「雲と雨の仕組み」それはどこから来てるのか?

雲

雲の種類

わた雲。入道雲。積乱雲

 雲と聞いて、たいてい頭に浮かぶ綿わたのような雲を『わた雲』、あるいは『積雲せきうん(cumulus)』という。
発達して巨大になった積雲は、『入道雲にゅうどうぐも』、あるいは『雄大積雲ゆうだいせきうん(cumulus congestus cloud)』。
そして雷をともなう雨を降らせるようになった雄大積雲を『積乱雲せきらんうん(cumulonimbus)』という。

 特に季節的に夏によく見られる、それらの雲は水や氷の粒が集まって出来ている。
 
 雲を構成する粒の総量は、普通に数十トンとかいくが、粒ひとつひとつは大した落下速度を持たない。
なので雲はわずかな『上昇気流(Updraft)』で、あっさり上昇し、落ちてきたりはしない。

十種雲形

 他にもその形状などから、雲には様々な種類がある。

 空の多くを覆う薄いベールのような『巻層雲けんそううん(cirrostratus。うす雲)』。
破片が大量に集まったような、うろこや波みたいに見えるという『巻積雲けんせきうん(cirrocumulus。うろこ雲)』 。
筋状に見える『巻雲けんうん(Cirrus。巻き雲)』。
巻層雲のように空の広い範囲を覆うが、曇り気味の『高層雲(altostratus。おぼろ雲)』。
巻積雲よりも、よりはっきりと白かったり、灰色の塊の集合である『高積雲(altocumulus。羊雲)』
厚く広がる『乱層雲(nimbostratus。雨雲)』
地上近くに広がる、いわば上空の霧である『層雲(stratus。霧雲)』
畑のうねのように並ぶ『層積雲(stratocumulus。うね雲)』

 上記8つに、積雲と積乱雲を足して、『十種雲形(general of cloud-forms)』と言う。
これらはつまり、雲の基本形である。

上昇気流とは

気圧。ヘクトパスカル

 この地球上において、空気も含めたあらゆる物にかかる重力は、地球から離れるほど弱くなるとニュートンは示した。
リンゴの木「ニュートン」万有引力の発見。秘密主義の世紀の天才 なので、地球上において、地球から離れた地点、つまり高い地点ほど、(空気が軽い為に)『気圧(atmospheric pressure)』は弱い。
この事に関しては、ニュートンよりさらに古い時代に示されている。
実験室「原子の発見の歴史」見えないものを研究した人たち  圧力の単位として『ヘクトパスカル(hPa)』というのがあるが、標高0m(海面の高さ)の平均的な気圧がだいたい1013.25hPaとされる。
気象学者は、この1013.25hPaという圧力を『1気圧』としている。

 1気圧はまた、『標準気圧(standard atmosphere)』とも言われる。

気圧傾度力。静力学平衡

 気圧は実際には、デタラメに暴れる気体分子の大群であり、あらゆる方向にその力をかける。
化学反応「化学反応の基礎」原子とは何か、分子量は何の量か流体「流体とは何か」物理的に自由な状態。レイノルズ数とフルード数 地上に近いほど気圧は強い。
なので当然、気圧の中で、(これは妙な話かもしれないけど(注釈1))重力を無視すれば、気圧中の何かへの圧力は、上向きのが強い。

 そういうわけで、気圧というのは、基本的に上昇させる力であり、この地球からの位置関係により発生する上向きの力を、『気圧傾度力(pressure gradient)』という。

 また奇妙に思えるかもしれないが、気圧は、空気の塊にもかかる。
もちろん重力も。
そこで空気の塊は、それにかかる気圧傾度力と重力の差によって、上昇か下降するのだが、当然、それらが同じ力の時は、上昇も下降もしない。
そういう釣り合いの状態を『静水圧平衡せいすいあつへいこう(hydrostatic equilibrium)』、あるいは『静力学平衡』という。

(注釈1)一方は採用。一方は無視

 重力により得た気体分子の重さは無視しない。
無視するのは、気圧中の中で、その圧力にさらされてる何かにかかる重力である。

気圧方程式

 気体分子の運動は温度が高いほどに激しさを増す。
するとどうなるか。
気体分子の勢いが増した分、それらの総合力である気圧は強くなる。

 つまり気圧傾度力も強くなり、空気の塊などは上昇する。
これが上昇気流と呼ばれる現象である。

 気圧の範囲(体積)や、温度の関係は、簡単な方程式、
PV=nRT
で表せられる、

 式のPが気圧。
Vが体積。
nが分子の数。
Rが気体定数という定数。
Tが温度である。

雲が出来る仕組み

水蒸気。乾燥した空気

 空気の中には『水蒸気(water vapor)』、つまり気体となった水が含まれてる場合がある。
水蒸気が含まれていない空気は、『乾燥した空気(Dry air)』である。

 アボガドロの法則というのによると、一定温度で、一定気圧の、一定体積の中に含まれる分子の数は一定である。
仮に気体が1気圧で0℃の時、22.4Lの気体に含まれる気体分子の(アボガドロ数と呼ばれる)数は、必ず6×10^23くらいなのである。

 乾燥した空気はほぼ酸素(Oxygen. N8)と窒素(Nitrogen. N7)で構成されている。
ここに水蒸気が入ると、アボガドロの法則より、その分、酸素と窒素の量が減る。
そして単体の水蒸気は、単体の酸素や窒素よりも軽い。
なので、水蒸気が含まれた空気は、乾燥した空気より軽くなる。

エアロゾル。雲の粒の核

 気体だけで構成された綺麗な空気もよいが、雲を作るには、余計な物を含んだ空気が欠かせない。
そういう余計な物。
気体中や液体中に漂う微粒子などを『コロイド粒子』という。
そして、空気中に含まれるコロイド粒子を『エアロゾル(aerosol)』という。

 エアロゾルとは、ようするにホコリとか砂とか灰とか、そういうのである。
大気には基本、1立法cmごとに1000~15000くらいの量のエアロゾルが、含まれているとされる。

 空気中の水蒸気が、エアロゾルを媒介として凝結する事がある。
そうして出来た水滴や氷晶ひょうしょう(氷の結晶)が、雲の粒である。
結晶「結晶とはなにか」自然はなぜ簡単に規則正しく存在出来るみたいなのか  そのような雲の粒の核となるエアロゾルは、水滴の場合は『凝結核ぎょうけつかく(condensation nucleus)』。
氷晶の場合は『氷晶核(ice forming nucleus)』と呼ばれる。

なぜ空で出来るのか。雲生成のシナリオ

 雲が出来るシナリオはこういうものだ。
上昇気流により、水蒸気を含んだ空気の塊が、空高く昇っていく。
空高くの領域では気圧が弱いので、上昇した空気の塊は膨張する。
空気が膨張した事で、その温度は冷え、空気内部の水蒸気が、エアロゾルを利用して、雲の粒を作っていく。
そうした雲の粒がある程度以上の数、形成されたものが、我々が雲と呼んでいるものである。

 しかし晴天の日など、大気が乾燥していたり、雲や上昇気流の状態によって、粒がけっこう落ちてしまっていく場合には、雲は、未完成のまま、あるいは完成してもすぐに消滅する。
そもそも雲の寿命はそう長くないが、わりとしょっちゅう作られるので、たいてい空には雲がある。

雨が降る仕組み

 ただ雲が出来ただけでは雨は降らない。
雲の粒に比べ、雨の粒はかなりでかい。
しかし雲の寿命はそれほど長くないので、成長の猶予はあまりない。
雨には、ある程度の雲の粒が急成長する仕組みがいる。

暖かい雨

 例えば、水分子というのは、全体で中性であっても、部分的にはマイナス電荷、プラス電荷を有する極性分子である。
このような分子は、イオンに惹き付けられやすい。
雷「電磁気学」最初の場の理論。電気と磁気の関係  大気中のエアロゾルにもイオンが含まれてる場合があり、それは水分子を惹き付ける為に逃がしにくく、他よりも成長が早い。

 また、海上などは、陸上よりも核となるようなエアロゾルが少ないとされるが、そういう状況は、少ない核が、水分子を独占出来るという事でもある。
しかも海上を飛ぶ塩の分子は、最初からわりと大きめ。
海洋海はなぜ塩水なのか?地球の水分循環システム「海洋」  そして大きく雨の粒となったそれらは、大きさ故に速い落下速度で、下に降り注ぐ。
熱帯の海などでよく降るこのような雨は『暖かい雨』と言われ、雲の形成から、すぐに降る。

冷たい雨と雪

 雨は水、液体である。
暖かい雨は、形成段階から液体。
これに対して『冷たい雨』と呼ばれるものは、形成段階では氷(個体)であるが、地上へ落ちてくるまでに、とけて液体になったというもの。
このタイプの雨の仕組みの初期の提唱者には、大陸移動説で有名なアルフレッド・ウェーゲナー(Alfred Lothar Wegener。1880~1930)がいるらしい。
プレート地図「プレートテクトニクス」大陸移動説と地質学者たちの冒険  しかし、それを理論としてちゃんと確立したのは、スウェーデンのベルシェロン(Tor Bergeron。1891~1977)とドイツのフィンデセン(Theodor Robert Walter Findeisen。1909~1945)とされていて、それは「ベルシェロンとフィンデセンの氷晶説(Bergeron Findeisen process)」と言われるという。

 出来たばかりの小さな氷晶は、少しぶつかったりするだけで壊れる脆いものだが、偶然、衝突を避けて、ある程度以上の大きさになると、むしろ衝突は、その衝突してきた分子をさらに取り込む成長要素となる。
そしてある程度規律よく分子が配置された塊となった氷晶を『雪(snow)』と言う。

 もちろん、これが溶けずに地上へ降ってきたら、雨でなく雪と呼ばれる。
大きな雪なら『あられ(hail)』や『ひょう』と呼ばれ、大きな雪が溶けて出来た雨なら『大粒の雨』と呼ばれる。

 氷晶はかなり高い空で発生する。
より高い雲で発生した氷晶が、その下の雲にて、雪となり、地上には雨として降り注ぐというような事もある。
あまり空高くない雲から降る雨は、基本、そのような何重かの構造である。

雷について

 氷晶や雹が雲の中でぶつかり、摩擦により電圧を生じさせる場合がある。
その電圧が高まり過ぎて、雲から電流が放たれ、別の雲や、地上へと走る事がある。
それが雷と呼ばれる現象である。
 
 雷は、昔は、電気なのか、光なのか、全く未知の何かなのか、さっぱりわからない、とりあえず恐ろしい現象であった。
しかしフランクリン(Benjamin Franklin。1706~1790)が、それは電気だと証明し、マクスウェル(James Clerk Maxwell。1831~1879)が、電気は光だと証明した。
電気実験「電気の発見の歴史」電磁気学を築いた人達「マクスウェル」電磁気学の方程式、土星の輪、色彩、口下手な大物理学者の人生  つまり雷は電気であり、光だったわけである。

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