「3Dプリンタの仕組み」材料。原理。積層造形とはいかなる技術なのか

地球生成

3Dプリンタの基本。積層造形。AM技術

 2Dプリンタが紙を出力するように、三次元物体を出力する機器が『3Dプリンタ』である。
3Dプリンタは、基本的には『積層造形(Additive Manufacturing。AM)』、あるいは『AM技術』という方法で、その仕事を実現している。

 積層造形とは、材料を下から層状に積み重ねてゆき、形を作っていく方式。

 古くからある、棒や板などで作った形状を、削り、形を作っていく加工法を『切削加工(cutting)』や『減算法』と言う。
 これに対し、積層造形方法は、材料を積み重ねていくやり方なので、『加算法』と言う。

利用される材料

 既にいろいろな材料を利用する3Dプリンタが開発、研究されている。
プラスチックや木材、コンクリートや金属、細胞まで様々である。

プラスチック。木材。金属

 プラスチックは主に、加熱すると、変形、流動しやすい『熱可塑性樹脂(Thermoplastic resin)』。
加熱すると分子間の結合が形成されて、固くなる『熱硬化性樹脂(Thermosetting resin)』に分類される。
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 一般に広まった小型の3Dプリンタは、プラスチックを加熱し、溶解しながらノズルより出力し、積層していく、『熱溶解積層法』という方式が主流。
これに、使われるのは、普通、熱可塑性樹脂の方である。
 実際に使われる材料としてのプラスチックは、たいてい線状の、『フィラメント』と呼ばれる状態で使われる。

 木材は、そのまま使うのではなく、砕いた木に樹脂を混合し、プラスチック的にして使う。
 プラスチックで作るよりも、完成品に木材の質感や香りを授与でき、わりと環境にも優しいとされる。
 また、プラスチックのフィラメントゆりも、比較的低温で積層が可能とも言われる。

 金属はより利用が難しいが、レーザーなどを使う『レーザー焼結法(Selective laser sintering。SLS)』などと呼ばれる技術により、金属粉末の積層造形を実現したりしている。

コンクリート。セラミックス

 コンクリートは普通、液体状のものを、型に流し込み、固化させるという使い方をする。
3Dプリンタにコンクリートを実用的に出力させるなら、ノズルはそれなりに大きなものが必要とも言われる。

 セラミックスは、狭義には、特に陶磁器(土などを焼き固めた物)。
広義には、とにかく無機物を加熱処理し焼き固めたものを指す。
電子技術に使われるような半導体や、耐熱材など様々な用途がある。
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 3Dプリンタでは、流動性のある原料をノズルから出力して積層する方法がある。
ただ後加工が必要な場合も多いと考えられる。

食品。細胞

 食品を出力する3Dプリンタは、『フードプリンタ』と呼ばれる。
炭水化物、タンパク質、脂質、水分、ビタミン、ミネラルなどを適切に混ぜ、食品を出力する。
フードプリンタは、宇宙開発時代の未来に、食料供給手段として重要になるかもしれないと言われる。

 また、細胞を生きたまま3D出力する『バイオプリンティング』という技術を、さらに進め、血管や臓器の出力も実用化研究が進められている。
 いつか脳(意識)が3Dプリンタから生まれる日が来るかもしれない。
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積層造形の原理

 積層造形技術の原理は、熱を利用したもの、光を利用したものなど様々である。

光造形法

 1980年くらいに生まれた、初期の3Dプリンタは、『ラピッド・プロトタイピング』と呼ばれていたという。
これは当初はまさしく、名前通り、素早い(ラピッド)試作品制作(プロトタイピング)を実現する為のものだった。
 当時主流だった原理は、紫外線などの光により硬化させた樹脂を使う積層造形であり、これは『光造形法(Stereo lithography。SL法)』と言われる。
現在では改良も進み、出力出来るのは試作品に限らなくなっている。

 光造形法は、容器などに入った液体状態の光硬化性樹脂に、レーザーを当てて、1層ごとに樹脂を硬化させていくの繰り返す。

 1980年4月。
光造形法の最初の特許出願した人は、当時、名古屋市工業研究所に勤めていた小玉秀男だったという。
しかし特許を取得するための審査請求が行われなかったので、チャック・ハルも同様の特許を取得する事となった。
 チャック・ハルは、1986年に3Dシステムズ社を設立し、1987年には、光造形装置を製品化している。

粉末積層法

 粉末状の材料を敷き詰めて、積層していく方法を『粉末積層法(powder lamination method)』と言う。
これは、さらに細かく、『粉末固着法(powder fixing method)』や『粉末焼結法(powder sintering method)』に分けられる。

 粉末固着法は、粉末材料(主に石膏)を敷いてから、『バインダ』と呼ばれる接着剤を吹き付けて固める。
さらにローラーなどを使って、それを平らにしたり圧縮したりして、積層造形を実現する方法。

 粉末焼結法は、粉末材料(主に金属やセラミックス)を敷いてから、レーザーなどで、焼き固める。
そして、やはりローラーをつかって平らにしたりして、積層造形を行う方法。
 これは『SLS(selective laser sintering)方式』とも呼ばれる。
粉末固着法よりも速度などの面では劣るとされるが、強度の高い素材などを利用出来るのが利点。

インクジェット法

 液体状の光硬化性樹脂などを噴射する積層造形法である、『インクジェット法』は、2Dプリンタの紙印刷のやり方に近い。
 噴射された樹脂などを、紫外線などで硬化して、積層造形する。

 特に微細で薄い積層がやりやすく、表面を滑らかに仕上げやすい。
食品を生成するフードプリンタや、生命器官を生成するバイオプリンタへの応用が、熱心に研究されているという。

熱溶解積層法

 熱可塑性樹脂のフィラメントを溶かし、『エクストルーダ』と呼ばれる圧力機を使い、ノズルから出して積層造形していく方法が『熱溶解積層法』。
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 低価格の3Dプリンタや、個人製作の3Dプリンタは、たいていこの方法を採用したものだという。

未来の3Dプリンタ

 SFのガジェットとしては、古くから、分子を好きに組み合わせ、出力する、ハイテク3Dプリンタがある。
 現実でも3Dプリンタで、家を作ったとか、武器を作ったとかいう話がある。
しかしそれはまだ、ニュースなどで取り上げられたりするほど、一部での事だ。

 用意されたプログラム通りに、機械が物を作るという技術は、誰でも手軽に何でも作れる可能性に繋がる。
様々なプログラムデータをSNSなどでやりとりし、例えば好きに玩具や家を作れる時代も来るかもしれない。
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