「イエティ」ヒマラヤの猿人伝説。隠れ潜む雪男

ヒマラヤ

ヒマラヤに伝わる猿人

3種いる?

 地球上で最も標高の高い山脈と言われる、アジアのヒマラヤ山脈には、地元民たちの間に古くから伝わる、猿人タイプの未確認生物がいる。

 4.5mもの巨体らしい大型。
3~4mほどの中型。
1.5~2ほどの小型がいるらしい。
これらは同じ生物の成長段階ではなく、別種と考えられていることが多い。
謎の人類の壁画 「原人の生き残り伝説」ただの未開の民族か、絶滅しなかったヒトか
 いずれも標高高い雪山に生息していて、笛のような奇声を発するという。
また、基本的に肉食だが、小型種は穀物などを食べる場合もあるとされる。
 
 また、いずれかのイエティは実在するとは考えていても、他2つは妄想だと考えている者は多い。

西洋に伝えられた岩男伝説

 イエティとは現地の言葉で「岩男」の意味があるという。
その存在は現地人には古くから知られていたが、世界的に知られ出したのは1889年からだという。

 1889年に、インドのシッキム州北東部の標高5000mほどの地点で、巨大な謎の足跡が見つかったのである。
発見者はウォーデル(Laurence Austine Waddell。1854~1938)というイギリス人で、彼は帰国後に書いた自著で、その事実を世に広めた。
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 ただし、実際に西洋にイエティの話が最初に伝えられたのは1832年で、ホジソン(Brian Houghton Hodgson。1800~1894)という人が、現地に伝わるその存在を紹介しているという。
ウォーデルの発見はあくまで、有名になったきっかけである。

 もともとイエティが知られていた現地とは、ネパール、チベット、シッキム、ブータンの広範囲に及ぶ。
いずれの地域の人が話すイエティのイメージも、共通性が高い。
「がっしりした体つきに、クマと類人猿の中間のような体型だが、どちらかというと類人猿より。褐色か黒色の毛。頭髪が長いが顔は無毛。頭頂が尖っている。腕が膝に届くほどに長い」

シプトンの足跡写真

 1951年11月。
登山隊の隊長エリック・シプトンは、5人の隊員と共に、エベレストのガウリ・サンカー付近のメンルン氷河というエリアに到達した。
彼らはそこで、謎の足跡を2頭分発見。
シプトンはそれを写真に撮り、1952年2月に、ロンドンの学会で発表した。

 シプトンは自信をもって力説した。
氷河に残された、それらの足跡の主たちは、近寄ったり離れたりして、歩いているようだった。
足跡はあまり雪に侵食されてない、比較的新しいもので、それらがつけられてから1日は経っていないだろうと思われる。
足跡ひとつの長さは31cmほどで、幅が18cmくらい。
爪先と踵の部分の幅が同じくらい。
親指が非常に大きい
最も注目すべき事は、1mほどのクレバス(氷河などの割れ目)を、明らかにジャンプして渡ったような痕跡もあったらしい事であろう。

 シプトンの足跡写真を決定的な証拠とする者もいるほど、彼の報告は、イエティに関して重要視され、この生物への人々の関心に一役かっている。

 ただし、このシプトンという男には、虚言癖の疑いがあるらしい。
なので、彼の話や写真を、単に有力な証拠と考えるのは、現時点ではやや無理があると言える。

正体はクマかオランウータン?

 「とりあえず、クマではないだろうか?」
クマにも似ているという話を聞けば、多くの人がこのような疑いを持つ事であろう。
しかしヒマラヤの人たちは、クマやオオカミやヤマネコなど、高地の肉食獣たちの事は熟知している。
その彼らは、時に家畜や人間をも襲う肉食獣以上に、それらとは違うイエティを恐れるのである。

 ただし発見された内、しっかりと動物学者に鑑定された足跡はほぼ全て、クマやヒョウの足跡や、それらが重なったりしただけであると指摘されている事も事実である。

 また、西洋にイエティ伝説を最初に伝えたホジソンは、その正体をオランウータンと考えていた。
イエティを有名にしたウォーデルは、ヒグマが正体であろうと示唆していたという。

イエティブームと、日本の探検隊の発見

 真相はどうあれ、シプトンの報告が、イエティ研究の重要なターニングポイントであった事は間違いない。
彼のおかげで、1950年代は、まさにイエティ探索ブームだったという。

 ヨーロッパ各国や、アメリカ、ソ連、そして日本からと、次々に探検隊がヒマラヤに送り込まれ、彼らはイエティを探した。

 1959年に日本から派遣された、大学教授率いる、『日本雪男学術探検隊』は、標高3500mほどのプルティー部落をベースキャンプとして、その周辺を中心に探索した。
時期的に、異常な高温で、降雪量も少ない中、探検隊はオオカミやキツネの足跡を発見できたが、結局イエティも、その足跡も見つける事は出来なかった。

 しかし探検隊は、期待とはまったく反対の発見をした。
それは現地の人々の話の信憑性のなさである。
現地の人たちは、明らかに人工的な刃物でつけられていた家畜の傷などを、イエティのせいにしていたのだ。
さらにとある寺に保管されていた、イエティの手の骨は、普通に人骨であったという。

 イエティが実在するかはともかくとして、少なくとも現地人がその存在を非常に恐れているのは、確かなようである。
しかし伝説の、少なくともいくらかは、その恐怖が作り出した幻である事も、また確かという事であろう。

イエティの頭皮は本物か?

 ヒマラヤの地方には、イエティに関する、血痕や、喉や、舌など、様々な証拠があるようだが、大半はちゃちな紛い物だと言われる。
例えば1954年には、イギリスの探検隊が、「イエティの頭皮」なるものを調査。
この頭皮は当時、非常に話題を呼んだという。

 一般的にイエティの頭皮とされるものは3つあり、それぞれ別の寺院に奉られている。
寺院の場所は、パンボチェ、クムジュン、ナムチェバザールの3つの地域。
ただし、ナムチェバザールのものは、複数の皮を繋ぎ合わせたような形跡があり、かなり胡散臭いとされている。
さらにクムジュンの皮も、カモシカの肩の皮であろうという指摘がある。
パンボチェのものは、本物である可能性が最も高いと考えられ、それは当時からであったらしく、雑誌などで掲載された写真はたいてい、パンボチェの皮だったようである。

 日本の雪男学術探検隊も、3つの寺院それぞれの頭皮の毛を、少しずつ持ち帰って、比較研究している。
結果は、3つの頭皮(少なくともそれについてる毛)は全て同種の動物のものであり、おそらくカモシカではない、というもの。
この報告が正しいなら、とりあえずどれか1つだけ本物とか、1つだけ偽物とか、そういう事はおそらくないのであろう。

 この頭皮の毛に関しては、色素の配列が、カモシカより類人猿にかなり近いという指摘もある。

ウールドリッジの写真

 1986年3月。
イギリスのウールドリッジ(Anthony B Wooldridge)が、ヒマラヤでやはり謎の足跡を発見。
彼はイエティを知ってはいたが、当初、その足跡をイエティのものとは考えなかったようである。

 足跡はかなり大量にあった。
イエティなる生物が実在するにしても、それは珍しい生物だと、ウールドリッジは考えていたのである。

 ところが足跡を辿っていくと、激しい雪の中、2mほどもある人の形に近い何かを目撃。
黒い毛、角ばった頭、筋肉質の体に長い腕。
ウールドリッジは、いよいよ本物のイエティと考え、カメラのシャッターを切った。
そしてさらに接近を試みようとするも、激しさを増す雪に、その姿は消されてしまったという。

 ウールドリッジの写真はイエティ自身を写した、初の写真としてよく知られている。

 装備などが確認出来ない事から、この写真に写っているのが、単なる登山家である可能性は低い。
しかし、あまりはっきりとしたものでないため、山肌(雪とかから露出した部分)などがそう見えているだけという可能性もあろう。
 

大登山家の目撃証言

 イタリアのラインホルト・メスナー(Reinhold Messner)は、14存在する標高8000m以上の山全ての無酸素登頂を、世界で初めて成し遂げた事で有名な登山家である。
そのメスナーだが、登山中にイエティを目撃したと、インタビューにて述べている。

 イエティの目撃は、足跡のみとか、あるいは単に遠くの影を見ただけとかが多いが、彼は、わずか10mという至近距離で、その生物に遭遇したという。

 彼によると、イエティに遭遇したのは1986年の10月15日。
イエティは毛深く、直立二足歩行で、まるで人と獣の中間のような生物であったという。
メスナーは、自身が遭遇するまで、イエティなど迷信にすぎないと考えていたが、もちろん、この時考えを改めている。
そして世界でも有数のイエティ研究家となった。

 しかし、登山というのは、わりと危険で、精神を削る挑戦である。
極限に近い状態での見間違えや幻という可能性もあるかもしれない。

 後に、メスナーは再び考えを改めたのか、「我が雪男の探求」という本で、おそらくイエティの正体はクマだと書いているという。

3 COMMENTS

TETSU

1991年3〜6月にインドとネパールを旅してきて
当初トレッキングなどする気もなかったんですが
ネパールで遠くに見えるヒマラヤの山々を見ているうちに
「もっとヒマラヤをまじかに感じたい」との衝動にかられ
トレッキング経験は全くありませんでしたが
ガイドブックに比較的初心者でも行きやすく
2〜3時間おきくらいに安宿が点在するという
ランタン渓谷というところにトレッキングに行ってきました。

その時ある体験をしました。

実は今年GW中に山口敏太郎さんとメールでコンタクトすることができ
その時の体験を簡単にメールしたところ
「ぜひ、僕のやっているネットラジオで電話インタビューに答えてくれませんか?」
とのことで5/8にインタビューを受けました。

それがこちら
https://www.youtube.com/watch?v=OnBkVZH4qtY

その数日後、敏太郎さんから連絡が来て
東スポさんがその内容を記事にしたいとのことの連絡あり
5/14の東スポで記事になり、翌日東スポの記事として
ヤフーニュースにも出てました。
(東スポかいっ!と思わないでください)

それがこちら
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190514-00000009-tospoweb-ent

東スポに実名で記載OK出しましたが
それは未確認と思われる類人猿と遭遇したのは確かであり
決して熊やラングール の小型の猿の見間違いではない自信があるからです。

詳細な体験談は上記を参照してもらえればわかると思います。
イエティについては賛否両論あるかと思いますが
お時間あるときにでも話のネタとしてご覧ください。

猫隼

 TETSUさん。体験談読ませてもらいました。

 とりあえず、未知の生物との遭遇うらやましいです。
実は偶然にも、今まさに類人猿系の未確認動物にハマってて、いろいろ個人的に資料あさったり、考えてたりしてたとこです。

 小型で、かつ5~6メートルも軽々跳ぶ、というのは、イエティでなく、また別の未知動物を思わせられますが、いずれにしても非常に興味深いと思います。

 個人的には、150センチくらいという微妙な大きさが、逆にリアルに思いました。
けっこう生物の大きさって、心理的に大きく感じる場合が多いみたいですから。
TETSUさんは、怪物を見たい、と思ってた訳ではないようなので、むしろ心理的な誇張なしの、真のイエティを見たのではないでしょうか。

 何にせよ、貴重なお話、ありがとうございます。

TETSU

猫隼さん感想ありがとうございました。TETSUです。

イエティについては僕が見た標高より比較的高い標高4000〜6000m程度の目撃談が多いですが
敏太郎さんの言うように通常は比較的標高の低い原生林やジャングル地帯に生息していて
何らかの理由で食物が少ない標高まで上がってくるというのが正解なのかもと思われます。

標高が高く雪がある環境なので原生林より発見しやすい(足跡もしかり)ということで
証言が4000m〜6000mに集中してるとも考えられます。

そこでなぜそんなところにわざわざ行くのか?
最近ちょっと考えていました

●何かしら摂取したいものが高地にある
(アフリカの像は普段摂取できない栄養分をわざわざ遠くまで行ってそこの土から摂取するらしいです)
●死期を悟ったイエティは死に場所を求めてわざわざ高地に行く。洞穴なのかクレパスの奥なのか?
(象の墓場伝説のようなもの。でも象の墓場伝説は都市伝説みたいなものとも言われてますが)

ここからはムーさん的発想
●高地のクレパスの奥に地底世界へつながる入口があってそこから行き来していて、だから発見されない
●高地に行ってUFOとコンタクト、またはイエティが宇宙人説

後半2つはぶっ飛び笑い話ではあります。

イエティの目撃談はヒマラヤ全域にわたっていますが
僕が行ったランタン渓谷は1991年当時はバスでカトマンズから半日、そこから歩いて3日でしたが
今は道路が通り2日歩き、見た現場までは1日で行ける場所です。

有名な登山家が「世界で最も美しい谷」と称賛したとこであり、
TVでたまにやるハニーハンターがいるところでもあります。

ただし先のネパール大地震で甚大な被害を受けたところでもあり、
3000m程度のランタン村が壊滅状態、高地で重機も入れず
今だに数百人の方が土砂の下とのことです。(ご冥福をお祈りします)

他の方のブログを見るとルートは整備されつつありトレッカーも徐々に戻ってきているとか…

当初山歩きには全く興味がありませんでしたが
行って正解だったと言えるほど素晴らしかったです。
インド・ネパールの旅すべてが新鮮な体験でしたが
特にランタン渓谷のトレッキングは脳裏に刻まれています。

簡単に機会があれば行ってみてくださいと言えませんが
もし時間と多少のお金そして冒険心が少しがあればオススメです。
(生活費は物価が安く、安宿も多くあるのでそれほどかかりませんが
一番かかるのがネパールへの飛行機代、次に入山料なのかな?)

現在札幌でグラフィクデザイナーやってます。
ツイッターほとんどやりませんが
@namasute1991にてインド行く1〜2年前にススキノの店の壁に描いたイラスト掲載してます。
機会があればのぞいてください。

長々とすみません&感想ありがとうございました。

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