「西洋のドラゴン」生態。起源。代表種の一覧。最強の幻獣

ドラゴン

目次

ドラゴンと龍の違いは何か

 西洋のドラゴン。
東洋で、龍とたびたび同一視される、この生物は、しかし明らかに龍とは、違う生物のように思われる。
龍「東洋の龍」特徴、種類、一覧。中国の伝説の最も強き神獣  ルーツが共通である可能性はある。
ドラゴンと龍。
ほぼ確実だとされる共通点が、この両者が、爬虫類の蛇の要素を強く取り入れた架空生物だという事だろう。
ヘビと餅「ヘビ」大嫌いとされる哀れな爬虫類の進化と生態  中国人達は、ドラゴンを西洋の龍、ヨーロッパ人達は、龍を東洋のドラゴンと解釈するのが通例である。
しかし、両者はどれほど似ているだろうか。

東洋と西洋の思想の違いにより、変わってきた扱い

 ドラゴンは、力の象徴であり、英雄に退治される悪のイメージが強い。
一方で龍は、より超越的な存在で、守護神、恵みの神のイメージがある。
 ドラゴンは、ヘビというより、トカゲのような見た目で、翼を持つ。
一方で龍は、よりヘビに近い見た目で、翼がある事は希である。
 というように、ドラゴンと龍では、性格も見た目も全然違う。
同一の起源をもつとしても、 共有していたのはその原型だけなのはほぼ間違いないだろう。

 ドラゴンと龍で、かなり確実に共通している特徴は、まず、両者とも爬虫類か、爬虫類がベースという事。
 それから、どちらも複数の生物の合成、キメラ的な特徴を持つとされる。
ドラゴンは鳥やコウモリの翼、魚のウロコを持つとされる事もあり、 それでなくても複数の爬虫類を掛け合わせたような姿と言われることがある。
一方で龍は、こちらはかなり基本的に、九種の動物の特徴を合わせ持つとされている。
複数の動物の特徴を持つというのは、幻獣としてはそこまで珍しい ことではないが、ドラゴンや龍は、その数が多い。
あるいは、これは生物の王位性を示すための意図的なものかもしれない。

 しかし、冷静に比べてみたら、ドラゴンと龍の違いは、発展してきた文化の思想の違いにも思える。
 ドラゴンも龍も、単に爬虫類の怪物というだけでなく、自然災害的な破壊力を有しているような感じがする。
西洋は、自然の強さを恐れず、我が物にしようとする文化。
東洋は、自然の強さを恐れ、より強く神格化し、崇める文化。
 そう考えると、ドラゴンも龍も、共通して、自然で最強の存在であるのは共通で、しかし、敵と神という、その捉え方に違いがある訳も納得できよう。

爬虫類の怪物か、悪魔の化身か

 ドラゴンは爬虫類の怪物だろうか。
砂漠のトカゲ「爬虫類」両生類からの進化、鳥類への進化。真ん中の大生物 そうかもしれないが、そうでないかもしれない。

 また、おそらくキリスト教における悪魔などの概念も、ドラゴンの悪のイメージに一役買っているだろう。
十字架「キリスト教」聖書に加えられた新たな福音、新たな約束 月夜の魔女「黒魔術と魔女」悪魔と交わる人達の魔法。なぜほうきで空を飛べるのか  しかし、ドラゴンは、本来は、悪魔ではなかった。
おそらくドラゴンという概念は悪魔、少なくともキリスト教的なサタンやデビルよりも古くからある。
ドラゴンが悪魔というより、悪魔がドラゴンという可能性の方がむしろある。

 で、ドラゴンは結局爬虫類の怪物だろうか。
だとしても、ドラゴンはドラゴンであるように思う。
 龍は、中国において、ヘビに近しいが、ヘビではないとされていた。
ミズチ(蛟)など、龍とヘビの中間の生物までいる。
 龍とドラゴンが同種であるとするなら、やはりドラゴンも、他の爬虫類とは区別されるべきであろう。

ヘビとトカゲとドラゴン

 もしドラゴンが、ヘビやトカゲの怪物でなく、ドラゴンであるというなら、おそらく、我々は勘違いをしてきた。
そして勘違いをしないようにしても、いまさら、ほとんどそれは無理である。
なぜなら我々は、トカゲやヘビの化け物も、ドラゴンと分類してきた長い歴史があるからだ。
元々はドラゴンでなく、単にヘビやトカゲの化け物だった存在も、ドラゴンになっている。
だから、元々のドラゴンとドラゴン扱いされてドラゴンになったものとの違いを明確にするのが難しい。
 しかし、それがヘビやトカゲの化け物でないというのなら、 本来のドラゴンは少なくとも 大ヘビや大トカゲとは区別されるべきなのかもしれない。

 例えば、多くの幻獣図鑑や、ドラゴン辞典で、ドラゴンとされているシーサーペントは、ヘビの化物であり、ドラゴンとは言えないのではないだろうか。

 他には新世界の、ケツァルコアトルを始めとした、爬虫類系統の神々も、よくドラゴンとされるが、おそらくは違うだろう。
アステカの神々「アステカ神話の神々一覧」テノチティトランの最高神、破壊神、恵みの神 新世界に関しては、おそらくドラゴンのイメージはなかった。
仮に、コロンブス以前の新世界にドラゴンがいたなら、それはもう、元々ドラゴンという生物が実在していたとしか考えられない。

 恐竜?
恐竜「恐竜」中生代の大爬虫類の種類、定義の説明。陸上最強、最大の生物。

ドラゴンはどんな生物か。その生態(?)

 たいていは翼を持つトカゲのような生物。
しかしヘビみたいなのもいれば、まれに半人半獣みたいな生物も、ドラゴンとされる場合があるようでる。

 成体は基本大きいが、種によっては子も大きい場合と、子も小さい場合があるようである。
いずれにしても東洋の龍のように、変幻自在とされる事はあまりない。

悪魔もドラゴンをかっこいいと思うか

 ドラゴンは、悪魔と同一視される事もあるが、これは正確には、悪魔が化けたドラゴンもいるという事なのかもしれない。
悪魔というのは、自在に姿を変えられるとよく言われるから、むしろそう考えるのが自然に思う。
それに悪魔だって、何にでも変身出来るなら、強くてかっこいいドラゴンを選ぶ事は多いのではないだろうか。

人の言葉を喋るのは賢いからか?

 ドラゴンは、特に賢く人語を理解するとされる場合と、普通に言葉の通じない怪物とされる場合がある。
 あるいは賢いドラゴンは、龍の影響があるのかもしれない。
龍はむしろ、人と対話が出来るのは、ほとんど基本である。
 しかし人語を喋るのは人側からしたらありがたいが、ちゃんとしたドラゴン語はないのだろうか。

 ドラゴンは寿命がとても長いとされる場合がある。
賢い奴は、ひょっとすると長く生きてるから、よく物を知っているだけなのかもしれない。

 しかし、物語にドラゴンが出てくる時、言葉を喋る場合に、完全な悪というパターンは少ないように思う。
これは、理性的な者が賢い、という考えからだろうか。

財宝を守る理由は何か

 財宝を守ってるという話も多いが、これは妙でないだろうか。
なにせ、その財宝はたいてい宝石の山とかである。
ドラゴンの社会でもそれらは値打ちがあるのだろうか?
 もっとも、人が呪いでドラゴンになったパターンとかもあるようで、財宝を守ってるというのは、基本そういう事なのかもしれない。

 また財宝を隠し持ってるドラゴンは、それ故に殺されたっぽい奴も多い。

守護神として、あるいは力の象徴としてのドラゴン

 正義に生きるドラゴンもいて、そういうドラゴンは、たいてい誰か、もしくは誰か達を守護している役割。
いずれにしても、ドラゴンは何かを守っているようである。

 しかし守護神というより、強い力の象徴のイメージが強いか。
 ドラゴンは悪というか、実際にも、昔は賊に人気だったそうである。
賊というのは、環境的によく戦闘を行っていたろうから、とおそらくそういう事なのだと思う。
 一方で善玉ドラゴンは、国を守る守護神として扱われたりする事が多い。

どういう仕組みで火を吐くのか

 ドラゴンの能力については、妙な事がある。

 とりあえず、ドラゴンの能力としては諸説ある。
例えば飛行、体色変化、火を吐く、毒を吐くなど。
問題はやはり、「火を吐く」であろう。

 体色変化も、毒吐きも、昔の人がドラゴンなる生物を想像する上で、大いに参考にされたろう爬虫類の技術として有名である。
 翼があり、飛行する事に関しては、プテラノドンなど、翼竜の化石を見つけた人が、これはドラゴンだと考えた可能性もある。
翼竜「翼竜」種類、飛行能力、進化史。恐竜との違いはどのくらいか  だが火を吐く。
そんな事出来る生物が現実に存在するだろうか?
その火は体内で生成されるのだろうか?
 ドラゴンの体内には、ガスを溜め込む器官があり、それに着火要因を注ぐ事で、火を作り出しているという説もある。
またこの仕組みは、おそらくその巨体を飛ばすのにも役立つ。
 ドラゴンは魔法が使えるのだ、と言ってしまえば、それで終わりかもしれないが。

ドラゴンの起源、誕生

 旧大陸の文明は、どの文明であっても、シュメールの影響が少しはあったろうと、考える人は多い。
もしそうだとしてシュメールにドラゴン、竜の概念、そうでなくとも、爬虫類の怪物の概念があったのなら、それがおそらく、ドラゴンと龍の共通の原型であろう。

 そして、実際にシュメールには、そのような存在の伝説があったとされている。

シュメールの竜。怪物クルの記録

 紀元前4000年ぐらいに成立したとされる、おそらくは最初の都市国家であるシュメールは、よく「我々の始まりの文明」と言われる。
ただし、インカや、アステカなど、アメリカの文明は、おそらくはシュメールとは関係ない。
アステカ「アステカ帝国、アステカ文明」首都、生贄、建国神話  シュメールの粘土板文書には、「原初の海に生きていた、巨大なヘビのような怪獣クルの記録」があるという。
また、発見されている様々な図の中には、大蛇らしき怪物。
それどころか、角と足をつけた、どちらかというと、龍に思えるような怪物が、いくつか認められる。

 しかし、シュメールの竜は、見かけは東洋の龍に近くとも、その性質は西洋のドラゴンに近い。
中国では、龍は洪水のような災害を引き起こすこともあるが、基本的には、恵みの雨などをもたらしてくれる神聖なる存在であった。
一方で、シュメールの竜は、大規模な災害を引き起こすだけの恐ろしい存在であり、英雄に退治されるべき対象であった。
 粘土板文書に記述される怪獣クルは、神に退治される悪役であったのである。
ようするに、シュメールの竜はドラゴン的なのである。

バビロニアの女神ティアマト

 紀元前2000年記の、 バビロニアの神話には、シュメールから引き継がれたと思われる、「ドラゴンと、それを退治する英雄」という類の話がある。

 天地創造からして、英雄神マルドゥクが、ティアマトというドラゴン(あるいは女神)を退治した事で始まるという。
マルドゥクは、ティアマトを切り裂き、その体の半分ずつを使い、天地を形成させたのである。

 ティアマトの姿に関する記述は全然ないようだが、おそらくはティアマトだと思われる図版が、いくつか見つかっているという。
それらを見るかぎり、どうもティアマトは、ヘビをベースとして、ライオンや猛禽類を複合させたキメラ的怪物らしい。
猛禽類「猛禽類」最大の鳥たちの種類、生態、人間文化との関わり  擬人化を別とすると、キメラ的な要素は、ドラゴンと龍のいずれにも見られる特徴である。
ティアマトは、もしも、上記のような生物なら、確かにドラゴンか、少なくともドラゴンの原型と言えるだろう。

ギリシアのドラコーン。インドのナーガ

 ギリシア神話には多くのドラコーンが登場する。
このドラコーンの定義は、おそらくは現在の一般的なドラゴンの定義よりも、幅広い範囲を、指している。

 古くギリシア人は、爬虫類的な幻獣は全部ドラコーンと呼んでいたという。
つまり大ヘビも、大トカゲもドラコーンであった。

 よくドラゴン図鑑などに、ギリシア神話のドラコーンがいくつか紹介されてたりするが、それはドラゴンというより、大蛇的な生物である。
大地が浮かび上がる様子「ギリシア神話の世界観」人々、海と大陸と天空、創造、ゼウスとタイタン 全体的には、ギリシア神話のヘビの怪物達は、インドのナーガと似ている感じである。
インドの寺院「インド神話の神々」女神、精霊。悪魔、羅刹。怪物、神獣の一覧  ギリシアとインドは、いずれも、もともと先住民がいたところ、ギリシアはギリシア人、インドはアーリア人に侵略されることで、再構成された、という歴史がある。
ギリシアもインドも、外部から侵略される前の者たちは、インドヨーロッパ語族という、さらに昔には、かなり広く各地に散らばっていた人達である。
 ここから一つのシナリオが浮かび上がろう。
インドヨーロッパ語族の人達には、伝統的なヘビ信仰があった。
そして彼らを侵略した者達が、その蛇信仰を自分達なりに発展させた。
それがギリシアではドラゴン。
インドではナーガとなった。

ユダヤ、キリストの悪としてのドラゴン

 ユダヤ教は、バビロニア神話の影響が強いとも言われる。
ユダヤの寺院「ユダヤ教」旧約聖書とは何か?神とは何か?  ユダヤがバビロニア神話を継ぐものであるなら、シュメールの神話も、正統に継いできていると言えよう。
これはそうかもしれない。
 聖書には、海中に生きる巨大な怪物レヴィアタンのような、ドラゴンとされる生物が登場する。

 そして、ユダヤ教に新たな要素を加えて誕生したキリスト教は、 我々が「西洋のドラゴン」と呼ぶような生物と関係が深いとされる。

 キリスト教が大きく幅を効かせた中世ヨーロッパにおいては、キリスト教の聖人が、悪さを働くドラゴンを退治する、というのが典型的なドラゴン伝説である。

 そう考えると、西洋のドラゴンというのは、キリスト教的ドラゴンである。
そして、キリスト教的ドラゴンとは、シュメールからメソポタミア、ユダヤ、キリストに受け継がれることで、完成をみた生物とも言えよう。

ケルト神話の恵みのドラゴン

 ケルト系の神話や伝説にも、典型的な西洋ドラゴンが登場する事はよくあるという。
少なくともいくらかは、キリスト教の影響があるか、あるいはキリスト教に影響を与えたと思われる。

 しかし、古い言い伝えでは、ケルトのドラゴンの性質は、東洋の龍に近い。
ドラゴンは時に怒りを見せ、その恐ろしい力で災害を引き起こす事もあるが、基本的には、大地に恵みをもたらす神とされていたようである。

 また、ケルト神話において、レッド(赤き)ドラゴンは、ブリテンの民の守り神。
一方で、敵対するゲルマン民族の守り神が、ホワイト(白き)ドラゴンらしい。

ドラゴンの一覧

リンドブルム。昔は飛べなかった翼持ち

 リンドブルムは「翼のあるドラゴン」の意味であり、その名前の通り、翼のあるドラゴン全般を指す言葉とされる場合もある。
 しかし基本的には、ワニに似た長い口、ワシの前足と、ライオンの後ろ足、三角に尖った尾の先端、コウモリの翼、という感じで、明確に見た目的な特徴を、よく挙げられる。
月夜のコウモリ「コウモリ」唯一空を飛んだ哺乳類。鳥も飛べない夜空を飛ぶ  ゲルマン民族にドラゴンという概念が伝わったのは8世紀頃のことと考えられていて、それがすでに知られていた、地を這う大蛇信仰と結びつき、リンドブルムが誕生したのだという。

 古くは、リンドブルムは飛行能力を持たないドラゴンであったが、15世紀くらいから、飛行竜として、地位を格上げされたも言われる。
その飛行速度はかなり早く、稲光や流星は、リンドブルムが発光しながら飛んでいる姿、とも考えられるほどであったそうだ。

 また、翼のないリンドヴルムもいて、それはリンドドレイクと呼ばれる。

ワーム。手足のない古いドラゴン

 ワームは、ファンタジーなどで、翼と足を持たないドラゴンとして描かれることが多い。
しかし、翼に関しては持っている事もけっこうある。
 芋虫などが長く生きて進化したものとされる場合もある。
虫取り網「昆虫」最強の生物。最初の飛行動物  ワームというのは、本来は大蛇を意味する言葉だったようである。
しかし、イングランドの民話などでは、古くから、ワームと言えばドラゴンとほぼ同義だったそうである。

 ワームは、古い、原始的なドラゴンという説もある。

 物語では、その驚異的な再生能力が言及される。
その長い体を切っても切ってもすぐくっつくか、新しく生えてきてしまうらしい。
ワームの体は硬いが、その巻きついてくる力があまりにも強すぎるために、剣や槍を構えることで、ワーム自身の力によって、それらを突き刺すこともできるという。

 北欧神話には、財宝を守るファーブニル、世界を取巻いたヨルムンガンド、黄泉の国に住むニーズヘッグなど、 ドラゴンとされる生物がある程度登場するが、いずれも大蛇か、ワームのようである。

ファーブニル。財宝を守るイメージの形成

 ファーフナーなどとも呼ばれる。
北欧神話に登場するドラゴンとされるが、大蛇という説もある。

 伝えられる物語では、ファーブニルはもともと、人間、あるいはドワーフという種族であった。
ある時、欲にかられた彼は、父ブレイドマルから、彼が所持していた財宝を奪った。

 ファーブニルは、財宝を守りたい一心で、ついには巨大なドラゴンになったそうである。
その牙と爪は鋭く、体は硬い鱗に覆われ、吹く息は毒液を噴射できたという。
 ファーブニルは、典型的なワームとされるが、普通のドラゴンの姿でも時々描かれる。

 財宝を抱き、守るドラゴンというイメージを定着させたのは、このファーヴニルの物語だとされている。
結局彼は、英雄シグルド(ジークフリート)に退治されるのだが、ここまで、典型的パターンである。

アンピプテラ。小型か子供か

 これもおそらくワームの一緒ではないだろうか。
アンピプテラは、アンフィプテア、あるいはアンフィプテールなどとも呼ばれる翼を生やしたヘビ型ドラゴンである。
体長人間より少し大きいくらいで、ドラゴンとしては小型。
もしかしたら子供なのかもしれない。
 翼もそれほど大きくないが、それで飛ぶことができ、飛行中、その翼は輝くとされた。

ヴィーヴル。赤い宝石の目

 これもやはりワームの一種かもしれない。
手足のない蛇の体に、コウモリの翼を持っているとされる怪物で、普段は人から隠れて生きているらしい。
 奇妙なことに、ヴィーヴルにはメスしか存在しないのだという。
むしろこれは性別がないか、雌雄同体なのではなかろうか。
とにかくオスは確認されていないとされる。

 ルビーやガーネットのような、赤い宝石の目をしている事が特徴であり、そういうふうに見えるとかではなく、普通にそういう宝石らしい。

ワイバーン。意外とあまり伝承ない

 翼竜や飛竜などと、 冷静に考えてみると、わりとおかしな名前によく訳されている、典型的な西洋ドラゴン。
 基本的に、通常のドラゴンとの大きな違いは、腕と翼が同化していることとされる。
その翼も、通常よりもかなり大きく、尻尾もかなり長いとされる。
 さらに特徴的なのが、このドラゴンは毒を、 尻尾などから分泌するらしいことであろう。
その代わりなのかはわからないが、ブレス(吐息)攻撃をしないとも言われる。

 ワイバーンは、かなり有名なドラゴンであるが、実は実際の神話や民話などでは全然登場しないそうである。

 ワイバーンという言葉は、ヴィーヴルの変形という説もある。

ファイアードレイク。火属性の精霊

 火の精霊、あるいは死者の魂の集合体ともされた、炎に包まれたドラゴン。
 洞窟や墓場などで、隠された財宝を守る保護者とされる。
盗人が現れた場合、吐き出した炎で追い払ったそうである。

 地上に舞い降りたファイアードレイクは、全身燃え盛る炎で、夜であっても周囲を真昼のように明るくできた。
また、舞い降りて周囲を照らしたかと思えば、その姿を突然消すこともあるという。
 曇り空をファイアードレイクが飛んでいると、それは稲光のように見える。
さらに、このドラゴンは、熱い雲と冷たい雲が交わった時に生み出される、という説もある。
雲「雲と雨の仕組み」それはどこから来てるのか?

ベルーダ。危険な毒と火

 ベルーダは、 フランス北部のユイヌ川に住んでいたとされるドラゴン。
 ヘビの頭と尾に、4本の足。
亀の甲羅に緑の皮膚。
その全身が、ライオンのたてがみに似た毛で覆われていて、背中には有毒のトゲを持つ。

 かつてこのドラゴンは、毒と火を吐き出しながら、背中の毒トゲを飛ばして、暴れに暴れた。
ありとあらゆる生物を、むさぼり食った。
 しかし、このベルーダにより、恋人を亡くしたとある青年が、見事、寝込みを襲い、怪物は退治されたそうである。
 
 また、この怪物は、ノアの洪水前から生きていたともされ、ある意味、神にとっても規格外な存在である。

カルグイユ。水属性の古い神

 昔、フランスのルーアンに生きており、大司教に退治されたらしいドラゴン。
長い首に、甲羅、四つのヒレなどの特徴が伝えられており、その姿は、さながら、ネッシーのようなプレシオサウルス型だったのではないかともされる。
ネッシー「ネス湖のネッシー」愛されしスコットランドの怪物の正体 プレシオサウルス「首長竜」恐竜時代の海の覇者。種類、進化、化石の研究記録  本来のカルグイユは、水を司る土着どちゃくの神であったという説がある。
それがキリスト教の勢力に、農地を水没させて害をなす怪物に変えられ、葬り去られてしまったのだという。

 カルグイユという名は、石像の怪物ガーゴイルの語源ともされる。
ガーゴイルの石像は、よく雨樋あまとい(雨水を集めて、地上などに適切に導く装置)の排水口などにつけられているが、これは、水の神としての名残ではないかとも言われる。

リヴァイアサン。創造神も恐れた怪物

 レヴィアタンとも呼ばれる、聖書に登場する、巨大な怪物。
 聖書ヨブ記によると、強靭な鎧のようなウロコを持ち、口から炎を吹き、鼻の穴から煙を出す。

 神は、この怪物をつがいで誕生させたが、あまりに巨大で、あまりに強大なために、子を誕生させてはならないと、オスは命を奪われ、メスのみいるのだとも言われる。
だとすると、リヴァイアサンは世界に1体である。

 リヴァイアサンという名前自体は、「渦を巻くもの」、「ねじれるもの」というような意味があるそうである。
だからかなり長い体をしているのかもしれないが、しかしこの生物には、巨大なヘビといよりかは、ドラゴンというイメージがつきまとう。
 また、クジラやワニがモチーフだという説もある。

 実はリヴァイアサンは聖書以前にも、神話などで取り上げられていた怪物とされる。
例えばアッカド神話(バビロニア神話)においては、リタン、またはシャーリートと呼ばれる、日食や月食を引き起こす、7つの頭を持つ怪物が出てくるが、このリタンと、リヴァイアサンは同じ怪物という説もある。

 オスが消されたかはともかく、リヴァイアサンにはメスしかいないのは確かのようである。
聖書では、リヴァイアサンと対にになるともされる、巨大な(カバに似てるらしい)獣ベヒーモス の存在も語られている。
実は、このベヒーモスが、オスのリヴァイアサンなのだという説もある。

ラハブ。エジプトを守護していた?

 リヴァイアサンと同一視される事もある。
やはり、アッカド神話から、ユダヤ教に引き継ぎされた怪物。

 アッカド神話においては、地母神ティアマトが生み出した11の怪物のひとつとされる。
 ユダヤ教では、捨てられた天使ラジエルの書を探す役目を与えられ、発見して神に返還した、とされる。
大天使ガブリエル「天使」神の使い達の種類、階級、役割。七大天使。四大天使。 ラハブはまた、ユダヤの信仰の驚異だったエジプトだと解釈されることもあるようである。
あるいは、本来はエジプトの守護天使だったのではないかとする説もある。

 ラハブが、どのような怪物かはよくわからないが、その名は「嵐」や「凶悪」、「混沌」の意味とされるから、かなり凄まじい形態だったかもしれない。
 そして何より、後の時代ではドラゴンと解釈されることが増えていく。
 リヴァイアサンやラハブは、ドラゴンの他、悪魔ともされ、キリスト教における、悪なるドラゴンの原型なのかもしれない。

黙示録のドラゴン

 聖書の、ヨハネの黙示録に登場する、世界の終末期における最終戦争の際に姿を見せるという、神の軍勢にとって大きな驚異となる怪物。
反キリストの獣の数字666を持つ、7つの頭に7つの王冠を持ち、十本の角を持つ、赤いドラゴンと、よく描写される。
 尾の一振りで、星々の1/3を叩き落とすことができるほどの力を持っているという。

レッドドラゴン。ウェールズの守り神

 ウェールズは、ドラゴンハートの国と言われる。
それは、西洋では邪悪な存在とされがちなドラゴンを、守り神としているからである。
 彼らの守り神たるレッドドラゴンは、おそらく古く、ブリテンの民が崇めたドラゴンである。

 ケルトのレッドドラゴンは、普段は地中で眠っている。
その寝返りは地震の原因であり、吐息が嵐の原因なのだという。
プレート地図「プレートテクトニクス」大陸移動説と地質学者達の冒険  滅多にないが、もしも目覚め、その巨体が天空に舞い上がった時は、世界に大いなる災いが巻き起こるとされている。

ドラゴンメイド。半竜半人の呪われし乙女

 ケルト神話には、竜人とも呼ばれる、半竜半人の乙女が登場するそうである。
これはドラゴンメイドと呼ばれ、呪いによりドラゴンに変えられた乙女とする説もある。

 様々な能力を持つが、特に不妊に悩む夫婦の前に現れて、親切にされれば子を授けたとされる。

 元は美しい娘であり、呪いを解いてあげて一緒になろうとする男を容赦なく返り討ちにするとも言われる。

アジ・ダハーカ。悪の根源

 ゾロアスター教の暗黒神アンラ・マンユが生み出したという、邪悪なドラゴン。
単に有翼の大蛇と認識される事もある。

 古代メソポタミアの都市バビロンにあったとされる、クリンタ城に棲む暴君怪物であり、あらゆる悪の根源的存在ともされる。
 三つの頭と、広ければ天を覆い隠してしまうほどの巨大な翼を持つ。
さらに三つの口から、それぞれ毒や炎を吐き出し、1000の魔法を使うことが出来たそうである。
頭や首や心臓を切りつけても死ぬことはなく、その傷口からも、ヘビやサソリなど有毒の生物を吐き出したという。

 不死身ともされるが、心臓を的確に突き刺す事で倒せるという話もある。

カンヘル。天使の役割の風ドラゴン

 コロンブス以降のアステカやマヤの神話に、登場するようになった、キリスト教神話とのハイブリット思想的ドラゴン。

 カンヘルは、 世界の始まりに現れた風のドラゴンの種族であり、東西南北それぞれの果てに住んでいるとされる。

 ある説では、世界の誕生以前に神は、セルピヌスという名のカンヘルを創り、このセルピヌスが、他のカンヘル達に洗礼を行ったのだという。
その後、カンヘル達が、聖なる言葉で世界を創造したのだそうである。

 カンヘルの神話は、キリスト教徒が、自分達の教えを、先住民達が受け入れやすくなるように創造したものとする説が有力。
その正体は、マヤやアステカの神官が持っていた棒が形どっていたヘビであろうとされる。

キリム。森の人食いキメラ

 コンゴ民主共和国は、恐竜の生き残りの噂もあるモケーレムベンベ生息の地でもあるコンゴ共和国の隣の国らしい。
テレ湖「モケーレムベンベ」恐竜かサイか。テレ湖のコンゴドラゴンは実在するか  このコンゴ民主共和国の、ニャンガ族という部族の神話などには、キリムという森の怪物が登場するという。

 7つの頭に、7つの目、7つの角を持つと言うキリムは、犬のような牙と、ワシのような尾を持っている。
これはよく、キメラドラゴンの一種ではないかとされているが、爬虫類でないような印象もあるか。

2 COMMENTS

A4C

何故、自然と爬虫類(トカゲやヘビ)を絡めたのでしょうか?自然界において爬虫類は特別視されていないように思えます、それよりも空の覇者の鷲、百獣の王ライオンを合わせたグリフォンの方が特別な気がします。

猫隼

地域によっては、鳥類や哺乳類よりも巨大な、あるいは恐ろしい存在である爬虫類が自然の恐ろしい存在とされたりするのはおかしくないように思います。
それにヘビに関してはなぜか人間の恐怖心を引き起こす傾向も、かなり確かにあります(聖書などで悪として描かれたりしてますし)
不吉の象徴としてのヘビと、洪水などの災害の因果関係も昔の人は考えたりしたのでないでしょうか。

恐ろしいものに対して取り入ろうとするように、それを崇めたりするのは、人間の思想としては普通です。
そうしてどこかで神格化されることもあると思います。

人間は恐ろしいもの、強いものを、かっこいいと好きになる傾向もあると思います。
一度誰かがドラゴンを想像すると、自然における特別な存在の地位になるのは簡単であったと考えます。

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