「取り尽くし法」台形、三角形、円を、積分と極限で求める術

ユークリッド平面上のさまざまな形

 ユークリッド的な「平面(Plane)」における「四角形(quadrangle)」の中でも、もっとも基本的な形とされる「長方形(rectangle)」の「面積(area)」は「縦×横(Length x width)」と定義されている。
平行線問題 「第五公準、平行線問題とは何だったのか」なぜ証明出来なかったのか
 長方形は、ある意味平面におけるもっとも簡単な形と言ってもいい。
しかし、平面(二次元)における三角や円はどのように面積を知るか。

 もちろん公式を知っていればそれで終わりとも言えるが、それらの公式がなぜ上手くいくのかを説明できなければ、理解していないのと変わらない。

 また、定義的には向かい合う辺(底辺)の長さが等しい四角形を「平行四辺形(parallelogram)」とし、さらに4つの角もすべて等しい特殊な平行四辺形を長方形としている。
いわゆるトランプのダイヤマーク形である「ひし形(rhombus)」も平行四辺形の一種である。
立方体の一面である「正方形(square)」は、すべての辺と角が等しい平行四辺形である。
平行四辺形も、基本的に「縦×横」で面積を求められる。

 その平行四辺形は、一組の対辺が互いに平行な「台形(trapezoid)」の一種だが、平行四辺形でない台形は、「縦×横」では求められない。

台形、三角形、円の面積の公式

 それぞれ以下の通り。
S = (X+Y)×Z2
「平行な対辺の一辺を下になるように置いたとして、平行な一辺がX、もう一辺がY、高さがZの台形の面積Sの公式」

S = X×Y2
「底辺(Bottom)」がX、高さがYの三角形の面積Sの公式」

S = R2 × π
「半径(radius)」がRの円の面積Sの公式(πは「円周率(pi)」と呼ばれる3.14……と無限に続いてく数)」

三角形、四角形の面積

すべての長方形は、直角三角形ふたつ

 長方形は4つの点を直線で繋げた形である。
その長方形のある点から、向かい合う点まで直線をひくと、底辺と高さが長方形の一辺ずつの直角三角形が二つできる。

 ようするにあらゆる長方形は、二つの直角三角形が合わさったものなのである。
長方形の面積は「縦(高さ)×横(底辺)」であり、どのような直角三角形もその半分(1/2)である。
だから底辺X、高さYの直角三角形の面積Sは、
S = X×Y2
になるわけである。
これはそのまま三角形の公式であるが、それは次の説明の通り。

そもそも四角形は三角形ふたつ

 向かい合う点を直線で繋げば二つの三角形になるのは、平行四辺形もそうである。
つまりあらゆる平行四辺形は三角形「底辺×高さ×1/2」の倍だから、その面積をだすのに長方形と同じ方法が使える。

 では台形はどうか。
台形も二つの三角形に分けるのは簡単だが、分けられた三角形二つの大きさが片方は上辺を底辺、片方は下辺を底辺としている。
つまり上辺がX、下辺がY、高さ(横辺)がZの台形の面積Sの面積は以下のように求めれる。
S = (X×Z2) + (Y×Z2)

S = (X+Y)×Z2
そういうわけでこういう公式になるのである。

 そもそも四角形は基本的に、二つの三角形を合わせたものであるから、面積を求めるには二つの三角形に区切って、それぞれの三角形を足し合わせればいいだけだ。
また、あらゆる三角形は、なんらかの平行四辺形の半分でもあるから、直角三角形と同じ式で、あらゆる三角形の面積は算出可能。

積分の発想。円周率と円の面積

円の定義

 平面における円とは、そもそも中心点を囲っている閉じた線(「閉曲線(Closed curve)」)がある場合の、その閉曲線(「周長(perimeter)」)上のどの点からでも中心点との距離が一定であるような図形である。

 円は正方形で囲む事ができる。
π(円周率)というのは、その円を囲める最小の正方形の直径と、「円周(Circumference)」との比率である。
これは円の大きさに関わりない定数(3.14……)であることが知られている。

円周率とは何か

 円周率とは、ようするに直径を円周の長さにするのに、掛ければいい数である。
直径が5の円なら、その円周の長さは、5×πで15.7079……くらいになるわけだ。
また、円の半径(直径の半分)×半径×πでは、その面積を求められることもわかっている。
ようするにそれは円の面積の公式だ。

 しかし、その円周率や円の面積は、どのように求められたのか。
それらの式に必要な直径や半径は、簡単に計れる。
問題は円周率だ。
仮に我々が円周率を知らないとする。
ある数式において「未知数(unknown number)」を知るのに一番有効な方法は、数式の中の未知数をひとつのみにすること。
つまり鍵は円の円周や面積である。
円周率なしに円の円周や面積を求めることはできるだろうか。

積分の方法

 「微積分(Calculus)」においては、「積分(Integral)」の方が「微分(differential)」より先に考え出されたが、それは積分が、面積という古くからの問題と密接に関わってきたからとされている。
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 積分は、普通に計算しにくい面積などを求めるために、細かく分割し、分割したすべてを足し合わせるという方法である。
例えば円は、大量の四角形に分割できる。
四角形で分割したら、ギザギザの円になるが、文字通りに「極限(Limit)」までの細かい四角形の集まりであるならどうか。
それはもう円と実質的に同じであろう。

 そもそも映像や画像は、実は細かい四角形の集まり。
もしかしたら、我々の世界そのものが、直線的な形の集まりである可能性も十分にあるくらいだ。
また、だいたいがわかればいい。
円周率なんて、無限に数字が続く数なのに、我々は適当に区切って使ってて、実用上はたいていあまり問題がない。
そこで細かい方眼紙に円を描き、円内部の方眼(四角)の数を数えれば、方眼ひとつの面積をその数に掛けて、だいたいの円の面積がだせる。

 あとはその面積を、円の面積の式「半径×半径×円周率=面積」に代入してやれば、円周率を導ける。
このような方法で、円周率がだいたい3くらいであることくらいには、たいていの場合、たどり着ける。
どこまで正確な値を出せるかは、器用さと気合いの問題にすぎない。

 円周も、円が細かい直線の集まりと見なせば、あとは直線の物差しを細かく使って、だいたいの円周を計れる。
それを円周の式に代入すればいいだけだ。

極限をすべて足し合わせる

 円の面積をだすのに、正方形で区切る必要もない。
包丁で千切りするように、円を垂直に切りまくれば、円は大量の長方形となる。
合計する長方形のひとつひとつの幅Δxが、細ければ細いほど、その合計たる円の面積は正しいものに近づいていく。
円の直径の端の点をa、もう片方の点をb、それにある領域での長方形の高さをhとして、円の面積は以下のような、∫(積分記号)とf(関数表現)を使った数式で表現できる。
ab f⁡h dx
この数式は、「aからbまでのすべての、(その時点での)hと(「d~」と書かれる)極限まで細めたΔxで出した面積を、足し合わせる」ということを意味している。

楕円の面積

 楕円(ellipse)は、円を横に伸ばした形である。

 縦の半径がU、横の半径がRの楕円があるとする。
それは半径Uの円を横にRまで伸ばしたもの、つまり横の半径をR/U倍したものと考えられる。

 半径Uの円は、大量の長方形を合わせたものだから、上記の楕円の面積は、長方形ひとつひとつの幅をR/U倍したら出せることになる。

ab f⁡h RU dx

 ようするに、「半径Uの面積(πUU)×R/U」と同じである。
πRU
楕円の面積はこの式で出せるわけである。

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