デンデンムシ?マイマイ?
軟体動物門(Mollusca)、腹足綱(Gastropoda)に属する、いわゆる巻き貝と言われる生物の内、陸上生活に対応した種を『陸貝』と呼ぶ。
そのままである。
その陸貝の内、殻が退化した者をナメクジ。
そして殻がまだしっかり残ってる者を、人はカタツムリ、あるいはデンデンムシやマイマイと名付けているのである。
デンデンムシは、「出ん出ん虫」(「出ん」は「出ろ」の古い言い方だという説あり)。
マイマイは、「舞い舞い」(「舞え舞え」が訛ったとされている)。
だとか、そうでないとか。
形態。殻の渦巻きの向き
殻は単なる鎧的なものでなく、体と完全に一体化しており、内蔵なども基本、殻内にある。
つまり殻を取る行為は、カタツムリを殺す行為も同じで、決してナメクジにはならない。
殻から出てる『軟体部』の最前には、頭がある。
その頭の上側にはでかい『大触覚』が、下側には小さな『小触覚』があり、大触覚の先端に目がある。
殻の渦巻き模様は、右巻きの場合と、左巻きの場合があるが、これはたいてい種ごとに統一的。
日本のカタツムリはほぼ右巻きらしい。
右利き、左利きのヘビ説
カタツムリの殻の右巻き、左巻きに関しては、天敵であるヘビとのイタチごっこの末の分岐進化だというユニークな説ももある。
つまりヘビは、右巻きか左巻き、いずれかのカタツムリを狩るのに特化していて、カタツムリは、ヘビの苦手な方に、巻き方向を変えては、ヘビもそれに対応するというのを繰り返しているというのである。
鈍さゆえに育まれた多様性
カタツムリは、同種内での変異が激しい生物としてもよく知られている。
理由は明らかに、その移動速度の鈍さにある。
あまり移動しないから、その場所事に、体をしっかり対応させている訳である。
また同じ理由で、そもそも地域事に、非常に分化している。
ナメクジよりも明らかに種類が多そうなのは注目すべき所かもしれない。
その他の生態
子は梅雨の季節に生まれるとされている。
卵から孵化して間もないカタツムリの子の巻き貝は、生まれた時には巻き数がやや少ない。
そして成長に合わせて殻は伸び、最終的にはだいたい5巻きになっていて、殻口は反り返る。
なので、カタツムリの成長具合は、殻を見れば判断出来るという。
地上性が大半だが、樹上性の者もいる。
ただし通常、休息時には地上に降りて、殻にこもるとされる。
また、ニッポンマイマイなどは草むらを好み、キセルガイは朽ち木を好むようで、それらの場所で発見しやすい。
そして、公園などの開けた場所で見られるカタツムリは、だいたい外来種だそうである。
1年、あるいは3~4年くらいで死ぬ者もいるが、キセルガイは比較的長く生きるという。
なんと飼育下で15年生きたナミコギセルという種がいるらしい。
フタを持つカタツムリ
ヤマキサゴ、ヤマタニシ、ヤマクルマガイ、アズキガイ、ゴマガイなど、殻口にフタを備えるカタツムリもいる。
ヤマキサゴ科のフタは石灰質だが、他はわりと革質。
フタありカタツムリは小触覚を持たないのも基本的な特徴。
また、アズキガイ、ゴマガイは、それぞれ色や形がアズキみたい、ゴマみたいだから、そんな和名がつけられている。
フタなしだが、珍しく小触覚を持たないオオミミガイ科のケシガイは、半透明な殻を持つ。
細長いせいでナメクジ扱いされる事もあるキセルガイ
カタツムリの中では最高に長生きなのはやはりキセルガイらしい。
キセルガイに似てるが、キセルガイではないのでキセルガイモドキと呼ばれる。カタツムリもいる。
いずれも名前通りキセルに似た細長い殻を持っている。
そしてこれまた名前通り、アフリカ原産のアフリカマイマイは、世界最大レベルの巨大カタツムリとされている。
最も大きい種は20cmを越えるのだという。