指輪物語1「旅の仲間」感想と魅力紹介

旅の仲間

まさに剣と魔法の世界の王道

 『指輪物語(The Lord of the Rings)』と、その関連のシリーズの最大の魅力と言えば、著者トールキン(1892~1973)によって練るに練られた、世界観。
そしてその、架空の領域に住まう多種多様な種族であろう。

 指輪物語は、ホビット族の主人公、フロド・バギンズの冒険と戦いをメインとしている。
しかしもちろん全三巻の紙面を用いて、単なるひとりの冒険ばかりが描かれる訳ではない。
メインシナリオのサイドでは、それぞれの種族、キャラクターの戦いも描かれる。

また第二部と第三部の話に関してはコチラコチラ
二つの塔指輪物語2「二つの塔」キャラクターの思惑が交差する第二部 王の帰還指輪物語3「王の帰還」切なくも希望溢れる大円団

映画版と「ホビットの冒険」に関して

映画の方が面白いか?

 
 僕が初めてこの小説を読んだのは、小学生の頃だけど、実を言うとその時は、あまり面白いと思いませんでした。
どこかのガイギャックスと同じで、アクションが少なすぎるという印象だったので。
ぶっちゃけ、アクション満載になってた映画の方がかなり面白いと感じてました。

 まあでも、それは多分この話の方向性というか、テーマを勘違いしてたからだと、今は思う。
恥ずかしながら、大人になってこの話を読み返し、やっと気づいたのですけど、この指輪物語という小説の一番のテーマは多分「友情」なんです。
 まさしくそう、指輪物語がなんであんなに人気かって言うと、それは冒険やら戦いの描写が人気なんでなく、そういうのを通して描かれる友情ドラマが素晴らしいからなんだと思うのです。

 その事に気づいた時、僕は、映画版にがっかりさせられたという、原作ファンの気持ちがよくわかりました。
映画版は、むしろ戦いがメインになってしまってると言えるから。
 その方がいいって人が多いのかも知れないけど、戦いが面白いファンタジーなんていくらでもあるし。
映画版はエンターテイメントとして面白くさせようとするあまりに、指輪物語の一番の魅力を間違いなく削ってしまってたと思う。

映画版との決定的な違い

 アクション増強は述べたが、他にもいくつか変わっている要素はある。
個人的にはほとんど原作のままにして欲しかった。
 
 まず、4人のホビットの話。
フロドと共に旅立つ事になる三人は、特にピピンとメリーは映画じゃ最初成り行きみたいな感じだが、小説はまったく違う。
ここは絶対小説版がよかった。

 そもそも4人のホビットの活躍度合いがかなり減らされている。
ただその分、映画は他の種族の活躍度が上がっているから、ここだけは、個人的にも小説の方がよいか微妙。
 でも指輪物語はやっぱり「ホビット」が主役の話なのだし。

 映画じゃ恋愛描写がかなり追加されてた。
映画も恋愛描写が多い作品ではないので、映画しか見てないなら意外かもしれない。
ただ元が、そういう描写ほぼ皆無なので。

 スメアゴルの扱い。
通称ゴクリ(映画じゃなぜか、ゴラムとも)。
原作で、こいつが指輪を、500年も持てた理由を、魔法使いのガンダルフが語るのだが、映画しか見てないと、かなり印象変わると思う。

 サルマンの扱い。
裏切り者キャラ。
映画では、敵である冥王サウロンにびびってその配下となったが、原作じゃ、自ら指輪を手に入れようとする第三勢力。

 ギムリの扱い。
仲間キャラのひとり。
これは特に、第二部での事だけと、映画より原作の方がかなり強そうな印象受ける。

 他、1巻から登場するキャラでは、ビルボ、フロド、サウロン、ボロミア辺りは、わりと映画と原作で印象違う。

ホビットの冒険を先に読むべきか?

 指輪物語三部作は、一応『ホビットの冒険(The Hobbit)』の続編的作品である。
ホビットの冒険の主人公は、指輪物語の主人公フロドの義父にあたるビルボ・バギンズ。
他にも、両方の作品に登場するキャラはけっこういる。

 初読みの順番が、『旅の仲間(The Fellowship of the Ring)』→ホビットの冒険→『二つの塔(The Two Towers)』→『王の帰還(The Return of the King)』であった僕だが、別に問題はなかったと思う。

 確かに共通のキャラクターはいるけれど、先にホビットの冒険を読んだ方がいいかと言えば、別にどちらが先でも問題ない気はする。
 
 むしろ雰囲気違いすぎるので、どちらかが面白かったならこっちも、というような感じではない。
逆にどちらかがおもしろくなかったとしても、もう片棒は面白いかもしれない。
事実、指輪物語があまり面白くなった僕も、昔はホビットの冒険が好きだった。

「指輪物語」と「ホビットの冒険」のジャンル的な違い

 言ってしまえば指輪物語は大人向け。
ホビットの冒険は子供向け。

 ホビットの冒険は、単純にワクワクドキドキの冒険活劇というような話。

 一方、指輪物語は、わりとハードなシリアスで、ドラマ要素がかなり強い。 

ホビット族について

 指輪物語第1部の最初には、「この物語は主にホビットの物語」とあるように、確かにこれはホビットの物語。

 ホビットは、あまり表にでたがらない、平和と静けさと、肥えた大地を好む種族。
基本的には陽気な気質。
 通称、「小さい人」であり、大人でも人間の子供くらいの背丈しかない。
手先は器用だが、あまり複雑な機械は好まない。
耳も目もよく、太りやすい体質たが、動きはそれなりに機敏。
 ホビットから見ればたいていの種族がそうなってしまうが、基本的に自分達より大きな者が苦手。
そういう苦手な者達に見つからないように、こそこそ隠れるのが非常に上手く、他種族から見れば、もはや魔法の域。

 そして大事なことは、ホビットは恐ろしい悪の誘惑に立ち向かえる唯一の種族だという事、
ホビットは悪の作った魔法の指輪に対抗できるほどに大きな勇気を持っているのである。

 指輪物語は本当に計算されつくした見事なプロットで、その勇気が悪に討ち勝つ様を描いている。

第一部の見所

4人のホビット達の友情

 「僕たちは凄く怖い、でも僕たちはあなたと行くのです」

 物語の序盤、主人公のフロド・バギンズは、悪の冥王サウロンの、魔法の指輪を手に入れる事になる。
 
 冥王サウロンはかつて人間とエルフの連合軍に敗れたのだが、完全には滅びず、まさに復活の時を迎えていた。
 彼の魔法の指輪は、この世界の全てを滅ぼせるほどに強力であり、再びそれを手にいれようと、あらゆる刺客にそれを探させていた。

 そんな、恐ろしい指輪を葬りさる為の旅に出なくてはならないフロド。
その、彼を助けようとする3人の友人、サム(サムワイズ)、メリー(メリアドク)、ピピン(ペレグリン)の、密かな陰謀と、それを暴露するシーンは、本当に、絆というものを感じれます。

旅の仲間の絆

 「この旅に必要なのは戦いの強さじゃない」

 第一部の中盤、指輪を捨てる為に、サウロンの国モルドールへ(指輪を葬れる場所が、モルドールの「滅びの山」のみな為)向かうパーティが結成される。

 旅のメンバーはフロドと3人の友人のホビット。
偉大な王の血筋であるアラゴルンと、人間のボロミア。
魔法使いのガンダルフ。
それに、エルフのレゴラスと、ドワーフのギムリである。

 最初このパーティは一枚岩という感じではなかった。
 特にエルフ族とドワーフ族は、互いにあまり友好的ではなく、レゴラスとギムリはあまり馴れ合わなかった。
それがいつの間にかすっかり親友同士になってるのが、なんかよかった。

 そして、そうして結束を高めた矢先だったからこそ、第一部最後の、一行の離散が、よりドラマチックであるのだと思う。