「現代魔術入門」科学時代の魔法の基礎

音楽魔術

魔術とは何か?

その業は科学であり、世界の研究。違いはあるか

 ある魔術師(wizard)が、自らの業を魔術(wizardry)だと言う時、その魔術という言葉は、他に適当な言葉がないから、とりあえず使われてるパターンが多いらしい。

 ある魔術師は言う。
魔術を定義するなら、それは「最も総合的な科学(Most comprehensive science)」である。
また魔術は、「世界の研究(Investigation of the world)」であり、「命そのもの(life)」、「意思そのもの(Intention)」でもある。

 この世界の何もかもは、繋がっている。
ある人という原子の集まりは、空気の原子、メッセンジャー粒子、愛や友情、社会的概念、想像上の領域で繋がっている。
 我々は時空間の共有をする。
ある人が今日の5時に生きてた時に、また別の人も同じ時間に生きている。
 意思は、実在性と深く関わる。
コネクトーム「意識とは何か」科学と哲学、無意識と世界の狭間で 我々は互いを、有限の速度である光を通して見る為に、実質的には我々が見る万物は過去のものである。
我々が知っていると思っている、目の前の現在の現実は、すでに現実ではない。
それは我々の想像力が作った虚像にすぎない。
 
 魔術とは『自然の理(theory of nature)』を知り、それを利用する術。
基本的には科学と同じである。

魔術の意味。言葉と真理

 魔術の目的は奇跡を行う事ではないという。
しかし奇跡を起こしてならない訳ではないらしい。
 魔術は何らかの目的を持って行うものだが、別にそれは奇跡でも、些細な事でもいい。

 言葉は真実を表現するのに向いてない事に注意するべしである。
魔術師がその事を知りながら、言葉を用いるのは、他に表現の道具を知らないからにすぎない。
 他の魔術師が考案した魔術を行う場合に、その魔術における言葉、例えば『神(God)』や『精霊(spirit)』、『大地(Earth)』、『宇宙(Universe)』などはよく使われるが、それらの言葉全ての意味を間違えないようにしないと、魔術は意味を失う。

 ただいつでも忘れないでいるべきは、特別な者の特別な魔術など、あまり存在しないという事。
真理さえ知るなら、魔術を行うのは、誰にでも出来るのだ。

神秘主義思想。天使や精霊は実在するか。

 『神秘主義(mysticism)』、『超能力(psychic)』、『幻覚(hallucination)』、『妄想(delusion)』。
いずれも魔術とは似て非なるものとされる。
 もちろん魔術は宗教とも違う。

 よく悪魔がどうたら、という話があるが、悪魔の契約というのは、キリスト教的な世界が生み出した、それこそ単なる妄想である。
魔女狩り「魔女狩りとは何だったのか」ヨーロッパの闇の歴史。意味はあったか  実際、魔術の業として、天使や悪魔や精霊の力を借りる魔術もある。
しかし魔術師が、その天使や精霊だと解釈しているものが何か、実は魔術師にもわかっていないのだ。
水晶占い「ジョン・ディーとエドワード・ケリー」天使たちとの対話。エノク語の発明  もちろんいくつか説はある。
 実際にそのような霊的な存在がいるとする人もある。
隠れ家「パラケルスス」錬金術と魔術を用いた医師。賢者の石。四大精霊  それらは自らの意思による、基本的には想定外の力を、理性的な人の脳が理解する為の幻にすぎないという見解もある。
 どちらかというと後者の方が真実に近いかと思う。
なぜなら同じ手順を踏んだ、同じ霊の魔術であっても、現れる霊の姿が人によって異なる場合があるからである。

 魔術師達の、霊がいるかどうかという議論は、量子論の研究者達の、計算上にしかちゃんと確認出来ない「存在確率の波」や、「より小さな粒子」の実在性の議論に似ている。
量子「量子論」波動で揺らぐ現実  ただ魔術師達は、自分達の扱うものの本質がわからない事を、物理学者ほどには深刻な問題とは考えてないという。
 魔術師達からしてみれば、天使や精霊が本当は何なのかという事は大した問題でなく、実際にその霊(と思えるような何か)の力が、現実に少しでも作用するのかどうか、という事のみが重要なのである。

 そういった意味では、魔術師は実用主義と言えるかもしれない。

魔術諸々

白魔術と黒魔術の違い。まとめては駄目

 勘違いされがちだが、普通の魔術師は『黒魔術(black magic)』を徹底的に嫌う。

 そもそも黒魔術とはどのようなものか、と言えば、それは悪の業である。
まともな思考回路をしている魔術師は、黒魔術を使う事もないし、徹底的に嫌悪し、知識としてすら学びたがらない者が多い。
 理由は、魔術師が善人ばかりという訳ではなく、恐ろしいからであるからだと思う。
 自らを全知全能であるとする魔術師など普通はいない。
なぜなら魔術師は、自分達が行う魔術について何もかも理解している訳ではないからだ。
それに魔術が大前提とする、意志が存在するこの世界についてなどは、ほとんど何も知らない。

 悪が悪であるというのは、魔術師でなくとも、人は直感で知っているものだ。
そういう、学ばずとも知っているような直感的な事実は、魔術師を恐れさせる。
なぜなら魔術師は、たいていその直感とやらを頼りに魔術を行うからだ。
 黒魔術を使うなら、自らが悪である事を認めるのと同義。
しかし魔術師はそれが恐いのである。

 そういう訳で、黒魔術を学びたがる者は、むしろ無知な素人が多いという。
 そして本物の(あるいはそうだと完全に冷静に自認している)魔術師が使う魔術は、基本的に白、つまり善の業な訳である。

 悪の業、善の業と言うが、業自体に違いはなく、違うのは悪の為に使うか、善の為に使うか、という使用目的のみ。
月夜の魔女「黒魔術と魔女」悪魔と交わる人達の魔法。なぜほうきで空を飛べるのか

(コラム)悪でも善でもなし

 善と悪しかないのかなって思う。
どちらとも言えない灰色魔術はないのかなって。
まああまり聞いた事ないけどさ。

召喚術(conjuration)。精霊召喚の魔術儀式

 精霊術(Spirit magic)と呼ばれる場合もある。
普通、天使とか精霊とかを出現させ、それらによる影響を扱う。
『召喚(Summons)』とは伝統的な言い方であり、使用する上では、あまりに意味する範囲が広い事に注意する。

 『儀式術(Ritual magic)』は召喚術と実質的に同義である事が多い。
儀式を絶対的に必要とする魔術が、主に召喚術だからである。

 召喚術の儀式には、大まかに3種あるという。
 まず第一が、『献身(dedication)』。
これは信仰心厚い宗教信者がやってる事とほとんど同じ。
つまり自らが崇拝する何らかの存在へ、自らが思う最適のやり方で、自らの愛や友情を捧げるというもの。
 第二が、『召喚儀式(ritual of summoning)』。
おそらく創作などでも最も馴染み深い、適切な儀式により、何らかの存在を呼び出す、あるいは実体化するもの。
 第三が、『劇(theater)』。
これは、召喚対象を、絵画や音楽、演技などで表現するもの。
世の芸術活動とほぼ同義である。

 これらは組み合わせられる場合もある。
例えば、自らの神が川遊びを所望した場合に、その望みを叶える為(第一)、紙に川を描く(第三)。
適切な儀礼の手順を踏んでいたならば、実際に川で遊ぶ神が現れる場合もある。(第二)
 それがあなたにしか見えない光景であっても、あなたの世界の光景であるなら、それは確かに真実であるのだ。

(注釈)異世界、異次元

 地獄、天界、アストラル界。
召喚術で呼び出される霊が、平時に存在する場とされるものはいくつもある。

 これら異世界、あるいは異次元の存在の解釈については、霊そのものの実在性と同じで、魔術師達の見解はバラバラである。

 よくある解釈としては、そのような「~界」は、イメージ上に、召喚対象を段階的に 配置する為の空間であるというもの。
召喚術とは、実は非実在を実在として捉える業であるという観点らしい。
非実在を実在とする為に、まずは非実在の世界にそれを置く訳である。
そうしてから、非実在の世界(つまり~界)のみを消しされば、そこにいた本来は非実在の霊が現実に姿を現す訳である。

錬金術(alchemy)。現代科学との大きな関わり

 元素術(element magic)とも言う。
術というより、知識、知恵に近い。
 一般的に言う化学とほとんど同義である。

 古くさい模式を重視する向きもあろうが、実用主義であるたいていの魔術師にとって、それは賢いスタイルではない。
なぜなら化学知識の乏しい昔の人達が行う、化学の業の実用性が低いのは当たり前であるからだ。

 また量子論が、現代の錬金術だと考える人もいるかもしれないが、それらは似て非なるものと個人的には思う。
なぜなら量子論は、根元主義的か不可知論的な性質を多分に含んでいると思えるからだ。
 つまり量子論者は、この世界のあらゆるものが、最も基本的な何かの組み合わせにより説明可能と考えているか。
あるいは、この世界の本質の中には、誰にも理解できない何かがあると考えている傾向が強いのだ。
 魔術師とは違う。
魔術師は(そんなものがあるとして)最も基本的な性質など重視しない。
それに(やはりそんなものがあるとして)誰にも理解できない事など扱う対象ではない。

 要約すると、錬金術とは、人が実用的なレベルで扱える範囲での物質の支配の業である。
その範囲での最小が原子とは思わないが、真に最小の何かとも思えない。
錬金術「錬金術」化学の裏側の魔術。ヘルメス思想と賢者の石

(注釈)史上最悪の魔術

 おそらく歴史の中で、錬金術の最悪の成果は核兵器である。
そして原子爆弾の投下は、人間が行った最も恐ろしい黒魔術である。
 
 まともな神経の魔術師が黒魔術を嫌うのもわかるだろう。

数秘術(numerology)。情報暗号学の魔術的使い方

 主に純粋数学、暗号学、情報学などに関連した魔術。
というかある種の暗号記法だと考えられている場合も多い。

 『神名(God name)』や『呪文(magic spell)』などは、数秘術関連であるとする説もある。
いずれも口から音として発するだけで、効果があるようなイメージが強いが、それは聖書の天地創造の場面などから連想された妄想にすぎない可能性が高い。

 音はただの物質原子の規則的な振動にすぎない。
概念は、意思の力と関係していようが、その概念に万人共通のものはない。
 数字は最も共通性が高い。
1羽の鳥を「鳥」でなく「bird」という人がいても、使いなれた言語が違うと思うだけだが、1羽の鳥を10羽いると言ったなら、それは明らかにおかしい。
風切り羽「鳥類」絶滅しなかった恐竜の進化、大空への適応  そういうのは常識だと考える人もいるかもしれないが、魔術師にとってはそれは大切な直感である。
魔術を否定する科学者でも、数字は信じられるという人は多いだろう。
実は数字を一番信頼してるのは、魔術師も同じなのである。
ギリシアの遺跡「古代ギリシア魔術」魔女の起源。哲学主義。魔法使いピタゴラス  数秘術をどう扱うか、魔術師には主に2タイプある。
 1つが応用数学と同義なタイプ。
この観点から言うなら、原子や量子や時空間を見つけた計算の業は数秘術である。
コンピューターも、数秘術による開発である。
コンピュータの操作「コンピューターの構成の基礎知識」1と0の極限を目指す機械  もう1つは、数字を用いた世界の探求である。
こちらは完全に純粋数学的であり、例えば0や複素数、無限とかの探求となる。
虚数「複素数とは何か」虚数はどれほど実在してないか。実数は本当にリアルか

占星術(astrology)。惑星の意味を探る

 日本語の名称に「占」の字が使われてる為、占いの術のイメージが強いが、別に占いに限った魔術ではない。

 召喚術にかなり近いが、あちらが霊を呼び出すのに対し、占星術は、実在する星を霊に見立て、あるいは霊の媒介として利用する。
「実在する星」とは、実は夜空の星に限らない、惑星が使いやすいからよく使われるが、それは架空の星でも、そもそも星でなくともよい。
太陽系「太陽と太陽系の惑星」特徴。現象。地球との関わり。生命体の可能性  ただし生命体は使えないという説がある。
生命体の意志が、霊の振る舞いを拒否できるかららしい。

 占星術はある意味で、小宇宙創造であり、そこで星である諸々を用いて、行う業なのである。
 召喚術では、段階的に使う異世界概念の方をメインとした術とも言えるかもしれない。
占星術「占星術」ホロスコープは何を映しているか?

呪術(sorcery)。基礎的な魔術。高等魔術

 最も基礎的な魔術であるが、極める難易度が低い訳ではない。
ただ、(効果を発揮できるかはともかく)概念的に理解しやすく、実践もしやすい。

 自然の理を理解し、利用する魔術の総称。
つまりその意味が含む範囲はかなり広い。
 ある意味で、呪術とは、召喚術、錬金術、数秘術、占星術以外の全ての魔術の総称である。

 ただし呪術を高等魔術の意味で使う流儀も多いという。

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