「占星術」ホロスコープは何を映しているか?

占星術

ホロスコープ。占星術の基本

黄道十二星座

 占星術、特に西洋占星術の基本は『出生チャート(natal chart)』と言われる。
これは『誕生チャート(birth chart)』とも言われる『ホロスコープ(horoscope)』の1種である。
 ホロスコープとは12の領域に区切られた円形の図。
12の領域にはそれぞれ星座が割り当てられている。
天空の神々 「八十八星座の一覧」ギリシア神話。プトレマイオス。天文学者の星図
 チャートに割り当てられる伝統的な星座は、牡羊座(Aries)、牡牛座(Taurus)、双子座(Gemini)、蟹座(Cancer)、獅子座(Leo)、乙女座(Virgo)、天秤座(Libra)、蠍座(Scorpio)、射手座(Sagittarius)、山羊座(Capricorn)、水瓶座(Aquarius)、魚座(Pisces)の『黄道十二星座(12 ecliptical constellations)』。

 黄道とは、太陽の(おそらく見かけ上にすぎない)年間の通り道であり、12星座は、星座そのものより、その黄道を12の領域に区切った場合の、各領域を指す名称である。
太陽系 「太陽と太陽系の惑星」特徴。現象。地球との関わり。生命体の可能性

天は球体

 12の各領域を『宮(house。ハウス)』という。
占星術とは字の通り、占いの魔術である。
出生チャートの図には、占う対象の出生時期に応じた宮の場所に、太陽や月や惑星を示す記号が書かれ、占星術師はそれを参考に、その者の本質や運命を占う。

 夜空を球体の内部だと解釈しているからチャートは円になるのである。
円であるから、12の各領域は30°ずつの角度、度数を持っている。
生まれた日、時刻に、どの星が各領域の何度にあったのか、それを基準とする。
 領域、あるいは領域内のある点は『サイン』と呼ばれる。
星座の名で呼び分けられる事も多く、星座と同義だと思われる事も多いが、サインとは明確にホロスコープ上の領域を指す言葉にすぎない。
 
 また、今はコンピューターの時代である。
出生時期の情報を入力すると、チャートを生成してくれるソフトウェアも開発されてたりする。

占星術の歴史

幾何学と星

 占星術の歴史は18~19世紀くらいに、明確に分離させられるまで、天文学の歴史とも言える。
とは言え、思想の上では、既にアリストテレス(紀元前384~紀元前322)の時代の古代ギリシャで、占星術的思想と、科学的、物理的な天文学的思想は別れていたと思われる。
ギリシアの遺跡 「古代ギリシア魔術」魔女の起源。哲学主義。魔法使いピタゴラス
 少なくとも哲学者の内のいくらかの者達は、星の動きを単に自然法則の結果として考え、その意味を考えるのは、世界の裏の機構を探る挑戦でしかなかった。
 しかし、錬金術師のような人達は、星の動きこそが、既に世界の機構であると考えた。
星は宇宙という機械を動かす歯車であるのだと。
錬金術 「錬金術」化学の裏側の魔術。ヘルメス思想と賢者の石
 目に見えた宇宙を、単なる物質とするか。
あるいは、そこにもまた、連鎖する歯車のような機構を見いだすか。
 占星術師とそうでない人の思想の違いはそれであった。
あるいは現在でもそうなのかもしれないが。

宗教との調和

 占星術的な思想を最初に記録に残したのは、紀元前2400年頃のバビロニア人達とされている。
 しかし本格的な占星術の幕開けは、やはり数学がより有効なツールとして発展した、ギリシャにおいてである。
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 しかし偉大な様々な知識と共に、ローマの崩壊辺りから、ヨーロッパから占星術は一旦失われ、それらはアラビア世界に保存され、その内にまた西洋世界へと戻された。

 西洋世界から科学や魔術を奪ったのは、宗教信者達であったが、しかし西洋世界に戻ってきた様々な科学も魔術も、との戦いでなく、調和を選択した。
占星術においても例外ではない。
 例えば有名な占星術師であるウィリアム・リリー(1602~1681)は、キリスト教との調和を持って、占星術は真に完成するとした。
十字架 「キリスト教」聖書に加えられた新たな福音、新たな約束

理性の時代の占星術

 1687年7月5日。
ニュートンのプリンキピアの出版により、世の人々は万有引力の定理を知る。
「ニュートン」世界システム、物理法則の数学的分析。神の秘密を知るための錬金術
 そして1781年3月13日の天王星の発見。
さらに1846年9月23日の海王星の発見。

 人々は物質の動きには、目に見えぬ法則がある事を知り、惑星が土星では終わりでない事も知った。

 そういう訳で、一時、占星術初め、あらゆる魔術は廃れたが、カール・グスタフ・ユング(1875~1961)のような心理学者達の思想を取り入れる事で、それらは復興。
占星術も19世紀末頃から、再び人気を集めるようになった。
 また、アラン・レオ(1860~1917)のような、雑誌などのメディアを利用する占星術師達が、思想を一般大衆に広めていった。
アラン・レオはまた、占星術を占いというより、自己心理分析として用いる方法も提唱している。

 さらに20世紀に登場したコンピューターが、ホロスコープの正確な記述までも可能にし、テレビなどの新たなメディアが占星術をさらに普及させた。
 21世紀にはケータイの登場により、その普及の波はさらに広がっていった。

占星術の種類

マンデン占星術

 mundane(マンデン)とは「世界」の意である。
これは本来の占星術の流儀だとされている。
 つまり世界そのもの、あるいは天候などの自然現象、国家の政治状況などを占う。

 面白いのが、このマンデン占星術より派生した、『ファイナンシャル占星術』である。
つまり経済状況を占い、株式などの投資に利用する技である。

質問占星術

 質問の内容に、答える占星術。
基本的に質問された時刻を基準としてホロスコープを作成する。
誰しもが宇宙そのものとの繋がりがある。
そこで質問が投げかけられた時の、宇宙と質問者の心の調和を関知する事で、答を得るのである。

 さらに細かく『ホラリー占星術』、『イレクショナル占星術』、『イベント解釈』に分けられる。

 ホラリー占星術は、「~はどうなりますか?」とか、「~はは上手くいきますか?」というような問いに、「~なるでしょう」と答えるもの。

 イレクショナル占星術は、ホラリー占星術に似ているが、「~は上手くいきますか?」ではなく「いつなら~が上手くいくでしょうか?」という、好機を問いかけるもの。

 イベント解釈は、既に起きた事を、後から作ったホラリーチャートやイレクショナルチャートと照らし合わせるもの。
特に悲劇に見舞われた時や、病にかかった時などに、いかにして状況をよくするかを調べる為などに使われる。
 あるいは何らかの悲劇の責任が誰にあるか、事件の犯人が誰であるのかなどを調べるのにも使える。

出生占星術

 出生チャートより、その者の運命や本質を占う、今日では最も基本的な占星術。

 出生占星術は、生まれた時期が定かでない者には使えないようにも思える。
 しかし、場合によっては、誰かが誰かになった瞬間を指定出来るものだとする説もある。

自由意思

 占星術は占いである以上、決定論的な解釈が必要だと考えられがちである。
つまり、この世界で起きた事の全ては、起こる前から決まっていた事。
これから起きる全ては、既に決まっている。
 そこに自由な意思というものはない。
決定論とはそういうもの。

 しかし、実際に、占星術をたしなむ者であっても、自由意思を否定する事などない。
それは一見、矛盾した思想のようだが、そうではない。
占星術師達はこう解釈する(そしてそれは多分、真実である)
 「つまり自由意思は確かに存在するが、それが使用される事はめったにない」

 自由意思は、使う、使わないを選択出来る。
しかし使われる事はあまりない。
占星術が予知するのは、あくまでも自由意思が使われなかった場合の世界線という訳である。
 だからこそ占星術は重要なのだ。
自由意思の使いどころを見極める為にもだ。

現代占星術。ホロスコープをどう解釈するか?

星は物質

 占星術による結果は、ホロスコープより与えられる。
しかしその解釈はどのように得られるのか。

 恒星や衛星、各惑星に何らかの意味を授与するやり方は、古くからある伝統的なやり方だが、あまりに詐欺的でナンセンスである。
 例えば土星は、法や責任や権威を象徴し、境界や構造を定める。
木星は、拡張的かつ寛大であり、自由を愛する、哲学とユーモアを象徴するという。
だがそういう性質とかエネルギーがあるのだとして、それを地球上の何かに利用する術など我々は知らない。
 それより惑星は単に岩石やガスの集合体にすぎない。
むしろそれらをかき集め結び付けようとする重力こそが、重要である可能性は高い。

 それでも、占星術師は古くさいホロスコープを使う。
星も星座も、そのまま物質や空間的配置としては解釈しない。
それはどういう事か?

ホロスコープとは何か?

 よくこのように例えられる。
天球(宇宙)が舞台、星座が舞台照明、星が役者、そしてサインが役者に演じられる役割。

 まず現代占星術はこう解釈する。
 万物を動かす機構が何であれ、それはたったひとつ。
あるいは重要な何らかの法則があり、たいていのものがそれに従う。
 そういう機構や法則がどのようなものであるかを気にする必要はない。
占星術に限らず、魔術というのは実用こそが第一なのだ。
音楽魔術 「現代魔術入門」科学時代の魔法の基礎
 我々も、宇宙の星も物質である。
同じ原理で動いている。
星の動きを、実際はどうであれ、自由意志が働いていないと考え、物質の背後の機構がどのように作用するかを知る。
そして、それを地球上のものに当てはめて、自由意志がない場合の全てを探る。

 どの瞬間にも意味はある。
もちろん、物の機構を探るのに地球上の物を使ってもよいが、自由意思と最も離れ、かつ身近な世界こそ、地球上から見える星空、天球な訳である。
 また、自由意思が働かない為に変化が少なく、古い記録も参考にしやすい。
世界の機構を探るのに、天球ほど参考に出来るものはないと言えよう。
だから占星術の基準は、あくまでも地球から見える星空なのであり、占星術師はホロスコープを使うのだ。

 ホロスコープは、捉えた意味を浮き彫りにするのに役立つ、アイテム。
いわば、天球を扱いやすいよう単純化して映し出すミラーのようなものなのである。

エッセンシャル

尊厳と衰弱

 占星術において、ホロスコープ上のあらゆる解釈は『エッセンシャル・ディグニティ(essential dignities。本質的な尊厳)』、もしくは『エッセンシャル・ディビリティ(essential debilities。本質的な衰弱)』である。

 普通、エッセンシャル・ディグニティとディビリティの一覧表には、『ルーラーシップ(rulership。支配者)』、『エグザルテーション(exaltation。高揚)』、『トリプリシティ(triplicity。三重性)』、『ターム(terms。限られた期間)』、『フェイス(face。面)』の5つのディグニティ。
『デトリメント(detriment。損害)』、『フォール(fall 。下落)』の2つのディビリティが載せられている。
 一覧表には、これらの名称と、どの星(普通は太陽と月と惑星)がどのサインの時に、それが適用されるのかの情報がある。
 また、ディグニティにもディビリティにもない状態の星は『ペレグリーン(放浪者)』である。
ペレグリーンには良い事はないが、悪い事もない。
まさに可もなく不可もない状態。

 これらは元々、古代ローマの天文学者クラウディオス・プトレマイオス(83~168)の書物に紹介された解釈とされる。
 しかし出自がどこであろうと、占星術の方法が変わっていようと、解釈するべき「本質(エッセンシャル)」は、今も変わりはない。
なので、これらは今でも解釈表現として、十分に使えるし、実際に(時には部分的に)使われる事もある。

エッセンシャル・ディグニティ

 ルーラーシップは、ある特定の星による、ある特定のサインの支配。
実はハウスとほぼ同義である。

 エグザルテーションは、何らかの強化、高められた状態。

 トリプリシティは、ルーラーシップのような強力な支配でなく、エグザルテーションのような高次元でもない。
ただ『ラック(良き巡り合わせ)』か、『フォーチュン(幸福)』にある状態。

 タームは、たいてい一時の幸いのようである。
事態が良くなるとか、心が幸福になるとかでなく、ただ何らかの物理的な利益。

 フェイスは、エッセンシャル・ディグニティの中で、最も弱い、あるいは弱くあるべきもの。
良くする事は出来るが、不安、恐れにより、それは邪魔されている。

エッセンシャル・ディビリティ

 デトリメントは、望み通りの行動が悲劇を招きかねない状態。
決して悪い事を避けられない訳ではない。
しかしそうするには、望みを諦める事も必要である。

 フォールは、望み通りに行動出来ない状態。
良き方法はあるが、それを利用できる状態にはない。
孤立し、弱まっている。

アスペクト

ホールサインとハーモニック

 天球上、ホロスコープ上における、星と星との位置、角度の関係を『アスペクト(aspect)』と呼ぶ。
これはある意味では占星術において最も重要な要素である。
 
 アスペクトの見方はいろいろあるが特に『ホールサイン式』と『ハーモニック式』の2つが代表的。
個々を使用するか、合わせて使用するかは、比較的好み。

 ホールサイン式は、単純な星の位置を基準にする。

 一方、ハーモニック式は、星同士の調和、擬似的な重奏のようなものを重視する。
例えば一例として、ホロスコープを弦楽器のように解釈するのである。
0度から真っ直ぐ下に線を引くと、それが第1弦となる。
次は90度から横に真っ直ぐ線を引き更に円を分割、その引かれた横線が第2弦(ここで第1弦、第2弦による第一ハーモニーが完成)である。
さらに円を分割する2本の斜め線が第3弦、第4弦(第二ハーモニー、第三ハーモニーの完成)という具合にホロスコープを楽器化する。
そして星というピックで奏でられる音楽を聞きとる事に専念する訳である。

オーブ

 星同士の距離、あるいは影響がある程度以上ある星同士の間の範囲を『オーブ(Orbs)』と言う。

 特にホールサイン式において、オーブは図上では、星を中心とした直径の範囲である。
星同士の位置により、直径より半径を考える方が有効な場合もあろう。
そこで、星を中心とした半径の範囲を指す名称として『モイエティ(Moiety)』がある。

 オーブの重なりのズレがないか、あるいはある程度以下(たいてい0.1度以下)のアスペクトを『パータイル(partile)』。
ズレがあるか、あるいはある程度以上ズレがあるアスペクトを『プラティック(platic)』
 言うなればパータイルは正確なアスペクト、プラティックは不正確なアスペクトである。
当然影響の強さはパータイルが上と思われるが、そうでもないという思想もあるらしい。

アプライングとセパレーティング

 星同士が、パータイルアスペクトに向かい、近づきつつある様を『アプライング』。
逆にパータイル、あるいは非常に有効なプラティックアスペクトのタイミングを過ぎ去り、星同士が離れていく様を『セパレーティング』と言う。

 星同士がアプライングしているなら、それは好機が近づいている事を意味し、セパレーティングしているなら、それはチャンスを失いつつある事を意味している。

アスペクトの状態

 アスペクトの状態を示す名称として、『コンジャンクション(接続)』、『セクスタイル』、『トライン』、『スクエア』、『オポジション(反対)』などがある。
たいていパータイルやプラティックは、このそれぞれの状態ごとに定義される。

 ホールサイン式において、コンジャンクションは、サインが重なった2つの星
セクスタイルは、それぞれ2つ離れたサインの星同士
トラインは、3つ離れたサインの星同士
スクエアは、4つ離れたサインの星同士
オポジションは5つ離れたサインの星同士。

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