将棋はチェスより難しいか
将棋は似たようなゲームであるチェスより難しいゲームとされているが、それは駒を再利用できるというルールがあるからなのは間違いない。
マス目とコマの数もチェスより多い。
ただし、チェスに比べると、コマの特殊な動きなどはなく、そういう意味では、こちらの方が覚えやすいかもしれない。
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歴史的に見れば、チェスのクイーンの登場と、将棋に再利用ルールが追加されたのは近しい時期であり、なかなか興味深い。
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将棋の盤と駒の種類と初期配置
将棋盤のマス目は基本的に9×9(81)となっている。
盤の縦の並びを「列」、横の並びを「段」と言う。
「駒(コマ)」は、『王(王将)』、『金(金将)』、『銀(銀将)』、『桂馬』、『香車』、『歩(歩兵)』、『飛車』、『角(角行)』。
基本的に将棋で対戦する二人のうち、片方のプレイヤーのコマの王将は、『玉将』となるが、名前以外に違いはない。
将棋の初期配置の並びは、二人のプレイヤーごとに対照的でありチェスよりもわかりやすい。
角と飛車
初期配置は以下の通りで、当然のことながら、同じ種類の駒がどちらのプレイヤーのコマなのかは、その向きで表す。
将棋のルール
指す、打つ、成る
将棋は互いのプレイヤーが、毎ターンにひとつの駒を動かすか、持ち駒を盤上の空いているマスに置ける。
盤上の駒を動かすことを「指す」。
持ち駒を置くことを「打つ」と言う。
相手の駒のあるマスにいく場合、そのマスに置かれていた相手の駒を、自分の持ち駒として取ることができる。
駒には、それぞれに決まった動きがあるが、自分の駒があるところには行けず、桂馬を除けば、駒を飛び越えて移動することもできない。
初期配置の自分の駒が並ぶ、自分から見た3段分のエリアを「陣地」と言う。
相手の陣地に指された駒、あるいは相手の陣地に打たれ、その後に指された駒は、金と王を除いて、『成る』ことができる。
ようするに駒をひっくり返し、能力が変わる。
成った状態の駒にも一応名前があり、歩は『と金』、桂馬は『成桂』、香車は『成香』、銀は『成銀』、角は『馬(龍馬)』、飛車は『龍王』である。
駒の動きは以下の通り。
ちなみに成るのは任意である。
強化でしかない飛車と角と歩以外の駒は状況に応じて判断しよう。
王手、詰み、投了
王を逃がすか、間に駒を挟むとか、相手駒を取るとか、とにかくなにか特定の手を打たないと、次で王が取られてしまうの場合を、『王手』と言う。
どうあがいても、次で王が取られてしまうような状況を『詰み』と言う。
相手の王を、詰みの状況に追い込めば勝利となる。
ただ、詰みまでゲームが進むことはあまりない。
将棋は、自分のターンならいつでも、『投了』、つまり降参宣言をすることができる。
一般的には「まいりました」、あるいは「ありません」と言って、一礼する。
禁じ手。二歩、千日手
『禁じ手』を打ってしまうと、ほぼその時点で負けであるが、初心者は本当に間違えやすいから注意が必要。
まず、すでに自分の歩がある列に、歩を打つのは即負けとなる禁じ手。
それは『二歩』と呼ばれている。
ただし、と金は歩とは別駒扱いだから、同じ列に打っても大丈夫である。
歩、香車、桂馬は、前にしか動かせないから打つ場所によっては 一切身動きが取れない無意味な駒となる。
そのような無意味なところに打つことも、即負けの禁じ手である。
歩を打つことで詰みになる場合も即負け禁じ手。
歩以外の駒ならば問題ない。
詰みでもないのに、自分が王手された状態でターンを終えても、即負け禁じ手になる。
即負けにならない禁じ手が、『千日手』である。
これは手というより盤面の変化で、ようするに、どちらも特定の手以外、自分が不利になってしまうことがわかっている状況で、互いに同じ手を繰り返してしまうこと。
基本的には千日手により同じパターンが4回繰り返されると、勝負は無効となり、先手後手を変更して、ゲームを仕切り直す。
入玉とは何か。宣言で終わるゲーム
相手の陣地に王が入ることは『入玉』と呼ばれるが、将棋の駒は前進に特化した駒が多く、入玉に成功した場合は、詰ませるのが難しくなる。
そこで泥沼化を防ぐために、これに関していくつかの特別ルールがある。
まず駒には点数が設定されている。
角と飛車が5点、王が0点、それ以外の駒が1点。
入玉したプレイヤーは、敵陣内の駒と持ち駒の合計点数が、先手の場合は28以上、後手の場合は27以上ある時。
さらに王手されておらず、持ち時間も余っているなら、「勝利宣言」を行い、勝つことができる。
ただし、宣言したにも関わらず、上記の条件が満たされていないなら、逆に負けになる。
互いに入玉していて、互いに(敵陣だけでなく)盤面のすべての駒と持ち駒の合計点数が24以上なら、合意しあうことで、ゲームを引き分けにできる。
このパターンの引き分けは『持将棋』と呼ばれる。
棋譜の書き方
将棋盤の列にはアルファベット数字、段には漢数字が設定されていて、それを組み合わせて特定のマスを表す。
数字の文字を使い分けるのは、わかりやすくするためであり、別にそうしなければならないという決まりはない。
棋譜の記録において、ひとつの手を表すのに以下の項目がある。
「到達地点の列、到達地点の段、駒の種類、駒の位置や動作、成ったか打ったかの表記」
必要がなければ、駒の種類までしか書かない。
例えば、歩を7×六のマスに動かしたなら、「7六歩」と書く。
駒の位置や動作は相対的なものを記述。
たいていは動作である、右に進み、6四にいった金の場合、「6四金右」というように書く。
とにかく、盤上のどの駒を動かしたかわかるように書けばよい。
相手の陣地に入り、成る場合は、「成」を、あえて
成らない場合は「不成」というように書く。