DNAと細胞分裂時のミスコピー「突然変異とは何か?」

細胞分裂イメージ

生命体の最小要素。細胞。DNA

デオキシリボ核酸。単細胞生物。多細胞生物

 生命体とは、個性と共通性で成り立つ。
共通性は、次世代が自身から生まれる時に、コピーして受け継がれる情報である。
それは『遺伝情報(Genetic information)』と言われる。
そしてその遺伝情報は、『DNA(DeoxyriboNucleic Acid。デオキシリボ核酸)』という分子に刻まれている。

 生命体はまた、実際的には『細胞(cell)』という物質で構成されている。
細胞がひとつだけの生物が『単細胞生物(Single cell organism)』、複数の細胞が集合して構成された生物が『多細胞生物(Multicellular organism)』である。

原核細胞。真核細胞。突然変異。進化論

 細胞にもまた、DNAの収納のされ方の違いによって、二種類に分類される。
細胞内にただ収納されてるだけのような『原核細胞(Prokaryotic cells)』。
それに、『細胞核(Cell nucleus)』という構造があり、その中にDNAがしまわれている『真核細胞(Eukaryotic cell)』。
 原核細胞と真核細胞のどちらも採用してる多細胞生物は見つかってない。
原核細胞の生物は『原核生物(Prokaryote)』。
真核細胞の生物は『真核生物(Eukaryote)』と言われる。

 世界が本質的に不確定である為か、生命体にも不確定な要素がある。
量子「量子論」波動で揺らぐ現実。プランクからシュレーディンガーへ  遺伝情報が次世代へとコピーされる際、全情報が正しくコピーされず、時に致命的なくらい、まったく別物といっていいくらい、結果的には生物に影響を与える事もある。
そのようなコピーエラーによる急激な変化が『突然変異(mutation)』と呼ばれる現象。
さらにその突然変異が、偶然にも自然界の環境に馴染み、生き残り、更なるコピーで増えていく事もある。
つまり、それが『進化(evolution)』である。
進化の分かれ道「進化論」創造論を最も矛盾させた生物学理論

原核生物。細胞膜。細胞壁。リボソーム

 真核細胞に比べると、原核細胞はシンプルな作りである、
細胞は普通、『細胞膜(Cell membrane)』というのに覆われてるが、原核細胞は、さらに外側に『細胞壁(Cell wall)』というのがある。
内部ではDNAがむき出し状態で存在していて、そのような状態のDNAは『核様体(nucleoid)』と呼ばれている。
真核細胞に比べるとDNA以外のものも控えめだが、『酵素(enzyme)』や『タンパク質(protein)』を生成する『リボソーム』は基本的に存在しているという。
 酵素は、生命活動に必要な様々な化学反応を誘発させる物質。
タンパク質は、生命体を構成する為に、より物理的に使われる、いわば素材物質。

 また、原核生物は、普通、単細胞生物であり、触手のようなものである『べん毛』や、より短い『せん毛』というものを、細胞外側につけた生物がけっこういる。
べん毛やせん毛を持つのは細菌なので、移動とかのみならず、何かに寄生したりする時にも使われるとされている。
理科室「微生物の発見の歴史」顕微鏡で初めて見えた生態系

真核生物。細胞小器官。ミトコンドリア。葉緑体

 細胞膜の内側。
つまり細胞内の中に、さらに核膜という区切りを設け、その核膜内。
つまり核の中にDNAを貯蔵して持つのが、真核細胞。

 他に真核細胞内の、核以外の部分を『細胞質(Cytoplasm)』と言い、そこには原核生物と同じくリボソームがあり、それ以外にも様々な役割のものがある。
それらは、『細胞小器官(Cell organelle)』と呼ばれ、驚くべきは『ミトコンドリア』や『葉緑体』のように、(核のものとは違う)独自のDNA情報を所持しているものもある。
 
 ミトコンドリアは、生命活動の為のエネルギーを生成する。
他に、物質を分解する『リソソーム』。
タンパク質を運ぶ『小胞体(endoplasmic reticulum)』。
小胞体から物質を受け取り、貯蔵や加工したりする『ゴルジ体』
そして、植物細胞内にあって、光合成を行う『葉緑体(chloroplast)』が、代表的な細胞小器官として知られている。
光合成「光合成の仕組み」生態系を支える驚異の化学反応  細胞膜の外側の細胞壁は、真核細胞にはない。
という訳でもなく、植物の真核細胞には、しっかり備わっているという。

 ミトコンドリアや葉緑体のような独自DNAを維持している細胞小器官は、むしろ寄生生物のように考える向きもある。
少なくとも、元々はそのような寄生から始まり、細胞内に取り込まれたのだと考えられる。

染色体。ヒストン。クロマチン

 細胞分裂する時、真核細胞の核内では、DNAやタンパク質が集合し、『染色体(Chromosome)』という棒状のような物質を形成する。
そうしてDNA情報は、染色体ごと、つまりまとめられた状態で、一気にコピーされるのである。

 DNAは、単体では糸状で、小さな細胞に対して、かなり長いのが普通。
例えば人のDNAで、だいたい2mくらいの長さとされている。
この長いDNAは、まず『ヒストン』という玉状の物質に巻き付き、そのまま2回転ほどしてから、次のヒストンにまた2回転ほど巻き付く。
そうしてDNAが巻き付いたヒストンを『クロマチン』と言う。
そしてそれらクロマチンが連なり、それらがさらにねじり回り、DNAも二重、三重と巻き付き、結果的には、染色体と呼ばれるようなものを形成する。

生命体の設計図情報。遺伝子。ゲノム。タンパク質。アミノ酸

 DNAは実際的には、生命体に必要な要素の設計図情報の暗号コードを、大量にまとめて保存した、いわばデータベース。
そしてその中の、何らかの要素単体の情報を示す暗号コードが、『遺伝子(gene)』である。

 DNAの集合したものである染色体に含まれる全遺伝情報は『ゲノム』と言う。

 そしてその遺伝情報を元に、『アミノ酸』と呼ばれる分子を組み合わせ、タンパク質は作られている。

アデニン、グアニン、チミン(ウラシル)、シトシン。RNA

 DNAの遺伝情報はアデニン、グアニン、チミン、シトシンの4種の分子で構成される。
 似たような細胞内の物質にRNAというのがあり、こちらは、アデニン、グアニン、ウラシル、シトシンという4種で構成される。

 4種の分子は、暗号に使う文字のようなもので、RNAの中にはmRNAというのがあり、それはDNAの情報を転写し、各細胞小器官などに情報を運ぶものである。

突然変異。アミノ酸の配列の狂い

 

大腸菌。ペニシリン

 細菌の代表格みたいな存在である『大腸菌(colon bacillus)』を、ペニシリンの入った栄養液で培養する と、大半の大腸菌は死ぬが、わずかに生き残るのがいる。
結果、培養液の中でペニシリンに抵抗できる大腸菌が増殖する。

 ペニシリンの濃度を表す便宣上の単位として『ユニット』を用いると、まず最初に1ユニットのペニシリンに抵抗性を持つ大腸菌が現れる。
この1ユニットをさらにペニシリンの濃度の高い液で培養すると、2ユニットのそれが得られる。
なぜか1・5などの小数でなく、かならず2ユニットを得る。
そうして繰り返せば、4ユニットまでえられるが、5以上はえられない。

 銅に対しても大腸菌は同じような結果を出すという。
過酸化水素でもだ。
過酸化水素では3ユニットまでが得られるという。
過酸化水素への抵抗を持ちながら、過酸化水素を分解しない突然変異体が現れる場合もある。
 この分解しない変異体は、細胞膜の透過性が変化し、過酸化水素を細菌に取り込まなくなった変異体ではないかと、水野伝一という人が唱えた。

(註釈)過酸化水素の定量法とカタラーゼ

 過酸化水素の入った液体に、過マンガン酸カリの紫の液体を一滴ずつ落とす。
すると、過酸化水素と過マンガン酸カリは反応し、過マンガン酸カリの紫色が消える。
 そのように、過マンガン酸カリを少しずつ加えると、過酸化水素がちょうど反応に使われた時に、液がほんのり薄いピンクになる。
そのようになるまで必要だった過マンガン酸カリの量から過酸化水素の量を計算する事が出来る。
 過酸化水素は水素原子二つと酸素原子二つとが結合した分子であり、通常、細胞にとっては毒である。
ただしカタラーゼなる酵素が、過酸化水素への対抗となる場合がある。
のだが、カタラーゼは、過酸化水素を、水と酸素に分解するものなので、対抗を有しながら、分解しないのは妙だと考えられた。

鎌型赤血球貧血症。ヘモグロビン。血はなぜ赤いか?

 黒人の間に広まっている、鎌型赤血球貧血症という重度の貧血症がある。
 血液内の赤血球という、通常は円盤状である物質は、酸素を運ぶ役割を持つ。
鎌型赤血球貧血症の人の場合、赤血球は、酸素が十分にない時、形がゆがみ鎌型になる。
 血液が心臓から出る時には赤血球は円盤状。
しかし組織を通り、心臓に戻る頃には、酸素はなくなってきているので、赤血球は鎌型になってしまい、血管をうまく流れなくなり、患者の死に繋がるのだ。

 赤血球の中には、赤い色素である『ヘモグロビン』というタンパク質があり、血液が赤いのは、このヘモグロビン由来である。
そして、鎌型赤血球貧血症は、ヘモグロビンに異常がある為だと、1950年代くらいには考えられるようになっていた。

ヘモグロビンを切る方法。比べる方法

 ある時、バーノン・イングラム(1924~2006)は酵素を使い、ヘモグロビンの分子を短く切ってみた。
ある種の酵素には分子を短く切る性質があるのである。
 ヘモグロビンは、二十種のアミノ酸が100以上連なったもの。
酵素で切ると、アミノ酸が数個から、数十程度のタンパク質の断片が出来る。
これら断片を液体に溶かし、四角い濾紙の一端に染み込ます。
そして液のイオンの状態を変えたり、濾紙の両端に電圧をかけると、タンパク質の断片は、それぞれの電気的性質に応じて、特定パターンで濾紙の上に広がっていく。
雷「電磁気学」最初の場の理論。電気と磁気の関係 この濾紙に適当な色素を加えると、断片の一部分が染まる。
 この時に、タンパク質ごとに染まるパターンが決まってるので、そのそれぞれのパターンはタンパク質の指紋のように扱える。

乱れの引き継ぎ

 イングラムは正常なヘモグロビンと、鎌型赤血球貧血症のヘモグロビンを次々比べた。
結果、二種のヘモグロビンには、アミノ酸の配列順序に、わずかな差が確認されたのだった。

 ヘモグロビンはアルファ鎖、ベータ鎖という2本のアミノ酸の鎖が結合した構造。
ベータ鎖は146個のアミノ酸が連なって出来ているが、この146の内の1つだけ、正常なヘモグロビンではグルタミン酸であるとこが、鎌型赤血球貧血症のヘモグロビンではバリンというのに変わっていた。
 鎌型赤血球貧血症は遺伝もする突然変異であるから、突然変異が起こると、タンパク質のアミノ酸の配列順序が変化する事を、イングラムは示したのだった。

コドン

 DNAコードの、アミノ酸ひとつの情報は、アデニン、グアニン、チミン(ウラシル)、シトシンの4種の内の3つの組み合わせである。
そのアミノ酸ひとつの情報は、『コドン』と呼ばれる。
つまり遺伝子はコドンの組み合わせである。

 突然変異とは、細胞分裂時などに、DNAがコピーされる際、ミスした遺伝子、あるいは遺伝子内のコドンが、そのまま間違った情報を伝達、リボソームなどの細胞小器官に、誤ったアミノ酸を生成させる現象である。

情報の謎

 しかし真実として、いったいエラーというのはどこで起こっているものなのか。

 DNA自体が生きているとは思えない。
では人間はどうか?
 例えばDNAの遺伝子情報を転写したmRNAを、その情報の伝達中につかまえ、コドンをいくつか変えてやる。
つまり意図的に突然変異を起こしたとする。
それはエラーと言えるだろうか。
というより自然的な事と判断できるだろうか。

 意識というものを生命体の機構から外さないなら(つまり意識というのもDNAに情報として刻まれてるなら)、これはある意味、自然的なエラーと言える。

 でも意識はどこで存在してるか?

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