「翼竜」種類、飛行能力、進化史。恐竜との違いはどのくらいか

翼竜

恐竜の真上を飛んでいた翼竜

 進化史的に、恐竜と近縁であり、おそらくは初めから終わりまでずっと同じ時代を生きていた翼竜は、初めて空を飛んだ脊椎動物と考えられている。
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 鳥類は、獣脚類恐竜から進化したと考えられているので、そういう意味では鳥類とも比較的近い関係にあると言われる。
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ただし時代的には、現在の鳥類よりは、爬虫類と哺乳類の共通祖先の方が近しい可能性もある。 
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コウモリに近いか

 翼竜は、恐竜を通して、鳥類に近い存在であるが、身体的特徴は、むしろ哺乳類のコウモリに近いというイメージが強い。
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実際、翼竜を、爬虫類界のコウモリと呼ぶ向きもある。

 しかし翼竜には、翼開長が10mになるような大型種もいた。
コウモリで、それほどのサイズを得た者はいない。
そしてたとえ身体的特徴が似ているのだとしても、そのくらいのサイズになってくると、もうその非行性能を同じように考えるわけにはいかない。

 前足そのものが翼になっている鳥に比べて、翼竜とコウモリは、どちらも体の皮膚がそのまま延長された、皮膜からなる翼を持つ。
 皮膜の翼を、コウモリは長く延びた四本の指が支えている。
一方で翼竜の場合は、第四指のみが伸びて、翼全体を支えている。

高機能だった翼

 翼竜の翼は、その内部に結合組織が広がり、さらに筋肉や血管が規則正しく走っていて、コウモリよりも機能的であったと言う説もある。

 比較的保存状態のよい翼竜の化石には縞模様が見られ、これがおそらく、補強用の繊維だった、と考えられている。
それで筋肉を引っ張ることで、翼の形状を器用に変化させて、飛行能力を高めていたわけである。

 また皮膜の化石を電子望遠鏡で調べてみたところ、おそらくは血管が張り巡らされた層があったことが判明している。
毛細血管を拡張させることで、効率よく代謝熱を発散させることができたのではないか、とも推測されている。
もしかしたら翼竜は、哺乳類なみに体温維持に優れた生物だった可能性すらある。

羽毛翼竜はいたか

 翼竜は体温維持に優れていた、となってくると、はやり気になるのは、羽毛を持っていたかということだろう。

 確かに羽毛恐竜ほど多くの証拠があるわけではないが、ソルデス・ピロススのような、羽毛らしき痕跡のある翼竜の化石も、発見されてはいる。
むしろ歴史的には、翼竜の方が、恐竜よりも早くから、羽毛を持っているのではないか、と予想されてきたようである。

 とりあえず、もしも羽毛を持っていたなら、おそらくはウロコ由来だったろうとされている。

翼竜の分類

 翼竜はよく、ランフォリンクス亜目とプテロダクティルス亜目に大別される。

 ランフォリンクス類は、 三畳紀後期からジュラ紀末にかけて存在していたグループで、長い尾が特徴的とされる。

 プテロダクティルス類は、ジュラ紀後期から白亜紀末まで存在していたグループで、おそらくはランフォリンクス類から進化、枝分かれした翼竜。
白亜紀には、かなり大型化する種も現れた。

ランフォリンクス。長い尾と短い首

 ランフォリンクス類の多くの種は、長い尾の先端に、ひし形や水滴状の突起が付いている。
この突起には、飛行を補助する役割があったという説がある。

 尾椎びつい(尻尾の骨)の前関節突起と血道弓けつどうきゅう(尻尾上に連続してついている突起状の骨)が長く伸びて、尾椎とからみ合い、尻尾全体を弾力性のある棒状としている。

 個々の頸椎けいつい(首の骨)が短く、結果として首も短い。
またランフォリンクス類は、全ての種が歯を持つとされている。

 翼の骨に関して、中手骨ちゅうしゅこつ(指の前半)部分が、相対的に短いようである。

プテロダクティルス。短い尾と巨大な体

 プテロダクティルス類は、ランフォリンクス類と真逆で、基本的に尾が非常に短い。
また、頸骨(首)も長く伸びている。
 歯を失った種や、プランクトン用に特殊化した種もいた。
 そして、後頭部や吻部ふんぶ(口と口の周辺)にトサカを発達させた種が多い。

 翼に関しては中手骨の比率が、ランフォリンクスよりもかなり大きくなっている。

 ジュラ紀も後期になってくると、アヌログナトゥスのような尾の短いランフォリンクス類が見られるようになるので、このあたりの種から進化したのではないか、と推測もされる。

大型翼竜は飛べないのか

 大型翼竜のサイズでは、実は空を飛べなかったのではないか、という説もある。
現在の鳥類の体の大きさと体重から算出された結果として、体重が45キロを越えてきたくらいで、もう安定した飛行はできないのでないか、という結論が出ているのだ。
 最大の翼竜候補として知られるプテロダクティルス類のケツァルコアトルスなどは、おそらく体重70キロほどだったと推測されているから、上記の結論が正しいのなら、確かに飛べなさそうである。

 飛行船や飛行機はどうなのかと言うと、あれらは、ヘリウムのような大気よりも軽い空気を内部に詰めたり、地上で、普通の生物には無理なくらいのレベルで加速をしたりしている。
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 もちろん、当時と今では環境が違ってたかもしれない。
それに、翼竜はまさしく骨と皮のみで、非常に軽かったのかもしれない。

 ただ、計算してそうなるはずだという結果が出ても、実際には普通に例外があるなんてことは、生物学の分野においてはよくあることである。
 また前述したように、翼竜の翼は非常に機能性が高かった可能性がある。

初期の水生生物説

 大きさのためかは知らないが、翼竜がそもそも、空を飛ぶ生物ではなかったのではないか、という説は古くからある。
というか、初期の頃の研究では、わりと、ペンギンのような水生生物だったのではないか、という考えは多かったようである。
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 例えば1830年。
ヨハン・ゲオルグ・ヴァグラーは、プテロダクティルスを水生生物として復元したという。
 どうも、前足の皮膜が翼でなく、水中を移動する際に利用するヒレだったのではないか、と考えられたらしい。
ただし、水生生物説に関しては、 最初から疑問も多かったとされる。

 翼竜を、最初に空飛ぶ爬虫類と断定したのは、高名なジョルジュ・キュヴィエで、1812年のことだという。
 また、水鳥説や、空飛ぶ有袋類説などもあったらしい。
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初期翼竜への進化

スクレロモクルス・タイロリ

 1870年のスコットランド。
三畳紀後期の初期の地層から、23センチほどの、スクレロモクルス・タイロリが発見される。
これは別に、空の飛べない普通の陸上爬虫類だったと考えられている。

 しかしスクレロモクルスは尾が長く、後ろ足に比べ前足が短い。
頭部が大きく、胴体は短いと、 様々な特徴が初期の翼竜に一致しているために、翼竜の祖先なのでないかとも推測される。

 1914年に、スクレロモクルスの化石を細かく調べたフリードリッヒ・フォン・ヒューネは、この生物の骨格の構造のいくらかが翼竜と共通していることも見いだした。
ヒューネは、スクレロモクルスは、おそらく樹上性じゅじょうせいであり、翼竜はこのような、木から木へ滑空して移動するような生物から進化したのではないか、と考えたらしい。
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滑空からか、いきなり飛んだか

 誰もがスクレロモクルスは翼竜の祖先か、あるいは祖先と近い系統にあると考えているわけではない。
 ケヴィン・パディアンという人は、1985年の論文で、翼竜が樹上性爬虫類から進化したというのは勘違いだろうとしている。

 骨格上の特徴からすると、初期の翼竜はすでに飛行のための特殊化の傾向を示している。
まだ空の飛べなかった祖先の生きていた時期的に、滑空段階を得たわけではなく、地上を二足歩行していた生物から直接生じたはず、というわけである。

実は恐竜と近しくないのか

 そもそも、初期の翼竜とされている種が、すでに完全に飛行のために特殊化している、ということを重要視する傾向もある。
ようするに、翼竜が恐竜との共通祖先から分岐したのは、従来考えられているよりも、もっと以前ではないかという意見もあるのだ。

 これは、翼竜と恐竜が、考えられていたよりも遠い系統の生物、という可能性を示唆しているだけではない。
翼竜や恐竜は、主竜類というグループに含まれているとされるが、翼竜がこのグループから離脱する可能性すらもある。

イタリアの原始的な翼竜三種

エウディモルフォドン・ランジイ

 翼竜が地上に姿を現したのは、恐竜と同じく三畳紀後期頃とされている。
その時代の、原始的な翼竜とされるエウディモルフォドン・ランジイの胃の辺りの化石から、魚のウロコが発見されている。
おそらくは魚食性だったのであろう。
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 1973年にイタリアで化石の発見されたエウディモルフォドンは、翼開長1mほど。
有名なランフォリンクスに近縁ともされるが、歯の構造がかなり特殊化していて、おそらくは、ジュラ紀以前に途絶えた特殊な系統のひとつと考えられている。

ペテイノサウルス・ザンベリイ

 エウディモルフォドンと同じ頁岩けつがん層から発見されているペテイノサウルス・ザンベリイは、エウディモルフォドンよりも、さらに原始的とされる。

 ペテイノサウルスは、翼開長60センチくらいとされ、エウディモルフォドンより小型である。
骨格の特徴から、おそらくはランフォリンクス亜目のディモルフォドン科に属しているという。
そういうわけで、ペテイノサウルスは、ジュラ紀前期のディモルフォドンの直系の祖先とも言われる。

プレオンダクティルス・ブッファリニイ

 発見場所こそ違うが、ペテイノサウルスよりさらに小型のプレオンダクティルス・ブッファリニイも、やはりイタリアで見つかっている。

 翼開長は45センチで、やはりジュラ紀の、ランフォリンクス科の翼竜ドリグナトゥスに似ているという指摘がある。

 驚くべきことに、その最初に発見された化石は、化石のついた岩を洗っているうちに、その化石自体が流されて失われたそうである。

プテラノドンのトサカの謎

 プテラノドンと言えば、まず間違いなく最も有名な翼竜である。
もしかしたら、恐竜以外の生物の中では、最も有名な生物かもしれない。
さすがにティラノサウルスには負けるだろうが、ブラキオサウルスやトリケラトプスと同程度くらいには有名であろう。
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 そんなプテラノドンに関する、重大な謎とされているのが、その、あまりにもはっきりした特徴である、大きなトサカである。

 普通に考えて、飛行に適応した翼竜は、可能な限り体重を軽くする必要がある。
実際、翼開長が7メートルほどもあるとされているプテラノドンの体重も、15~30キロくらいだったろうと考えられている。
つまりどう考えても、あのトサカは余計な重さである。

メスへのアピールか、飛行の道具か

 あのトサカは、オスがメスにアピールするためのものではないか、という説がある。
実際メスのトサカはなかったか、小さかったようだ。

 一方で、一見無駄に見えるあのトサカも、実は飛行能力を向上させるためのものではないか、という説もある。
 これは、あれほどまで極限に飛行性能を高めた生物が、今さら飛行に邪魔になるような進化をするわけがない、という考えに端を発しているようだ(エッセー)。

 ならあんなトサカが何の役に立つのか。
正確には、あのトサカから首にかけて、実は生前のプテラノドンには皮膜がついていて、 飛行中の舵の役割を果たしていたのではないか、という説がある。
 またあのトサカは、風の吹いてくる方向に首を向ける時に、必要な筋肉の重量を軽減する役目を持っているのではないか、と考える人もいる。

 もしトサカが飛行性能を向上させるのに意味を持っているのなら、オスのプテラノドンは、メスよりも飛行性能が高かった可能性がある。
そういうパターンは現在の鳥にも、時に見られるようだから、そうおかしいことでもないらしい。

 また、例えば大型翼竜のトゥプクスアラの種には、 どう考えても飛行のためと言うには無理があるくらい大きなトサカがあるという。

(エッセー)少なくとも人間はバカする

 これはちょっと耳が痛い。
自分自身の経験で言うと、本当に望んでいるようなこととか、やりたいこととかあったとしても、それとは全く関係ない、あるいはそれについて全く無駄になるようなことに、ついつい時間を使ってしまったりしてしまう。

 例えば知識が欲しいと思って、たくさんの本を読みたいと思っているのに、本を何冊も読める時間をかけて、特に自分に利益をもたらさないゲームを楽しんだりとかする。

 いろいろなもののアディクション状態になってしまってるみたいで嫌になる。
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