「電気コンポーネントの動作」直流と交流の使い分け、各デバイスの役割

直流、交流、電気回路

 時間によって、プラスマイナスの方向が変わらない電流を『直流電流(Direct Current)』」。
時間によって方向が変わらない電圧を『直流電圧(DC voltage)』という。

 一方で、周期的に方向を変える電流を『交流電流(Alternating current)』、あるいは『交番電流』。
周期的に方向を変える電圧を、『交流電圧(AC voltage)』という。
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 固有の抵抗率が低い導体の線などに電圧を与えて(電気量の均衡を崩し)、電流を発生させるシステム(機構)を『電気回路(Electrical network)』という。
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 電気回路は具体的には、「バッテリー(Battery)」、「抵抗器(Resistor)」、「インダクタ(Inductor)」、「コンデンサ(Capacitor)」、「スイッチ(Switch)」、「トランジスタ(Transistor)」のような「電気的機器(Electrical device。デバイス)」、あるいは「電気的要素(Electrical components。コンポーネント)」の相互接続で構成される、閉じられたループシステムのモデルである。

 デバイス(機器)やパーツ(部品)、コンポーネント(要素)といった言葉は、それを説明する文脈によってよく変えられたりするが、ようするに全部、電気機械の構成の要素とも言える。

デバイス、パーツ、コンポーネント

バッテリー。電池

 たいていは電池と呼ばれる。
電気機器の稼働のために必要な電力を供給するために、外部接続、あるい内蔵されているデバイスのこと。

 電力は、バッテリー内部の化学反応や、光や熱などのエネルギーを変換することで、生成される。
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抵抗器。停止と調整

 電気抵抗を実装しているデバイス。

 電気回路において抵抗器は、電流の流れを減らして、それと関わるあらゆる動作を調整する役割を担う。
電圧を分割して、アクティブ(実働中)の要素も分割したりもする。

 抵抗器の抵抗値は、温度、時間、動作電圧などにより変化するが、まったく変化しないような(でなくともかなり変化しにくいか、変化幅が狭い)ものがあれば、固定抵抗器として使いやすいと思われる(使うタイミングがわかりやすい)。

 抵抗値を意図的に変更できる抵抗器を「可変抵抗器(Potentiometer)」という。
可変抵抗器は、オーディオ機器のボリュームコントロールや、ランプの光の強弱調整などによく利用される。
やや応用的に、熱、光、湿度などの物理的な動作の感知装置のコンポーネントとして使ったりできる。

インダクタ。電磁誘導リアクタンス

 チョーク(choke)とかリアクター(reactor)とも呼ばれることがあるインダクタは、通常は「コイル(coil)」とほぼ同じとされる。

 コイルとは、針金などのひも状の導体を、螺旋や渦巻状に巻いたもののことで、電流を受けると磁化し、磁場を発生させる性質がある。
インダクタは、そうして磁気として変換されたエネルギーを蓄えるためのコンポーネント。

 インダクタは、交流に対しては抵抗を持ち、直流に対しては抵抗の弱いデバイスでもある。
そこで、特に直流を利用する場合に、余計なノイズを消したりするのに使われたりする。
ようするに電源部分などに仕込んでおくことで、機械の動作時などに、電波障害などを起こしにくくする役割がある。

 インダクタは、直流は素通りさせる、交流限定の抵抗とも言える。

 コイル(インダクタ)に巻かれた導線に電流が流れると、導線の円状の周囲に磁界が発生していく。
この時に、(普通コイルがそうであるように) 導線が巻かれていると、磁界が同一方向に重なり強化される。
もちろん巻き数は多い方がいい。

 インダクタを構成する導線の内部には、磁気力を高めやすい強磁性体の芯が入っている。
この構造は、磁界が発生した際に、その力をよく蓄えもするとされる。 

 ところで「電磁誘導」という現象がある。
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つまり磁界を動かすと、電圧が生じるわけだが、普通この方法で電気を生じさせるためには、磁界を発生させたデバイスを動かす必要がある。
しかしインダクタに、周期的に電流の方向が変化する交流を流すと、その変化周期(周波数)に合わせて、磁界も変化していくから、その実質的な動きによって、電磁誘導を生じさせることもできる。

 インダクタのこの性質は「インダクタンス」と呼ばれる。
そもそもインダクタの名前はこの性質のためらしい。

 インダクタンス量を表すのに「ヘンリー(H)」という単位がある。
1秒に1アンペアの電流変化があった時に、1ボルトの電圧が発生させるインダクタンス量が1ヘンリーとされる。

 自己誘導起された電圧が、電流の本来の変化を妨げる、つまりは実質的な抵抗になる場合もあり、そのような作用を「誘導リアクタンス」という。

 交流の変化が、自己電磁誘導の抵抗(誘導リアクタンス)を発生させる。
しかし、向きが変化しない直流に対しては、磁界の変化もなく、誘導リアクタンスはまったく生じない。
交流と直流に関するインダクタの性質はこのような原理によるわけである。

コンデンサ。電荷のバランス

 磁界を生じさせ磁気力を蓄えるインダクタに対し、電界を生じさせ電気力を蓄えるデバイス。
「キャパシタ(Capacitor)」とも呼ばれる。

 また、やはりインダクタと反対に、直流はあまり通さないが、交流電流は通しやすい。

 基本的なコンデンサは、2個の導体の板などで絶縁体を挟んだような形となっている。

 コンデンサに電圧をかけた場合、内部に絶縁体があるため、板から板に電気(電荷)は移動できない。
そして片方の板の中で、電荷のバランスが隔たり、そうなると、もう反対側の板には、プラスマイナスが反対の電荷が溜まりやくなる。

 電荷といっても、それは空間を埋めるものであり、コンデンサの板にもある程度までしか溜まらず、限界だと、それ以上の電流(電荷の移動)はなくなる。
しかし周期的にプラスマイナスを変化させる交流ならば、コンデンサ内部で、充電と放電を繰り返し(つまり板の電荷の隔たりを破壊して)、実質的にコンデンサの限界を無効にして、電流を止めないでいれる。
直流ではこうはいかないから、コンデンサの性質が生まれるわけである。

 コンデンサは、電気を溜めておいて、一気に放出させることができる。
基本的には貧弱な回路で動作する機械などで、瞬間的に高い電圧を必要とする場合などにも使われる。

スイッチ。身近な概念

 電気工学(エレクトロニクス)におけるスイッチは、電気回路を構成する導体の、電流の経路を切断したり、また接続したりするためのコンポーネントを意味する。

 おそらく概念的なものとして終わらせるのが最も難しい、つまり実体抜きで考えにくいコンポーネントでもある。
また多くの人に馴染み深くもあると思われる。

 一般的なスイッチと言えば、回路に接続された可動電気接点で構成されている。
ようするに、回路に電流が流れるか否かを、スイッチングする(つまり切り替える)ためのもの。

 手動操作以外に、何らかの特定圧力が生じた場合にスイッチが機能するようにして、周囲の環境などを感知するためのデバイスとしても使えたりする。

トランジスタ。三本足の半導体

 電力や、 その他さまざまな(例えば光や音といった)時空間の変化の状態により変化する量(信号)を増幅させたり、あるいは切り替えスイッチのようにも使える半導体デバイス。

 優れていれば、かろうじてキャッチした微弱な信号を増幅させたりもできるので、様々なシステムの安定に関係している、 おそらく エレクトロニクスという分野において、最も重要なコンポーネント。

 コンピューターにおいても、ある素子の0と1を切り替えるスイッチに使われてきたので、やはりかなり重要。
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 物質の原子の内部では、原子核の周りを電子が回っている。
そしてその電子が巡ると仮定できるいくつかの軌道には、それぞれ定員がある。
そして一番外の軌道の電子は「価電子(valence electron)」と呼ばれれるが、その価電子の結合で複数の原子が結びつくことがある。
価結合と呼ばれるその状態の原子は抵抗が強くなるが、価結合は熱などに弱く、そうした影響によって崩れると抵抗は弱まる。
導体になったり、絶縁体になったりする、「半導体」というのは、そういうものである。

 価原子の量を調整することで、特にプラス電荷を発生させる半導体を『p形半導体』。
マイナス電荷を発生させる半導体を『n形半導体』という。

 「三本足半導体」とも呼ばれるトランジスタは、npn、あるいはpnpという、p形とn形の半導体を3つ揃えたもの。

 三組の半導体には各自に名前が与えられている。
電荷を集める役目の「コレクタ」。
制御のための「ベース」。
出力のための「エミッタ」である。
しかしどうも、あまりこだわるものでもないようである。

 普通、増幅したい信号(電圧)は、ベースに与えられる。
するとそれがスイッチにもなり、プラスマイナスが合わさってるために機能してなかった、コレクタからエミッタへの(バイアス電流と呼ばれる)電流も流れ、それらがベースから入ってきた電流と合わさり、結果的に増幅して出力されるようになる。
この原理から容易に想像がつくことと思うが、増幅というのは擬似的なものである。

 また、実質的に、ベースへの電圧のオンオフで、電流が流れるかどうかも決まるので、スイッチとしても使える。

生命体に関して

 生理学的には、生命体も電気回路であるが、ある種のバッテリーや抵抗器のような単体のデバイス、コンポーネントにもなりうる。
そういう意味では、やはりロボットというのは、生命体の人工的再現である。
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 自然界でも、おそらく誰の意識とも関係ない、物質の相互作用で電力が生み出される場合はあるが、生命体は明らかにそれを意図的に行っているし、少なくとも人間に限っては、それで自らの知能、自意識を稼働させている(コラム)
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一瞬、偶然に揃った時

 あらゆる物質条件が偶然に揃って、そんなものがまったくなかった所に、何らかの意識が発生する可能性はあるだろうか。
そしてそれが一瞬で崩れ去ってしまうこともあるだろうか。
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 もし偶然に、今の自分を構成しているあらゆる条件が、一瞬、偶然揃った場合、どこかに自分と同じ存在が現れてすぐに消えたということになる。
では、死とはなんであろうか。
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直流、交流のメリット、デメリット

 例えば日本では、多くの家電の回路は直流で機能するが、配給される電力は交流なので、変換の過程が必要だったりする。

 変換なのに余計なコストがかかるということを考えると、直流か交流か、どちらかだけを使うほうがいいのだろうが、どちらにもメリット、デメリットがあり、なかなかそうはいかないらしい。

直流のメリット、デメリット

「メリット」
交流に比べて、設置コストなどが低め。
絶縁が容易。
インダクタやコンデンサから余計な影響を受けにくい。

「デメリット」
電流の遮断が難しい。
導体のプラスマイナスの向きが常に一定なため、電気による腐食などの影響が(原因が蓄積するので)起こりやすく、隔たりやすい。

交流のメリット、デメリット

「メリット」
蓄電がやりやすい
電圧調整が容易。
事故時の遮断が容易
長距離で電気を伝える場合に、コストを抑えやすい。

「デメリット」
同じことをするなら、直流よりも必要な電圧が高くなりがち。
システム構成が難しくなりがち。

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