「ゴキブリ」人類の敵。台所の黒い絶望の正体

台所

昆虫界の長老

現生昆虫の中では、最古参の種と考えられる、ゴキブリ種は、少なくとも3万年くらい前には普通に存在していたようである。
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 この昆虫の長老様は、現生種だけで、世界中に3500~4000種ほども知られており、実は台所の嫌われものなのは、極一部の種である。

 ゴキブリ種の多くは野外性で、ペットとして飼われるような種もある。
そういうゴキブリは、カブトムシ的な感覚で、飼われているらしい。
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典型的な種

 日本には60種ほどのゴキブリが生息しているが、屋内に入り込んでくるような種は、クロゴキブリ(全体にツヤがある、黒い種。雌雄の差はあまりない)。
 チャバネゴキブリ(名前通り茶色ぽいクロよりは小型種。人工的な環境に最も依存しきっている種とされる。野外種のモリチャバネゴキブリと混同されやすいらしい)。
 ヤマトゴキブリ(雄はクロと似ているが、あまりツヤがない。雌は翅が短め)。
 ワモンゴキブリ(クロやヤマトよりやや大型で、成長しきってない個体はクロぽい事がある)。
 コワモンゴキブリ(ワモンに似ているが、やや小型の種)。
 トビイロゴキブリ(成虫はワモンに似る)。
 キョウトゴキブリ(ヤマトゴキブリを小型にしたみたいな種で、チャバネよりは大きい。京都の固有種ではなく、本州中部や九州北部などに分布)。
 オガサワラゴキブリ(足が短く、翅が黄褐色で、ツヤがある)。
 イエゴキブリ(屋内性としては珍しく、翅のない種)。
 ハイイロゴキブリ(足が短く、全体的に黄褐色)。
 チュウトウゴキブリ(雌雄の形態差がかなり大きい種)。
の11種ほど。
 つまりこいつらが、我々が悪魔と呼び、恐れる連中である。

 本州のゴキブリの典型と言えば、クロとヤマトで、沖縄より南は、ワモンやコワモンが幅を利かせる。
クロとヤマトは黒く、ワモンとコワモンは赤褐色気味だという。
 全国的に広く分布しているのは、クロとチャバネである。

寒さに強いクロ、ヤマト

 まあ、ヤマトやクロはある程度寒さに強い。
チャバネは寒さに弱いが、ワモンよりはマシである。
 また、チャバネは完全に人工環境に生きる種なので、寒い地域でも、人工的に暖かい施設内に普通に生息してたりする。
ヤマトもクロも、冷蔵庫に閉じ込められても、わりと生きていけるが、ヤマトの卵は、冷蔵庫の温度(5℃)では孵らない可能性か高いという。
 
 クロやヤマトが寒さ、というより冬に強いのは、活動のサイクルの調整も関係しているとされる。
 温帯性のワモンなどは、年がら年中、活発に活動していて、常夏の地域では、活動サイクルが明確なクロやヤマトは、生存競争は不利であろう。
なので、冬の寒い本州ではクロとヤマトが、夏でも暖かい沖縄ではワモンが多いというのは、実に自然と言える。

北海道にゴキブリはいるか

 本州の人々に、さながら都市伝説のように囁かれている噂。
「北海道にはゴキブリがいないらしい」
これは、少なくとも現状真実ではない。
 確かに全体数は少ないようだが、第二次世界対戦以降くらいから、チャバネ、クロ、ヤマトに関しては、被害報告がまあまああるという。
 北海道といっても、はやり広く、南の方が、ゴキブリはまだ生きれてるようである。

野外からくる種。屋内のみの種

 クロゴキブリ、ヤマトゴキブリは寒い時期にはあまり見ない。
正確にはこれらの種は、野外にも普通に適応していて、あまり活動しない冬は、野外で暮らすのである。

 チャバネは、年中、人工施設内にいるが、寒さに弱いので、冬は、稼働する機械の近くなどに潜んでいる可能性がある。

 一方でクロやヤマトは、普通、屋内にずっと潜んでる事はないだろうので、駆除を考える場合、その侵入経路などに注目し、それらしき所に罠を置いたりするのがよいと考えられる。

脱皮。成長

 昆虫が普通そうであるように、ゴキブリも脱皮を繰り返して、大きくなっていく。
ゴキブリは幼虫から成虫までの過程で、あまり姿を変えないが、種によっては、幼虫の時には翅がないのもいる。
また、どういう訳だか、クロなどは、幼虫の方が寒さにもより強いという。

 クロの成長途中の個体は、茶色ぽいので、チャバネと間違われる事も多いという。
チャバネは、飲食店やデパートなどに多いらしく、一般家庭ではあまり見ないとされてるが、そういう飲食店やデパートの近所ならば、話は違ってくる場合もあるという。

恐ろしすぎるチャバネの繁殖力

 チャバネはアフリカ原産とされているが、人間が作り出した快適な空間を好む。
世界中の都市の発展と共に、世界中で数を増し続けているという、ほとんど寄生生物。

 チャバネは世代交代が速く、快適な空間と、餌があれば、ひたすらに増える。
しかし、その依存性は非常に高く、屋内の餌の量と、個体数が完全に比例するという。
 一般家庭にはあまりいないのに、飲食店には大量にいるのはそういう性質の為である。

 恐ろしいのが、毎週3gの餌を落としてしまうだけで1000以上のチャバネが住み着く事もあるという事。
飲食店など、何万匹は普通にいるものと考えてよいかもしれない。
この恐怖の数値は、高い繁殖能力にも起因している。
チャバネの雌1匹から、だいたい1年で発生する子孫の数は、なんと20000以上。
驚くべきは400000以上という研究報告すらあるのである(しかしこちらはやや古く、さすがに怪しい)。
 もちろん、努力次第で、飲食店といえど、餌を皆無に近く出来るだろうので、一概には言えない。

 チャバネには寒さだけでなく、水不足にも弱いという、弱点もある。
つまりこの種は、ゴキブリとしては脆いのである。

隙間を好む

 ゴキブリは隙間に潜り込み、隠れるとされる。
むしろ、隙間を好むらしい。

 チャバネは、0.5cmくらい、最低でも1cm以下の隙間でないと落ち着かないようで、また、集団でいる事を好むという。
このような、集まりは巣と表現される事もある。

 どうも、そういう隙間には定員があり、雌は優先して潜伏出来るらしいという事が、実験により示されている。

 クロは、野外でも隙間を好み、木の隙間などによく潜むという。
また、夏場などに、樹液などに集まるカブトムシやクワガタという光景は、わりと一般的なイメージだが、実は集まりの中にクロゴキブリが入ってる事もあるという。

感覚。能力

 様々な実験により、ゴキブリという生物は、餌を求めるのに、視覚より嗅覚を頼りにしているらしい事がわかっている。

 ゴキブリには味覚もあるようで、ジャガイモやバナナやタマネギを好むというのは有名。
このような好みは、確かにあるようだが、それは種により異なるという。
 また、味に飽きるという事もあるらしい。
ゴキブリに好みの餌を何日か連続で与え続けた後に、その好物の餌と、別の餌を並べると、別の餌の方に行ったりするのだという。
 おそらくこのような好みは、美味しさを求めてというより、栄養バランスを考えた選択なのだと考えられている。

 ゴキブリには鼓膜はないが、感覚毛という毛で、振動を感知する事は出来るとされる。
たいてい、人間などが現れた時に、感知しているのは音であるらしい。
人間らしき音を感知すると、ゴキブリは反射的にとにかくその場を離れようと、必死で体を動かす。
反射的なので、充分な調整も出来ない為に、人間側に向かってくるような場合もある訳である。

 ゴキブリの飛翔能力はそれほど高くないとされ、基本的には、高めの位置から、滑空気味に飛ぶらしい。
 しかし真夏の、温暖な時期などには、数十秒に渡って飛行し続ける場合も確認されている。