「ガイア理論」地球は生き物か。人間、生命体、生態系の謎

ガイア

惑星は宇宙生物か

 ガイア理論というのは、簡潔に言うなら、地球という惑星を、ガイアという一個の生命体として考える理論である。
 もっとも、ガイアが哺乳類とか爬虫類とか、そういう生物だと考える訳ではない。
哺乳類「哺乳類とは」分類や定義、それに簡単な考察の為の基礎知識 砂漠のトカゲ「爬虫類」両生類からの進化、鳥類への進化。真ん中の大生物 ただ地球を、我々のような動物や植物、目に見えない微生物のようなあらゆる有機生命体が共生し、また見返りに、生活環境という恩恵を受けるシステムとして考える。
化学反応「化学反応の基礎」原子とは何か、分子量は何の量か  ガイア理論はまた、地球を、生態系というものを構成するパーツの一つとして考える理論とも言える。

 生命の惑星と言うガイアシステムの概念が、宗教でなく科学の分野で真剣に考えられるようになったのは、細胞や微生物の発見や研究が進んだからと思われる。
理科室「微生物の発見の歴史」顕微鏡で初めて見えた生態系  確かに、我々のようなマクロの生命体も、まるで細胞や細菌といったミクロの生命体の共存体のようである。
だから、我々という地球上のあらゆる生命体が、 それ自体を生命体とみなせるような、地球というシステムを構成する、パーツだとする考えは、今となっては、そうトンデモな話ではない。

生物とは何か。生命体の定義の話

 19世紀以降、物理学の発展が、それまで曖昧であった生命体というものの定義を決めるための大きな原動力となった。
とは言っても、生命体の明確な定義が、今日はっきり定まっている訳ではない。
おそらくそれに関する議論は永遠に続いていく。

エントロピー、熱力学の第二法則

 物理学的観点から定義される生命体とはどのようかものか。
重要なのは、生命体でないものと、生命体との違いである。

 この宇宙の中では、エントロピー、つまり無秩序さが増大し続けるという、熱力学の第二法則というのがある。
熱力学エントロピーとは何か。永久機関が不可能な理由。「熱力学三法則」  そこで20世紀の中頃に考えられた生命体の定義というのが、内部的にエントロピーを減少させる存在である。
少なくともそれを、ひとつの条件として設定する(これを全ての条件として設定してしまったら、エネルギー機関なども生命体になりうる)。

 生命体というのは、多細胞であれ、単細胞であれ、確かに秩序だった存在であるとは考えやすい。
そして、その秩序立った状態を維持するために、周囲に老廃物といった無秩序を放出する。
 
 よりわかりやすく言うなら、エントロピーの増大というのは、利用可能なエネルギーが減っていくという事である。
我々は生きるために、取り込んだ栄養などを使い、内部で、利用可能なエネルギーを生成し続ける。
果物「五大栄養素とは何か」働きと、含まれる食品。生命を維持する要素 だから生命体の内部で起こっている事の、少なくとも一部はエントロピーの減少である。

 ここで、ガイア理論は現れうる。
地球の大気や海洋というものを見てみよう。
海洋海はなぜ塩水なのか?地球の水分循環システム「海洋」 そこで起こっている事は、我々が生きるために必要な秩序の維持(適切な化学物質の量の調整など)にも思える。

意識の謎。人工知能と単細胞生物のどちらがより生きてるのか

 人によっては、意識というのを持つ存在を生命体と言うだろう。
コネクトーム「意識とは何か」科学と哲学、無意識と世界の狭間で 少なくとも生きている存在というはず。
意識は、おそらくは脳から生まれることがわかっている。
我々は脳が機能しているならば、「そいつは生きている」と言うが、脳が機能しなくなったなら、内臓がまだ動いているとしても、我々は、そいつを死んでいるとみなしがちだ。
 あるいは、意識を永遠に完全に失った人を、我々はおそらく生きているとは思わないだろう。

 だが、意識を持っている存在とは何なのか。
細胞1個が意識を持っていると考えている人はほとんどいないはず。
なら単細胞生物というのは生物ではないのだろうか。
 あるいは、もし人工知能が意識を持ったのだとしたら、それは生命体と言える存在なのだろうか。
人工知能の基礎「人工知能の基礎知識」ロボットとの違い。基礎理論。思考プロセスの問題点まで 意識を持った人工知能は単細胞生物よりも生物なのだろうか。

 ところで、ガイア理論の支持者でも、我々が意識というようなものを、地球が持っていると考えている者は、ほとんどいないと思う。
 しかしあまりうぬぼれすぎるのも、よろしくないかもしれない。
我々は、脳がどのような機構で意識というものを生み出してるのかを、結局はわかっていない。
生命体に関する問題を考える時、意識がどう生まれるのかもわかっていない事は、いつも頭に入れておくべきと思われる。

(注釈)本当に大切な事は何か

 特に倫理学について考える哲学者に多いようだが、意識を持っているかどうかというのは、あまり大した問題でもないという人もいる。
 大切なのは感情であり、もっと言うなら、苦しみの感情であるという考えである。
例えば動物実験などでは、しばしば好物のエサを用意してやって、動物に思い通りの動きをさせたりする。
動物は明らかに好物のエサを求めている。
好物の餌が美味しいからだろう。
 美味しいというのはどんな感情だろうか。
我々の知る限り、それは喜びの感情以外にはありえない。
美味しいものを食べた時に、不愉快だと感じる者などいないだろう。
それは喜びだそして 喜びを知っているのなら その逆を知っていないとおかしいなぜなら比べるものがないのならば 喜びなんてものもあるはずないからである。
喜びの逆は苦しみ。

 我々はどのような時に苦しいと感じるだろうか。
思い通りに物事がいかない時、理不尽な目にあった時。
哲学者の中には、例えばブタのような喜びと苦しみを知ると思われる生物をひどい目にあわせるのは、我々が尊く考えがちな同族(人間)を傷つける行為と変わらないと言う人までいる。

 とはいえ科学は道徳ではないと思う。
科学的に重要なのはやはり、感情なんてものは考慮しない、明確な生命感である。
別に、オカルトに憧れてたり、騙されやすい人でなくても、宗教に走りたくなる人が多い理由かもしれない。

ガイア理論の多くの問題点と謎

 ある意味ガイア理論の最大の問題点は、ガイアがいつ誕生したかという事である。

 地球の生命体は、誕生して以降、ほっとけば激変する地球の環境を、自分達の力で調整してきた。
これを、地球自身が自らを保つために、生命体に生きやすい環境を提供している、というように考えるのがガイア理論。
 だが、そういうシステムは、大量の生命体が地球上にいてこそ成り立つ。
最初の生命体が、たった一個の存在だったのなら、ガイアを形成できたとは考えにくい。

 おそらくは生命体がガイアを作ったというよりも、ガイアが生命体を作ったのだろう。
地球が自らを生かすために、生命体が誕生するような環境を表面に生み出したと考えるのは、なかなか妥当と思われる。

 しかしそうだとすると、ますますわからない。
いったい生命体はどこで誕生する事が決まったのか。
 太陽系の地球以外の惑星には、生命体はいないと考えられている。
なぜ太陽系の地球以外の惑星は、ガイアになろうとしなかったのか。
これに関して、地球と近い金星や火星は、生命体を誕生させようとしたが、失敗したという説もある。

 だが、地球は生命体を誕生させるメリットがあるだろうか。
生命体とは何なのであろう。

ガイアというシステムに何が含まれてるのか

 生物の進化について、特に知的生命体の存在は、ガイア理論的にはどうなのだろう。

 長い時間をかけて環境を作り変えてきたのは微生物達である。
微生物は、地球の免疫システムみたいなもので、地球に何か異常があった時は、それを修復する存在というふうに考えられる事もある。
 我々という存在はどうだろうか。
目に見えるくらい大きな存在。
意識を持って、地球を意図的に破壊しようとしたりする事もできる存在。
 人間は、地球にとって予期せぬ病原菌とか、癌(悪い方向に突然変異してしまった細胞)みたいな存在なんじゃないだろうか、という意見もある。

 むしろそう考えると、意識というもの自体は、ガイア理論的にも、ガイアというシステムから外れたものなのではなかろうか。

テラフォーミング。ロボット。まるで仮想宇宙の話のよう

 ガイアとは言わずとも、我々自身は地球という共同体なのだろうか。
それとも、イレギュラーな変わり者なのだろうか。

 結果論のようにも思える。
地球の生命体はどうやってか、この惑星の上に生態系を築いた。
例えば、もし他の惑星をテラフォーミング(地球化)したとして、それらに我々が住んでいる未来が来たとする。
その時は、ソーラーガイア論(太陽系スケールのガイア理論)が出来てるかもしれない。

 もし我々が、ガイアシステム(生命体が存在し、また、自分達が生きれる環境を、自分達で維持していくようなシステム)と呼んでいるようなものを意図的に作ることが可能だというのなら、むしろガイアというのは生命体というよりロボットであろう。
道具、アイテムである。

 だが、そうして全てを原理的に解釈していくと、最終的には結局、この宇宙はシミュレーションとそう変わらないようにも思えてくるかもしれない。
宇宙プログラム「宇宙プログラム説」量子コンピュータのシミュレーションの可能性

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