オゴポゴ、チャンプ。巨大ヘビ、トカゲ、カメ、タツノオトシゴ「北米の湖の怪物たち」

目次

北アメリカの水辺のシーサーペントたち

 北アメリカの湖の怪物は、シーサーペント形、ようするに巨大なヘビのようなものが多い。
通常、公式記録はともかく、元から先住民たちには語り継がれていたとされる怪物も多い。
アメリカの自然 「独立以前のアメリカの歴史」多文化な先住民。移民と植民地。本当に浅いか 「精霊の一覧」アメリカ先住民の宗教世界の住人たち
先住民の伝説ではヘビだが、今に至るまでに、いつのまにかプレシオサウルスかになったという事例も多そうである。
プレシオサウルス 「首長竜」恐竜時代の海の覇者。種類、進化、化石の研究記録
言うまでもなく、プレシオサウルス形への変化は、ネス湖のネッシーをはじめとする、外国の湖の怪物たちの影響であろう。
ネッシー 「ネス湖のネッシー」愛されしスコットランドの怪物の正体 『シーサーペント』目撃談。正体。大海蛇神話はいかに形成されたか

オカナガンのオゴポゴ。水神なのか、悪魔なのか

 カナダ、ブリティッシュコロンビア州の「オカナガン湖(Lake Okanagan)」の怪物オゴポゴ(Ogopogo)は、オカナガン湖が、細長い形状でネス湖に似ていることもあって、カナダのネッシーと称されることも時々ある。
しかし、目撃の事例的に、この生物はプレシオサウルス型ではなく、シーサーペント型と思われる。
カナダの街 「カナダ」国立公園、イヌイット、二つの公用語、アイスホッケー
 オカナガン湖は、表面積が351平方キロメートル、最大水深が232メートルほど。
最大長さが135キロと細長い。
怪物の目撃証言が多い湖というのは、基本的に細長いものが多いとする説もある。

 オゴポゴは、体長6~9メートルくらい。
胴体はヘビのように細長いが、背中にはコブがある。
頭部はウマかウシ、あるいはヤギに似ていて、クジラのに似た2つに分かれた尾ビレを持つ。
ヘビと餅 「ヘビ」大嫌いとされる哀れな爬虫類の進化と生態 クジラとイルカ 「クジラとイルカ」海を支配した哺乳類。史上最大級の動物
 公式には1872年に、スーザン・アリソン(Susan Louisa Moir Allison。1845~1937)という作家が、蒸気船上から、泳いでいる怪物を見たというのが、最初の目撃報告とされている。
しかし、もともとオカナガン族(Syilx。Okanagan)やセクウェップム族(Secwepemc)のような先住民たちには、ナハイトク(Nha-a-itk)やナイタカ(Naitaka)の名で、オカナガンの怪物は恐れられていたという。
その名前は、「湖の悪魔」、あるいは「水神」を意味しているともされる。
古くは、その怒りを鎮めるために、小動物を生け贄に捧げるという風習もあったようだ。
悪魔の炎 「悪魔学」邪悪な霊の考察と一覧。サタン、使い魔、ゲニウス
 しかし、実際に目撃されるオゴポゴはおとなしく、基本的には無害ともされる。
また、もともとこの生物は、神や精霊とはされていても、悪魔というようなニュアンスはなく、その認識は、白人移民者と先住民たちの通訳の際に生じた誤解が始まりという説もある。

 また、オゴポゴという名前は、湖と同地域にあるバーノンという街の音楽ホールで1924年に流されていた曲の名前からという噂がある。

直接接触した主婦の証言

 興味深い事例として、この生物を目撃したのみならず、直接的に触れたという、B・クラーク(B. Clark)なる主婦の証言があるという。

 それは1974年7月のこと。
オカナガン湖で水泳をしていた彼女の足に、突然何か、異様な感触が触れた。
そして、とりあえず近くのイカダに這い上がった彼女の前に、おそらくは9メートルぐらいの体長で、幅が1.2メートルくらいのオゴポゴが姿を見せたのだった。

 やはりクジラのように2つに分かれた尾ビレ。
それに、背中には縞模様。
いくらか斑点もあり、首がなく、頭部が直接胴体に繋がっていた。
そして、全身を上下にくねらせながら、その怪物はさっさと泳いで去っていったのだという。

マニトバのマニポゴ。ダイヤ頭の精霊怪物

 カナダ、マニトバ州の「マニトバ湖(Lake Manitoba)」は、古くから精霊が宿る湖としても知られているという。

 マニトバ湖は、表面積4624平方キロメートル、最大水深7メートル。
わりと浅い湖である。

 ただしそこに生息しているとされるマニポゴ(Manipogo)は、もちろん精霊などではなく、何らかの動物とされている。
12メートルくらいの大きさの、ヘビかウナギのような生物で、小さめの頭はダイヤ形とも言われている。
シーサーペント系の例に漏れず、やはり体を上下にくねらせて泳ぐという。

カナダ政府の調査。写真撮影

 この生物の最も古い公式記録は、1908年のものとされるが、どうもこの時期から翌年にかけては、結構な目撃ラッシュがあったようである。

 1957年には、カナダ政府が湖に調査隊を派遣したが、 特に有益なが発見はなかったという。

 1962年の8月には、漁師のリチャード・ビンセント(Richard Vincent)とジョン・コンフォール(John Konefell)が、怪物をカメラに収めることに成功したが、これがおそらくは最初の写真とされている。
2人は、離れていくマニポゴを追跡しようともしたが、そのスピードがはやすぎて、とても追いつけるものではなかったそうだ。

 ビンセントらの写真は、普通には、生物というより、単に流木のような物に見える味気ない感じである。

焼失してしまった奇妙な骨

 1936年。
漁師のオスカー・フレドリクソン(Oscar Fredrickson)は、網にかかった奇妙な骨に気づいたが、これに関しては、なかなかの妙な話がある。

 どうもその骨は、専門家の鑑定を受ける前に、誤って焼失してしまったらしい。
しかしフレドリクソンはその後に、自分が見た骨の木製レプリカを作成。
そのレプリカを鑑定した、マニトバ大学のマクラウド(James A. McLeod)は、それの元のサンプルは、首長竜(プレシオサウルス)の脊椎の可能性が高いと結論したらしい。

 それから、マクラウドは自分でも熱心に、新たな骨を捜索したようだが、再発見はなかったという。

ユートピアの怪物。プレシオサウルス形の影響はあるか

 カナダ、ニューブランズウィック州の「ユートピア湖(Lake Utopia)」の怪物(Lake utopia monster)は、ヘビかウナギのよう。
つまりはシーサーペント形とされる。

 ユートピア湖は、7キロメートルくらいの長さに、0.8〜2.8キロメートルくらいの幅、最大水深が28.7メートルほど。
 
 生物の大きさは5~15メートルほど。
比較的新しい時代の目撃報告の中には、コブと思われるものが確認された、というのもあるらしいが、おそらくプレシオサウルス形の影響であろう。
また、琉木で遊んでいるようだったという目撃報告などもあることから、けっこう高い知能を有しているのではないかという推測もある。

 ただ21世紀になってからの目撃はほとんどないとも言われる。

ポヘネガムークのポニック。鋼の体か

 カナダ、ケベック州の「ポヘネガムーク湖(Lake Pohenegamook)」の、ポニック(Ponik)は、コブが2~3つあるプレシオサウルス形。
あるいはウマのような姿だという。
主に19世紀からとされるこの生物の目撃情報は、比較的マイナーであろう怪物たちの中ではかなり多いともされる。

 ポヘネガムーク湖は、長さ9キロくらい。

 出典がイマイチ不明だが、なかなか興味深い話として、F・フォレストという人が、 目撃した12メートルほどの怪物をライフルで撃ったというものがある。
なんと、その生物は弾丸を跳ね返して、逃げたという。

グレートスレーブのオルスレイビー。ドラゴンに似た頭部

 カナダ、ノースウエストの「グレートスレーブ湖(Great Slave Lake)」のオルスレイビー(Ol’ Slavey)は、その姿をはっきり見たという目撃が少ないために、どのような生物なのかはいまいちはっきりしない。

 グレートスレーブ湖は、表面積27200平方キロメートル、最大水深614メートル。

 2004年に湖近くの自宅から、 この生物を目撃した、ローマカトリックの司祭ジム・リン(Jim Lynn)は、素早く動きながら、水面から2メートルくらいに出していたその生物の頭部は、ドラゴンのようだったと説明したという。
この話が新聞に掲載され、結構広がったためか、しばらく彼のもとに、「自分もそういう怪物を見た」という連絡が絶えなかったそうだ。
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シュスワプのシュグム。7つのコブか、くねった体か

 カナダ、ブリティッシュコロンビアの「シュスワプ湖(Shuswap Lake)」の怪物シュグム(Shugumu)、あるいはシュスワッギ(Shuswaggi)は、7つのコブを持つともされる、シーサーペント形。
日本では、シコポゴ(Sicopogo)という名前でもよく知られている。

 シュスワプ湖は、表面積310平方キロメートル、最大水深161メートル。

 典型的なシーサーペント同様、垂直に体をくねらせながら泳ぐらしいので、コブは見間違いの可能性もある。

クレセントのクレシー。泳ぐ湖の鬼

 カナダ、ニューファンドランド・ラブラドール州の「クレセント湖(Crescent Lake)」。
ロバーツアームという町の近くにあるこの湖に、クレシー(Cressie)は生息しているとされる。
英語表記からわかりやすいが、クレシーは、ネッシーにちなんでつけられた名前である。
ただしその姿はウナギのような感じで、頭部は普通に魚っぽいらしい。

 この湖には、もともと先住民たちの伝説の中で、ウドゥムハオト(Woodum haoot。湖の悪魔)や、ハオトチュウェディ(Haoot Tuwedyee。泳ぐ鬼)の領域とされ、そういう伝説とこの怪物を関連付ける人もけっこういるという。

 公式的な目撃記録は、1950年代くらいから始まっているらしい。

カウチンのスチンクアヮ

 カナダ、ブリティッシュコロンビア、バンクーバー島の「カウチン湖(Cowichan Lake)」の怪物の名はスチンクアヮ(Tsinquaw)。
目撃報告は19世紀後半ぐらいからだが、当然その以前から、先住民の民間伝承としては怪物が存在していたとされている。

 カウチン湖は、30キロメートルほどの長さで、最大水深は160メートルほど。

 1930年。
釣りをしている2人の男が、 この生物を目撃したとされるが、それは白っぽいヘビのようだったという。
彼らには白っぽい色のように見えた。

 現在まで、この生物の目撃情報自体はかなり少ないとされる。
その数少ない情報の中に、銃を撃とうとしたがなぜか弾丸を装填できなかったというような謎な現象もあり、この生物をオカルト的に解釈する人もいる。

タートルの怪物。巨大タツノオトシゴ

 カナダ、サスカチュワンの「タートル湖(Turtle Lake Saskatchewan)」に生息しているとされる怪物(Turtle Lake Monster)は、珍しい、タツノオトシゴに似ているらしい。
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 タートル湖は、最大長さ21キロメートル、最大幅5キロメートル。

 この怪物の全体的な形体はすでに述べたようにタツノオトシゴのようだとされるが、ブタに似ているという情報もあるという。
背びれはなく、頭だけならイヌぽくもあり、体長は3〜9メートルくらいとされる。
生き物として説明されます。

 地元先住民のクリー族(Cree)は、かなり昔から、自分の領土に踏みこんできた人を消してしまう怪物の伝説を語り継いでいたともされる。

シムコーのイゴポゴ。ドバーチュと同種か

 カナダ、オンタリオの、「シムコー湖(Lake Simcoe)」のイゴポゴ(Igopogo)は、典型的な湖の怪物とは違い、イヌかカワウソのような生物とされる。
そこで、アイルランドのカワウソ王こと、ドバーチュ(Dobhar-chú)のような生物じゃないかと推測されることが多い。
あるいは、単にイヌに似た頭をしているだけという説もある。
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 シムコー湖は、表面積722平方キロメートル、最大水深41メートル。

 イゴポゴは、日光浴をしていたという目撃証言もある。
また、1976年に、撮影者は不明ながら、子供2人と写っているこの生物の写真があるが、あまり犬には見えない。

テティスの半魚人。映画を参考にした捏造か

 カナダは、ブリティッシュコロンビアのビクトリア郊外にある「テティス湖(Thetis Lake)」で、出現したことがある怪物(Thetis Lake Monster)は、半魚人、あるいは爬虫類人間という感じで、プレシオサウルス、シーサーペントとは、まったく別の系譜と思われる。
「大アマゾンの半魚人(Creature from the Black Lagoon)」という映画に登場する半魚人ギルマンにそっくりともされ、影響があるのでないかと、よく言われる。

 1972年8月。
地元の新聞が、2人の少年がテティス湖のビーチで泳いでいる時に、鱗の皮膚に鋭い爪を持った、人型生物を見たという事件を報道。

 その後もこの生物の目撃を連続し、地元警察が調査することにもなったが、大した発見はなかった。

 懐疑論者の作家ダニエル・ロクストン(Daniel Loxton)は、その生物の描写は、 最初の報告よりも少し前に、地元テレビで放送されていた映画「The Beach Girls and the Monster」にそっくりということを指摘。
さらに彼は、目撃者の内の個人に、町を有名にしたいがための捏造がいくらかあったという証言を得ているそうである。

シャンプレーンのチャンプ。長く噂されてきた魚かヘビ

 アメリカは、ニューヨークやバーモントからカナダにまたがった、「シャンプレーン湖(Lake Champlain)」。
その湖の、 特にアメリカ側の方でよく目撃されるという怪物が「チャンプ(Champ)」である。

 シャンプレーン湖は、表面積1331平方キロメートル、最大水深122メートル。

 生物の体長は5~18メートルくらい。
黒か、それでなくても暗い体色で、角や耳、たてがみを持つヘビのような生物とする目撃報告の他、プレシオサウルスのような生物を語る 目撃者もいるという。

 まあよくある話である。

 プレシオサウルス系の場合、こぶが複数あるという場合が多いようだから、やはりヘビ系と考えるのが妥当か。
しかし、ヒレがあったとする目撃証言も結構あるようだし、胴体の他、水面に出た尾も含めて、複数のこぶに見えたのではないか、という見方もある。

 公式の目撃報告は1609年のものとされているが、この地に白人が訪れる以前から、先住民のアベナキ族(Abenaki)やイロコイ族(Iroquois)は、怪物の存在を認識していたともされる。

 1870年代頃から目撃者の数は一気に増えて、ちょっとしたパニック状態が、実に20年くらいも続いたらしい。
PTバーナムも、この時に「チャンプから剥いだ皮なら、5万ドルで買う」などと申し出たという。

 また、地元のアジロンダック山のマウンテンガイドをしているロイ・フラーリーの話も、わりと重要かもしれない。
「怪物を見たなんて奴は、頭がいかれてるか、酔っ払っているに違いないよ。私は誰よりもこの湖を観察してきただろうが、そんな生物にお目にかかったことなど一度もないんだ」

シャンプランは本当に最初の目撃者か

 公式記録において、この生物を目撃した最初の人物とされているのは、シャンプレーン湖の名前の由来にもなったフランスの探検家サミュエル・ド・シャンプランである。
しかしこの点に関しては、実際に残っている記録的に微妙ともされる。

 まず、確かに彼は、何か(彼にとって)未知な怪物を見た記録を残しているらしいが、その場所は、シャンプレーン湖から「リシュリュー川(Richelieu River)」を通して繋がる「セントローレンス川(St. Lawrence River)」らしいのである。

 実際には、シャンプランは原住民から、チャオウサロウ(Chaousarou)という3メートルくらいの巨大魚の情報を得ていたらしい。
そして彼自身がその魚を見たとしているのだ。

 他にも、シャンプランは、12平方キロメートルくらいの面積の「マスクラット湖」のマッシー(Mussie)など、いくつかの怪物伝説の、目撃情報の起源として、その名前が使われるが、あまり根拠がない場合が多い。

 19世紀以降。
シャンプレーン湖では、ウマのような頭をしたヘビのような怪物を見たという目撃情報が増えていくが、シャンプランが原住民から聞いて、自分でも見たという、その魚と同じ生物なのかは、かなり疑問。

何らかの生物を映している写真

 1977年7月に撮影されたというチャンプの写真は有名である。
しかし当初、 この写真の撮影者であるコネチカット州のサンドラ・マンシーは、公表を控えていた。
しかしその写真を見た知人たちが流した噂が広まり、撮影から4年後に、公開する運びになったらしい。

 サンドラが家族とドライブ旅行している最中。
シャンプレーン湖のほとりで休憩している時に、現れたチャンプを撮影したというこの写真は、「ニューヨークタイムズ」や「タイム&マクリーズマガジン」に 紹介されるや大きな反響を呼び、シャンプレーン湖の怪物は一気に有名になったとされる。
この写真に関して分析した、アリゾナ州立大学光学センターのロイ・フリーデンは、「この写真は少なくとも、トリックによる制作ではなく、何らかの生物を映している写真」と結論したそうである。

 また、1982年には、ブリティッシュコロンビア大学の海洋生物学者ポール・レブロントが、写真の生物が起こした波を分析し、生物の大きさは5~17メートルくらいと断定したという。

メンフレマゴグのメンフレ。10対以上の足

 カナダのケベック州と、アメリカのヴァーモント州の国境の辺り。
「メンフレマゴグ湖」に生息するという怪物はメンフレ(Memphre)と呼ばれている。

 メンフレマゴグ湖は、表面積110平方キロメートル、最大水深107メートル。

 メンフレの大きさはおそらく10メートルくらいで、体色は灰色っぽく、ウマに似た頭に、長い首、背中のコブなどがよく特徴とされる。
そこまでだけならプレシオサウルス形ぽいが、すごいのが10対以上もの足があるという噂であろう。
まだ目撃情報から描かれた図などには、ヘビぽいのもある。

 古い先住民たちの民間伝承としてはヘビだったが、時代が下るにつれてプレシオサウルスになったという典型的パターンかもしれない。

 1987年にはヴァーモント州議会が保護法を設定していて、この生物を無断で捕獲したり、殺したりするのは禁じられているらしい。
これも、目撃証言の多い未確認動物には、よくある話ではある。

スペリオルのプレッシー。北米最大の湖の怪物

 カナダはオンタリオからアメリカにまたがる「スペリオル湖(Superior)」の怪物プレッシー(Pressie)は、長い首に、ウマに似た頭、それに大きなヒレを持っているとされる。
尾は、クジラに似ているとも、あまり似ていないも言われる。

 スペリオル湖は、表面積82000平方キロメートル、 最大水深406メートル。
北米で最大とされる、かなり大きな湖である(面積的に北海道と同じくらい)

 この湖の怪物プレッシーの、19世紀ぐらいにさかのぼる古い目撃は、だいたいヘビが体をくねらせてるみたいな泳ぎ方だったとされている。

エリーのベッシー。原子力発電所から取られた名前か

 「エリー湖(Lake Erie)」は、アメリカとカナダの国境にある五大湖の1つ
ここに生息するベッシー(Bessie)は、名前の通りに、普通にネッシー(というよりプレシオサウルス)のような生物ともされる。

 エリー湖は、表面積25667平方キロメートル、最大水深64メートル。

 怪物の名称の由来は、湖そのものでなく、近くにあったデービスベス原子力発電所だともされる。
怪物の目撃記録自体は、19世紀の初期頃からあり、その頃に原子力発電所なんてものがあるわけないから、怪物は長く、公式には名無しだったことになる。
やはりよくある話である。

 最初期のものとされる1817年の目撃記録では、この怪物は10~18 メートルくらいの大きさで、頭部に2本のウシのに似た角を持ち、ヘビのように体をくねらせて泳いでいたという。

ワシントンのウィラタック。明確に創作された怪物

 アメリカ、ワシントン州シアトルの「ワシントン湖(Lake Washington)」の怪物ウィラタック(Willatuk)は、プレシオサウルス形だという。 

 ワシントン湖は、表面積88平方キロメートル、最大水深65メートル。

 ワシントン湖と海底トンネルでつながっているともされる「ピュージェット湾」でも、おそらくは同じ生物が目撃されることがあるようである。
ワシントン湖では、時に3メートルを超えるほどのサイズのチョウザメが見つかることがあるようだが、当然これが正体という説もある。

 また、この生物の魅力に取り憑かれた映画製作者のオリバー・タットヒル・ジュニア(Oliver Tuthill Jr)により、2010年に「Willatuk:The Legend of Seattle’s Sea Serpent」という紹介映画が作られている。
というかそもそも、一般的にこの怪物は、ネイティブアメリカンの文化や歴史、怪物伝説と、ネッシーを参考に、タットヒルが創作した伝説とされている。

ジョージの怪物。明確に創作された怪物その2

 アメリカ、ニューヨークの「ジョージ湖(Lake George)」、または「ハーグ湾(Hague Bay)」で目撃されるという怪物(Lake George Monster)もまた、明らかに創作された伝説として知られている。

 それは1904年に、画家のハリー・ワトラス(Harry Willson Watrous。1857~1940)が考案し、広めた架空の怪物らしい。
ワトラスの目的は、釣り仲間に作り物の魚でからかわれた仕返しだったそうだ。

 他、カナダのオンタリオ湖で、キングスティ(Kingstie)なるドラゴンの噂もあるが、これもジョージ湖の怪物に影響を受けて創作されたもの、というのが通説。

 もちろん、明らかになっていないだけで、このような話は結構多いのかもしれない。

ホワイトリバーの怪物。アザラシとマナティ

 アメリカ、アーカンソー州ニューポートの、ミシシッピ川の支流ホワイトリバーに生息しているという怪物(White river monster)も、おそらくは体が長いシーサーペント形で、特筆すべき特徴として、背中にトゲがあるという。
地元では、ホワイティ(Whitey)という愛称も知られているらしい。

 ホワイトリバーは、1162キロメートルくらいの長さとされる。

 興味深いことに、ホワイトリバーの沿岸部で、3つの鉤爪を持っているような、長さ35センチ、幅20センチほどの足跡が発見されたことがあり、この怪物のものとされているらしい。

 しかし実際、この生物がどのような感じの姿なのかは、わりと不明である。
目撃報告自体も少ないのだが、肝心の目撃例においても、水面から出ていた体の一部分だけを見たというようなものが多いそうだ。
ただ、様々な目撃証言を参考に描かれた想像図などは、基本シーサーペント系か、巨大魚。

 未確認動物研究家のロイ・マッカルは、この怪物の正体は、最大で5メートルほどにもなるという、キタゾウアザラシではないかとしている。
キタゾウアザラシは、カリフォルニア半島沖辺りに分布しているらしいが、しかし、海棲哺乳類であるこの生物が、淡水の川であるミシシッピー川を進み、ホワイトリバーにたどり着けるのかというと、結構疑問とされる。
一方で懐疑論者のニッケル(Joe Nickell)は、上記の疑問からアザラシ説は否定し、フロリダのマナティ説を提唱しているという。

 南北戦争の時代に、輸送船が何隻かこの怪物に沈められてしまったという噂がある。

ロックのロッキー。海底遺跡を守るトカゲ

 アメリカ、ウィスコンシン州の「ロック湖(Rock lake)」のロッキー(Rocky)も、 名前通りにプレシオサウルス形とされることがあるが、初期の目撃証言からすると、巨大なトカゲみたいな生物らしい。
おそらく10~12メートルくらいで、ウマに似た頭部を持つ、ヘビにコブがついたような姿とも。

 ロック湖は、表面積5.5平方キロメートル、最大水深18メートル

 ロック湖の海底には、謎に満ちた石のピラミッド遺跡が存在していて、かつてこの湖の怪物は、遺跡を守る守護獣だったとかいう伝説もあるという。

 1867年。
ハーベックという人が、湖で大きなトカゲが泳いでいるのを見たと主張。
また、この人は後に、陸でもその生物に遭遇したらしい。
これは最初期の目撃とされていて、明らかにこの生物は、水陸両用の巨大トカゲである。

 また、1882年。
カヌーでレースしていたエドワード・マッケンジー(Ed McKenzie)とドナルド・セイバード(Donald W Seybert)という人たちの前に、その怪物は突然出現。
大きく長い首に、大きな顔だったとされている。
パニックになり助けを求めた彼らの声を聞いて、やってきた男の1人がショットガンをお見舞いすると、怪物は消え去ったという。

 20世紀以降、この生物の目撃はほとんどないので、どこか別の湖へ住みかを変えたという説もある。

ワラウアのウォーリー。飲み込まれた先住民の首長

 アメリカ、オレゴン州の「ワラウア湖(Wallowa Lake)」のウォーリー(Wally)は、おそらくは19世紀に、先住民のネズパース族(Nez Perce)の、カヌーに乗っていたという首長を、いきなり現れ、飲み込んでしまったという噂もある怪物。
それは、ヘビのような生物だったとされる。
その話以外にも、頭部がカバに似ていたとか、30メートル以上もあったとか、背中にコブがあったとかいう目撃証言もあるという。

 ワラウア湖は、表面積6平方キロメートル、最大水深91メートル。

 どうも古い伝説においては、ネズパースの首長の娘と、敵対していたブラックフット族の首長の息子が恋に落ち、2人でカヌーで逃げた。
それに気づいた首長たちは、追いかけようとしたのだが、怪物により全滅させられたそうである。

 ワラウア湖には巨大ザリガニの噂もあって、ウォーリーと何か関係しているのではないか、と推測されることもある。

メンドータのボーゾ。アルゴンキンの英雄神から取られた名前

 アメリカ、ウィスコンシンの「メンドータ湖(Lake Mendota)」の怪物ヘビは、先住民のアルゴンキン族(Algonquin)の英雄神ウィネボゾ(Winnebozho)にちなみ、ボーゾ(Bozho)と呼ばれる。

 メンドータ湖は、表面積39.4平方キロメートル、最大水深25メートル。

 この生物の最初の目撃は1860年代の後半。
湖でカップルが乗っていたカヌーが、水中の何かにぶつかった。
後に彼らは、それが怪物だったと語ったもされる。

 基本的にこの生物は、大人しく無害とされている。

チェサピーク湾のチェシー。上空から観察された謎の爬虫類

 アメリカ、メリーランド州チェサピーク湾、あるいはこの湾と繋がっているという、ポトマック川に現れるという怪物。

 このチェシー(Chessie)は、10メートルくらいの体長で、丸い頭に、複数のコブをつけたヘビみたいな体の生物とされる。
複数の個体が同時に目撃された報告もあるようで、複数のコブも、実はそのパターンだったのかもしれない。

 最初の目撃は、1936年。
飛行中の軍用ヘリコプターの乗組員が見た、謎の爬虫類らしき生物という説がある。

セネカの怪物。ネッキーだがマッコウクジラに似ている

 アメリカ、ニューヨーク州セネカ郡の「セネカ湖(Seneca lake monster)」の怪物(Seneca lake monster)は、ネッキー(Neckie)とも呼ばれる。
その露骨ろこつな別名にもかかわらず、ネッシーでなく、マッコウクジラに似ているという。
基本、その体長は8メートルくらいとされ、本家マッコウクジラよりも小さい。

 セネカ湖は、表面積173平方キロメートル、最大水深188メートル。

 記録された最初の目撃は1899年6月14日。
蒸気船オティアニ号(Otetiani)に乗っていた複数の乗客たちが謎の怪物を見たらしい。
興味深いのが、この時に怪物は船と激突し、そのショックにより死んでしまったそうだ。
乗客たちは怪物をロープで引き上げようとしたが、それは叶わず、怪物の遺体は深く沈んでいったという。

フクの獣。小さな湖の巨大なカメ

 アメリカ、インディアナ州チャーウバスコの「フク湖(Fulk lake)」には、バスコの獣(Beast of Busco)と呼ばれる、巨大なカメが生息しているという。

 フク湖は、表面積40000平方メートル(0.04平方キロメートル)くらい。
かなり小さい。

 興味深いことに、このカメは、カミツキガメ科カミツキガメ属のカミツキガメ(Chelydra serpentina。Snapping turtle)の巨大版らしい。

 1898年。
オスカー・フルク(Oscar Fulk)なる農民が、自分のインディアナの農場内であった湖に、巨大なカメがいるのを目撃。
最初は周囲の人にその話を話したりもしたが、結局彼は、その生物に関してあまり深く考えることはやめたそうである。
この怪物はオスカーとあう愛称でも知られるが、それも、この湖自体の名前も、多分この最初の目撃者の名前からだろう。

 1949年初頭、国際的通信社であるUnited Press International(UPI)の記者が、この生物についての記事を書いたことで、一時期この小さな湖に観光客が大量に訪れ、警察が交通規制をしく事態にまでなったという。

 小さな湖であるので、徹底的に調べようという試みもこれまで何度かあったようだが、残念ながら、この生物はまだ未発見のままである。

 たとえ生物は見つからずとも、地元の祭「Churubusco’s Turtle Days festival(チャーウバスコの亀の日祭り)」により、この生物への関心と愛は残され続けているという。

フラットヘッドの怪物。スクリュー尾のガー助

 アメリカ、モンタナ州の「フラットヘッド湖(Flathead Lake)」に生息するという怪物(Flathead Lake Monster)はモンタナネッシー(Montana nessie)とも呼ばれるが、基本的にプレシオサウルス形ではなく、シーサーペント形とされている。

 フラットヘッド湖は、表面積510平方キロメートル、最大水深113メートル

 最初の目撃記録は、おそらく1889年。
蒸気船の船長ジェームズ・C・カー(James C. Kerr)が報告したものとされている。
最初、カーも、船の乗客たちも、丸太か別の船が近づいてきていると思ったのだが、実際に近づいてきたそれはクジラのような生物だったという。
乗客の1人は銃を用意もしたが、別に生物を殺しはしなかったらしい。

 フラットヘッド湖の怪物は、日本で1970年代くらいに、あからさまな合成写真と共に紹介された「スクリュー尾のガー助」という、ハドロサウルス科の恐竜のような生物でもある。
実際、目撃証言の中には、この種の恐竜みたいとしているものも、一応はあるそうである。

アルタマハのアルタマハ・ハ。人騒がせな偽物パフォーマンス

 アメリカはジョージア州より、大西洋に注ぐ「アルタマハ川(Altamaha River)」の、アルタマハ・ハ(Altamaha ha)は、単に大西洋から迷い込んできた小型のクジラではないか、という説がよく言われる。

 アルタマハ川は220キロメートルほどの長さ。

 通常この生物は、イルカかマナティ、あるいはオオウナギに似ているが、背中に2つのコブがあるらしい。
大きな目をしていて、口の中には鋭い歯が並んでいるともされる。

 2018年に、ウルフ島国立野生生物保護区(Wolf Island National Wildlife Refuge)で、アルタマハ・ハと思われるような遺体が発見された。
しかしそれは、謎のパフォーマンスアーティスト、ザルドゥル(Zardulu)が、サメのぬいぐるみなどを使って製作した偽物だったらしい。
この人が製作した人騒がせなアートで、しかも真相がまだ謎なものは、他にももちろんあるだろうともされている。

ウォルグレンの怪物。悪魔が作った生物

 アメリカ、ネブラスカの「ウォルグレン湖(Walgren Lake)」、あるいは「アルカリ湖(Alkali lake)」の怪物(Walgren lake monster。Alkali lake monster)は、ざらざらした肌で、角を持つワニみたいな生物とされる。

 ウォルグレン湖は、0.5平方キロメートルくらいの(フク湖ほどではないが)小さな湖。

 この怪物は、おそらく10メートルほどの大きさ。
目撃報告は1920年代初期頃に始まったとされ、1922年には、ヘイスプリングスニュース誌に初めて掲載されたという。

 1923年のオマハワールドヘラルド誌にも、J・A・ジョンソンという人が、友人2人と、湖近くでキャンプしている時に、サイの角みたいなものを有するワニに似た生物を目撃した話を載せているという。

 この怪物は、最初にそれを紙面で紹介した、ヘイスプリングスニュース誌の捏造の可能性が高いとされている。
どうも当時、この新聞の社は、ほら話が得意だったというジョン・G・マーハー(John G Maher)なる人を雇っていたらしい。

 元の話の創作性のためか、目撃証言が増えるとともに、この生物はどんどん大きくなり、次々と特殊な性質が追加されていったようだ。
この生物が海底で動いたための揺れが船乗りを酔わすとか、陸に上がる度に家畜が犠牲になるとか、その吐く息が方向感覚を狂わせる霧になるとか。
また「この生物は、悪魔が人々の信仰心を揺るがすため、(あるいは神が信仰心を試すために)造った怪物」などという地元のクリスチャンの主張もあったらしい。
十字架 「キリスト教」聖書に加えられた新たな福音、新たな約束

ベアの怪物。小学生がつけた名前

 アメリカ、アイダホとユタで二分されている「ベア湖(Bear Lake)」の怪物(Bear Lake monster)もまた、最初の目撃記録が創作だった可能性が高いとされている。

 ベア湖は、表面積280キロメートル、最大水深63メートル。

 1868年。
ジョゼフ・C・リッチ(Joseph Coulson Rich。1841~1908)という人が、先住民族が語るベアー湖の伝説的な怪物ヘビが実際に白人たちにも目撃されている、という記事を書いたという。
しかし、それから25年ほど後に、リッチ自信は、最初の話が嘘だったと告白したそうである。

 ただ、真偽はともかく、この生物の目撃情報自体は現代まであって、1996年には、地元の小学生たちを対象に、この生物につける名前コンテストがあり、Isabellaという名前も決定したらしい。

人工的に作られた湖の怪物

 アメリカ、ペンシルバニア州ハンチンドン郡にある、「レイスタウン湖(Raystown Lake)」は、人工的に作られ、管理されてきた湖だという。
そういう事情なので怪物なんてとてもいそうにないが、もちろん当然のように怪物の噂がある。
それはレイ(Raystown Ray)という生物で、長い首に、背中に複数のコブを持ってるような、つまりはプレシオサウルス形と思われる。

 他にも、「サンダーバード湖(Lake Thunderbird)」、「オオロガ湖(Oologah Lake)」、「テンキラー湖(Lake Tenkiller)」など、オクラホマ州のいくつかの人工湖(Reservoir)にも、オクラホマオクトパス(Oklahoma octopus)なる巨大タコが生息している噂があるという。
これらの湖では、やけに溺死事故が多いようで、この怪物が原因ではないかという説があるらしい。
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 ケンタッキー州の「ヘリントン湖(Herrington Lake)」も人工だが、やはり怪物の噂があるという。
それは珍しい、シーサーペント形なのだが、その頭部はブタにそっくりなのだという。
この湖には、わりと大きなナマズが住み着いているらしく、一般的にはそれが正体だろうと考えられている。

ブロックネスモンスターの骨はどこへ消えたか

 1996年6月。
アメリカ、ロードアイランド州の沖合に20キロくらいのブロック島付近で、漁船の網に、何か奇妙な骨がかかった。
それは断片的なもののようであるのに、合計で4.2メートルほどもある、おそらくは背骨と、鳥のくちばしのような頭骨だったという。

 しかしこの謎の怪物、ブロックネスモンスター(Block ness monster)の骨は、こういうものにはなぜかありがちだが、謎の失踪をしてしまう。
ブロック島に別荘を持っていた、ニューヨーク州立公園の海洋生物学者リー・スコットは、 研究所で骨を詳しく調べるために、一旦別荘にそれを持ち帰った。
だが、翌日釣りに出かけてる間に、冷凍庫に入れていたそれは消えてしまったらしい。

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