「ロサンゼルスの戦い」真相は機密か。史上最初(?)のUFOへの大規模攻撃

ロサンゼルスの戦い

情報公開法と、アメリカ政府のUFO陰謀論

 UFO現象というのを語る上では避けて通れないであろう、「アメリカ政府による陰謀説(American government conspiracy theory)」。

 1947年にケネス・アーノルドのUFO目撃事件以降、 アメリカという国では国民の UFO 現象に対する関心が高くなり、多くの(おそらくはほとんど誤認や思い込みだが)UFO目撃事件が起きてきた。
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 アメリカ政府の陰謀説とはようするに、「政府はUFO現象の原因をすでに掴んでいるにもかかわらず、それをあえて隠している」とか、「そもそもUFO現象はアメリカ政府が引き起こしている演出」とかいった仮説である。
過激な思想として、「UFOの搭乗員は地球外生物であり、その地球外生物の存在をアメリカ政府が隠している」というようなものまである。

 実際に、このような陰謀論などバカバカしいと笑う者であっても、アメリカ政府がUFO現象に対して、明らかな嘘を数十年単位で続けていたことは、たいてい認めるところである。
 1974年に『自由情報(Freedom of Information Act。FOIA)』をより強調した『情報公開法(Information disclosure law)』。
つまり、要求された公式記録は、その要求主が誰であろうと、公開しなければならないという法律により、白日の元に晒された多くの記録がその事実を示しているという。
アメリカ政府の公的機関のいくつか(例えばCIA)が、UFO現象になど興味がないという態度を表向きでは取りつつも、しっかりと強い関心を持って調査していたことが明らかとなっているのだ。

戦い、あるいはロサンゼルス空襲事件はなぜ重要か

 『ロサンゼルスの戦い(Battle of Los Angeles)』とか、『ロサンゼルス空襲事件(Los Angeles air raid incident)』とか呼ばれる事件がある。
 これはUFO神話の歴史を語る者にとっても、アメリカ政府とUFO現象との関わりに興味がある者にとっても、しばしば非常に重要視される事件である。

 この事件が起きたのは1942年と、アーノルド事件よりも以前。
つまりこの事件は、まだ民間の人たちにUFO(未確認飛行物体)という名称が浸透するよりも前の時代のUFO事件であるが、決して最初の(公式記録に残った)UFO事件というわけではない。

 しかしこの事件は、アメリカ政府当局が隠蔽工作、あるいはそうと思われて仕方ないような振る舞いをした、最初のケースとされている。
だから重要視されるわけである。

ロサンゼルス上空に現れた飛行物体と、軍による迎撃

 時は第二次世界大戦中の1942年2月25日。
有名な、日本軍による真珠湾攻撃から、わずか3ヶ月程度しか経っていない時期のこと。

事件の前触れ。日本軍の奇襲の恐怖

 アメリカのどの都市でも当時はそうだったが、カリフォルニア州のロサンゼルスも、いつ来るかもしれない日本軍の攻撃に関して、かなり過敏になっていた。

 実際、事件が起こる2日前の23日に、日本軍の潜水艦がサンタバーバラ、エルウッドの街から2キロほどの沖に上陸し、石油タンクに砲撃するという事件も起きている。
 そして、当時のアメリカ大統領ルーズベルトが、ラジオで「もはやこの国に、絶対安全と言える場所はどこにもない」と国民に警告し、緊張感は最高潮に達していたとされている。

レーダーが捉えた未確認飛行物体

 25日の午前2時15分頃。
軍のレーダーが、190キロほどの沖に謎の物体を捉えた。
ロサンゼルスの街に空襲サイレンが鳴り響いたのは、そのわずか10分後のことであった。

 そして3時16分。
大量の対空砲が、迫り来る未確認飛行物体に砲撃を開始した。

 軍の関係者から民間人に至るまで、様々な証言があるが、とりあえず飛行物体が複数あったことはほぼ確実なようだった。

高速で飛んだ飛行物体。照明灯に照らされた飛行物体

 空を高速で飛ぶ飛行物体は赤か銀色で、編隊を組んでいるようだった。
 おそらく時速3万kmほどで、大量の弾丸が交差する中を、不規則な動きでくぐり抜けていったともいう。

 一方で明らかにゆっくりと飛んでいる飛行物体もあり、ある地点で 一定期間停止したものもあったようだ。
特に、西部のカルバーシティ上空で停止した物体は、照明灯に照らされ、写真にまで撮られた。
 その写真は確かに光のつぶつぶのようなものをサーチライトが照らしているように見えなくもないが、はっきりと飛行物体が写っているわけではない。
光のつぶつぶも対空砲の閃光だという説が有力である。
 また、そこに本当に飛行物体が存在していたなら、それには明らかに対空砲の弾が当たりまくっていたと思われるが、どうも効かなかったらしい。

1430発の弾丸のもたらした成果

 素早く飛ぶ物体とゆっくり飛ぶ物体の2タイプがあったという見方もあり、ゆっくりな方が先に姿を消したようである。

 そして素早く動く小型(?)の方に対しては、 午前4時14分頃まで 攻撃が続けられたが、結局一発も当たらなかったとされている。
 迎撃機は一機も放たれなかったが、これは対空砲がひっきりなしに撃たれていたのに加え、当時はまだ夜間飛行など対応していない軍用機ばかりだったためと考えられる。

 この事件により1430発の弾丸が消費されたが、対空攻撃的な成果はゼロだった。
代わりに、周囲の建物にそこそこのダメージを与えてしまったのと、 破片に当たってしまった者と、ショック死してしまった者で3人ずつ、合計6人の命が失われたという。

当事者たちの様々な証言

 実際にその事件を体験していた人たちの証言は様々である。

「小型の飛行物体は 様々なところから急に現れては 素早くジグザグひこをして 突然また消えたりした」

「おそらく30くらいの飛行機がでたらめに飛び回っていたが、動きが早すぎて正確な数は数えられなかった」

「編隊を組んでいた中には、かなりゆっくりした動きのものもあった。それはまるで、自分たちが引き起こしている地上の騒ぎにまったく気づいていないかのようだった」

 ある航空警備員は、「私の真上にそれは来たが、かなりの巨大さだった」と主張したという。

事件の真相。その時、ロサンゼルスで何が起きていたのか

陰謀論者が語る政府による隠蔽工作

 事件の翌日。
フランク・ノックス海軍長官が、「飛行機は一機もはっきり確認されてない。この事件は兵士たちの神経過敏と、誤報が合わさって起きた幻の対空攻撃であろう」と発表した。

 しかし陸軍参謀総長のジョージ・C・マーシャルは、「その時、少なくともアメリカ軍の関係ではない、未確認の飛行物体複数がロサンゼルスの上空に確かにあった」と主張。
彼はルーズベルト大統領への報告書においても「15機ほどの飛行機がいて、その飛行速度は非常に遅いものから非常に速いものまで様々であり、高度は3キロから5.5キロほどの間であった」というふうにしっかりと書いているという。

 マーシャル将軍の報告文書は、当時は極秘機密扱いとされ、情報公開法によって明るみに出たものの一つである。
 また、報告書の最後には「いぜん調査中」とあるようなのだが、 これ以降のこの件に関する調査報告は存在していないことから、やはり軍の隠蔽工作を疑う者もいるし、この報告書自体に何らかの偽装がすでにあると主張する陰謀論者もいる。

事件の合理的解釈

 まずレーダーが捉えた謎の飛行物体は何だったのだろうか。
当時はまだ軍用レーダーが実用化されて、そんなに経っていない。
イギリスのレーダーが初めて飛行機を捉えることに成功したのは、1935年のこととされているのだ。
間違いなど普通にあったと考えられる。
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 また、マーシャル将軍の報告が隠され、この事件に関して政府が沈黙を守ろうとしたことは、軍事的な観点から見たらおかしいことではない。
確かに実際に飛行物体があったにせよ、なかったにせよ、この事件は軍や政府にとっては、さっさと忘れ去られてほしい類のものである。

 もしもその夜、飛行物体が実はなかったというのなら、ロサンゼルスの戦いはまさしく軍のマヌケさを露呈することになる。
1000発以上の弾丸が、何も飛んでない空に向かって撃たれたのだ。
民間人からしてみたら、わりと笑い事ではない。
 そして、未確認にせよ、はっきりと正体のわかっているものにせよ、飛行物体が飛んでいたというのなら、それはそれで1000発以上も撃ったのに、一発も当てることができなかったという軍の射撃能力の低さを示してしまうことになる。

本当に何も飛んでいなかったのか

 すでに述べたが、このロサンゼルスの戦いが起きたのは、まだUFOという言葉が世に広まる前の話である。
 当時、実際に飛行物体が襲来してきていたと信じていた人たちも、民間人、軍人に関わりなく、基本的には飛行物体は日本軍が放ってきたものだと考えていた。

懐疑論者たちの説明について

 この事件を誰が発掘したかは明らかになってないが、後にUFO研究がなされるようになってから、研究家の一人が、より古い事例を求めてこの事件にたどり着いたのである。

 「つまりUFO研究家たちが、この事件に勝手に謎を持ち込んだ」と言う懐疑論者も多い。
 しかし、実際にこの事件には謎がある。
それは事実だ。
その謎の解釈の一つとして、地球外かどうかはわからないが、確かに科学的に未確認の何かが、その時ロサンゼルスの空を飛んでいたと推測するのは、バカバカしい話でもないと思う。

 最初の数発はともかく、実際、何も飛んでいなかった空に、1時間ほども攻撃を続けるなんてとんでもないことだろう。
何かが本当に飛んでいたのではないだろうか。
何かは知らないが。

 しかし神経が参っていたせいで幻を見ていたのだとしても、それはそれですでに興味深い事例かもしれない(コラム)。

 ただ、懐疑論者は早朝、つまりこの事件が、夜の暗闇の中でのことだったことを重視するかもしれない。

(コラム)管理者に意識させられたのか

 何者か、例えば世界の管理者的な存在が、その時いたずらに 人々にありもしない飛行物体を意識させたのだとか、想像したら面白いかも。
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