「チェスのルールと基本」コマの動き、ポーンの価値、チェックと引き分け

チェス

ルール以前の基礎知識

チェスのコマの種類

 チェスというゲームに必要なのは、8×8、すなわち64マスの盤と、色分けされた、対戦する二人それぞれのコマである。

チェス盤

 ちなみに、将棋といろいろと似ているが、起源は同じとされている。
チェス「チェスの歴史」将棋の起源、ルールの変化、戦争ゲームの研究物語 将棋の盤面「将棋の歴史」複雑化する戦い。極限の面白さへの渇望  コマはたいていが白黒で色分けされていて、それぞれ16個ずつ。
コマの種類は、キング、クイーン、ビショップ、ナイト、ルーク、ポーンの6種。

チェスのコマ

内約としては、キングとクイーンが色ごとに1つずつ、 ビショップ、ナイト、ルークが色ごとに2つずつ、残りがポーンとなる。

 キングとクイーンの形は、初心者には紛らわしいと言われる。
たいていは、頭に十字架がついている方がキングと覚えとけばいいと思う。

 ポーン以外のコマは『ピース』とも呼ばれる。
特にナイトとビショップは『マイナーピース』と呼ばれ、ルーク、クイーンは『メジャーピース』と呼ばれる。

チェス盤とコマの初期配置

 マスもたいてい白黒で色分けされていて、隣接するマスは必ず色違いとなっている。

 初期配置に関して、コマを並べるエリアは、盤の右下が白マスの方となる。
コマの並びは以下の通り。

初期配置

白から見て、キングは右側、クイーンは左側に置くのだが、そこで、盤の右半分を「キングサイド」、左側を「クイーンサイド」と呼ぶ。
黒側は、自分(黒側)から見て、キングが左となるのには注意。

チェスのルール。チェックメイトを狙いあう

キングを最終目標として、コマを取り合うゲーム

 チェスは毎ターンに一回、互いのコマを動かすゲームである。
コマは種類ごとに決まった動きしかできないし、 自分の別のコマが置かれているマスに移動はできない。
また、特殊な動きのナイトを除き、コマを飛び越えて動かすこともできないから、実質的に初手に動かせるコマはポーンとナイトのみ。
相手のコマの置かれてるマスには移動できるが、その際、もともと置かれていたコマは盤から取り除かれる。

 キングが取られたら負けでなく、どのコマをどう動かしても次でキングが取られる状態になると負けである。
仮にキングが取られるマスに自分から動かしてしまったら、やり直しとなる。

 何らかの手を打たないとキングが取られてしまうような状況を『チェック』、チェックされていて、かつどうしようとキングが次で取られてしまう状況は『チェックメイト』と言う。
相手のキングに対してチェックメイトをかければ、勝利となる。

 降参は認められている。
ある程度以上慣れた者同士のゲームでは、チェックメイトにたどり着く前に、負けを確信した方がさっさと降参する方が多い。

 個々のコマの動きは以下の通り。

ポーンの動き
ナイトの動き
ビショップの動き
ルークの動き
クイーンの動き
キングの動き

アンパッサン。ポーンの特殊移動

 ポーンだけは状況に応じていくらか特殊な動きができる。

 まず初期位置から動く場合のみ、つまりゲームが始まってからまだ一度も動かしていないポーンは、2マス進める。

 ポーンの動きからすると、正面にいる相手コマを取れそうだが、それはできない。
代わりにポーンは、斜め正面の相手コマを取れる。
 ポーンの斜めに相手コマがなく、正面に相手コマがあるという状況を『ブロック(妨害)』と言う。

 相手ポーンが2マス進んだ時、 進んだ先の隣接するマスに自分のポーンがあったなら、次の自ターンに限り、その2マス進んだポーンが、あたかも1マスしか進んでいなかったかのように想定して取ることができる。
これを『アンパッサン(通過したにも関わらず)』と言う。

ポーンの特殊な動き

プロモート。ポーンの昇格

 ポーンが、下から8段目のマス、 つまり自分から見て一番の相手側(奥の)マスに到達したら、そのポーンをキング以外の好きなコマに変えることができる。
これを『昇格』、あるいは『プロモート(成る)』と言う。

 普通はクイーンと変えるが、ナイトにする場合もわりとある。
ルークやビショップになる場合はかなり稀。

 盤から排除されたコマからしかプロモートできないというローカルルールもあるが、採用しない場合はコマが足りなくなってしまう可能性がある(プロモート自体、頻繁に起こるものでないから、問題にされることはあまりない)

キャスリング

 ゲーム開始時点で、一度も動かしていない自分のキングとルークの間にコマがなく、チェックされていない場合に限り、その動かしていないキングとルーク1つを使い、『キャスリング(入城)』という特殊移動を行うことができる。

 キャスリングでは、キングをルーク側に2マス動かし、ルークを移動後のキングを飛び越えさせた側の隣接マスに移動させる。
もちろんキングが移動した先に、相手のコマが効いているなら(キングがそこにいくと取られてしまうなら)キャスリングは行えない。

キャスリング前
キャスリング後

ステイルメイト、レペティション。引き分けのパターン

 チェスは将棋と違い、コマの再利用が許されていないため、引き分けになることがよくある。

 まず単純に、 どちらかがわざと負けようとでもしない限り、チェックメイトするために必要な駒がなくなってしまった場合、引き分けである。

 盤面に同じ局面が3回発生した場合でも引き分けとなる。
連続でなくともよいが、たいていチェックが連続で繰り返された時に発生する。
この引き分けパターンは『レペティション(繰り返し)』とか、『パーペチュアル・チェック(永久チェック)』とか呼ばれる。

 チェックはされていないが、キングしか残っておらず、さらにどこに動かそうとも取られてしまう、という状況になっても引き分け。
これは『ステイルメイト』と呼ばれる。
 

ステイルメイト

 追い詰められた場合、引き分けを狙うのは基本。
特にステイルメイトは、こちらがキング一つだけと絶対に勝てないような状況であっても、なんとか引き分けに持ち込むことができる必殺技である。
 逆に、勝利がほとんど確定となった場合でも、引き分けにされないように気をつけよう。

 またプレイヤーが互いに同意しているなら、片方が引き分けを提案し、もう片方がその提案を受け入れることによって、『ドロー(引き分け)』となる

公式戦について

 大会などでは、50ターンの間、ポーンが動かされず、コマも取られなかったら、 いずれかのプレイヤーが「勝負する気なし」と申し立てることによって 、引き分けとなることが多い。
これは『50手ルール』と呼ばれる。

 持ち時間は、一定ターン数の度に加算される場合が多い。

 あらかじめ相手に了承を得ていない場合に、動かせるコマに触ったら、そのコマを必ず動かさなければならない。
これは『タッチアンドムーブ』などと呼ばれる。

棋譜の記録方法。上達のためのメモ

 チェスプレイヤーはよく、試合経過をメモなどに記録する。
それは50手ルールや、レペティションなどの証拠にもなる。

 記録はアルファベットと数字を使い行う。
盤の『ファイル(縦の筋)』にはアルファベット、横の段には数字が設定されていて、ファイルのアルファベットと組み合わせてマスを表す。

チェス盤

 例えば初手でポーンをd2(のマス)のポーンをd4に動かした場合、「d4」と記載される。

 ポーン以外のコマは、特定のアルファベットなどを使い表現する。
例えばd1からクイーンをe2に動かした場合は『Qe2』となる。

 同じ種類のコマが同じマスに行ける場合は、位置を示す数字やアルファベットを付け足す。
例えばe5にもルークがある時に、e3のルークをe4に移動したなら、「R3e4」などと書く。
とにかくわかるように必要な情報を書く。

 コマを表すアルファベットは、キング=K
クイーン=Q。
ルーク=R。
ビショップ=B。
ナイト=N(KnightなのにKじゃないのはキングと被るから)。
ポーンは省略する。

 コマを取る場合は、xを使う。
例えばゲーム中盤でg4のポーンでf5のコマを取ったなら「gxf5」。
ルークがe6のコマを取ったなら「Rxe6」。

 チェックは+をつけ、チェックメイトは#をつける。
例えばナイトがf4にいってチェックなら「Nf4+」、チェックメイトなら「Nf4#」。
同じように、アンパッサンの場合は、e.p.をつける。
例えばc7→c5とついてきたポーンを、d5からアンパッサンする場合、「dxc6 e.p.」。

 キングサイドのキャスリングは「0-0」、クイーンサイドのキャスリングは「0-0-0」

コマの価値はどれくらいか

 コマをタダで取られてしまうのはもちろん最悪。
取られたが、こっちも取るという交換の場合は、コマの価値により損得が決まる。

 一般的にコマの価値は、ポーン=1。
ナイト=3。
ビショップ=3。
ルーク=5。
クイーン=9。
キング=∞。
というような感じとされている。

 つまり、クイーンを取られたとしても、代わりにルークを二つ取れれば、やや有利な展開ということ。
また、取れば勝ちであるキングの価値は、無限大である。

 しかし、コマの価値はあくまで目安で、盤面の状況によって刻一刻と変わることは注意。

基本的なテクニック

フォーク、串刺し、ピン

 通常、コマを交換なしに取るためには、特定のテクニックを使う。

 例えばビショップの斜め前のマスの、左右どちらにもルークがあり、かつ他のコマが防衛していないなら、ビショップをどうにかしないと、ルークのどちらかは取られてしまう。
 このような二つのコマを同時に狙い、片方を取るテクニックを『フォーク』と言う。

 フォークと似たようなテクニックに、コマを逃がしたら別のコマが取られてしまうような状況の『串刺し』がある。
 そして、串刺しと似てるが、どちらかというと牽制的な意味合いが強い『ピン』というのもある。

三つのテクニック

ディスカバードアタック

 テンポよく攻めるのが大切である。
例えコマの数は互角であっても、素早く攻めることでゲームをコントロールできる。

 『ディスカバードアタック』は、コマを動かすことで、そのコマにルートを塞がれていた別のコマをも働かせる動きのこと。

 例えば敵のルーク、こちらのビショップ、ルークが順に並んでいるとする。
ここでビショップをどければ、ルーク同士の取り合いになりそうだが、ビショップでチェックなどすることで、話は変わってくるはず。
 相手はビショップを優先して、まず何とかせねばならない。
そして仮にビショップを倒せたとしても、こちらは次にルークでルークをタダ取りして、コマの強さ的にはこちらが有利になる

ディスカバード前
ディスカバード後

ポーンを制する者がゲームに勝利する

 ポーンは最も最弱の駒であることは間違いない。
しかし、チェスにおいて最も重要な駒と言われることもある。
数が多いし、場合によっては昇格できる。
ポーンを使いこなす者がゲームに勝つ。

 ポーンが斜めに配置しあっている形は『ポーン・チェーン』と呼ばれ、互いのポーンが、互いを守りあうよい形とされる。

 またポーンが隣同士に二つ並んだ形もいいとされる。
これは、二つのポーンが互いのブロックの隙を補いあう形となる。

 ポーンが縦に二つ並んだ『ダブル・ポーン』や、隣のファイルにポーンのない、『孤立ポーン』は、基本的には悪い形とされるが、状況によっては、いい働きをすることもある。

オープニング戦術の考え方

 『オープニング(ゲーム序盤)』において、重要とされているのは、コマを盤の『センター(中央)』にいち早く送り出すこと。
普通は、押してる方のコマ群が、相手のコマを追い詰めやすいし、劣勢になっても逃げやすいとされる。
 特にポーン、ビショップ、ルークに関しては、 動かし方によって展開速度が大きく変わってくるので注意する。
 また、この考え方から、初手は「e4」か「d4」が非常に多い。

 それと、キングとルークの間をさっさと空けて、キャスリングをすませることも重要である。
大切なのは、キャスリングという行為そのものでなく、キングを、前をポーンなどが守っている安全な地帯に動かし、ルークを、自分の陣地から出しやすくするという目的。

チェスというゲーム

 チェスは、将棋よりはおそらく簡単なゲームである。
ターン数も、そんなに多くなることはないから、テンポもよい。
趣味で楽しむ分には将棋よりもオススメかもしれない。

 今は無料アプリとかで、たとえ一緒に遊べる友人がいないとしても、CPUやどこかの知らない誰かとも楽しめるから、いい時代になったものである。
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