「モケーレムベンベ」恐竜かサイか。テレ湖のコンゴドラゴンは実在するか

テレ湖

カバに近い習性のコンゴドラゴン

 アフリカ、コンゴの地に住むピグミー族は、古くより、その地の川や沼に生息しているという怪物について語り継いできた。
 特に、熱帯雨林の中の、直径6kmくらいの円形の沼、テレ湖には、モケーレムベンベなる生物が生きているという。

 この生物はまた、コンゴドラゴンとも呼ばれる。
水中の洞窟に住んでいて、日中、岸辺に現れては、草木を食べあさるのだという。
そういう訳で草食動物のようだが、気性は荒いのか、カヌーを転覆させて、乗っていた人を殺す事があるらしい。

 気性の荒い草食動物として、カバは有名である。
半水性であるなど、この生物の習性だけなら、カバに近いと考えられる。

毒を持った竜脚類恐竜?

 典型的なイメージとして、竜脚類恐竜に似ているというが、仮に竜脚類恐竜だとしたら、平均より小型と思われる。

 また、毒を持っている可能性が示唆される事もある。
 おそらくは1800年代の事。
現地人達により、畑に侵入してきたモケーレムベンベが殺される、という事があったそうである。
 大勢で取り囲み、一斉に槍で攻撃して仕留めたそうだ。
ところが、 どういう訳だか、その肉を食べた村人は全員死亡したという。

目撃と研究の歴史

宣教師の記録。謎の足跡

 1776年。
フランス人宣教師のリーバン・ボナバンチュール・プロワイヤールは、原住民すら足を踏み入れた事がないような秘境にて、謎の丸い足跡を発見した。

 足跡ごとの間隔は2mほどで、ゾウではないかとも言われているが、足跡には、鋭い爪痕が残されていたという。
だとするとカバの足跡だろうか。
しかし足跡の間隔から、その生物の大きさはゾウ級という話もある。

 プロワイヤールは、発見した足跡が巨大生物のものに違いないと思い、原住民に尋ねたところ、原住民は、テレ湖の怪物の話をしてくれたという。
 その順序が正しいなら、プロワイヤールは、怪物の存在を知らなかったのだから、謎の足跡のリアリティは増す。

 プロワイヤールは、フランスのアラスから14キロメートルほど離れた村に育ち、パリの大学、神学校で学び、どこかの学校の副校長にもなり、一方で反フリーメイソン活動なども頑張っていた人物。
フリーメーソンのイギリス「フリーメイソン」秘密結社じゃない?職人達から魔術師達となった友愛団体  何を言いたいかというと、この人物が、野生の動物の足跡に関して、そんなに知識があったようには思えない。
やはり彼の見つけた足跡は、ゾウかカバのものだった可能性が高いのではないだろうか。

ブロントサウルスか

 最初とされる記述から、1世紀以上をまたいだ1912年。
動物収集家のカール・ハーゲンベックは、原住民達から、面白い話を聞いた。
彼らによると、ゾウと竜を合わせたような怪物が、沼に生息しているのだという。
ハーゲンベック曰く、話を聞く限り、まるで恐竜のブロントザウルスのようにしか思えなかったという。
彼が、現代の人なら、おそらく「その怪物は、竜脚類恐竜のようだ」と述べた事だろう。
恐竜「恐竜」中生代の大爬虫類の種類、定義の説明。陸上最強、最大の生物。  当時は、竜脚類系統の恐竜は、その巨大さのための重力の負担を回避するため、半水性か、普通に水生だという説が有力だったそうなので、水場に住むというのは、よりリアルに思えたはずである。

普段は洞窟に住んでいる巨大生物

 1914年に、コンゴを探検したドイツの隊の隊長フライヘル・フォン・シュタイン大尉が、政府に提出する報告書に、原住民から聞いた巨大生物の話を記述した。
 彼が聞いた話では、その生物は、普段は洞窟に潜んでいるが、餌の植物を食べる時だけ、陸地に上がってくる。
大きさは、ほぼゾウか、少なくともカバくらい。
長い首を持ち、一本の長い牙か角がある。
尾も長く、それを使って、近づいてきたカヌーを転覆させ、乗組員を殺す事もあるが、食べるまではしない。
 
 大尉の報告は、後に有名になるモケーレムベンベの特徴そのものである。

大蛇と関連はあるか

 モケーレムベンベと何らかの関連があるのかはわからないが、アフリカには、大蛇の目撃例も多い。

 1930年。
フランス領赤道アフリカ(後の、チャドおよび中央アフリカ共和国)の主任狩猟検査官、ルシアン・ブランクに、「水面に出現し、木の葉を食べた大蛇」の目撃情報がよせられたという。

 さらに、1948年頃。
カメルーン南西のバロンビムボ湖で、アレイという少年と、その友人が、二頭の怪物と遭遇した。
二頭の怪物は、首が長いというよりは、大蛇のような印象であったそうである。
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ロイ・マッカルの調査

 1976年に、コンゴの西で、ワニの研究をしていたジム・パウエルは、モケーレムベンベの噂を聞き、シカゴ大学のロイ・マッカルと一緒に、それについて調べる事にした。
 マッカルは、ネッシーの研究でも、よく知られた人物だという。
ネッシー「ネス湖のネッシー」愛されしスコットランドの怪物の正体  彼らは1980年2月に最初の調査を行い、その時、地域住民から、「怪物を見たいのなら大湿原を渡らないとだめだろう」と教えられた。

 しかしジムとマッカルは、現地の、人種や宗教の異なる、様々な人達から情報を収集した。 
目撃者が話す、その怪物の特徴はかなり一致しているようである。
 赤褐色で、ゾウかカバくらいの大きさの爬虫類。
尾が長く、頭部はヘビににている。
その足跡はフライパン程度の大きさで、その足自体には3本の爪がある。

 さらにマッカルが、ブロントサウルスのイラストを現地人達に見せると、彼らはそれを指さして、「これはモケーレムベンベに似ている」と言ったという。

早稲田大学探検隊が明らかにした事

 1988年には、日本の早稲田大学の探検隊が、テレ湖を、当時のハイテク機器で科学調査しながら、1ヶ月ほど監視したが、ついに怪物と遭遇する事はなかった。

 非常に興味深いのが、彼らがソナーなどで調べた、テレ湖の水深であろう。
なんと深いところでも、2m程度しかなかったらしい。

 どうも、怪物がそこに潜んでいるのだとしても、あまり常識はずれの大きさではなさそうである。
 あるいは、それは普通の生物ではない。
もしくは、テレ湖というのは、我々の常識で測りきれないような、特殊な場所なのかもしれない。

その正体。恐竜か、ゾウかカバか

作られたイメージ。なぜブロントサウルスの絵なのか

 現地の人達が、ブロントサウルスの絵を、モケーレムベンベだという事がある件に関しては、真面目な研究者からは、さほど重要な手がかりとはされていない。
 それは、これまで何人もやってきた、 それが恐竜だと信じきっている外国の研究者達によって、現地人にも、モケーレムベンベとはそういう生物、というイメージが定着してしまっている疑いが強いからである。

 早稲田の探検隊は、ピグミーの村のひとつで、そこで最も物知りらしいという長老に、モケーレムベンベに関する質問をしたという。
物知りの長老は、それは、人前にはっきりとした姿で現れる事はない、と述べたそうだ。
 つまりモケーレムベンベは、本来はその正確な姿すら不明である怪物だったのだが、外国人達の余計な熱意のせいで、なぜかその姿はブロントサウルスという事になってしまった訳だ。

 また、地域によっては、サイの事をモケーレムベンベと言うらしい。

爬虫類でなく、哺乳類か

 シルエット的に、ブロントサウルスに間違われやすそうな動物なら、ゾウだろうが、現地人は、ゾウは普通に知っていて、モケーレムベンベはゾウでないと断言するらしい。
むしろいくつかの特徴は、カバのようだが、そのカバも、現地人はよく知っていて、カバではないと言う。

 ブロントサウルスのイラストへの反応を気にしない場合、モケーレムベンベの正体は、おそらくゾウとカバ(と、もしかしたらサイ)を複合したような生物となろう。
となると、おそらく爬虫類でなく、哺乳類である。
 確かに、恐竜がコンゴで生き残っている可能性よりは、未知の哺乳類か、化石哺乳類が実は生きていた、という方が、説得力はある。
哺乳類「哺乳類とは」分類や定義、それに簡単な考察の為の基礎知識  もちろん、あらゆる目撃が、ゾウ、カバ、サイの誤認でなかったらの話である。
なにせモケーレムベンベは本来、はっきり見えない生物なのだ。

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