出す事にしたのである。

 そして結果的に、考え出された理論こそが、一般相対性理論であった。

高重力と急発進加速

 重要なのは、重力という力がどのような力なのかという事だとアインシュタインは考えた。

 『万有引力の定理(law of universal gravitation)』は、一般相対性理論以前に、主流であった重力理論だが、それを提唱したニュートンは、その力がどのように働くのか、どういう仕組みなのかを説明出来なかった。
リンゴの木「ニュートン」万有引力の発見。秘密主義の世紀の天才  答を得る為に、アインシュタインは再び想像世界での実験に励んだ。
彼はエレベーターを使ったが、我々ははやり、もっとハイテクなものを使うのが相応しいと思う。

 例えばあなたが、宇宙を漂う「箱形の家」で孤独に暮らすひとりぼっち君だとする。
ある時、未知の自然現象か、何かの陰謀か、突然、強力な重力惑星が近場に出現した。
箱家は重力に引っ張られ惑星へと近づく。
それまで、低重力の中をふわふわ漂っていたあなたは、突然重力を感じるようになり、壁に体をぶつけてしまう。

 しかし重力惑星はすぐに消え去り、箱形内は再び低重力となり、あなたの体はまた宙に浮いた。

 謎だらけの状況を打開する為、あなたは、遠く賢者の暮らすという星系に行くことにする。
あなたは箱形を、ジェットに変形させて、賢者の星系へと急発進した。

 ところであなたにはちょっと抜けてる所があった。
急な加速は低重力のふわふわをまたも打ち消し、あなたはまた壁に体ををぶつけてしまったのである。

等価原理

 惑星の高重力でも、加速でも、低重力場は打ち消され、あなたは壁に押し当てられた。
加速運動の力と、重力は明らかに類似する特徴を持っている。

 類似してるんじゃなく、そもそも同じなんだとアインシュタインは考えた。

 つまり重力とは加速する力なのだと、結論したのである。
ついでに重力と加速の影響が区別できない事実に『等価原理(Equivalence principle)』という名前までつけた。

 しかし重力と加速する力が同様のものだとして、それが何だっていうのか?
実は、それは大きなきっかけになりうる。

 なぜなら重力が加速なら、加速に関係する考え方を、重力の考察に応用できるという事なのだから。

質量が時空を曲げる

 アインシュタインは等価原理を信じ、加速のような力を質量に及ぼすような時空の仕組みを探した。

 『リーマン幾何学(Riemannian geometry)』はあまりに、おあつらえ向きであった。

 アインシュタインは運がよかったのか、彼の考えを数学的に矛盾なく扱う事が出来る方法がそれしかなかったのかは、わからない。

 リーマン幾何学は、平坦でない空間の、特に異なる点同士の距離について扱う幾何学である。

 平坦でない空間、例えば曲がりくねった空間に、アインシュタインはあらゆる物質を置いてみた。
平行線問題「第五公準、平行線問題とは何だったのか」なぜ証明出来なかったのか  特殊相対性理論では、加速により時空間が曲がった。
それと逆ではないのか?
ねじ曲がった空間では、それにより物質は加速する。

 ねじ曲がった空間。
それこそ答に思えた。
質量は、時空をねじ曲げるのであり、重力とはその影響による加速だったのである。

特異点について

ブラックホール

 曲がる時空をイメージするのは難しい。
しかし重力が引力でなく、時空の経路を曲げるものなら、それは質量がないらしい光すら捕らえられる事を意味している。

 一般相対性理論の数式の明確な解を最初に導いたとされるシュヴァルツシルトは、光すら逃れられない強すぎる重力場を予想した。

 光が本当に宇宙の最高速度ならば、それはただひたすら中心に無限収縮する点となるだろう。
そんな意味不明なもの、アインシュタインは信じたからなかったが、今ではそれらしき天体は本当に発見されている。

 そのような天体は『ブラックホール』、その無限収縮する中心点は『特異点(gravitational singularity)』と呼ばれている。
ブラックホール「ブラックホール」時間と空間の限界。最も観測不可能な天体の謎

ビッグバン

 あらゆる質量が時空を曲げ合う世界は、どうやら永久不変を許してくれないらしい事も明らかとなった。
 
 一般相対性理論の数式では、どのように考えようとも、この宇宙空間は、広がっているか、収縮しているかでなければならない。

 今では、銀河系の動きから、この宇宙は、拡大を続けているらしい事が明らかとなっている。

 時間を巻き戻していったら、宇宙は収縮し、最終的には、またしても特異点が現れるが、現在、多くの人が、その事実をそのまま受け止めている。
 つまりこの宇宙は特異点から始まる事で始まったのであると。
そうだとして宇宙の歴史を考えるのが、いわゆる『ビッグバン理論(Big bang theory)』である。
ビッグバン「ビッグバン宇宙論」根拠。問題点。宇宙の始まりの概要

再び虚数

 特異点を避ける方法として、スティーヴン・ホーキングは妙な宇宙モデルを提唱した。

 彼によると、この宇宙の始まりが「虚数の時間(Imaginary time)」の宇宙。
あるいは「虚数の方向に向いた次元(Dimension in the imaginary direction)」を含む宇宙だったなら、特異点は回避できるのだという。

 虚数の時間なんて存在しうるだろうか?
確かに物理学の式にはよく、虚数記号iが現れるが、あれは、たいてい、数式をわかりやすい形に変換する為の、数学的道具としてである。

 虚数に限らない。
無限も、マイナスの数字や、時にはたかが0ですら、物理学の式に現れた時、我々は、間違いを認めるか、常識を捨てざるをえない。

 存在するはずの数字は、「間違いへの警告」なのか?
それとも数学の限界をしめしているのか?

(エッセー)無限

 例えば『超ひも理論』のように、万物の最小の大きさを定めたなら、特異点は止まる。
11次元理論「超ひも理論。超弦理論」11次元を必要とする万物理論 少なくとも、偉大なユークリッド(幾何学研究で非常に有名な古代ギリシャの数学者)が定義したような点ではなくなる。
幾何学なぜ数学を学ぶのか?「エウクレイデスと原論の謎」  重力が跳ね返ったり、逆に作用する可能性があっても、特異点はだいぶ問題でなくなる。

 無限というのは、数学者には好かれるのだけど、物理学者には嫌われる。

 無限は他にもあると思う。
想像の中で、またロケットに乗ってほしい。
そしてロケットを加速させる。
無限にだ。
 相対性理論的には、ロケットの速度が光速度に到達する事はない。
しかしやがてロケットの速度は、光速度の99.999……%と、ひたすらに9の数を増やし続ける。
あなたの時間は、止まっている僕に対して、相対的に短くなり続ける。
 多分ブラックホールにあなただけ吸い込まれた場合にも同じ事が起こる。
 つまりあなたの時間は実質的に止まる(無限になる(?))

 その時、僕にあなたはどう見えるのだろうか?
僕の生涯の間、あなたは多分、止まってるのだろう。
僕がどれだけ長生きであってもだ。

 僕が不死身であった場合はどうだろうか?
やはりあなたは止まってるのだろうか?
ずっと?

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