「日本料理の基礎」おいしい水、薄口醤油、行平鍋、火の使い方

素材、調味料。水と塩と醤油

おいしい水の大切さ

 日本料理は「水分(moisture)」を多量に使うとされる。
水分の成分の比率自体も多い。
汁物はもちろん、米などにも水分が染み込んでいる。
この料理に利用される水の味が、最終的に完成する味にもかなり影響を与えるとされる。

 つまり「おいしい水(Delicious water)」こそが、日本料理の重要な鍵なのである。
「水道水(Tap water)」よりも、ミネラルウォーターなどを使うほうが、日本料理は美味しくなるのだ。
地球の水「地球の水資源」おいしい水と地下水。水の惑星の貴重な淡水

濃口と薄口醤油と、素材

 素材がもともと持つ甘みや旨味を、そのまま生かすのが日本料理。
そんなだから、過度な味付けは必要ないが、基本的には「醤油(Soy sauce)」と「塩(Salt)」、特に醤油は重要とされる。

 とはいえ高級なのを使えばよいという話でもない。
醤油を使うにあたり大切なのは「濃口(dark soy sauce)」と「薄口(light soy sauce)」の使い分けである。

 濃口醤油と薄口醤油は見た目の色から付けられている名前であるが、薄口醤油の方が塩分が高いというのがちょっとややこしい。

 濃口醤油は基本的に、「香り(fragrance)」と「甘味(sweet taste)」が濃いとされていて、香り付けの役割を果たす。
薄口醤油はやや「渋味(astringency)」で、香りが控えめなので、素材自体の味を引き出したい場合にはうってつけである。

 また、「だし(出汁。soup stock)」とは、文字通り、素材から出た汁のことである。
すでにたっぷりと旨みを持つ素材を使う場合は、あえて別のだしの風味に染めない方が得策なこともある。

調理器具。鍋と包丁のこと

行平鍋の構造はどんなか

 日本料理で使われる鍋といえば、雪平鍋とも書く『行平鍋ゆきひらなべ(Gyohira hot pot)』である。
それは、注ぎ口と持ち手がついた片手鍋で、汁もの、炒め物、揚げ物など、幅広く利用できる。

 行平鍋は全体にある程度の厚みがあり、底の角が丸みを帯びている。
その底の丸みが、火のあたりをやわらかくすると言われる。
さらに全面に「打ち出し」と言われる凸凹があり、それにより熱が細く伝わるのだとされる。
そうした火との相性が、日本料理独特の優しい味わいを生み出すのである。

出刃包丁は、和包丁の代表

 日本の伝統的な包丁は「和包丁(Japanese kitchen knife)」と呼ばれている。
炭素含有量が控えめな「地金じきん(金属の塊)」と「はがね(硬く加工しやすい、炭素を0.04パーセントから2パーセント程度含む鉄の合金)」を合わせたよう構造が基本。

 また、片刃のものが多い。

 用途に応じて様々な種類があるが、日本料理において特に重要なのは、魚を切るのに適している「出刃包丁でばぼうちょう(Deba knife)」であろう。

 出刃包丁は、スムーズに魚の骨を切断するために、刃が厚くがっしりと作られている。

調理法。火の調節、魚の処理

強くは禁じ手な火加減

 一般的に、日本料理では強火はあまり使われない。
汁物などであれば、あまりぼこぼこ沸き立たせすぎないことが肝心とされている。
沸き立てば、それだけ水や調味料が、料理自体から失われてしまうからだ。

 火加減はその火そのものを見るのも重要であるが、鍋の中の状態も大切。
そこまで強い火力でなくとも、あんまり長時間続くようなら、やはり必要以上に沸いてくる可能性があるからだ。
その時はさらに火力を弱める。

 沸き立たせすぎるのはダメだが、当然、料理はしっかり煮る必要があるので、熱の調整が重要なわけだ。

 しかしほうれん草などの野菜を茹でる場合は、なるべく早く火を通すために強火を使うことはよいという。
それでも強すぎない火力は常に意識される。

水洗いしておろす、がさばく

 日本料理に魚は欠かせない。
そして魚料理は、ウロコとか内臓とか骨の事前処理が大切。
「魚類」進化合戦を勝ち抜いた脊椎動物の始祖様 包丁などを使って行われるそれらの処理を「おろす(fillet)」。
また「水洗い(Washing with water)」などもふくめて「さばく(clean)」と言う。

 水洗いは、魚をおろすことができるようになる段階までの、全ての作業(例えばウロコ取りとか)のことを含む意味の場合もある。

 よく「三枚おろし(Three grated)」と言われるのは、上身、下身、中骨の3つに切り分けること。

 魚のおろしの修行は「アジに始まり、アジに終わる」とされ、「アジさえ完璧におろせるなら、クジラだっておろせる」とか言われるらしい。
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