「数列の基礎」和の公式。極限と無限。単純な増加、減少

無限に続いていく数列の事

増加数列。減少数列。単調数列

　実数rがn個の場合の積を求める。

$r^{\mathrm{n}}=r\times r\times r\times \mathrm{\dots \dots }\mathrm{ （1）}$

「数字と数式の種類」数学の基礎の基礎。

　nという数を一般項として、指数nの数列を定義する。

$r^1,r^2,r^3\mathrm{\dots \dots },r^{\mathrm{n}}\mathrm{ （2）}$

　（2）のrが1より大きい数なら、数列が進むごとに数が大きくなっていく『増加数列（increasing sequence）』。
rが1より小さく、0よりは大きな数なら、数列が進むごとに数が小さくなっていく『減少数列（decreasing sequence）』。
またいずれの場合でも、数が単純に増加するか、減少してるので、それらは『単調数列（monotonic sequence）』と呼ばれるものである。

　マイナスの数の場合、rが-1より小さな数なら、nが偶数か奇数かによって正負の符号は変わるが、数だけに注目したら、ひたすら大きくなっていく。
一方で、rが-1よりは大きいが0よりは小さな数なら、正負の符号を切り替えながら、数自体は小さくなっていく。

極限値に収束する場合。無限大に発散する場合

　何らかの数列を無限に続かせてみる。

$r\times r\times r\times \mathrm{\dots \dots }=\underset{n\to <!--RIGHTWARDS\; ARROW-->\infty }{\lim }{r}^{\mathrm{n}}\mathrm{ （3）}$

　0＜r＜1の場合、あるいは0＞r＞-1の場合、（3）は数列進むと、その数字を減少させるが、0より小さく、あるいは大きくはならない。
つまり、その数列は、0に限りなく近づいていく。
そのように、無限数列上にて、特定の数Aに近づいていく事を、「極限値（limitvalue）Aに収束（convergence）する」という。

　また、r＞1の場合、あるいはr＜-1のような場合、（3）は、無限に数字を大きくしていく。
そのように、無限数列上で、数値を永久に大きくし続けていく事を、「無限大に発散（divergence）する」という。

上界。下界。有界

　何らかの形で、収束するふたつの数列があるとする。

$\underset{n\to <!--RIGHTWARDS\; ARROW-->\infty }{\lim }{a}_n=A$
$\underset{n\to <!--RIGHTWARDS\; ARROW-->\infty }{\lim }{b}_n=B\mathrm{ （4）}$

　（4）のようなふたつの数列の四則演算に関して

$\underset{n\to <!--RIGHTWARDS\; ARROW-->\infty }{\lim }(a_n\pm b_n)=A\pm B$
$\underset{n\to <!--RIGHTWARDS\; ARROW-->\infty }{\lim }{a}_n<!--INVISIBLE\; TIMES-->b_n=A<!--INVISIBLE\; TIMES-->B$
$\underset{n\to <!--RIGHTWARDS\; ARROW-->\infty }{\lim } \frac{a_n}{b_n}=\frac{A}{B}\mathrm{ （5）}$

　また、何らかの数列において、その数列における最も大きな数以上の数字領域を、『上界（upper bound）』。
数列における最も小さな数以下の数字領域を『下界（lower bound）』
上界、下界を合わせて、『有界（bounded）』と言う。
　有界という概念は、数列の収束性を調べるのに便利なものである。

数列の判定。収束性を見極める

　ある数列の収束性を調べる。

$S_n={(1+\frac{1}{n})}^n\mathrm{ （6）}$

　（6）で与えられる数列について、まずは数列のn番目の次の数を用意する。

$S_{n+1}={(1+\frac{1}{n+1})}^{n+1}\mathrm{ （7）}$

　それからn番目とn+1番目の両式を、二項定理を用いて展開してみる。

$S_n=1+n<!--INVISIBLE\; TIMES-->\frac{1}{n}+\frac{1}{2!}<!--INVISIBLE\; TIMES-->n<!--INVISIBLE\; TIMES-->(n–1)<!--INVISIBLE\; TIMES-->\frac{1}{n_2}+\frac{1}{3!}<!--INVISIBLE\; TIMES-->n<!--INVISIBLE\; TIMES-->(n–1)<!--INVISIBLE\; TIMES-->(n–2)<!--INVISIBLE\; TIMES-->\frac{1}{n_3}\mathrm{\dots \dots }$

$S_n=1+1+\frac{1}{2!}<!--INVISIBLE\; TIMES-->(1–\frac{1}{n})+\frac{1}{3!}<!--INVISIBLE\; TIMES-->(1–\frac{1}{n})<!--INVISIBLE\; TIMES-->(1–\frac{2}{n})+\mathrm{\dots \dots }$

$S_{n+1}=1+1+\frac{1}{2!}<!--INVISIBLE\; TIMES-->(1–\frac{1}{n+1})+\frac{1}{3!}<!--INVISIBLE\; TIMES-->(1–\frac{1}{n+1})<!--INVISIBLE\; TIMES-->(1–\frac{2}{n+1})+\mathrm{\dots \dots }\mathrm{ （8）}$

　展開されたnの場合とn+1の場合の両式を比較してみると、対応している（）内の数の全てが、n+1番目の式の方が大きくなる。
だから、（6）の数列のn+1番目の数はn番目よりも大きいという事がわかる。

　また、（6）の数列は、明らかに3が上界の範囲にある。

$S_n\mathrm{ < }1+1+\frac{1}{2!}+\frac{1}{3!}+\mathrm{\dots \dots }+\frac{1}{\mathrm{n}!}\mathrm{ （9）}$

（9）であるからだ。
よって、（6）の数列は、単調増加であり、かつ3以上が有界だと判定出来る。

数列に関する基礎の計算

ある数列のn番目までの和

　1,2,3,4,5……のような数列の場合、ある数の時点での、それまでの数の和を以下のように考えられる。

$1+2+3+4+5+6=S$
$6+5+4+3+2+1=S$
$2<!--INVISIBLE\; TIMES-->S=7+7+7+7+7+7=6\times 7$
$S=\frac{6\times 7}{2}\mathrm{ （10）}$

　（10）から明らかなように、1ずつ増加していく数列において、数列を構成している数の和は、その全てを足すなどという無茶をしなくても、簡単に算出出来る訳である。
数列がn番目まであると仮定すると、一般式も導けよう。

$1+2+3+\mathrm{\dots \dots }n=\frac{n<!--INVISIBLE\; TIMES-->(n+1)}{2}\mathrm{ （11）}$

　初項（しょこう）（First term）、つまり数列の最初の数がaであり、列が進むごとに、一定の数bがプラスされていく場合も、（10）と同じように考える事で導ける。
とりあえずn番目の数をcとする。

$a+(a+b)+(a+2<!--INVISIBLE\; TIMES-->b)\mathrm{\dots \dots }=\frac{\mathrm{n}<!--INVISIBLE\; TIMES-->(a+c)}{2}\mathrm{ （12）}$

等差数列。等比数列

　初項に、一定の数がプラスされてく数列を、『等差数列（Arithmetic progression）』と言い、等差数列においてプラスされてく一定の数を『公差（こうさ）（tolerance）』と言う。

　また、ある数aに、一定の数bをかけ算していく数列を、『等比数列（Geometric progression）』と言い、かけられてく一定の数を『公比（こうひ）（geometric ratio）』と言う。

等比数列のn番目までの和

　ある数mが自然数である場合。
$\frac{x^m–1}{x–1} =x^{m－1}+x^{m–2}+\mathrm{\dots \dots }+x^2+x+1\mathrm{ （13）}$

　（13）がなぜそうなのかを確かめる。

$(x–1)<!--INVISIBLE\; TIMES-->(x^{m–1}+x^{m–2}+\mathrm{\dots \dots }+x^2+x+1)$
$x<!--INVISIBLE\; TIMES-->(x^{m–1}+\mathrm{\dots \dots }+x^2+x+1)–(x^{m–1}+\mathrm{\dots \dots }+x^2+x+1)=x^m̠-1\mathrm{ （14）}$

　（14）でxが1と違うなら（13）はなりたつ事は、かけ算は、逆にわり算出来るという事実を知っている人なら、必ず理解出来るはずである。

（13）の右辺は、1から始めた、公比xの等比数列である。
13の左辺は、そのまま、等比数列のn番目までの和の計算式となる。

等差数列の和の和。平方数の数列。立法数の数列

　等差数列が進むたびに、その時点での全ての数の和を記録する。
数列n番目の時の、記録された全ての和の和を算出する式もある。

$\frac{1\times 2}{2}+\frac{2\times 3}{2}+\mathrm{\dots \dots }+\frac{n<!--INVISIBLE\; TIMES-->(n+1)}{2}=\frac{n<!--INVISIBLE\; TIMES-->(n+1)<!--INVISIBLE\; TIMES-->(n+2)}{6}\mathrm{ （16）}$

　他に、数列に関する基本的な公式として、以下のようなものがある。

$1^2+2^2+\mathrm{\dots \dots }+n^2=\frac{n<!--INVISIBLE\; TIMES-->(n+1)<!--INVISIBLE\; TIMES-->(2<!--INVISIBLE\; TIMES-->n+1)}{6}\mathrm{ （17）}$

$1^3+2^3+\mathrm{\dots \dots }+n^3={(\frac{n<!--INVISIBLE\; TIMES-->(n+1)}{2})}^2\mathrm{ （18）}$

（17）は平方数の数列の和の計算式。
（18）は立法数の数列の和の計算式である。