トーラス体の公式
ドーナツのような、リング状の立体を「トーラス体(Torus body)」と言う。
トーラス体は、平面図形を三次元空間で周回運動させることで生じる立体でもある。
また、その場合に元となった平面図形は、トーラス体の断面となる。
「断面の面積をS、そのトーラス体を形成した周回運動の中心から、周回する平面図形(断面面積)の重心までの距離がRである、トーラス体の体積Vの公式」
「断面の円周の長さをL、それを形成した周回運動の中心から、周回する平面図形の重心までをRとした、トーラス体の表面積Sの公式」
パップス・ギュルダンの定理
トーラス体は『回転体(solid of revolution)』の一つ。
回転体とは、適当な平面図形を三次元空間内の適当な点を軸に一回転(周回運動)させることにより、その軌跡から得られる立体図形。
そして回転体というものを考えるにあたって便利なのが、4世紀頃のアレキサンドリアのパップスと、もっと後の人であるパウル・ギュルダン(1577~1643)が、それぞれ独立に発見したとされている『パップス・ギュルダンの定理』である。
定理は第一と第二があり、第一が回転体の表面積、第二が体積に関係したもの。
表面積 = 回転する図形の重心が回転により描く軌跡の長さ × 図形を構成する線の長さ(第一)
回転体の体積 = 回転する図形の重心が回転により描く軌跡の長さ × 図形の面積(第二)
「重心」とは、物体に働く(例えば力のような)要素の分布の平均点の位置。
図形の場合は、図形を構成するすべての点の平均点、すなわち中心点と考えてよい。
積分的に考えればわかりやすい。「取り尽くし法」台形、三角形、円を、積分と極限で求める術
回転体という形は、どこかで(ただし回転体を上から見た中心から直線的に)切った断面積の一回転(軌跡)分の集合体である。
つまり回転体の表面積は、断面を構成する線の長さの集合。
体積は、断面積の集合と考えられる。
この事を計算式に当てはめると、パップス・ギュルダンの定理は自然と出てくる。「数を数えること」自然数とは何か。その時、我々は何をしているのか
「カヴァリエリの原理」錐体、球体の体積。半球と円錐の関係
円の面積、円周の軌跡分
トーラス体の場合はどうであろう。
トーラス体の場合、断面積は円になる。
円なら簡単に計算できる。
断面積の場合は、中心点(重心)から、円を構成する点の一つまでの長さ、すなわち半径rさえ図れば、後は公式「r^2 × π」を使えばよい。
重心の軌跡はどうやってだすかは、トーラス体を上から見れば明らかだ。
トーラス体を上から見たら、 中心に丸い穴が開いた円、輪の形になっている。
つまりその断面積の重心が描く軌跡の長さとは、輪の中心点から、断面積の円の中心点までの長さを半径Rとした円の、円周の長さも同じである。
ようするに「2×R×π」である。
r^2 × πをSとまとめれば、後は公式である。
表面積は、トーラス体の場合は、断面の円の円周の長さが、回転図形を構成する線の長さである。
よってその長さは「2×r×π」。
そしてこれをLとまとめれば、公式となる。