「ビッグフット」実在するか、正体は何か。目撃の歴史。フィルム論争

ビッグフットの森

サスカッチ。ビッグフット。北米の猿人

 猿人系の未確認動物として、ヒマラヤのイエティと二大のように扱われる事が多い、ビッグフット、あるいはサスカッチは、北米の、ロッキー山脈沿いの森林に生息していると、よく言われる。

 ビッグフット(大きな足)と呼ばれるだけあって、足跡が巨大だとされる。
40cmほどらしい。
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身長も2mを超えるとされ、明らかに人間より大型である。
また、夏から秋くらいの時期に、よく出没するという。

 ビッグフットは、先住民には、亜人、あるいは怪物か精霊として古くから知られていた。
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サスカッチというのは、この生物に対する、彼らの呼び名である。

 1958年にカリフォルニアで、ジェリー・クルーというトラックの運転手が、泥の中に大きな足跡を見つけ、石膏で型をとりつつ、写真も撮ってから、目撃者は急増したとされる。
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アメリカ大陸の謎。正体はクマか

 興味深いのが、このどう考えても類人猿、あるいは猿人と思しき生物が、アメリカ大陸に生息しているという事実である。
アメリカ大陸では、そもそもゴリラのような、大型の類人猿が生息していない。
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 また、アメリカ大陸で、古い人もおそらくはサピエンスである。
猿人型の未確認動物の正体候補としてよくあげられる、いわゆる原始人は、この大陸に存在していたとしても、そう数は多くなかったはずである。

 ビッグフットは大型で、しかも足跡がでかい。
とすると、クマの可能性はあるかもしれない。
すくなくとも大型類人猿が全然いないのだから、猿人系未確認動物の目撃に関して、よく言われるような、猿と間違えた、という事はあまりないと思われる。

目撃の歴史。様々なパターン

 たいていの話は捏造か、うわさ話に尾ひれがついたものにすぎないだろうというのは、ビッグフットの実在を信じる者にすら多い。

最古の足跡記録

 ビッグフットに関する最初の報告記録は、1810年1月のものとされている。

 ノースウエスト商事会社の外交員、デビッド・トムソンが、オレゴン州ダレス付近で、巨体な足跡を発見したのである。
その足跡は、長さ42cm、幅24cm。
サイズ的には、今日の我々に知られる、ビッグフットのものと、同一と思われる。

生け捕りにされた幼体

 1884年。
カナダ、ブリティッシュコロンビア州エール郊外にて、トンネル工事に携わっていた労働者が、なんとビッグフットの幼体を生け捕りにした。
その体長は40cmほどで、体重は55kgほどだったという。
しかし大人になるまで育てることはできず、行方知れずとなったようだ。

 しかし、40cmで、55kgというのは、ちょっと重すぎな気もする。

群れをなすビッグフット。坑夫達への報復

 1924年のある日。
ワシントン州のエイプキャニオンで、石炭坑夫のフレッド・ベックは、ビッグフットと遭遇し、これを射殺した。
しかしその夜。
ビッグフットの群れが、坑夫たちの小屋に襲撃をかけてきたらしい。

 彼らは木の棒や岩を使い、小屋の壁や屋根を、叩き壊しまくった。
坑夫たちは、銃で反撃したが、ビッグフットたちは攻撃を止めない。
戦いは夜明けまで続き、明るくなると、ビッグフットたちは去っていったという。

 坑夫たちは、この一件ですっかりまいって、峡谷から去って行ったそうである。

 この話が真実だとするなら、ビッグフットは明らかに、社会を形成した生物であろう。
彼らの行動は明らかに報復であり、仲間意識の高さがうかがえる。

金工採掘人の誘拐事件。家族集団か

 1924年には、もうひとつ、興味深い事例がある。
ビッグフットによる誘拐事件である。

 カナダの金鉱採掘人、アルバート・オストマンが、 ブリティッシュコロンビア州トバインレッドで金鉱彫りに出かけていた時の事。
就寝中の彼を、ビッグフットは寝袋ごと連れさったのだという。

 オストマン曰く、彼を軟禁したビッグフットは4頭で、家族らしく思えた。
オストマンは、6日ほど軟禁されたが、すきを見て逃げたらしい。

襲撃される牧場

 1940年には、ネバダ州での、牧場をビッグフットが襲うという事件が発生。
そのビッグフットは、2.5mくらいの巨体だった。

 一時避難していた牧場主たちが、しばらくした後に戻ってくると、家の周囲に大きな足跡が大量に見つかった。
また塩漬けにしていた魚の樽がひっくり返され、中身が散り散りになっていたとう。

クランツ教授の調査と結論

 1969年。
ワシントンで1000以上も、連続している足跡が発見された。
これはさすがに、悪戯だとするなら、あまりにも大掛かりすぎるという。

 それらの足跡を調査した、ワシントン州立大学の人類学者クランツ教授によると、「足跡の深さから、体重はおよそ300kg。いくらかの足跡は、指の跡がはっきりと認められる。人でなく高等霊長類の可能性は高い」。

 クランツ教授は、ビッグフットの専門家として有名な人物だが、有名なパターソンフィルム(後述)に関して、最初は懐疑的であった事も知られている。

女性と霊長類

 足跡調査の同年には、なんとビッグフットに暴行されたと証言する女性が登場。
どうも彼女は資料の最中で突如現れた 毛むくじゃらの怪物に襲われたらしい。
彼女はすぐに失神したが、気がつくやすぐに、ライフルで、ビッグフットの右目を撃ちぬいてやったという。

 哺乳類、特に霊長類は、 人間が近づいてきた時、その相手が女性であるほうがらより警戒心を緩めるという話もあるから、ありえなくもないと思われる。
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 ただし全体的には、ビッグフットが人を攻撃したという話は、ほとんどない。

パターソン・ギムリン・フィルムの謎

パターソンらの撮影。衝撃的な映像記録

 1967年10月20日。
ロジャー・パターソンという人が、友人のボブ・ギムリンと共に、カリフォルニアのブラフ・クリークで馬を走らせていた。
彼らの目的はビッグフット探索。
もし遭遇したならば映像撮影もしようと、ビデオカメラも携帯していた。

 突然のことだった。
彼らは、うずくまったビッグフットを発見した。
パターソンが、馬からおりた所で、 彼に気づいたのか、ビッグフットは森へと逃げ出す。

 パターソンは、ビッグフットを追いかけながらも、しっかりとカメラを回し、その撮影に成功した。

専門家はどれほど当てになるか

 ビッグフットといえばパターソン・ギムリン・フィルム(あるいは単にパターソンフィルム)とされるくらいに、有名なこの映像記録は、論争を巻き起こしてきた。
モスクワ体育学院の、生体力学の専門家ダンスコイが、「撮影されている生物の、腕の動きや走り方は、明らかに人間のそれではない」などと述べた事も、この映像の信憑性を高めた。

 一方で、霊長類学者のネイピアは、 この映像を詳細に調べた上で、高確率で中に人間が入っている、と述べた。

 また、後になって、長身の男性が、自分が着ぐるみの中の人だと告白したとか。
しかしその告白が嘘だったとか。
長きにわたり論争は、続いた。
あるいは今も続いている。

 人間が、意識して出来るような動作でないとする学者がいる一方で、明らかに着ぐるみとする学者がいるのは、単に、「専門家であっても、よくわからないものは、よくわからない」という事を示しているのかもしれない。

着ぐるみならば、よく出来ているのは確か

 もしも、着ぐるみだとすれば、よく出来ているのは、多くの人が認めるところであろう。
このような優れた着ぐるみを用意するには、それだけで結構な金がかかるだろうから、この映像が作られたものなら、わりと制作費がかかっていると考えられる。
もしかしたらプロか、凄いアマチュアが関わっているのかもしれない。

 また、ビッグフット研究家のクランツをはじめ、この映像に、最初は懐疑的だったが、後に信じるようになったという人は多い。
よく見たら本物ぽいのだろう。

 やはり偽造だとしても、かなりよく出来た偽造である事は間違いない。(エッセー)

(エッセー)偽造だとしたら、むしろ惜しい

 ある意味、同時代の、ちゃっちいと言われるような多くの特撮映画よりも凄いと言えよう。
個人的には古い特撮映画好きなので、偽造なら偽造で、この才能は惜しい。

偽足跡の製作者達

 パターソンに、ビッグフットと遭遇できる可能性が高い場所を教えたらしいレイモンド・L・ワラスという人は、どうも悪戯者だったようである。
彼は、木で作ったビッグフットの足型を所持していたとか、職場の同僚たちに、いかにして偽の足跡を作るかを語っていたとか、そういう話が多い人物との事。
特に、ビッグフットの名を広めた、ジェリー・クルーが発見した足跡に関しては、彼が偽造したものである疑惑が強くあるという。

 まあ、別に彼がそうでなくても、彼のような人物は結構いるのではないだろうか。
特にビッグフットが有名になってからの足跡は、常に誰かの偽造を考慮した方がよいかもしれない。

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