「MIB(メン・イン・ブラック)の都市伝説」UFO隠蔽組織か、宇宙人か

黒の男達

メン・イン・ブラック。サイレンサーと呼ばれる男達

 UFOを目撃したり、異星人と関わったりした者の前に現れ、目撃者らに口止めを要求するという、たいてい三人組の、黒服の男達の噂がある。
ある人は、彼らの事を、異星人と密約を交わしている政府の諜報機関だと言う。
また、ある人は、彼らこそが実は宇宙人なのであり、自分達の正体に近づいた人間達に接触して来るのだという。

 彼らは、たいてい、白いシャツに、黒いスーツ、黒いネクタイ、黒い帽子という格好で、 まるでその服装を着慣れていないように、窮屈そうな様子をしばしば見せるという。
 服自体は綺麗な新品のようだが、デザインは古めかしいという話もある。
同じく、新品同様なのに、ずいぶん古臭い感じの車に乗ってやって来るが、その車のナンバーを後で調べてみても、該当するものが存在しないのだとも言われる。

 彼らは、『MIB(Men In Black。メン・イン・ブラック)』、あるいは『サイレンサー(沈黙を強要する者)』などと呼ばれたりする。

よく言われるMIB訪問例

 典型的なMIBの話としては、彼らはUFOを目撃した者の自宅に、まだ公式の報告もなされてないような、まさしく事件直後に来る。
 基本的には三人組の男だが、ごくまれに女が一人混じっている事もあるようである。
多くの目撃者が、彼らは東洋人のようであったと語っている。

 どういう訳だか彼らは、目撃者達の個人情報を、合法な手段ではとても得られないような事に至るまで知っており、質問する内容の答も、答える前からわかっているような感じすら見せる。

 特に妙なのが、彼らはよく去って行く時に、「誰にも自分達の事は話すな、もし話したら生命の保障はない」などと脅迫めいた言葉を残すのだが、 彼らの話が広まってしまっている事からもわかるように、この脅迫はあまり実行されないようである。

信頼性の低いケースほど典型的

 しかし、MIBの事例に関して実際に調査してみると、どうも、典型的な3人組の男がやってくるパターンは、信頼性の低いケースに多いようである。

 ある程度、信頼のおけるケースにおいては、単に電話がかかってきただけとか、やってきたのは一人だけだったとか、別におかしな動作などはなかったと言った、噂とは少し違うような証言が多いという。
 おそらくは、イタズラなどの真相も多いのではなかろうか。

空飛ぶ円盤を知りすぎた男。MIB伝説を広めた本

 M・I・B伝説が、 少なくとも世に知られるようになったのは、グレイ・バーカーという人が、1956年に出版した、「空飛ぶ円盤を知りすぎた男」という本によるらしい。
バーカーの友人の、フランク・エドワーズは、MIBに実際に消されてしまった人物、という噂もある。

 しかし典型的なイメージが、全身黒ずくめというあたりが、キリスト教的な悪魔のイメージと結びつけられる場合もある。
 古くは、悪魔を崇拝するような者達は黒ずくめの服を着て、秘密結社的な物を作ったりするようなイメージ。
月夜の魔女 「黒魔術と魔女」悪魔と交わる人達の魔法。なぜほうきで空を飛べるのか
 よく、UFO神話は、20世紀の神話と言われるが、まるでMIBは、20世紀の魔術結社である。

代表的な事例。都市伝説MIB

空飛ぶ円盤と三人の男達。アルバート・K・ベンダー

 M・I・B関連の中で、おそらくは最も有名な事例である。

 1952年にUFO調査団体「IFSB」(International Flying Saucers Bureau、国際空飛ぶ円盤事務所)を立ち上げたアルバート・K・ベンダーは、 黒服の男達に脅されたために、翌年の1953年に、 団体を突如解散させた。

 ベンダーは後に、「空飛ぶ円盤と三人の男達」という本を変えて自身の体験を世に広める。

 ベンダーによると、黒服の男達は、テレパシーで彼に警告してきたそうである。
彼らは「あなたの研究は、我々の目的の障害となっている。地球における任務が終わるまで我々の邪魔をしてほしくない。研究団体はすぐ解散させろ」
彼の行っていた研究とは火球の落下事件だったとされるが、それ以上に、彼はUFOの正体について掴んでいたというような話がある。

 また、グレイ・バーカーは、ベンダーの研究者仲間であり、彼の語る黒服達に関して、ベンダーはかつて懐疑的だったようである。

 後に彼らは、「自分達が話をでっち上げた」と告白したりもしたようだが、首謀者はベンダーの方だったとも言われる。

失われた三時間。ポール・ミラー

 1961年11月のある日。
三人の連れと狩りに出かけていたポール・ミラーは、ノース・ダコタ州のマイノットに帰る途中に、光り輝く物体が近くの野原に着陸するのを目撃。
ミラー達は最初、飛行機の墜落かと思ったが、しかしその飛行機らしき光る物体は、突如その場から消えて、しばらくすると、再び現れ、今度はその中から人らしきシルエットの生物が二人ほど出てきた。

 恐怖にかられたミラーは、 銃を発砲したようだが、しかし その後は仲間たちと共に3時間ほど記憶を失い、その間に何をしていたのかは、まったくわからなくなってしまった。

 翌朝、ミラーが仕事に出かけようとした時、3人の黒服の男達が訪ねてきて、政府の役人だと名乗った。

 ミラーらは恐怖のあまり、昨晩の出来事は誰にも話すまい、と決めていた。
しかし例によって男たちは事情を全て把握しているようであり 本当のことを話せと問い詰めてきた。

 彼らは、ミラーという人物について、名前や勤務先など、様々な個人情報を把握していて、どんな質問も、答える前から、その答をわかっているようだった。

 そして最後に男達は、脅迫めいた言葉を残して、去っていったという。

異次元からの訪問。ハーバート・ホプキンズ

 1976年9月のある晩。
UFOの瞬間移動事件に関する調査をしていた、医師のハーバート・ホプキンズ博士のもとに、突然電話がかかってきた。
電話の相手は、ニュージャージーUFO研究機関の副会長だと名乗り、UFOに関する話がしたいので、そちらの自宅を訪問してよろしいでしょうか、と聞いてきた。

 ホプキンズは承諾し、暗くて道がわかりにくいかもしれないと考え、玄関の明かりをつけた。
ところで、その男はもうやってきた。
 携帯電話などというものはない時代である。
いくらなんでも、彼がどこかで電話をかけてきてから、家に来るまで、あまりにも早すぎるように、博士には思えた。

 しかしとにかく、ホプキンズは男を迎え入れた。
彼は黒いスーツ、黒い帽子、黒いネクタイ、黒い靴で、シャツだけが白いという格好だった。
彼は帽子を取ったが、髪の毛も、眉毛やまつ毛などが一切なかった。
また、彼の肌はやけに青白く、唇は真っ赤であり、どうも、口紅を塗っているようだった。

 しばらく話をした後、男は突然、ホプキンズに対して、「ポケットの中にコインが2枚ある」と言った。
その通りだった。
 それから男は、そのうちの一枚を自分の手の上に乗せるように指示。
ホプキンズは言われた通りにした。
 男は、「そのコインをよく見ておけ」と言って、やはりホプキンズが言われた通り、それをじっと見ていると、やがてコインはぼやけ、蜃気楼のように消えていった。
 男は告げた。
「この空間にいる人間には、もう二度とそのコインを見ることはできない」

 その後も二人は話を続けたが、男の話すスピードがだんだんと鈍ってきた。
そして彼は、フラフラとしながらも言った。
「そろそろエネルギーが切れてきた。もう帰らなければならない。失礼する」

 外に出て、少し家から離れると、彼は青白い光に包まれて消え去ったという。

 ホプキンズは後になって強い恐怖を感じ、男が話の中で忠告していた通りに、当時、彼が調査のために記録していた、被害者の催眠下での証言を記録していた録音テープを、全て消去してしまったそうである。

真相はどこにあるか

 ホプキンズの話などは特に強烈だが、MIBは、何かしら超常的な存在である事はほぼ間違いなさそうである。

 しかし彼らは、目撃者達に対し。口封じがしたいなら、なぜ脅すだけなのだろうか。
それに、被害者達はしばしば、彼らの言うことを守らないにもかかわらず、無事でいる人が多いそうだ。
 また共通の特徴として、彼らが何人組であれ、どのような能力を持っているにせよ、とりあえず、普通は仕入れることが出来ないような情報を得ている事は間違いない。
普通に考えるならおそらく、彼らはこの世界の全てを、常に監視しているような存在なのであろう。

 上記の全ての話を説明できる、一番ありえそうかつ説得力のある説明は、妄想や恐怖心からくる幻覚である、という説である。
痕跡などが残ってる場合などでも、よく考えてみたら、なんて事もないイタズラとかが絡んでいるというふうに、簡単に説明もできよう。

実在しているとしたら、そもそもどこの何者なのか

 M・I・Bが実在しているとしたら、彼らはどこにいるのだろうか。
黒ずくめの男達というのは、19世紀以前から知られていたというような説もあるが、しかし少なくとも、UFOや宇宙人に関する話の口封じを要求してくる黒スーツの男達、というのは1940年代以降。
ようするに、エイリアンクラフト(宇宙人の乗り物)としてのUFOが、世間に知られるようになってから以降の事と思われる。

 一部の人が、彼らの事を、地球にやってきた宇宙人とか、宇宙人が来ていることを隠そうとする政府機関だとかいうように、考えたがるのも無理はないであろう。

 しかし政府機関だとするなら、服装がありえなさすぎるのではなかろうか。
全身黒ずくめというのは、いかにもな感じで怪しい。
よく言われるように、マフィア映画とかのイメージである。

 その点、宇宙人だとするなら、いろいろ説明はつきやすい。
例えば、脅しだけで危害を加えてこないのも、彼らの文化風習的に仕方がないとか、実際、彼らは腕ずくはすごく弱いのだとか。
 だが、重要な問題がひとつあるように思う。
それは、彼らがどうも人間に対する理解が中途半端らしいことである。
彼らに訪問された被害者達はみな口をそろえて、彼らの挙動は何かおかしかったとか、怪しい雰囲気だったとかいうふうに言っている。
このことは普通、正体が宇宙人であるならば仕方がない事かのように言われる。
しかし彼らは、テレパシーでこちらの事を知っていたり、あるいは全てを監視し尽くしているとしか思えないような情報を知り得ているのである。
人間に対する理解が少ない、というのはむしろ矛盾に思える。

惑星内惑星の次元管理組織

 彼らは地球内部からやってくるという説もある。
地球内部と言っても、地球内部に空洞があるとかいうような話でなく、この四次元空間の地球の内部には三次元空間の地球、惑星内惑星と呼ばれるようなものがあるという説である。
「地球空洞説」空の内部の構造、秘密の地下通路ネット、重力のパターン、極の穴の謎
そこから次元を超えてやってくる、空間の監視者組織のような連中が、MIBなのだという説である。
 彼らが普通は知りえるはずがない情報を知るのは、当然と言えば当然の話なのだ。
なにせ彼らは次元を超越しているのだから、一瞬のうちに全てを知れたり、未来の事を知っていたりするのである。
タイムトラベル 「タイムトラベルの物理学」理論的には可能か。哲学的未来と過去
 未来の事まで知っているなら、なぜわざわざその姿を見せて、普通に話をしてきたりするのか、という疑問もあろう。
そこで、このような解釈がある。
つまり彼らは、あえてそのような道化を演じることにより、一部の強い影響力(悪影響)を持ちつつある人をコントロールしている。
 ようするに、この次元の我々の未来を、自分達の望むようなものに作り変えるために、彼らは適度に訪問している。

 この次元管理組織説は、かなり荒唐無稽なようだが、一応いろいろな矛盾の説明が一番つく説と思われる。

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