「地球の水資源」おいしい水と地下水。水の惑星の貴重な淡水

地球の水

おいしい飲料水

溶残成分。純水。蒸留水

 水に溶け込んでいる成分を『溶残成分(Dissolved component)』と言う。
溶残成分をぜんぜん含まない水を『純水(Clear water)』と言う。

 純水でない水でも、加熱して沸騰させ、気体にしてから、それを別の場所で冷却し、液体に戻す事で、純水を作れる。
この操作は『蒸留じょうりゅう(Distillation)』と呼ばれ、蒸留で作られた水を『蒸留水(Distilled water)』と言う。

おいしい温度。水道水は飲料水としてどうか

 純水は、通常、あまり美味しくないとされている。
これは、普段、我々が飲む飲料水に、溶残成分がたいてい含まれているため。
ようするに、純水に慣れていないためとも言われる。

 結局のところ、ある水がおいしいか、そうでないかは、個人によるが、同じ水ならば、少なくとも多くの人が、温度や、喉の乾き具合によって味は変わる、という事は認めるところであろう。

 特に温度は以外と重要とされる。
水を最も美味しいと人間が感じる温度は、12〜13°とされている。
水道水を市販の飲料水より不味いと思う人は多いが、そういう人でも、12°の水道水の方が、常温の市販飲料水よりも美味しいと感じる事は、そう珍しくないという。

硬水、軟水。水の性質

 水の美味しさは、『硬度こうど(hardness)』にも左右されると考えられている。
 水の硬度とは、マグネシウムとカルシウムの濃度から算出される値。
マグネシウムとカルシウムが含有量がんゆうりょうが多いのが『硬水(Hard water)』、少ないのが『軟水なんすい(Soft water)』である。

 一般に、地層の質の違いなどにより、欧州の水は、日本の水よりも硬度が高いとされている。

9つの化学物質。pH、RpH、DOとは何か

 一般的に、ある水の水質を議論する際に、重要視されているのが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、炭酸水素、遠祖、硫酸、硝酸、シリカの9つの化学物質である。
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 普通は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムは、陽イオン。
炭酸水素、塩素、硫酸、硝酸は、陰イオンの状態で存在するようである。
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 上記の9つの化学物質に加えて、電気伝導度、鉄、マンガン、過マンガン酸カリウム消費量、生物化学的酸素要求量、化学的酸素要求量、pH、RpH、DO

 pH(power of hydrogen)は水溶液中の水素イオン濃度で、濃度が高い場合を「酸性」、低い場合を「アルカリ性」と言う。
 RpH(Reserved pH)は、水の中に空気を通し、炭酸ガス(二酸化炭素)を除去した上でのpH量。
 DO(Dissolved Oxygen)は水に溶けてる酸素料。

地下水。起源と人との関わり

 地球は水の惑星と言われるが、その水の大半(おそらくは95パーセント以上)は、多量の塩分を含んだ『海水(Seawater)』とされる。
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 一方で、『地下水(Groundwater)』と呼ばれる水の半分くらいは、塩分をあまり含まない『淡水たんすい(Fresh water)』、あるいは『真水』とされる。

 淡水は、海水に比べ、我々が利用しやすいという点において重要である。
地上に存在する自然の淡水は、例えば川や沼の水。
雲を構成する水。
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グリーンランドや南極の氷床ひょうしょう(地面の上にある氷)や、氷河なども淡水とされる。
 地下水は、地球の水の1パーセントに満たないとされるが、それでも川や沼の水よりは多く、資源としても貴重である。
淡水の大半とされている氷河や氷床を除けば、淡水の大半は地下水とされている。

地下水面。帯水層。飽和帯。通気帯

 地下水の定義はいくつかあるが、一般的には、文字通りに「地下に存在する水」として解釈される。
それらは、基本的には大部分、雨や雪のような降水が、地面に染み込んだものと考えられている。
 さらに、地下水を大量に含む、浸透率の高い地層を『帯水層たいすいそう(Aquifer)』と言う。
 また、地中で地下水に満たされてる部分を『飽和帯(Saturation zone)』と言い、それ以外の部分は『不飽和帯(Unsaturated zone)』あるいは、空気に満たされているという意味で『通気帯(Ventilation zone)』と言う。
飽和帯と通気帯の境目は、『地下水面(Groundwater surface)』と呼ばれる。
 井戸の中を覗いた時に見える水面が、地下水面であり、飽和帯の表面という事になる。

 地下水を汲み上げすぎたり、雨があまり振らなかったら、地下水も枯渇する事はある。
しかし、逆に地下水が豊富に溜まり、圧力で地上に吹き出したりする事もある。

ミネラルウォーターとは何か

 現代社会で人類が利用している水は、半分以上が農業用水とされているが、日本では、農業用水としてはあまり地下水を利用していない。
ただし、日本が輸入している多くの穀物の大半が、地下水を利用して 生産されているので、結局のところ、日本人も地下水に多くの恩恵を受けている。

 また、我々が飲料水として飲む水は、基本的に地下水を原水(水源の水)としている。
『ミネラルウォーター』と呼ばれるものは、地下水を原水としている飲料水であり、鉱泉水こうせんすいとも呼ばれる。

 ちなみに、地下水以外の水を(時には地下水も含めた幅広い範囲の水を)原水とする飲料水は、『ボトルドウォーター』と呼ばれる事もある。
 他に、原水にあまり手を加えず、そのままボトルに詰めたものは、『ナチュラルウォーター』と呼ばれる。

空洞水。割れ目水

 石灰岩(limestone。炭酸石灰から成る水成岩)が侵食されてできた鍾乳洞しょうにゅうどうや、地下のマグマが移動する溶岩トンネル、人が掘った坑道など、地下空間の中に存在する地下水を『空洞水(Hollow water)』と言う。
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 空洞水の流動性は基本的に低いが、地下空間の地形によっては、地上の川と同じように流れている場合もある。
そういう場合の、地下水の流れる領域は、『地下川』と呼ばれている。

 空洞水に対して、地下にある岩の割れ目などに溜まった地下水を、『割れ目水(Fissure water)』とか、『亀裂きれつ水』と言う。
通常、割れ目水は、量が少ない。

化石水。初生水

 地上に降り注いだ雨や雪が地上に浸透し、その内に地表へと出てきたりするような、典型的な地下水を『循環地下水(Circulating groundwater)』という。

 より古くの時代に、堆積物に閉じ込められ、長い期間、地下に閉じ込められている地下水を『化石水(Fossil water)』と言い、油田や天然ガス採掘の際に、それらと一緒に掘り起こされたりする事がある。
油田などと一緒に出てくる水は、『鹹水かんすい』と呼ばれている。

 他に、マグマに含まれている水分が、分離して地表に出てきた、地下水は、『処女水』、あるいは『初生水』と呼ばれる。
 温泉の水は、古くは初生水が起源という説もそれなりに有力とされたが、現在は、化学的な調査により、温泉の起源は、たいてい循環地下水だという考えが主流となっている。
ただしその温泉の水を温める原理の代表的なひとつとして、火山活動は、やはりよく挙げられる。

砂漠のオアシス。氷河のオアシス

 乾いていると言われる砂漠にも地下水はあり、地下水面が高いと、植物がそれを利用して、生育出来たり、水自体湧き出たりする事もある。
そうしたものが、いわゆる「オアシス」であるが、オアシスの地下水は、普通は循環地下水と考えられている。

 砂漠ではないが、南極などは、氷ばかりで乾燥し、液体の水が少ないという事で、「極地砂漠」などと呼ばれる。
そうした場所でも、地下水は確認され、「南極オアシス」と呼ばれるような湖を作ったりする場合がある。
南極の地下水は、塩分濃度が高いために、極度の低温でも凍結しないようである。

 また、海底にすら地下水は存在し、普通に噴き出したりする事もあるという。

井戸の水は夏に冷たく、冬に暖かいか

 湧き水や、井戸の水は、 「夏に冷たく、冬に暖かい」と言われる事もある。
実際のところ、地下水はあまり、地上の気候の変動による影響をあまり受けないので、冬だろうが夏だろうが、温度はそんなに変わらない。
ただ、地上にいる我々からすると、体感的に、夏が冷たく、冬は暖かいように感じられるだけのこと。

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