なぜありえないと言われているのか
地球内部の構造
地震波の研究により地球内部の構造は、かなり明らかになっている。
一般的には、半径6300kmの地球は、表面の地殻(crust)と、その下のマントル層(深さ60〜2900キロぐらい)が固体。
外殻(深さ2900〜5100キロぐらい)が液体。
内核(深さ5100から6300キロぐらい)がまた固体、という構成とされる。「プレートテクトニクス」大陸移動説からの変化。地質学者たちの理解の方法
この内部構造の時点で、地球内部に開けた空間があるという、『地球空洞説(Hollow earth theory)』は、まずありえないという人は多い。
液体金属の外殻。地磁気と地底人説
外殻も内核も金属が主成分と考えられている。
液体金属である外殻が対流する事で、電流が生じているとすると、地磁気というものの説明もつく。「電磁気学」最初の場の理論。電気と磁気の関係
液体金属の対流かどうかは知らないが、地磁気の存在から、地球内部で電流が生じる機構がある事はほぼ間違いなさそうである。
地球空洞説は、単に地球の内部が空洞になっているというだけの説だが、その内部空間にも、何らかの生命体、もしかしたら文明が存在しているのではないか、と考える人もいる。
いわゆる、『地底人説』である。
地球内部の電流も、地底人の文明における電子機器のせいかもしれない。というふうに考える事もできなくはない。
エネルギー源、内部の重力の問題
地球内部の空間に何らかの生態系があるのだとして、そのエネルギー源や、地球内部の重力の問題、空洞が出来る事による地球表面へのダメージなどを考慮し、現在は、地球空洞説はかなりバカバカしい話とされがちである。
また惑星というものができる過程で、内部に空洞ができるようなシナリオ案は基本的にない。
だからもし、地球内部に空洞があるとしたら、それは生物が作ったものである可能性が高い。
そうすると、地球空洞説というものを真面目に考えるなら、地球内部の生命体についても真面目に考えるべきなのかもしれない。
南極、北極の穴
地球空洞説の信者の中には、北極と南極に、その地下世界へと通じる穴がある、と考えている人もいるという。
その穴の大きさは、何十キロ、何百キロ、時には何千キロとも言われるが、さすがに、人工衛星が地球を常に監視しているような今の時代に、それほど大きな穴が見つかっていないのは、ちょっとおかしい。
もちろん、その穴は、宇宙から見た場合、雲に覆われていて確認できないのだ、というような反論もある。
南極や北極に建てたれた基地の人たちが、まったくその穴を見つけられないというのもおかしい。
何か特殊な環境下における幻覚作用が働いているとか、各国の政府が協力して事実を隠蔽してるとか、地底人達の超技術によって穴自体隠されてるとか、言うのだろうか。
また、今は大陸が移動するという事が知られている。
穴は大陸プレートにも空いているのだろうか、それとも、極にきた大陸プレートに穴が空くようなシステムがあるのだろうか。
惑星内惑星
そもそも次元が異なっている。
地球内部には、惑星内惑星と呼ばれる超次元の世界があって、三次元、あるいは四次元空間である我々の領域に対し、より高い五次元の世界なのだ、というような説も、今はある。「MIB(メン・イン・ブラック)の都市伝説」UFO隠蔽組織か、宇宙人か
しかし、もうそんな話になってくると、地球内部にこだわる意味がよくわからない。
なぜ地球内部なのだろうか。
科学的学説としての地球空洞説
地球内部に、表面と同じような空間があるのではないか、というような話は、かなり古くからあったようである。
ハレー彗星で有名なエドモンド・ハレーも、そういう可能性はないだろうかと、真剣に考えていたらしい。
ただ、20世紀に地震波の研究が進むまでは、そもそも地球内部の構造について全然わかっていなかったから、めちゃくちゃに好き勝手想像できた、というのが正しいのかもしれない。
19世紀までの科学者の地球空洞説は、どちらかと言うと、「もし地球内部に、これこれこういう仕組みがあるなら、生命体も存在しているだろう、こういう世界だろう」というような、SF作家の妄想一歩手前のようなモデルの、提唱合戦にすぎなかった。
そういう意味では、宇宙論に似てるとも言えるか。
バード少将の地球内部探検記録
実際に地球内部の世界を探検したという人が、歴史上には結構いるという。
特に有名なのが、アメリカの海軍少将リチャード・イヴリン・バード(1888〜1957)の1926年の北極探検と1929年の南極探検のような、極への探検記録である。
レイモンド・パーマーの話
バード少将は一般的には、南極北極に初めて到達した人物という訳ではないが、航空機で初めて南極北極に到達した人物とされている。
しかし、特に北極に関しては、実際にそうだったかどうか、わりと議論されている。
どうも、このバード少将という人自体が、生前に、「私は地底世界を探検した」などというふうに言っていた訳ではないらしい。
噂の出所かは定かでないが、 少なくともこの話を広めたのはレイモンド・パーマーとされている。
彼は、SF雑誌アメージング・ストーリーズの編集長だった経歴を持つ人物で、特にUFO学の分野では、荒唐無稽な話が好きなビリーヴァー(信奉者)として非常に有名な人物である。
パーマーは、バードの隊の通信士だった、ロイド・K・グレンリーなる人から、情報を仕入れたのだという。
また、バード少将の残した日記や手記に、 謎の地底世界の関する話が書かれていた、という話もある。
それは1947年、あるいは、1947年と1956年の事とされている。
極にあった森林地帯
バード少将は、1920年代の極への探検で、何かを見た。
パーマーによると、それは、氷の世界であるはずの北極南極というイメージとはかけ離れた、野生の哺乳類の獣が走り回ってるような森林地帯であったそうだ。
バード少将はどうも、かつて自分が見た素晴らしい世界に、再度訪れたいと考え、1947年に、また北極(あるいは南極)へと飛び立ったらしい。
さらに1956年にも、南極(あるいは北極)へ向かい、いずれの飛行探検においても、氷など全くない温暖な世界の上空を、何千キロにもわたって飛んだのだという。
北極点と南極点
地球の北極点と南極点の部分に、地底世界への穴があるという初期の主張は、マーシャル・ガードナーと、ウィリアム・リードによるものとされる。
ガードナーは、1902年に、「地球内部への旅。両極は実際に発見されたか」という本において、極点は地表にないという持論を述べた。
リードは1906年に、「極地への幻影」という本を書き、彼もまた、極点は地表にないとした。
地底文明はいつからあるか
ガードナーやマーシャルの時代は、まだ20世紀のごく初期。
地球の年齢は数千万年以下という、偉大なケルヴィン卿の主張が、広く信じられてたであろう時代である。「ウィリアム・トムソン」ケルヴィン卿と呼ばれる、最後の大古典物理学者
地球空洞説においては、内部に太陽の役割を果たすような中心部があり、そこからのエネルギーを、地底文明は利用しているという説があった。
しかし、地球が誕生した時が、46億年前という事を考えると、地底世界の歴史は、地上に比べてかなり浅いというふうに考えないと、エネルギー的に厳しいかもしれない。
地球空洞説はバカな空想か
結局、地球空洞説というのは、地球内部の構造がよくわかってなかった時代の空想にすぎないのだろうか。
今は、探査機が、普通に写真とか送ってきてくれたりしてくれるから、あまり考えられないが、20世紀になったばかりの頃は、太陽系の他の惑星にも、普通に地球のそれらのような生物がいるのでないか、と大真面目に考える人は多かった。
現在では意味不明な理論だが、例えば雲に覆われた金星の内部は、中性代の熱帯林のようになっているはずだから、恐竜のような生物が生きているとか言われていた。
水星は自転していなくて、太陽面の灼熱地域と、太陽から背を向けている極寒地域があって、その間の中間の地域に、生命体が存在してるのではないか、とか言われていたのだ。「太陽と太陽系の惑星」特徴。現象。地球との関わり。生命体の可能性
内部に空洞ができるようなシナリオの重要性
しかし、地球が空洞かどうかはともかくとして、内部が空洞になっている惑星が存在しうるのかどうかを考えるのは、現在でも有意義な事なのではないか、と思われる。
宇宙には、とんでもない数の惑星があるだろう事はわかっている。
確かに惑星ができる過程において、内部に空洞ができるようなシナリオは考えにくいが、数え切れないほどのパターンがあるのだから、そのうちのいくらかは、そういうシナリオにあてはまったりするかもしれない。
そして、自然にそういうものができるのかどうかはともかくとして、人工的にそういう惑星を作れるのかどうか、という事は、非常に重要であろう。
まずひとつに、そういう惑星が見つかった場合、例えば地球がそうであったとするなら、そういう星(地球)は、人工的なものである可能性が高くなる。
もうひとつが、いつか未来の我々が、そういう惑星を作れはしないか、という事。
宇宙自体が空洞か
だいたい空洞とは何だろうか。
物質粒子で閉じ込められた内部空間だろうか。
だから地球空洞なのだろうか。
この宇宙自体が、惑星のような何かの空洞という事はありうるだろうか。「宇宙プログラム説」量子コンピュータのシミュレーションの可能性
「ホログラフィック原理」わかりやすく奇妙な宇宙理論