モギィ、ファントム、ミステリー
未確認動物で『ABC』といえば、普通、『エイリアンビッグキャット(Alien Big Cat)』のことである。
この名称は、いくつかの未確認動物。
『モギィ(Moggy)』、『ファントムキャット(Phantom cat)』、『ミステリーキャット(mystery cats)』などの総称か、別名ともされる。
ようするにエイリアン(外来種)とされるが、よくよく考えれば、それが未確認動物扱いされていることが、すでにちょっとおかしい。
ABCは、ピューマやヒョウのようなネコ科の大型動物が、 生息しないはずの地域に姿を見せる現象だと考えてもよい。
ただし、目撃された種がはっきり断定されることは基本的にない。
なので、既知の動物であるのかも不明。
どちらかと言うと、やはり未確認動物であるとはいえるだろう。
ちなみに単にBigcatという英単語は、ライオンとかトラとかジャガー、ヒョウやチーターみたいな、とにかく文字通りに大型のネコ科動物の総称として使われもするという。
また、Moggyというのも、猫を意味する単語。
様々な目撃、様々な伝説
ABCは特にイギリスでの目撃が多いとされる。
「イギリス」グレートブリテン及び北アイルランド連合王国について
また、それらしき目撃情報は18世紀の頃から記録があるようだが、1963年以降、急増しているという報告もある。
ではイギリスだけか
イギリスが島国であるということを考慮すると、外来種がそこにいるはずないものとして目立つのは当然かもしれない。
ABCはまた、時々一部の地域で集中目撃が起こることが、UFO現象に近いとされることもある。
決してイギリスだけの未確認動物というわけでもない。
他のヨーロッパ各国や、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、インドや中国といったアジアと、ようするに世界中に目撃報告はある。
イギリス以外の目撃情報は、21世紀になってから明らかに増えたという話もある。
アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど、もともとイギリスの植民地であった時期がある国で目撃が多いという説もある(コラム)
「イギリスの歴史」王がまとめ、議会が強くしてきた帝国の物語
単に、イギリスで知られていた都市伝説が、インターネットの普及によって世界中に広まっただけ、と言えるだろうか。
また、わりと初期から、ABCらしき生物は写真に撮られているが、1990年以降は、ビデオでの撮影も結構されているようである。
(コラム)大英帝国の秘密
大英帝国は、各植民地にワープ装置を置いたとでもいうのだろうか。
それとも今でも謎猫たちにとって、それらの国には繋がりがあったりするのだろうか。
凶暴な気性、テレポート能力?
未確認動物の中でも、ABCは明らかに狂暴である。
人を襲ったという話も多い。
そのことは、ABCという存在に関して(それが既知かどうかはともかくとして)何らかの野獣が絡んでいる事実を意味しているのかもしれない。
目撃談の中には、それが、どこかへ去ったのでなく大気に溶け込むように消えてしまったとか、 何もなかったはずのところに急に降ってきたように現れたとか、まるでテレポートでもしているかのような話も結構ある。
超能力の種類研究。一覧と考察「超感覚的知覚とサイコキネシス」
目撃された中には、外来種とかでなく、完全に未知なるネコ科生物と考えられるようなものもある。
典型的な目撃談としては、突如現れて、人を何人か襲って、そしてどこかへ消え去るという感じ。
もちろん人に危害がない場合の目撃もあるが、その辺りは多くが、集団パニックとか、その地方に普通に存在するネコ科動物を勝手に外来種と思い込んでしまったとか、そういうふうに考えるのがまず妥当であろう。
おそらくは2つのパターンが考えられる。
まず、未確認であり、それどころか何らかのテレポート能力みたいなものを持った、未知なる動物が目撃されているパターン。
それと、既知の生物が何らかの原因で、どこかからどこかへテレポートしているパターン。
ブリティッシュビッグキャット
イギリスのABCは特に、「ブリティッシュビッグキャット」と呼ばれることが多い。
いくつか以下に例をあげておく。
1963年1月。
ロンドン郊外の道で、パトカーのボンネットを、チーターのような生物が突如飛び越えていった。
1964年8月。
ハンプシャー州ファンファムの農場で、牛や羊といった家畜が、ピューマらしき生物に殺されてしまった。
1983年5月。
デボン州エクスムアで、海兵隊員が、犬より大きいくらいの謎の獣を目撃。
狙いを定めたライフルから弾丸が放たれる前に、その獣は走り去った。
1998年1月。
イギリスの各地で、ライオンらしき生物の目撃が相次いだ。
タテガミがなかったから、おそらくメスであるという。
2002年1月。
ケント州グラベストンに住むミック・コールという人が、自宅の脇から現れた、黒豹のような獣に飛びかかられている。
彼は家の中に避難し、窓からその生物の様子をしばらく見ていたが、家近くの農場付近で、その生物は突如消えてしまった。
ブルーマウンテンズパンサー
オーストラリアはシドニー西のブルーマウンテンズという山脈と 、その周辺地域には、第二次世界対戦の時代にアメリカ軍の兵士が放った、巨大な猫の子孫が現在も生き残っている、という都市伝説があるという。
その獣は、「ブルーマウンテンズパンサー(Blue Mountains panther)」、あるいは「リスゴーパンサー(Lithgow panther)」と呼ばれているという。
また、この獣の出生のパターンとして、アメリカ軍兵士以外にも、サーカスから逃げ出したとか、動物の闇市場から逃げ出したとかがある。
しかしいずれにしても、20世紀以降に放たれたという説が多い。
ただし例外もあって、19世紀のカリフォルニア・ゴールドラッシュの頃に、鉱山労働者によって輸入されたとかいう話もある。
一般的にはクロヒョウに似ているとされる。
この生物に襲われたと思われるヒツジやウシの遺体が見つかることもあるという。
ただ見つかるというだけでなく、それが木の上などにあった、という報告もあるから、 その力はかなり強いのではないかと推測されたりもする。
地元住民からの関心が結構高く、州政府による公式の調査も何度か行われているらしい。
マルタタイガー
「マルタタイガー(Maltese tiger)」、あるいは「ブルータイガー」は、 正しく青色の体を持つ虎らしい。
マルタというのは、青みがかった灰色のこと。
未確認生物と言うか、単にアモイトラという、中国華南に生息する虎の珍しい亜種なのかもしれないとされる。
しかしアモイトラ自体が野生では絶滅しているという説が有力である。
中国以外でも韓国やミャンマーなどでも目撃報告があるという、この青虎は、ハリー・コールドウェル(Rev Harry R Caldwell。1876–1970)という牧師が、 1910年頃に遭遇したものを、「青い虎」とかいう本に書いたことで、 広く知られるようになったという。
外来種の正体。普通とオカルトな仮説
とりあえず興味深い話として、大型ネコ科動物は我々の祖先にとっては驚異的な存在だったため、我々には遺伝子レベルで、ネコ科動物を素早く察知する能力を持っている、という説がある。
野生化したペットか、古代種か
当然の話だろうが、多くの事例において、まず一番有力とされているのが、野生化したペット説である。
普通は飼わないような大型動物を飼っていて、何らかの理由でつい逃してしまったという可能性だけでなく、サーカスか動物園から逃げ出したパターンなども、ありえない話ではないとされる。
実際に、ABCが捕らえられたという話もわりとあるのだが、それらに関しては、ほぼ全てこのペットだろうと考えられている。
また、1980年に、スコットランド、ハイランドのインヴァネスで、メスのピューマが捕獲され、動物園にて「フェリシティ (fericity)」いう名を与えられた。
このフェリシティは明らかに人に慣れていたようで、捨てられたペットであった可能性がかなり高いという。
人を襲う凶暴性というものはあまり感じられそうもないことだが、このフェリシティ以降、ABCは捨てられたペットではないか、と主張する人がかなり増えたようである。
もう絶滅してしまったとされている大型ネコ科動物という説もよく言われる。
しかし特定の地域だけならともかく、世界中で絶滅したと考えられているが、実は絶滅していないネコ科動物がいるとは考えにくい。
ただ、 野生化したペットにせよ、古代種にせよ、あるいは単にまだ未発見のネコ科動物にせよ、テレポート能力らしきものを説明しにくい。
ただ、このテレポート能力という点さえ、勘違いだとかなんとか言って無視してよいなら、ABCは比較的かなり実在性が高そうな未確認動物ではあるだろう。
UFOか、メモリーか
性質がUFOに似ていることから、猫型UFOでないかという説もあったりする。
よく幽霊現象を説明する説明として、自然界には、時に物理現象をメモリー的に保存する原理があり、それが表に現れることがあるというのがあるが、ABCもいくつかはこれかもしれない。
また、自然な現象として、そういうテレポートが起きているのかもしれない。
我々は時空というものの性質を全て把握しているわけでもない。
もちろん何者かの意思が、そこに関係している可能性もある。
「特殊相対性理論と一般相対性理論」違いあう感覚で成り立つ宇宙 「宇宙プログラム説」量子コンピュータのシミュレーションの可能性
テレポートは意図的か
仮にテレポート現象なんてものがあるとするなら、偶然と考えるよりは、何らかの意思がそこに関係している可能性の方が高いと思われる。
例えば、水の中に入った物体が10秒以内にどこかにテレポートするということがありえるのだとしよう。
そうなると我々は、風呂やプールに入るたびにテレポートの危機に直面することになるが、そこで真に脅威とすべきことは、どこか見知らぬ土地へテレポートしてしまうこと以上に、水に浸かっている特定の部分だけがテレポートしてしまうことだろう。
つまり、自然のテレポート現象があるのだとして、確率的に言うなら、特にそれが猫とか人間みたいなある程度大きな生物であるなら、さらに偶然なら、部分だけがテレポートしてしまう可能性が高くなるのでなかろうか。
多細胞生物は様々な部分で構成されている生物といえるが、 そこに時空間的な強いつながりはないだろうだから、我々は(痛みや、死んでしまうかもしれないという恐怖はともかく)簡単に、自分の体の部分を取ってしまうこともできる(注釈)
「ダーウィン進化論」自然淘汰と生物多様性の謎。創造論との矛盾はあるか 「物質構成の素粒子論」エネルギーと場、宇宙空間の簡単なイメージ
(注釈)時空に閉ざされるは、どれくらい恐ろしいか
もっとも、並の人の力でどうにかしたりするのはけっこう難しいだろう。
誰かの手を引いた場合、手だけが取れるわけではなく、おそらくその人自身が引っ張られる。
テレポートもそういうものだと、つまりは手がテレポートする時、それに引っ張られてその人自身もテレポートするものなのだということが普通なのだと想定することはできる。