「植物細胞」構造の特徴。葉緑体、細胞壁、大きな液胞、

たなびく植物

植物細胞の起源

シアノバクテリアとの共生。葉緑体

 30億年くらい前まで、地球の大気中に酸素はほとんどなかったと考えられている。
しかしある時に、シアノバクテリアが、浅い海で、『光合成(photosynthesis)』により酸素を生成し始めた。
光合成「光合成の仕組み」生態系を支える驚異の化学反応  大気中の酸素濃度が高まるにつれて、地球環境の変化とともに、酸素が苦手な、『嫌気性生物(Anaerobic organism)』が大量に死滅したと考えられている。
 一方で、現在の真核生物の祖先となる、核を持った初期の『真核細胞(Eukaryotic cells)』は、『好気性(Aerobic)』の細菌を取り込み、細胞内に共生する事で、酸素から効率的にエネルギーを生成出来るようになった。

 その後に、植物の祖先はシアノバクテリアをも取り込んだと考えられている。
その共生したシアノバクテリアが、光合成を行う細胞小器官である『葉緑体(Chloroplast)』になった訳である。

緑藻、コケ、シダ、裸子植物、被子植物

 光合成を行う『緑藻りょくそう類(Green algae)』が海で誕生した後に、淡水である川や湖にも現れる。
 さらに、大気にさらに溢れていく酸素が、有害な紫外線を防ぐオゾン層を形成した事で、植物は陸上にも進出。

 最初の陸上植物はコケ植物だったろうと考えられている。
そしてそれが、シダ植物、裸子植物、被子植物へと進化していった。

 タンパク質の働き方などから、初期の陸上植物の進化は、淡水中で起こったものとされる。
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原色素体、有色体

 葉緑体というのは、実は『色素体(plastid)』の一形態と考えられている。
色素体は、基本的に独自のDNAを持っていて、 二重の膜に包まれた細胞小器官である。

 分裂から間もない、若い細胞の色素体は、膜構造があまり見られず、光合成をしない。
その状態での色素体を『原色素体(Chromophore)』と言う。

 原色素体は、光により刺激されると、膜が発達し、光を吸収する化学物質である、クロロフィルが形成されて、葉緑体となる。

 葉緑体以外にも原色素体は、与えられた刺激などの違いにより、様々に変わる。

 光に晒されず暗闇で育った植物の原色素体は、『エチオブラスト』というのになる。
しかしこのエチオブラストも、やはり光刺激を受けると、結局は葉緑体となる。

 ジャガイモの色素体などは、糖を吸収し、デンプンを形成し、その粒を蓄えた『アミロブラスト』になったりもする。

 花や果実の色も、特定の化合物を取り込んだ色素体であり、それらは『有色体(Chromoplast)』 と呼ばれ、様々な色を発生させる。

細胞壁の役割

 植物細胞は『細胞壁(Cell wall)』に囲まれている。
 若い細胞の細胞壁は『一次細胞壁』と呼ばる。
細胞成長にともない、一次細胞壁の内側に、『二次細胞壁』が形成される場合がある。

 植物体の中の様々な場所に、厚い細胞壁を持ち、細長い、『繊維細胞』があり、この繊維細胞においては、細胞全体にニ次細胞壁による肥厚ひこうが見られる。
 繊維細胞は、成熟すると細胞質を失い植物の形態を維持するための機械的な組織となる。

 細胞壁は、植物の体を強固にしたり、スペースを確保して、糖やアミノ酸などを郵送しやすくしたりする。

セルロース微繊維

 細胞壁の骨格は主に、セルロースという炭水化物が水素結合によって結びつき、複数束になった『セルロース微繊維』により形成される。
化学反応「化学反応の基礎」原子とは何か、分子量は何の量か 基本的に、一次細胞壁は、セルロース微繊維を骨格として、ヘミセルロースや、ペクチンのような高分子の多糖で作られる。
 細胞壁と、隣接する別の細胞壁との境界である、『中葉ちゅうよう』という層には、ペクチンが多くあるという。

 ペクチンはマイナス電荷を有するカルボキシル基を持ち、陽イオンをよく吸着する。
それでカルシウムもよく、くっついてくるので、 細胞壁はカルシウムの貯蔵場所としても機能するとされる。

高分子の結合による強化

 成長の止まった細胞において、細胞壁は『エクステンシン』などのタンパク質やフェノール性化合物による架橋かきょう(化学分野において、分子の結合などによる性質の変化)に加え、高分子のリグニンもくっつき、細胞壁は、植物体を支えるのに十分なほど、強固になる。

 リグニンは、フェニルプロパノイドが、ラジカル重合で結合される事で形成される生体高分子で、典型的な木材の30%近くを占めるとされている。
 ラジカル重合は、殻軌道上で対を成してない不対電子をもつ分子かイオンであるラジカルを、反応の中心とした分子結合。

ワックス、クチン、クチクラ層

 茎や葉の表皮細胞の細胞壁は、特に肥厚していて、一番外側から、ワックスが多い『ワックス層』、クチンが多い『クチン層』、セルロース微繊維が多い層という構造を成していている。

 疎水性が高いワックスの層は、 水の蒸発を防ぐ。
またクチンは脂肪酸が重合したものであり、ワックスとクチンを両方含む層は、『クチクラ』と呼ばれる。

小液胞の融合

 水、イオン、有機酸、アミノ酸、タンパク質、ニ次代謝産物などを貯蔵している液膜に包まれた、『液胞えきほう(vacuole)』という細胞小器官がある。

 表皮細胞の液胞には、『フラボノイド化合物(Flavonoid compounds)』というのが溶けていて、それが紫外線を吸収するフィルターの役割を果たしているという。

 植物細胞の特徴のひとつが、大きな液胞とされている。
分裂から間もない植物細胞の中には、多数の小さな液胞があり、細胞の拡大にともなって、それらは融合し、大きな液胞となる。
細胞拡大にともない、大きな液胞が吸水する事で、細胞体積は大きくなりやすい。
 葉を大きくして、なるべく光合成のための光を集めたい植物にとっては、液胞の大きさは、かなり便利に機能する。