「風が吹く仕組み」台風はなぜ発生するのか?コリオリ力と気圧差

渦巻く風

風はどうして吹くのか

風は流体。気圧傾度力

 風は流体としての空気の流れである。
流体は圧力が強い方から、弱い方へと流れる性質がある。
流体「流体とは何か」物理的に自由な状態。レイノルズ数とフルード数  例えばUの字の形をした入れ物に、水入れたとして、片方に圧力かけると、もう片方から、水は吹き出るだろう。

 これと同じように、風は高気圧な方から低気圧の方へ流れる。
流体の流れは、エネルギーの流れであり、力の流れでもある。
 高気圧から低気圧への、その流れてく力を、『気圧傾度力(pressure gradient)』という。
 気圧差が出来る原因として、主に考えられるのは温度差による熱対流が原因の空気の移動である。
温度「気温の原因」温室効果の仕組み。空はなぜ青いのか。地球寒冷化。地球温暖化 温度差が気圧差を生み、風を吹かすのである。

(エッセー)なぜ世界はバランスを保つか

 気圧傾度力だけでなく、熱や電圧などもそうだ。
雷「電磁気学」最初の場の理論。電気と磁気の関係 高い圧から、低い圧に流れようとするのは、同じに近づいている。
バランスをとろうとしてるように思える。
 だが、なぜこの世界はバランスを保とうとするのか。
これは当たり前のようだが、よく考えてみると「世界がそうなっているから」としかおそらく答えられない問題である。

 相対性理論によると、時空は平坦でない。
時空の歪み「特殊相対性理論と一般相対性理論」違いあう感覚で成り立つ宇宙  そのような世界自体の構造が、平均値を好む物の性質に関与しているのだろうか?

 逆にこの平均を特に好まないらしいモノはもしかして特別な何かではないだろうか?
例えば(おそらくだが)意識とか。
コネクトーム「意識とは何か」科学と哲学、無意識と世界の狭間で

高気圧、低気圧の基準。天気図、等圧線の見方

 『天気図(Weather map)』には気圧の等しい部分を結んだ『等圧線(isobar)』という線が書かれている。
気圧傾度力は、等圧線に直角に働く。
 そして等圧線は、ある程度の気圧差ごとに書かれるので、その間隔が短いという事は、ある等圧線と等圧線の短い間に高い気圧の差が生じている事を意味する。
つまり気圧傾度力は等圧線の間隔が短いエリアほど強い。

 天気図の等圧線の気圧は、『現地気圧』、つまり地上で観測された気圧をそのまま使っている訳ではない。
基本的には、重力の影響などを少なく考える為に、現地気圧を、海面の高さで測った場合を想定したものに調整する。
そのように補正された気圧を『海面気圧』と言う。
また、海面気圧基準の天気図を『地上天気図』と言う。

 海面気圧は、温度から求められる大気の鉛直方向の気圧分布の平均に基づいて算出される。

 等圧線が円状に閉じている場合に、その中心の気圧が周囲より高くなってる所が、高気圧。
低くなっている所が、低気圧と表現される。

地球上に吹きすさぶ風。なぜ風は渦を巻くのか

コリオリ力。風が渦を巻く理由

 地球が丸く自転している為に、地球上の物質は、水平方向にまっすぐ進むのが非常に難しい。
風も例外ではない。
普通、地球上の物質は、それがまっすぐ進もうとする時に、その進行方向を曲げようとする、自転由来の力にさらされる。
そのような自転由来の力を『コリオリ力』という。

 気圧傾度力は天気図の等圧線に直角の方向に働く。
風が吹く原因は気圧傾度力だが、風の吹く方向まで等圧線に直角な訳ではない。
吹き出した風にはコリオリ力はもちろん、他物質との摩擦や、等圧線が直線でない場合は遠心力なども働くからである。

 普通、コリオリ力は風の吹く方向に対して直角方向に働いている。
 他物質が進行方向になくとも、地上の摩擦力は働く。
この地上の摩擦力は風の吹く方向と逆に働く。
摩擦力は、陸上より海上の方がかなり少ないとされる。
 遠心力は、等圧線の曲がり具合による。

 そのように、様々な力が働いた結果、地球上全体のあちこちの風は、結果的に渦を巻きあうような流れとなる。

 また、上空では、地上との摩擦がなく、等圧線に対し平行(気圧が低い側を左手)に風が吹く場合がある。
そのような風を『地衡風(geostrophic wind)』と言う。
 曲がった等圧線に平行な風は『傾度風(inclination wind)』と言われる事もある。

赤道。低緯度、中緯度、高緯度とは

 『赤道(equator)』というのは、地球の自転軸と直角をなす平面が、地表と交わる部分としての線である。
 その赤道を基準として、どれくらい北または南にずれているかの度合を『緯度(latitude)』と言う。
緯度の数値は、ある地点が、地球の中心とを結ぶ直線と、赤道線との角度である。
北緯何度、南緯何度というように表現する。

 また低緯度、中緯度、高緯度と分類される事もある。
これらはたいてい、低緯度が0~30度、中緯度が30~60度、高緯度が60~90度の地域の事である。

赤道低圧帯。熱帯収束帯

 空気は暖められると上昇する傾向にあり、日射量が多い赤道付近などの地域は地上の気圧は低くなりやすい。
そうして赤道付近に出来た低気圧地域を『赤道低圧帯』と言う。
 すると低気圧ゆえにそこには南北から風が吹き込んできて、それが上昇気流となって、積乱雲が生じやすい。
雲「雲と雨の仕組み」それはどこから来てるのか? 衛生などが捉える、そのような赤道低圧帯の雲が作る帯は、『熱帯収束帯(Tropical convergence zone)』と呼ばれる。

亜熱帯高気圧。砂漠を作る風

 コリオリ力などの影響により、赤道低圧帯上空の風は、高緯度に達せず、中緯度に溜まっていく。
すると当然、中緯度は気圧が高くなりやすくなる。
そのようにして中緯度に出来た気圧の高い地域を『亜熱帯高圧帯(Subtropical high pressure zone)』、あるいは『中緯度高圧帯』と言う。
さらにそこに出来る高気圧を『亜熱帯高気圧(Subtropical high)』と言う。
  亜熱帯高気圧は、熱く乾燥した空気をともないやすく、砂漠環境を生みやすい。
実際、アフリカのサハラ砂漠や、中東やオーストラリアの砂漠などは、亜熱帯高気圧が原因で出来たと考えられている。
 日本の夏に影響を与えるという『太平洋高気圧』、あるいは『小笠原高気圧』も海洋上に出来た亜熱帯高気圧とされる。
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ジェット気流。貿易風。偏西風

 亜熱帯高圧帯の上空の風は、自転軸と距離を変化させる事による、その影響の変化により、加速し、秒速30mくらいとされる強い風を発生させる事がある。
そのような風を『亜熱帯ジェット気流(Subtropical jet stream)』と言う。

 ところで赤道低圧帯から亜熱帯高圧帯への風は、コリオリ力の影響で曲げられ、『西風』となる。
逆に亜熱帯高圧帯から赤道低圧帯への風は、『東風』となる。
その東風はまた、『貿易風(trade wind)』とも呼ばれる。
 太平洋や大西洋には、1年中、貿易風が吹いてる貿易風帯があり、帆船で旅をした時代には、重要な航路であった。

 亜熱帯高圧帯から高緯度側に吹く地上の風は、コリオリ力により右に曲げられ、西風となる。
そうして中緯度に吹く大規模な風を『偏西風(prevailing westerlies)』と言う。
日本は一応、偏西風帯に含まれている。

 しかし日本にいて、あまり西ばかりから風が吹いていると感じる事はない。
これは、地上でよく吹く貿易風に対し、偏西風は、上空でこそよく吹くからである。
実際、日本でも、上空では、しっかり西風ばかり吹いているのだという。

寒帯前線。極高気圧

 温度が異なる空気がぶつかる境目エリアを『寒帯前線(polar front)』と言う。

 太陽光に対する角度の関係もあり、極(緯度90度の付近)の空気は冷たい。
 その極の冷たい空気と、亜熱帯高圧帯の暖かい空気との寒帯前線では、流れてきた暖かい空気が上昇気流となり、やはり雲が出来やすい。
 また、寒帯前線上空にも、強い西風が吹きやすいようで、『寒帯前線ジェット気流』と呼ばれている。

 極の近くは、中緯度方面から上空に流れてきた空気の影響で、その地上は高気圧気味であり、『極高気圧(polar high)』と呼ばれる。
極高気圧から吹き出す風は、東風であり、『極偏東風』と言われているが、上空では西風が吹いているという。

 ちなみに日本は偏西風帯であると同時に、寒帯前線がかかる地域でもある。

季節風。モンスーン

 地球上の要素は多く、風の流れに関して、特に北半球では複雑な傾向が強い。
 例えば日本からインドにかけての地域のように、冬には大陸から海洋へ向かう風が吹く。
しかし夏には海洋から大陸へ風が吹くというように、冬と夏により、風の吹く向きが逆になるという地域もある。

 そのような季節により向きを変える風を、『季節風(seasonal winds)』とか『モンスーン』とか言う。

台風発生のメカニズム

温帯低気圧。熱帯低気圧

 中緯度の温帯で発生する低気圧を、『温帯低気圧(extratropical cyclone)』と言う。
温帯低気圧は、たいてい『前線』をともなう。
 前線とは、暖気と寒気の接する、地上の境界である。

 発達した低気圧の周囲では、等圧線の間隔が短くなり、風が強まる。

 一方、熱帯で発生する『熱帯低気圧( tropical cyclone)』というものがある。
温帯低気圧は、寒気と暖気の複合であるのに対し、熱帯低気圧は、『赤道気団(equatorial air mass)』という暖かい空気で構成されている。
 そしてこの熱帯低気圧が大きく育ったものが、『台風』なのである。
 

台風の定義

 台風とは、熱帯低気圧のうち、中心付近の最大風速が34ノット(秒速17.2m)以上のもの。

 台風は国際的には『タイフーン(Typhoon)』と呼ばれ、名称は異なるが、気象学的には同じ性質の現象が世界各地にある。
例えばハリケーンや、トロピカルサイクロンなどがそうである。

台風はどこで、どのようにして発生するのか

 台風は熱帯の海上でのみ発生するようで、普通は赤道を越えない。
 また海上でも、海水温が低いエリアでは、熱帯低気圧は発生しにくいとされる。
海水温が高いと、上層の空気は暖められ、しかも蒸発による水蒸気が多い。
 そして熱帯収束帯のような、積乱雲の『クラウドクラスター(雲集団)』が発生したりする。
そのように、ある程度まとまって、発生や発達を繰り返すクラウドクラスターから、熱帯低気圧は生まれやすい。
クラウドクラスターは、上空で発達すると共に熱を溜め込み、空気を暖め、さらなる上昇気流を誘発し、地表に低気圧の部分を形成する。
するとその低気圧部分に、気圧傾度力により、また風が流れ込み、コリオリ力により渦を巻く。
 そういうサイクルを繰り返し、台風は作られる。

 他の条件が揃っているのに、赤道で台風が出来ない事から、コリオリ力はけっこう重要なのだと考えられる。

 また、台風は渦巻く風であり、中心には、風が弱い領域が出来る事もある。
それが『台風の目(the eye of a typhoon)』と呼ばれるものである。

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