なぜ日本のメジャー音楽は恋愛の歌、ラブソングばかりか
別に日本に限った話でないけど、なぜポピュラー音楽、ロック、ポップスと呼ばれる類の音楽は、恋愛をテーマとした歌詞だらけなのか。
まあだいたい二つの理由が考えられるだろう。
1、恋愛の歌詞が好きな人が多いから。
全体的にそういう人が多いなら、当然、作る側となる人にも、そういうの好きな人が多くなる道理である。
2、恋愛の歌詞がウケるから。
インディーズの頃や、売れてない頃はそうでもなかったが、メジャーになると恋愛の歌をよく作るようになったアーティストとかの多さが、全てを物語っているであろう。
それが売れるから、ラブソングばかり作る訳である。
しかし世界の好みがどうであろうと、ラブソングがあまり好きでない人はいるだろう。
どちらかというと、ラブソングが嫌いな訳ではないが、あまりにもそればかりなので、さすがにウザい、他にないのか?
なんて思ってる人が多いかもしれない。
そういう人達向けの(恋愛の歌詞をあまり書かないか、全く書かない)アーティスト、バンドで、かつ歌詞がいいと個人的に思う人達を16組、選んでみました。
ASIAN KUNG-FU GENERATION
力強いギターサウンドに、エモーショナルなメロディのバンド。
初期の頃は、中二な少年的歌詞だったけど、だんだんと社会を皮肉ったような微妙にお堅い歌詞に変化してった。
ただし、アルバム「Landmark」以降は、少年的な感じも少し戻ったと思う。
都会でひとりぼっちだった初めの時を歌うような「ひかり」。
麻痺した現実で、空想がいきすぎたような「ワールドアパート」。
命のきらめきと、弱く強い絆、刹那の時を歌う「サイレン」
その瞬間に現代的で、日本的なロックというイメージが強い。
100s
ポップ色強く、地声がすでに、なんか機械がかってるようなボーカルが印象的。
ただちょっと何言ってるか聞き取りづらいかもしれない。
歌詞は、人間哲学な感じが強い。
ボーカルは、このバンドやる前から、ソロで活動してた人だけど、 曲も歌詞もその頃とそんなに変わらないから、 こちらが気に入ったなら、ソロの方も聞いてみたらいいと思う。
ほんとに、歌詞の方向性はずっと一貫してる感じ。
前向きではあるので、落ち込んでる人にいいかも。
andymori
アコースティックな響きが心地よいバンドサウンド。
というか、影響受けてるかは知らないけど、曲も歌詞もかなりスピッツに似てると思う。
単純に似てるというよりも、センスが近いというような感じ。
ただあちらに比べると、ラブソングの比率がかなり少ない。
昔の筆者がまさにそうだったんだけど、スピッツが好きで、ラブソング以外の曲もいいと思うけど、比率的にはラブソングばかりなのがちょっと微妙、みたいな人にはかなりオススメ。
嘘つきは死なない、悲しみは消えない「surise and sunset」。
今日も明日になるから、夢見るだけ「ネバーランド」
ずっとそばにいるって言ったあいつもいなくなった「スパイラル」
しっとりしてる曲が多いけど、暗い印象はあまりないです。
そうして、嫌な現実を、明るく歌いあげるのが素敵と思う。
ACIDMAN
宇宙や惑星、生命体、人間の好奇心などをテーマとしてるみたいな歌詞。
サウンドは温厚な感じで、ボーカルがなんとなく泥くさい感じ。
音楽的なジャンルはオルタナティブロックとかグランジになると思う。
直接的に「宇宙ってなんて広大で謎なのか」と歌うのでなく、本当は何も知られていない世界の上の出来事について、というような印象を受ける。
例えば「銀河の街」という曲は、あまりに長い時間の中で、全てはループし続ける、前にも、今ある出会いはあっただろうというような事。
「波、白く」という曲は、感覚という確かで不確かなものが作り上げた世界より、さらに深く、何もかも同じ原理で成り立つのだろう真の世界を漂う、真の意識の流れ。
「揺れる球体」なんて、ほんとに、ただ認識できる、生命という、ただ一瞬の永遠を描いているようにも思える。
化学変化による生命発生にも、その崩壊にも解釈出来る。
個人的に最も好きなのは「ワンダーランド」。
なんかこの曲の詞は、殻に閉じ籠って、妄想に浸ってる友人を励ますような感じに思える。
ストレイテナー
エモーショナルな感じのロックサウンド。
初めて聞いた時、ASIAN KUNG-FU GENERATIONぼいなと思ったの覚えてる。
歌詞は、かなりファンタジー、時々SFみたいな感じ。
世界観が温厚なふうというか、描写が丁寧と思う。
「僕」とか「君」とかの語を、そんなに使わない方かと思う。
「Amazing stories」は、曲と歌詞が実に絶妙だと思う。
本当に、アメージングな出来事を、夢に見ただけなのに、夢に見るだけだって、とても楽しいと、強がって笑ってるみたいな感じに思える。
他には、「toneless twilight」、「You and I」、「unicorn」なんかは名曲と思う。
Dragon Ash
ミクスチャーという言葉を世に広めたバンド。
曲作ってるボーカルが、クリスチャンなためか、曲も歌詞も、時々クリスチャンロックっぽい。
友情や家族をテーマにしてることが多いとよく言われてるけど、そこもまたクリスチャンゆえと言えるかもしれない。
ただ全体的には、とにかく色々な音楽をやってる印象。
一時はラテンに走ってたけど、その頃の曲は、まさにラテンミクスチャーな感じだった。
クリスチャン色は初期はかなり濃い。
「Siva」、「Future」、「Invitation」とか。
個人的にはラテン色強い頃の「few lights till night」とか「Beautiful」とか、歌詞もラテンらしく前向きな感じで好き。
KOKIA
ちょっとヨーロッパトラッド風なサウンド。
ボーカルは、しっとりした感じだけど、 力強くもある。
歌詞もわりと壮大だったり、ファンタジックな内容のものが結構ある。
シンプルなピアノの音色にマッチした、ストレートな歌詞の「私は歌う小鳥です」。
曲も歌詞も童謡的な「I catch a cold」。
クールな雰囲気に少し物悲しい感じな歌詞の「天使」などが、おすすめ。
鬼束ちひろ
ダークな雰囲気な曲調に、わりと解釈が困難とも、ストーリー性が強いとも言われる歌詞が特徴的。
生きる事の辛さ、存在するという悲劇を、神様のせいにして、それでもどうしようもない運命を泣き笑うような「月光」
心の迷い。想像よりも想像みたいな、現実みたいな現実という感じの「ultimate fiction」
もうすっかり暗い中で、闇に向かって進むしかなくなってしまった人の嘆きのような「帰り路をなくして」なんかが、いいと思う。
fhana
ポップなサウンドに、オタク臭い歌詞の、かなり典型的なアニソンバンド。
アニソンって、主にポップ系、クール系、シンフォニック系があると思うけど、これはクール系の類だと思う。
そういうの好きな人におすすめ。
ラブソングと思われる曲も、表現のためか、わりといろいろな解釈が出来ると思う。
「star chart」とかそんな感じ。
この曲と「コメットルシファー」なんかは、凄くいい曲に歌詞。
C-999
どこか、和の感じも思わせる曲調に、少し暗めの歌詞。
ラブソングというか、人と人の繋がりをテーマとしてるような曲も結構ある。
それ以上に、出られない深い闇の中で、何とか必死に叫んでるような、そんなふうな歌詞も多い。
「もしも車に乗れたら」や、「朝日と昇る頃」なんかは、まさにそんな感じ。
とりあえず「四次元方程式」はほんとにら素晴らしい名曲。
歌詞がほんとに素晴らしい出来と思う。
心を宇宙船に例えた、憧れと絆と不思議な旅の歌。
LUNKHEAD
このロックバンドもまた、曲調に和の要素を感じさせる。
特にバラード曲は、幻想的な雰囲気するある。
現実でも、そうでなくても、それがどんな生き方にせよ、どんな人の命にせよ、とにかく生きるという事をテーマとした歌詞ばかり。
「僕たちには時間がない」とか、「未来を願ってしまった」とかはどストレート。
曲的にも、それにマッチした歌詞的にも、「光の街」は、別格な超名曲と思う。
空を包み込む光に、なぜかボロボロ泣いた、そういう歌。
シュノーケル
妄想ロックとか言われてるけど、別にそんな感じでもない。
わりとメロディに力入れたストレートな曲に、ストレートに、生き方とか、ふとした感情を歌ったような歌詞が多いと思う。
ただ「100000hp」とかは、確かに普通に生きる人の、ちょっとした妄想劇みたいな感じ。
この曲は、凄くおすすめでもある。
ロードオブメジャー
何気にメロディを上手く奏でる、よくあるようなJロック。
友情や夢をテーマにした曲が多い。
「大切なもの」や「僕らだけの歌」を初め、卒業式ソングと呼ばれるようなのが多い印象。
「偶然という名の必然」は、ちょっと異色な感じで、運命や哲学をテーマにしてるみたいだけど、かっこよくていいと思う。
超飛行少年
サウンドはシンプル、ボーカルは力強い。
そして歌詞は明るく、友情や人生哲学を歌ったようなのが多い。
上手くいかない毎日で、なんとなくな日々で、時々 戦争とかそういう 重要な問題について考えたりみたいな。
そんな普通の人が、普通に共感できるような歌詞が多いと思う。
インターネットをテーマにしてるみたいな「二次元パラドックス」や、なんか世界平和を歌ってる「金木犀」とか、時々変化球ある感じ。
とりあえず、10年たって笑えたらいいと歌う「陽の光」は名曲。
落ち込む友達を励ますような歌に思う。
ソウル・フラワー・ユニオン
泥臭い感じの、古きよきという感じのロックをベースに、 世界中のいろいろな民族音楽を取り込んだ、そういうごちゃまぜバンド。
社会情勢、反戦、宗教、命、それに人生など、幅広いテーマの歌詞が魅力。
災害に負けない、人の強さを歌う「満月の夕」や「キセキの渚」。
戦争を徹底的に憎み、反対する「極東戦線異状なし」、「戦火の彼方」。
とにかく、小難しいような事は一切なく、シンプルに、世界の有様を歌う。
明るいラテンメロディにのせて、死亡率100%と悲しくも楽しげに歌う「死ぬまで生きろ」がかなり好き。
私だけの絶景にあの人の笑顔、なんてとても素敵と思う。
People in the box
落ち着いた雰囲気の、メロディが綺麗な印象の曲が多い。
個人的には、歌詞が一番好きなバンド。
主に哲学、科学、人の存在がテーマという感じ。
悲しみに向かう友人に、どうにもしてあげられないと悟っていて、そんなの冗談みたいにしか思えないと歌う「八月」。
社会から離れてしまったような心を、楽しんでるような、ふっきれたような、そんな印象の「沈黙」などはとてもおすすめ。
とにかくもうラブソングも、夢も友情も家族愛も飽きた、というような人は、とりあえずこのバンドを聞いてほしい。