「東洋の龍」特徴、種類、一覧。中国の伝説の最も強き神獣

龍

古代の龍。龍はいつから龍なのか

 中国、そして中国から日本に伝わってきたのだろう龍なる生物が、まったく架空の生物であるなら、その原型が蛇であることは間違いないだろう。
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 だがそれはいつ想像されたものであるのか。
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竜の原型となった龍の甲骨文字。青銅器の龍の絵

 いん(紀元前17世紀頃〜紀元前1046)の『甲骨文字こうこつもじ』には、すでに龍に相当する文字が存在しているそうである。
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それは、尾を巻いた、蛇の胴体に角をつけたもので、今日に伝わる、漢字の「竜」の原型となった文字とされている。

 また、殷は『青銅器文化(Bronze culture)』であったが、青銅器に彫られた龍らしき絵も見つかっているという。
そして見つかっている龍の絵には、角らしきものが、やはり描かれていて、手足も付いている。
 まず確実に言えることは、普通、蛇に見られない角と手足という特徴が描かれている時点で、ほぼ確実に、これは蛇でなく龍として描かれたものなはずである。

爪の数の意味。権力の象徴、皇帝の黄金龍

 しん(紀元前221〜紀元前206)、かん(紀元前206〜紀元220)の頃には、龍の典型的イメージも、ほぼ完成していたようである。
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そしてこの頃から、権力の象徴としての役割も、龍に与えられることになった。
かの司馬遷しばせんは、史記しきにおいて、始皇帝しこうていを祖龍と称しているという。
また、天子の怒りに触れることは、竜の逆鱗に触れることに例えられた。
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 時が流れ、王朝が移り変わっても、龍が権力の象徴であることは変わらなかった。
特に5つの爪を持つ黄金龍が、皇帝のシンボルとされた。
 民間に伝わっていた龍は、3つか4つの爪しか持たない。
5つの爪の黄金龍は、皇帝にのみ許された、特別な龍であった。

龍とはどの様な動物か。キメラか神か

形態。蜃気楼の息

 秦代以降に完成した、龍の典型的イメージとはすなわち、様々な動物の長所を合わせ持った、キメラ的な怪獣と言うものである。

 そう(960~1279)の時代に書かれたという『爾雅翼じがよく』という書には、龍は「角は鹿、頭は、眼は鬼、くびは蛇、腹はしん、ウロコはこい、爪はたか、手は虎、耳は牛に似ている」と紹介されている。
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 駝は、ラクダの事だが、これはまた伝説上の麒麟きりんを意味する場合もある。
 蜃は、蜃気楼を発生させるという伝説の生物で、これ自体、龍の姿で描かれるか、あるいは巨大なハマグリとされる。
また、龍の吐く息が『蜃気楼(mirage)』となる、という説もある。

めでたいとされた9という数字

 爾雅翼などの多くの書は、龍に9つの生物の特徴をあてている。
部分部分で例えられる動物が変わっても、基本的に龍は9種類の動物の特徴を併せ持つとされる。
このことは『九似説きゅうじせつ』と呼ばれる。
 9というのは、 中国では、めでたい、神聖な数字とされていて、偉大なる皇帝の象徴動物としては、理に適った特性である。

 さらに龍は、背中に81枚の鱗を持つという。
これも9×9の数である。

髭。逆鱗。博山

 龍の口元にはひげがあり、あご下には『逆鱗げきりん』を持つと言われる。
この逆鱗に触れると、龍はひどく怒るという。
 それに、龍の頭上には『博山はくさん』と呼ばれる、肉の盛り上がりがあるともされ、ここには、力の源たる水が入っているようである。

体色は変わるのか

 龍の体色は、青や黄で描かれることが多いそうである。
他には、赤、白、黒、の龍の場合もけっこうあり、それら5色を合わせ持たされる場合もあるという。

 体色に関しては、年齢によって変わるという説もある。
5世紀頃に、任昉じんぼうという人が書いたとされる『述異記じゅついき』には、「青色の龍は若いが、年を重ねると黄色になっていく」と書かれてるそうである。
 基本的に変化は徐々に起こるとされ、龍の寿命は数千年と、非常に長いので、普通の人間が生きている間に、ある龍の体色が変化していく様を確認することは、ほぼ不可能と思われる。

霊獣か瑞獣か

 龍は、東の青龍、南の朱雀、西の白虎、北の玄武の四神として、他の霊獣と並べられる事もあるが、やはりたいていの場合においては、別格であり、最高の存在であった。
 龍は、ウロコのある全ての動物の長とされているが、麒麟や鳳凰ほうおうなどの、他のあらゆる霊獣も含めた、全ての生物が、龍から生じたという説もある。
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 また、龍のような、ある動物群の長を、瑞獣ずいじゅうと言う。

龍の能力。水神としての力。変幻自在の神通力

尺水は何か。なぜ龍は水から生じるのか

 龍の頭部の博山は、『尺水せきすい』とも呼ばれている。
あるいは、博山に、蓄えられた水が、尺水と呼ばれる。

 戦国時代せんごくじだい(紀元前5世紀〜紀元前221)から、漢にかけてくらいに成立したとされている『管子かんし』においては、「龍は水から生ずる」とされている。
 龍は水の神、水の化身、水の霊獣、あるいは単に水棲動物。
いずれにしても、水に関連が深いと考えられているのだ。

 龍は、多彩な神通力を持っているとされているが、その力も、源たる尺水あっての事なのだという。
水を失ってしまった龍は、ありにすら勝てない、という話もある。

天候操作。天に上昇するための雲

 水神なので、当然のように、龍は雨を呼ぶ力を持ち、怒り狂った時は、大洪水を起こすとされる。
 中国では古くから、龍の模型を使った雨乞いもよく行われていたようである。

 16世紀くらいの書である、『本草綱目ほんぞうこうもく』においては、龍は、角とたてがみを持つ大蛇であり、蜃気楼は、雨の中で吐く息とされている。
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 また雲も、龍の吐いたものであり、龍は自らが吐いた雲に乗ることで、天に上昇していけるのだという。
 

変形、変身能力

 龍は巨大な生物と思われがちだが、実のところ、変幻自在だという説もある。
管子には、龍は「小さくなろうとすれば、虫ほどの大きさになれる。大きくなろうとすれば、天地を包み込めるほどの大きさになれる。高く上れば、天上の雲を突き抜け、低く下がれば、深い泉に身を沈める」と書かれているという。
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 また、龍は、ヘビ型以外に、カメや魚のような種がいるという話もある。
それらは、単に変身した姿なのかもしれない。

違いはどれほどか。蛇との関係

 昔の中国人は、蛇と龍を明確に区別していたようだが、両者が近しい関係にある事は意識していたようである。
 そこで、蛇に似ているが4足を持つこう(みずち)や、 角を持っている蛇であるきゅうといった、蛇と龍の中間の生物も、よく考えられてきたようである。

 また、「水を帯びた蛇は、 500年で蛟となり、1000年にして龍となる」、というように、龍が蛇から進化したという説もあったようである。
龍は、化け蛇なのかもしれない。
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仏教の守護神としての龍。ナーガとの関係

 法華経ほけきょうのような、経典には、龍の長たる龍王の記述がよくあるという。
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ただこれは、インドに古くより伝わるナーガの王、ナーガ・ラージャである。
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 どうも、仏教を学んだ中国人達が、ナーガの事を訳す際に、 それを中国の龍と同一視したらしい。

 しかし、ナーガもまた蛇を原型とした、架空の生物とされているが、より蛇に近い。
頭部を複数持ってたりするなど、異形の特徴もあるが、それらは龍とは共通していない。
 神聖な龍に比べると、ナーガは悪とされる事も多い。
中国でも、龍と区別される蛇は、毒性が強調され、悪とされる場合が多いという。
 ようするに、ナーガはあくまで蛇神(蛇)であり、龍とは違うと思われる。

 中国人が、ナーガを龍と同一視した事に関しては、ナーガもまた水や雨の神であったからという説もある。

 日本に伝わってきた仏教は、中国ですでに再解釈された仏教であり、日本の寺などには、守護神として、中国風の龍が描かれている事もあるが、冷静に考えれば、あれは間違った解釈なのかもしれない。
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仏教の龍は、中国人がナーガ、あるいは特別ないくつかのナーガを置き換えたものとも言えるから。

 諸々の特徴からするに、よく龍とされる、日本神話のヤマタノオロチ(八岐大蛇)は、龍というより、名前通りに蛇(ナーガ)なのかもしれない。
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龍の一覧

応龍。古代の皇帝に仕えた、翼を持つ龍

 珍しい、翼を持つ龍。
そのために応龍おうりゅうは、「翼ある龍」とも称される。
 鷲の体と翼を持ち、翼はコウモリの翼という説もあるが、これは西洋のドラゴンの影響があるのかもしれない。
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ただし、この龍自体は、かなり古くから伝えられている。
 4本の足のそれぞれに指が3本。
毛皮を持つという説もある。

 長く生きた龍が、より進化した姿と考えられる事もある。
翼を持ったためか、飛翔速度が、通常の龍よりも、遥かに速いそうである。
 強力な力を持つが、神の位ではないとされ、かつて、女神である女媧じょかに戦いを挑み、敗れた事で、仕える事になったとされる。
 また、伝説上の人物ともされる黄帝こうていにも仕えていたという。

 瑞獣の中でも、古くより別格な四霊しれいの1体とされる事もある。
他の四霊は、麒麟、鳳凰、霊亀れいきである。

四海竜王。龍宮城の伝説

 東西南北の四方それぞれの海(あるいは領土)を支配するという4体の龍。
真の姿は龍であるが、普段は巨大な龍神の姿をして、海底深くに用意された『龍宮城りゅうぐうじょう』を治めているとされる。
 雨を司り、各地の水量を管理しているそうである。
あるいは海や、水に関する様々の守護者とされている。

 東海龍王が、別格的で、最大の領土を持つという。
天の四方を司るという、天之四霊てんのしれいとも呼ばれる、四神(青龍、朱雀、白虎、玄武)の中では、東が青龍であるが、それは関係してるだろうか?

黄龍。大地と黄河

 麒麟は珍しく、 それだからこそ会場に見せたい動物とされているが、黄龍こうりゅうも同様。
あるいは、より珍しく、よりめでたいという。

 五行説などにおいて、黄は大地の色であるから、この龍は地の属性を持つ龍とされる事もある。

 四神の中心に麒麟を置いて、五神とする説もあるが、その場合も、麒麟でなく黄龍が置かれる場合がある。
 案外麒麟が長く生きると黄龍になるのかもしれない。
また、年老いた応龍と言われる事もある。

 中国の皇帝が象徴としてきた黄金龍は、実はこの黄龍のことである、という説もある。

 黄帝の時代や、王朝(紀元前20世紀〜紀元前17世紀)の、の時代に、黄河より現れた、という伝説がある。
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青龍。緑色食物の支配者か

 四神の1体とされる青龍は、東方の守護神。
青は、blueでなくgreen、つまり緑の事とする説が有力である。
 五行説に照らし合わせた五神説では、木を司る。

 体色に関しては、普通に青(blue)で描かれる事も多い。
本来の緑(green)とは、ようするに緑色植物の緑らしいから、青龍が、年取った植物が化けたか、あるいは植物の支配者ならば、青の青龍もいて、おかしくはないのかもしれない。
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白龍。最も速い龍

 天上界を統べる天帝に仕えていたとされる白龍はくりゅうは、飛行速度が、最も速い龍とされる。
他のいかなる龍も、一度逃げ去った白龍に追いつくことは、決してできないという。

 五神を全て龍とする、五竜説では、中央の黄龍、東の青龍に加え、西の白虎と置き換えられる。

 金を司り、南総里見八犬伝なんそうさとみはっけんでんでは、白龍の吐いたものが地面に入り金となる、と説明されている。

赤龍。火山から生まれし、炎を吐く龍

 五竜説において、南の朱雀と置き換えられる赤龍せきりゅうは、太陽、あるいは火山から生まれたとされている。
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 火を司り、その吐く息も、火なのだという。
ある意味、正統派の龍と対極的な存在と言える。
水に弱いのかは不明だが、もしも、その武器が火ならば、少なくとも攻撃力を弱めるのに使えると思われる。

 前漢ぜんかん(紀元前206〜紀元8)の初代皇帝である劉邦りゅうほうは、この赤龍の子である、という伝説がある。
彼の母が寝ていた時に、現れた赤龍が、母の上にきて、その後に劉邦が産まれたそうである。

黒龍。邪悪の化身か、海の守護神か

 五竜説で、北の玄武に置き換えられる黒龍こくりゅうは、神聖でありながらも、悪の存在らしい。
単に、災いをもたらす邪悪の化身とも言われる。

 姿は龍だが、なぜか2本の前足のみしか持たないという話がある。

 黒竜は、光を嫌い、平時は、深海に生きている。
そして新月の夜のみ、海上に姿を現すともされる。

 水を司り、海の動物達の守護神でもある。
魚を乱獲する者を、深海の闇に引きずり込んでしまう。
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 こんなだから、当然のように、闇属性であるという説もある。

禹。偉大な王の秘密

 夏王朝の初代皇帝とされる禹は、まさしく龍であったという伝説がある。
 史記しきには、禹は「山と川の神」として崇められていた、という記述があるようで、あるいは彼はやはり、人里に下ってきた山の龍だったのだろうか。

 禹は、強力な神通力に、優れた知能を有していた偉大な王であり、龍に例えられていた可能性もある。
ただし、夏王朝の時代に、龍の認識が今と同じようなものだったかは、ちょっと疑問であろう。
 一方で、人里に現れた禹の存在から、龍という生物の存在が知られるようになったのかもしれない。

虹蜺。虹の正体

 虹蜺こうげい、あるいは虹霓こうげいは、虹の正体である龍と考えられていた。
 単体の龍でなく、鮮やかな色の雄である虹と、暗く淡い色の雌である蜺の、組み合わせとされる。
なので、虹と蜺が出会うと、初めて虹となるのかもしれない。

 甲骨文の研究より、中国では、殷の時代には、「虹は龍」とする思想はあったのではないか、と考えられてもいる。

 虹龍は、時に人に変身し、地上に現れることもあるという。
その場合は、単体であるそうである。

螭。魔除けとして親しまれた龍の子

 、あるいは螭龍は、1〜3メートルくらいの、小型の龍か、あるいは龍の子供ともされる。
 体色は、赤、白、青の3色で、角は持たないようだから、蛟や虯の可能性もある。

 漢の時代に、武帝ぶていが、長安ちょうあん城にて、目撃したという話もある。

 古くは、魔除けの象徴として、石などによく刻まれていたという。

斗牛。人里に迷い込んでしまった龍か

 斗牛とぎゅうは、16世紀ぐらいに、よく地上に出没しては、人々を驚かせたという。
 龍とされるが、その性質は、かなりドラゴンに近い。
金などの高価な宝物を好み、そういうもので作られた柱などによく巻きついたりしたという。
集めた金銀財宝で、自ら柱を作っていた、という説もある。

 龍らしく風雨を操り、霧が現れたと思うと、そこから突然姿を見せたりしたという話もある。
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 最終的には、徳の高い帝により消し去られたらしい。

 龍は、本来は霊山など、普通、人が関われないような領域に暮らしているとされている。
斗牛はもしかすると、人里に迷い込んでしまった龍だったのかもしれない。

共工。暴君だった人面龍

 共工きょうこうは、人の頭部を持つ人面龍。
赤い髭が全身を覆っているとか、手足も人間である、という説もある。
 自身に従わない者には、容赦のない乱暴を働くことから、かなり恐れられていたという。

 どうも、この人面龍は、人間ぽい。
どこかの暴君魔術師の変身形態だったのかもしれない。
 あるいはナーガぽい。

相柳。普通にナーガか

 共工には相柳そうりゅうという臣下がいたとされる。
 相柳は、普通に、龍でないかもしれない。
共工よりも、さらにナーガぽく、蛇の体に9つの頭部を持ち、やはり人面である。

 とにかく、視界に入ったものを食い尽くそうとする習性があり、その体からは、 毒性の強い水が分泌され、大地を進むたびに、
荒れ果てさせる、という説もある。

 夏王朝の頃に、禹によって討たれたという伝説がある。

竜生九子。9の偉大な子達

 竜生九子りゅうせいきゅうしは、龍が生んだ9の子とされる。
ただし、彼らはなりそこないで、龍の子にして、龍ではないのだという。

 書によって、9の子の名前や特徴などは異なるらしいが、ほぼ共通しているのが、9の子のそれぞれの外見には、各自別々の動物があてられている事。
そして、文筆の才があるとか、戦闘が強いとか、それぞれに得意分野がある事。

 竜生九子について、かつて龍がそういう子達を生んだ事があるのか、もしくは、龍は龍以外にそれらの種を生む事があるのかは、おそらく解釈が分かれる。

 よく言われるのが以下の9種。
 贔屓(ひき)
亀に似ている。文学、あるいは重いものを持つ事を好む。
 螭吻(ちふん)
魚、あるいはクジラに似ている。水を好む。
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 蒲牢(ほろう)
龍に似ている。クジラ(巨大なものか、あるいは螭吻?)をなぜか恐れ、襲われた時は凄まじい吠え声をだす。
 狴犴(へいかん)
虎に似ている。非常に好戦的。 
 饕餮(とうてつ)
曲がった角を持つ獣。財産と食物を貪るとされる。
 蚣蝮(はか)
魚に似ている。水か、あるいは重いものを持つ事を好む。
 睚眦(がいさい)
龍に似ているが、角が1本しかない。好戦的、というより、命を奪うのが好きであるという。
 狻猊(さんげい)
獅子ししに似ている。座る事、あるいは火の煙を好む。
 因牛(しゅうぎゅう)
龍に似ているが、小さい。音楽が好き。

吉弔。食用には向かない

 吉弔きっちょうもまた、龍の子であるが、龍ではないとされている。
 その見た目は、亀の体に、竜の頭部を持っているというもの。
甲羅は、龍のウロコが何重にも重なったもの。
また、頭と尻尾が長すぎて、甲羅に入りきらないのだととも言われる。

 ある伝説によると、龍は卵を産む時、必ず2個産む。
そして、卵のひとつからは龍が、もうひとつからは、この吉弔が誕生するのだという。

 古くは、吉弔は、狩られる事があったともされる。
その肉は柔らかすぎて食用には向かなかったそうだが、血と肉と脂肪を練り合わせれば、腫れ物の薬になったそうである。

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