「貝」二枚貝、巻貝の進化分類。生物ジャングル、家、畑、特殊化の謎

貝類とはどのような生物か

二枚貝、巻貝。知られてるだいたいの軟体動物

 いわゆる貝類(Shellfish)というのは、「軟体動物(Mollusca)」の「貝殻亜門(Conchifera)」に属する生物のことだが、これに含まれるはずのいくらかは、あまり貝と呼ばれない。

 実際には貝殻(Shell)と呼ばれる、家とか要塞と例えられるような、体の周囲に生成された「硬組織こうそしき」を持った種が、単に貝と呼ばれたりする。

 この分類には、1対2枚の貝殻が特徴的な「二枚貝綱(Bivalvia)」。
「巻貝(Conch)」と呼ばれることも多い「腹足綱ふくそくこう(Gastropoda)」。
タコとかイカみたいな「頭足類(Cephalopoda)」が含まれる。
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ようするに馴染み深い軟体動物はすべてこの分類とされる。

 タコやイカを貝と呼ぶ人は少ないが、絶滅した頭足類の中には、例えばアンモナイトのように、人によっては貝と呼びたくなるだろう種もいる。

ナメクジとカタツムリ

 腹足綱のさらに下位分類である「有肺目(Pulmonata)」は、陸に対応した貝であり、 基本的に殻を残しているのがカタツムリで、殻を失っているのがナメクジである。
カタツムリ 「カタツムリ」殻を捨てなかった陸の巻き貝 ナメクジ 「ナメクジ」塩で死ぬけど、水で復活するヌメヌメ
カタツムリやナメクジも普通、貝と呼ばれない。
陸に対応しなかった腹足綱の貝殻は、螺旋を巻いてるような殻を持っていることが多いから、巻貝と呼ばれる。

 有肺目は、その名前の通り、陸呼吸のための肺を獲得しているから、愚かな進化なイメージだが、海岸地帯に出戻り進化をした種もいて、それも巻貝なようである。
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 巻貝でも、巻き構造が発達していないのは原始的特徴とされる。
その螺旋と言うか不規則な形が、同じ素材における硬度の強化や、空間的なサイズ増大に繋がっているとされている。
それらは捕食者から身を守る観点からいって、重要なことである。

 巻き構造が弱い原始的な巻貝としては、腹足類の「カサガイ(Cellana mazatlandica )」がそうだとされる。
有肺類の中で、海岸生活に戻ったとされる貝も、カサガイと呼ばれることが多い。

磯とはどんな場所か

 海岸の波打ち際。
特に石がごろごろした場所を『いそ(beach)』という。

満潮、干潮。潮汐による海水面の変化

 海面の高さは気象状況によっても変わるが、それとは違って、ほぼ周期的な、月や太陽の重力が原因の高低変化がある。
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いわゆる「潮汐ちょうせき(tide)」とか「潮の満ち引き(Ebb and flow)」とか呼ばれるものである。

 潮汐作用で海水面が最も高くなった時を『満潮まんちょう(High tide)』、あるいは「満ち潮」。
海水面が最も低くなる時を『干潮かんちょう(Low tide)』あるいは「引き潮」という。

 そうした潮汐により、気候などに関係なく、波打ちが発生する岩石帯が、磯である。
そこは遠目には 大した特徴がなくとも、よく見てみると、平らな部分、へこんでいる部分、亀裂が走っている部分などいろいろある。
引き潮の時にも取り残された海水が『潮だまり(tide pool)』という水たまりを作ってたりもする。

 海岸領域において、干潮時にも干上がらない海底は「潮下帯ちょうかたい(infralittoral zone)」。
満潮時にも水に沈まない高い場は「潮上帯ちょうじょうたい(supralittoral zone)」。
そして、潮下帯と潮上帯の間の「潮間帯ちょうかんたい(tidal zone)」と呼ばれる。

 磯と呼ばれるのはたいてい、潮下帯上部と潮上帯下部を含んだ、潮間帯である。
そしてそのような磯にはよく、貝類も多くいる。

帯状分布。フジツボ、カキ、イガイの階層

 磯(というか海岸地帯)に生息する生物というのは、もちろん貝類だけではない。
それに貝類といっても、いろいろな種類がある。
適当に二つの別種の貝類を用意した場合、その形や色から、素人目に見ても違う種類だと、簡単に判断できる場合も多いだろう。

 多くの磯で「帯状分布(zonation)」と呼ばれる生物種の階層構造が見られるとされる。
ようするに、そこで生息する多くの生物が、ある高さの範囲だけを生息域としていて、まとめて見ると、 各種の生息域が、まるでタワーの階層のような構造になっているのである。

 だいたい世界中どこの磯でも、人工的操作の与えられていない帯状分布には、似たようなパターンが見られるという。

 最も高い場所には、小さな巻貝が見られることがよくあり、その下には、フジツボ(Acorn Barnacle)という山型の殻を持つ生物が、「フジツボ帯(Barnacle belt)」を構成する。
そしてさらに下には『カキ(Ostreoida)』や『イガイ(Mytilida)』と呼ぶれる二枚貝の分類群の層。
そしてそれより下では、海藻(Seaweed)がよく繁って目立つという。

 フジツボはかつては貝類だと考えられていたが、現在は節足動物の甲殻類、つまりはカニとかエビに近しい生物とされている。
また、陸上植物を除いた、光合成を行う生物をよく「藻類そうるい(Algae)」と言うが、海藻はその中でも視覚的に目立つ海底植物の総称である。

付着生物。二枚貝床

 フジツボや多くの海藻などもそうだが、帯状分布の層を成すカキやイガイは、「固着性(Sessility)」を持つ「付着生物(sessile organisms)」である。
固着性とは、岩石などの基盤の上に、部分的に固定された状態で生きるという性質。

 固着性の二枚貝は、足にあたる部分から『足糸そくし(byssus)』という、糸状の繊維を大量に分泌して、その先の接着剤で、岩の表面に付着する。

 二枚貝の固着は群れて、二重三重と、多重構造を成している場合も多く、そういう集まりというか、塊は、『二枚貝床にまいがいしょう』とも呼ばれる。

 巻貝には移動する種が多いが、彼らに関しては、海水面の上昇時には磯の上の方、海水面下降時には磯の下に移動するという種が多いという。
ただし干潮時などに、乾いた岩上で休息を取る場合には、やはり一定の高さを決めているようである。

二枚貝。波打ち際の熱帯雨林の骨組み

足糸の数調整

 イガイ科は、「斧足ふそく」と呼ばれる、名前通に斧に似ているとされる細い足を持っている。
その斧足の下面には細い溝があって、彼らは足の付け根の辺りの「足糸腺そくしせん(byssus gland)」という器官から粘液を分泌し、その溝に流し込み、糸の型をとる。
そうして糸の形で、粘液が固まったのが足糸である。
後はその先に接着成分をつけて、他の足で導き、岩の表面などにくっつけるわけである。

 貝たちは、自分のいる環境において、足糸がどれくらい必要かを多少把握しているようで、明らかにその数には、環境による個体差もあるという。

 だいたい個体ごとに、100~1000本くらの足糸を持つとされる。

濾過による水質の浄化作用

 群れ集まるのは二枚貝床を作る二枚貝の特徴とされる。
我々には食べ物として親しみ深いアサリ(Ruditapes philippinarum)やシジミ(Cyrenoidea)など、多くの二枚貝は砂の中などで、個体ごとの単独生活を営んでいる。

 個々の力は大したことなくとも、集団ともなれば恐ろしい力を発揮することがある。
群れ集まるイガイ科の二枚貝は、 他に固着している生物を覆うことで殺すことができる。

 一方で群れ集まっているイガイたちは、水中の有機物を食べるために「濾過ろか(Filtration)」する。

 二枚貝は殻の中に、水を取り込む「入水管(incurrent siphon)」と、 取り込んだ後に濾過して不要になった海水を排出する「出水管(current siphon)」という器官を持つ。
我々で言う、喉と肛門みたいなものである。

 群れたイガイも、海水面が上昇して水に浸かると、殻を少し開けて入水管を出し、体内に海水を取り込み、濾過したプランクトンなどの有機物を粘液で固めて消化管の中に送る。
そして余分な水は、糞や尿と一緒に出水管から吐き出す。
特に多重構造をなして、高密度になっている二枚貝床では、そのような濾過摂食の総量はかなり高くなる。

 カキばかりの二枚貝床も濾過能力はもちろん高いが、この点に関しては、イガイのそれの方が、かなり優秀らしい。
通常、イガイ床の濾過効率は、カキ床の4倍ほどになるともされる。

 出水管からは、消化出来ない大型のプランクトンを、粘液で固めたものも排出されるが、それは「偽糞ぎふん」と呼ばれる。

 そうした、普通に考えると余計なものが排出されるとはいえ、二枚貝床の濾過摂食は、総合的には水質の浄化に役立っているとされる。
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海の中で最高の生産力

 イガイの排出した糞などは、バクテリアに分解され、バクテリア食の生物の食物増加にも繋がる。
そのままのプランクトンである偽糞なども、普通にプランクトン食の生物に食べられる。

 そうしたイガイの有機物サイクルは、漂う固形物を他の海洋生物が利用しやすいように変化させる、リサイクルになっているともされる。

 さらには、積み重なり、群れる二枚貝と、絡まりあう大量の足糸は、直射日光を遮るため夏には温度が低く、冬には冷たい風を遮る、生物にとってかなり理想的な環境となっている。
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さらには二枚貝の壁は、捕食動物に対する防御壁にもなる。
その上で、イガイの濾過能力により、利用しやすい栄養が絶え間なく補強されてくる。

 上記に挙げたような理由によって、二枚貝床に住み着く生物は多い。
二枚貝床が生物を作る生産力は、海の中で最大ともされ、陸上の熱帯雨林に匹敵するという説もある。

巻貝。家と畑とモンスター

カサガイは家跡をどうやって作っているか

 カサガイなど、巻き貝の中には、「家」という工夫を開発した種が多い。
二枚貝やフジツボのような群れた強者に加え、藻類を食べる他の巻貝とも競争激しい磯で、家は少しでも快適に生きるための工夫である。

 カサガイの家は、殻を屋根代わりとして、岩のくぼみや、割れ目などを空間として利用する。
家からカサガイを剥がしたなら、そこには腹足に合うようなくぼみが形成され、それは「家跡かこん」と呼ばれる。

 家がカサガイの生存に役立っているのは間違いなく、無理やり家から遠ざけられたカサガイは、死亡率がかなり上がることも確かめられている。

 腹足類には、炭酸カルシウムを主成分とした歯があるとされ、消耗すれば生え変わる仕組みにもなっているが、藻類をかきとるのには使えても、岩を削るには十分でないとされる。
しかし、どうも殻の成長にも利用される粘液には、岩(石灰岩)を溶かす作用もあり、それと歯を使うことで、家跡を形成しているのでないかと考えられている。

 カサガイはずっと家に引きこもっているわけではもちろんない。
干潮時の干上がっている時は乾燥の危険、満潮時の水没している時には捕食動物の危険がある。
そこで多くのカサガイは、おそらく最も安全な時間帯と思われる、海水面が中途半端な時に、食事や繁殖などのために外出をする。

帰家行動。なぜ家に帰れるのか

 カサガイが家を出て、それからちゃんと自分の家まで戻ってくる『帰家行動』は、古くから大きな謎とされてきたという。
我々が、この生物をいかに愚かな存在だと考えてきたのかが、よくわかる疑問である。

 この帰家行動を実現しているカサガイの能力として、主に「記憶説」と「道しるべ説」があるという。
つまり、カサガイが空間的に家の位置を記憶している説と、自分が進んだ道につけた粘液を道しるべとしているという説である。

 数多くの実験によると、道しるべ説が有力なようだが、カサガイは必ずしも、出かけた時と同じ道を辿って帰るわけでないとする観察報告もあるので、記憶能力もちゃんと持っていると考える向きもある。
一応、別の道を使って帰っている時も、過去につけた道しるべを使っているのだという考え方もできる。

 ちなみに、別に道しるべでなくとも、歩く際に粘液を放出するのは、体をくねらせて動く際に、蹴り出す足場の役目を果たすという、実用的な意味合いがあるとされる。

潮溜まりの海藻と貝たち

 家を持たない巻貝は、干潮時には潮溜まりに集まる習性があるとされる。
たいてい潮溜まりには海藻が多量で、貝たちのかっこうの餌場でもあるという。

 潮溜まりに溜まる巻貝を除去したら、海藻が潮溜まりの全面に広がり、そうなると、再び巻貝たちを戻した場合にすら、もはや前のような状態には戻せないようである。
貝たちは、芽を摘み取ることで、海藻の繁栄を抑えていたりするわけである。

 潮溜まりにも、家を持つ貝がいるらしいが、彼らは基本的に、潮溜まり内だけで生きているという。
潮溜まりの家持ちは、なぜか小型が多いらしい。

 潮溜まりを干潮時の休息場所として利用する、特に肉食の巻き貝は、そこが海水に浸かった時間に、一斉に動き、潮溜まり外に餌を求めるという。

 しかし例えば、レイシガイという種に似ているレイシガイダマシに似ているため、レイシガイダマシモドキ(Semiricinula fusca )なんて名前がつけられた肉食性巻貝など、活動時間のリズムが一貫していない種もいるそうである。
レイシガイダマシモドキは、いつの時間帯でも、潮溜まり全体の5%程度が活動していて、食事や繁殖行動もかなり消極的に見えるという、結構奇妙な貝とされる。

なわばりに畑を持った貝

 はっきり「なわばり(Territory)」を持っている貝が最初に確認されたのは、1969年のアメリカだったとされる。
それはナスビカサガイ(Owl limpet)という種で、なんとこの巻貝は、自分の縄張りに畑を持っているのだという。

 ナスビカサガイは典型的な家を持つカサガイだが、その家跡の周囲には、厚さ0.5ミリほどの膜状に、「藍藻らんそう(blue-green algae)」という藻類が繁っている。
ここに侵入してくる他の巻貝は、ナスビカサガイの体当たり攻撃を受ける。
ナスビカサガイが除去されると、藍藻はすぐに他の巻貝に食い尽くされるし、そうでなくても、ナスビカサガイが芽を取り除いていたのだろう他の藻類が光合成のための太陽光を奪ったりするそうである。

 ナスビカサガイ自身、藍藻を毎日食べるのだが、藍藻は食べられるというのに、守られている、まさしく共生状態だという。
また、ナスビカサガイはタンパク質や糖質を含む粘液を肥料代わりにすらしているので、植え付けこそないものの、これはやはり畑と言うのがふさわしい。

 植え付けに関しても、将来確認されることもあるかもしれないと期待している研究者も結構多いようである。

 なわばりを守る行為は戦いだが、巻貝たちは他にも、餌や、快適な休息場所や、メスとの交尾権を、戦いで奪いあうことがあるという。
巻貝たちは勝敗をちゃんと記憶しているようで、勝ち続けている巻貝は強気。
しかし負け続けている巻貝は弱気であり、すぐ諦めて退散したりするらしい。

放浪する怪物

 畑という見事なシステムを使うカサガイがいる一方、ヨメガカサガイやマツバガイ、ベッコウガサガイのように、 食物を食い尽くしては別のところでまた放浪を続けるというモンスター的な種もいる。

 基本このような性質を持つのはヨメガカサガイ属(Cellana)の種で、共通の特徴として、長く鋭い歯を持っている。
そして、その鋭い歯で藻類を根こそぎとっては、去っていくため、彼らの放浪した後には、言ってしまえば不毛な土地が残るという。

 こんな性質を持っているわけだから当たり前なのだが、一時的に閉鎖された空間に追いやられた場合に、死滅する確率が、他の種に比べ、格段に高いようである。
傲慢な強者は広い世界では頂点に立てても、狭い世界では長く生きられないわけである。

貝を食べる貝

 アクギカイ科(Muricidae)の多くは肉食、特に他の貝を食らう巻貝として知られている。

 この種の貝は、腹足の前方下部から、貝殻を柔らかくする酸を分泌することができるという。
そして、これまた貝殻を削るのに適した形状となっている歯を使い、ターゲットの貝殻に穴を開けるのである。
穴を開けたら、あとは、そこから細く伸びる吻(口)を入れて、歯で内部の本体を削るように食べていく。

 狙われるのは主に固着性の二枚貝だが、速度を犠牲にして防御を追求した彼らに対し、防御をくぐり抜けるような攻撃でさらに対抗したのがアクギカイともいえる。

 しかし、そのようにかなり特殊化しているとはいえ、硬い貝殻に穴を開けるという行為は決して簡単ではなく、かなり時間はかかるという。
だいたい1ミリの貝殻に穴を開けるのに、66時間ほどかかるという計算もある。

 アクギカイらは、種ごとの貝殻のウィークポイント(弱点)を学習するらしい。
初めて襲う種類の貝に穴を開けるのにはかなり手間取るが、同じ種を6~7匹ほどを襲った後では、殻の薄い部分を的確に狙うようになるのだということが、実験によって確かめられている。

 また、必ずしも殻の弱い部分ばかりを狙うわけではないようである。
ターゲットが大きく、どのみち中身の全てを食べきれないような場合は、消火腺がある部分など、栄養が豊富な位置を狙って、穴を開けたりするという。

 アクギカイの中には、せっかく開けた穴を横取りしたり、食われて死んだ肉を頂戴する種もいる。
ウネレイシガイダマシやヒメヨウラクガイなどは、死肉食の傾向が特に強いとされる。

オスとメスと生殖活動

 貝の中には、吐き出した卵子に、精子をふりかける、いわゆる「体外受精(In vitro fertilization)」を行う種もいるが、全体的にはちゃんと交尾して「体内受精(Internal fertilization)」をする種が多いようである。
卵 「胚発生とは何か」過程と調節、生物はどんなふうに形成されるのかの謎
 多くの巻貝の求愛行動として、特定のメスに狙いを定めたオスが、その這った後の粘液をたどり、追いついて交尾を迫るという形式が知られている。
メス側が必ずオスを受け入れるとは限らず、逃げてしまったり、殻にこもってしまったりする場合もあるらしい。

 脊椎動物では、オスが単数、あるいは複数の交尾対象のメスを囲い、他のオスから守る行動が見られるが、アクギカイ科の種などに、それに相当するような、「マウンティング」という行動が知られている。
だいたいメスの方が大きいらしいが、それは、その大きなメスの上に、小さなオスが乗っかっているという状態。
マウンティング時に、他のオスがメスに乗っかろうとしたら、先に乗ってるオスは攻撃するという。

 たいてい貝同士の戦いは、体の大きな個体が勝つようだが、マウンティング時の防衛のための戦いに関しては、先にメスに乗っかってた方のオスが、サイズに関係なく勝つことが多いらしい。

雌雄同体、性転換する種

 雌雄同体、あるいは性転換する貝もわりといるという。

 雌雄同体の貝は、自分の卵子に自分の精子を受精させて、いわば単独での生殖も可能だが、同じ遺伝子はあまり歓迎できたものではないのか、この方法はあまり好まれないという。

 性転換する種の場合、 さすがにそれは気軽に行えるようなものではなく生涯に一度だけというパターンが多いようだ。
そして圧倒的に、オスからメスへ性転換するパターンが多いという。

 子の体の素材や、育つための最低限の栄養分などが全て含まれる卵子に比べると、精子というのは遺伝子情報だけ提供する、いってしまえば卵子を起動させるための単なるスイッチである。
作るのに大したエネルギーもいらないので、気軽に大量生産し、気軽にばらまける。

 そこで、移動能力に優れた小さな個体の時にはオスの状態でいて、あちこちで精子をばらまく。
そして年を取って、鈍く、しかし体が大きくなってきたら、オスを待つだけのメスに変わる。
というのは、効率的にはいいように思われる。

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