「精霊の一覧」アメリカ先住民の宗教世界の住人たち

偉大なる精霊。創造神

太陽。生命の恵みの天の光

 南のアステカやインカと同様に、北米の先住民達も、太陽を強く信仰している。
先住民達は、木や池や岩などを生き物として考えるように、天の星々もまた生き物扱いする。
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 太陽は、母なる大地に、生命の恵みをもたらすが、同時に破壊者だとされる場合もある。
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普通は男性として扱われるが、ジュチ族、チェロキー族、エスキモー族は、太陽を女性としているようである。
月とは性別が違うという認識は共通で、ジュチ、チェロキー、エスキモーは、やはり月を男性としているが、それも例外的だという。

 太陽を、ボーニー族は、 戦士に健康と強さを授けてくれるシャクル。
ケレス族は、 季節を調整するパイヤテム。
そしてスー族は、ワカン・タンカ、すなわち、全てに宿る「偉大な精霊」と言う。

グルスキャップ。多彩な顔

 創造神とされる事もあるグルスキャップは、 世界の果てのどこかで今も生きているという。
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決して滅び去ることはなく、この世界とともにあり続ける精霊。
また、魔術師であり、メディスンマンでもある。
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 時には、 人間は守るために怪物と戦うこともあるが 人間の愚かさに呆れて去ってしまう事もある。
しかし結局この精霊と人間とは切っても切れない縁で結ばれているのだともされる。

天気、天候の精霊。雷と風

雷の精霊。良き精霊のサンダーバード

 アメリカ先住民が語り継ぐサンダーバード(雷鳥)。
普通の鳥が魚を食べるように、シャチを食べる巨大な精霊鳥
サンダーバード ロック鳥。ビッグバード。鳳凰。コンガマト「未確認動物としての巨鳥、怪鳥」
ブルーレ・スー族は、その偉大なる鳥をワキンヤン(Wakinyan)と呼ぶ。
他部族の呼び名には、アニミキー(Animikii)、エトシタネ(Etcitane)、シグウェ(Cigwe)などがある。

 ワキンヤンの声は落雷で、大音響の後に、ゴロゴロと続く音が、彼の子供たちの声ともされる。

 ワキンヤンはかつて、聖地パハ・サパにティーピーを置いて、暮らしていた。
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しかし、 汚れているものは何もかも嫌いで、綺麗で純粋なものを好む雷鳥達は、その地にディズニーランドが作られ、観光客で溢れる頃には、もう遠くの地へと去ってしまっていた。

 ワキンヤンは善き精霊であり、時には人間を脅かすけど、人間を助けるのが好きとされる。
また、その姿全体を見た者は、これまでに存在しない。
聖者の夢やヴィジョンには、ワキンヤンが現れることもあるが、その場合も、必ず体の一部しか姿を見せない。
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ワキンヤンの、鳥の姿は、たくさんの一部を、想像でつなぎ合わせた姿なのである。
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 あるいは、「その体には手も足もないが、巨大な爪があり、口がないが、大きくて鋭い刃があり、目もないが、ないはずの目から雷光を放つ」のだという。
この事を理解できない者に、理解してもらうのは難しいそうだ。

 ワキンヤンには、かつて人間を守るために、邪悪な大海蛇ウンクテヒと激戦を繰り広げたという伝説もある。
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この時は、雷鳥、大海蛇の互いの子供達も交えた大戦争だったとされる。
この戦いは、雷と水の戦いでもあった。
かつて大海蛇は、水を司る精霊でもあったが、ワキンヤンにやられて、その地位もまた奪われてしまったという。

 イロコイ族のヒノン(Hinon)など、サンダーバードでない雷神もいる。
ヒノンは、翼のある人の姿であり、強力な魔術師でもあるようである。
また、やはり巨大な鳥に変身する事があるという話もある。

風の精霊。巨大な鳥、竜巻にさらわれた少女

 動くものには何でもタクスカンスカン(Takuskanskan)の精霊が宿るとも言われる。
タクスカンスカンは「動き(move)」の精霊とされるが、ある話では、風の精霊であるという。
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 風の精霊としては他に、ヴォチョウセン(Wuchowsen)、ポモラ(Pomola)、カコウス(Kako-u’hth)、フウピリク(Huupiriku)などが知られる。

 ヴォチョウセンは、巨大な鳥の精霊で、その羽ばたきのたびに、凄まじい風が吹き荒れるのだとされる。
しかしヴォチョウセンが怪物扱いされるような事はなく、普通は偉大な自然の主とされる。
神に登場する場合、よくその羽ばたきを、神や英雄がなんとか止めようとする、というのが定番だという。

 ポモラは寒さを操る鳥の精霊とされているが、ヘラジカの頭を持っているという話もある。
夜、風、雪とよく関連付けられるそうである。

 カコウスは、サイクロンマン、あるいはサイクロンウーマンとも呼ばれる、強風を引き起こす精霊。
神話などでは、竜巻は、彼、あるいは彼女の長い髪なのだそうである。

 フウピリクもまた、竜巻の精霊女だが、サンダーバードやヴォチョウセンのように、偉大な自然精霊とされる。
ある神話では、竜巻にさらわれた少女が、フウピリクになったそうであり、カコウスのように、竜巻そのものではないようである。

大地の精霊。意外と少ない?

旅する豊穣の精霊ココペリ

 遥か昔、まだ部族間の交流がなかった時代から、例外的に、共通して知られていたという精霊。
虫のような人型とも、猫背がひどい人ともされ、持っている笛を吹くと、どんな枯れた大地にも、雨が降り注ぎ、緑が実るのだという。

 ココペリは典型的な豊穣の精霊であるが、この精霊のもうひとつの特徴が、旅好きであり、話好きでもあるという事である。
その為、あちこち旅して、いろいろな部族と交流し、各地の楽しい話をもたらしたのだという。

 ココペリ人形はかわいく、日本でも人気なので、知名度もわりと例外的。

 ココペルマナという配偶者がいるという話もある。

正義と邪悪の石。心に打撃を与える魔法を持つ山の者達

 大地の神(創造神)はたくさんいても、身近な精霊らしき精霊は意外とあまり知られてない。
有名な、豊穣の精霊ココペリ以外では、インヤン(Inyan)。ウィクラトムジ(Wiklatmu’j)、ジェスチン(Je su chin)などが、一応該当すると思われる。

 インヤンは古くより存在しているという、石の精霊。
あまり擬人化はされない偉大な存在らしいが、話によっては正義とされる場合も、邪悪とされる場合もある。

 ウィクラトムジもまた石の精霊。
強力な魔法の力を持っているが、別に善良な人に危害を加える事はないという。

 ジェスチンは山の精霊であり、その姿は小人や小鬼とされる事もある。
山に隙間をあけて暮らしているが、不審な侵入者と見るや、魔法によって気分を悪くさせる。
とりあえず、人を絶望させたり、狂気に駆り立てたりするのが得意なようである。

人型精霊。人に似て人にあらず

小人。妖精の影響はあるか

 いくつかの先住民部族は、片目しかない小人の伝承を語り継いでいるという。
彼らは魔法を使え、時々子供をさらったりするという。
妖精との関連を思わせる。
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 小人族との関連は不明だが、多くの部族が、カノチラ(Canotila)、プクウドギース(Pukwudgies)、ジョガ(Jogah)、アポシルニク(Apci’lnic)、モイングイイマ(Moing’iima)、アケキ(Akeki)などの精霊の小人の伝説を持っている。

 カノチラはスー族の民間伝承の精霊。
その名は「小さな木の住人」の意味で、名前通りに、森に住む精霊小人とされる。
カノチラは精霊世界と、人間世界のメッセンジャーの役割を担っていて、よく夢に現れるという。

 プクウドギースはアルゴンキン族に伝わる精霊小人。
地域によって性格は異なっているようだが、基本的には悪戯好きだが、そんなに実害はないとされる。
ただし、自分達を失礼に扱う人間に対しては、時に恐ろしい破壊をもたらしたりするという。

 ジョガはイロコイ族に伝わる精霊小人。
普段はその姿を魔法で見えないようにしている(あるいは普通に見えない)らしいが、時々、幼い子供や、老人の前にその姿を見せるのだとされる。
基本的には人間に友好的。
雷神ヒヌンの孫達という説もある。

 アポシルニクは、大地に生きる小人。
かなり強力な魔術師であるという。
基本的にはそれほど敵対的でなく、機嫌がよい時は、特別な魔法のアイテムをくれたり、危険を警告してくれたりする。
しかし機嫌を損ねてしまうと、物事を盗んだり、子供をさらったりするとされる。

 モイングイイマは、古くはホピ族達と一緒に暮らしていた。
ホピ族の伝説では、トウモロコシ、カボチャ、スイカなど、種を植えて実る食物は、みなモイングイイマが作ったものなのだという。
彼の背丈は少年並みだが、立派な大人であり、伴侶もいるという。
毎年、夏になると彼の体重は増えて、体中が野菜や果物でいっぱいになる。
モイングイイマが体から実った食物を削ぎ落とすと、そこからまた種が生まれる。

 アケキは妖精みたいな小人か、無定形な存在とされている。
アケキは「痛み」という意味だという。
この精霊は特に、西洋の悪魔的な感じがある。
魔術師やメディスンマンにより召喚され、その力は病などをもたらす場合もあるが、正しく利用するなら、癒しをもたらす事が出来るのだという。
また、一部の部族からは、魔術の守護者として、崇拝されているようである。

 とにかく、小人と言えば魔法が使える者が多い。
上記以外にも、アトシー(Atosee)、マキアウィスグ(Makiawisug)、キウォラトムシソク(Kiwolatomuhsisok)などいろいろ知られる。
アトシーは他の種族が扱いにくい物を扱いやすくするという不思議な力を持っている。
マキアウィスグはかなり慈悲深く、軽蔑されても敵意を抱いてこないという。
キウォラトムシソクは、予言能力を持つという説がある。

巨人達。巨大な鬼、氷の人食い

 基本的に巨人は恐ろしい存在であったようだ。
ウェンディゴ(Windigo)が特に有名だが、他にも、アシン(Asin)、チェノース(Chenoos)、ローファ(Lofa)などいろいろいる。

 ウェンディゴは、主にカナダの先住民たちに伝わる 飢えや寒さや病をもたらす妖怪的な存在の精霊。
その姿は霊体とも、ドクロのような姿ともされている。
その体は巨大で、5メートルを超えるとされるが、その速度もまた早く、風に乗って動く、という説もある。

 冬という季節は、このウェンディゴの季節であり、洞窟に住まうとも、雪の中を永遠にさまよっているとも言われる。
また、ウェンディゴは人間を捕らえる。
そして氷づけにして保管し、好きなタイミングで食うか、あるいは魂を奪うという話もある。

 アシンは人食い巨人で、特に子供達を好むという。
このような子供を好む巨人は、基本的には教育のために生まれたものとされる。

 ローファは恐ろしい鬼のような巨人
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人をさらい、その皮膚を引き剝がし食らうとされる。
時に、ビッグフットと関連付けられる場合もあるという。
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 チェノースは氷の巨人で、やはり人食いであるという。
ひどい悪行を成した人間が、その心臓を凍らせた時に、この巨人になるのだともされる。

 巨人の多くが恐ろしく、そしてまた氷の巨人であったそうである。
人食いの氷巨人として、上記のチェノース以外にも、ムフウェ(Mhuwe)、ギワクワ(Giwakwa)、ウィチコ(Witiko)。
彼、あるいは彼女らは、基本的には心まで氷で出来ていて、それを溶かす事が、唯一の退治方法とされる場合も多い。

 ウェチュゲ(Wechuge)という、時に動物の姿になるという人食い氷の伝説もあるが、これが氷巨人たちと何か関係あるかは不明。

 またチュネンヒャヘン(Thunenhyarhen)、ロノングワカ(Ronongwaca)、オトネヤーヘ(Otneyarheh)などの名前で知られるストーンコートという、石の巨人もいるが、こちらもよく冬や氷に関連付けられるという。
ストーンコートは人間を狩りの対象とする、狩猟民族の巨人という話もある。

人魚。歌う者、魔法の鍋

 サバワエルヌ(Sabawaelnu)、ルンペギン(Lumpeguin)、ニビーナーベ(Nibiinaabe)などの人魚らしき精霊がいくつか伝えられている。

 また、水の赤子(ウォーターベイビー)という危険な精霊の伝説があるのだが、この水の赤子も人魚という説がある。
水の赤子は怪談的なもので、川などで泣き叫んでいる赤子で、抱き上げた者などに大惨事をもたらすのだという。
こどもの妖怪 座敷童子、一つ目小僧、童子と呼ばれる鬼「子供の妖怪」
 サバワエルヌはミクマク族に伝わる水の精霊であり、上半身が人間、下半身が魚という、典型的な人魚の姿とされる。
彼らは天候の変化を予測でき、それをよく歌にする。
だからサバワエルヌの歌を理解できる者は、後の天気が予測できる。

 ルンペギンは人魚か、あるいは水の小人とされる。
魔法の服を着ているが、この服を盗んだ人や動物と結婚しなければならないようである。
ルンペギンはまた、魔法の鍋をつかって、無限に食料を生成出来るとも伝えられる。

 ニビーナーベは、オジブワ族にはトーテム(先祖精霊)とされる事もあるという、人魚の精霊。
大きな音を恐がると伝えられている。

怪物精霊。さまようモンスター達

邪悪な大海蛇、大水蛇

 ウンセギラ(Unhcegila)、オニアレ(Oniare)、アポタムキン(Apotamkin)、オマフクソウィスクシクシナ(Omahksoyisksiksina)、ヒーントカビート(Hiintcabiit)などの巨大な海蛇、水蛇の伝説は、多くの部族に伝わっているという。

 バッサマクオディ族、ミクマク族、マレシート族の神話には、大海蛇の怪物が、世界の水のほとんどを独占し、水をもらおうとする者をみな食ってしまっていたという伝説がある。
この大海蛇は、水なき民を哀れに思った精霊グルスキャップに退治されたそうである。
押しつぶされた怪物は、ウシガエルになったとも伝えられる。

 また、先住民の神話に登場する大海蛇は、角やたてがみや手足付きで描かれることがある。
その姿はさながら、胴の長いドラゴンである。

 ウンセギラはウンクテヒとも呼ばれる、かつて人間と戦った大海蛇。
ウンセギラが引き起こした大洪水により、世界は水浸しになってしまったと言う。
ブルーレ・スー族の神話では、ウンセギラは、ワカン・タンカ(偉大なる精霊)が放ったそうである。
今の人を滅ぼして、より優れた人類を創るためとも、何らかの理由で人間に腹を立てていたとも言われる。
ウンセギラの大洪水で、人類は一度滅んだわけだが、水がひいて、再び陸地が現れだした頃には、ウンセギラは岩に変わっていた。
これは、ツンカシラ(祖父なる精霊)に罰せられたのではないか、という説と、宿敵であるワキンヤン・タンカ(偉大なる雷鳥)に負けた結果という説がある。

 ウンセギラは、大地が出来たばかりの時代に、邪悪な魔女が変身する事で誕生したともされる。

 オニアレ(Oniare)はモホーク語などにおいては、単なるヘビの意味だそうだが、イロコイ族はこのオニアレを、湖に住むという、角の生えた怪物と認識しているそうである。
その姿はまさに西洋のドラゴンのようだという話もある。
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 アポタムキンは、なぜか、よく吸血鬼と誤解されているらしい、おうぎ形の大海蛇。
「吸血鬼」能力、弱点、退治方法。生ける死者、闇の貴族の起源
悪を行った子供を水の中に引きずり込むのだとされる。
長い赤髪だとか、女がこの怪物に変身したかいう伝説があり、そこから吸血鬼の誤解が生じたのだと思われる。

 オマフクソウィスクシクシナは、英訳であるビッグウォータースネークの名でも知られる、名前通りの巨大な蛇。
やはり角があり、棲んでいる湖や川にやってきた不審者を襲うという。
自分達の苦手な雷を使ってくるサンダーバードが天敵らしい。

 ヒーントカビートは「水の支配者」という意味で、アラパホ族にとって、偉大なる精霊の大水蛇。
非常に強力な力を持つが、善なる人には決して攻撃せず、むしろ狩猟や戦いにおいて、勝利の幸福をもたらしてくれると伝えられているという。

 他にマネト(Maneto)、メーン(Mehne)、ギタスコグ(Gitaskog)、ジピフカム(Jipijka’m)、クシアチュソス(Kci-Athussos)、ミシギネビグ(Misiginebig)、マクササク(Maxaxak)など、とにかく巨大な水蛇の伝説は多い。
そして今に残るそのほとんどがアルゴンキン語族が語り継いできたものであり、基本的に角がある。
それに、たいていサンダーバードが天敵。

 また、ネクタイヘビの名でも知られる、ティカレンウェ(Ti’karenweh)は、強力な毒を持つ水蛇という伝説もあるが、部族によっては、この蛇は大地の蛇なのだという。
自分の尾を噛んで、輪の形となって転がることで、かなり素早く動くそうである。

湖の怪物。魚、虎、カタツムリ

 湖の怪物は大蛇が多いようだが、一応、アクセア(Axxea)、マシェナマク(Mashe-Namak)、レナピザ(Lenapizha)、ウィーウィルメク(Weewillmekq)など、蛇でない怪物精霊も伝えられてはいる。

 アクセアは角を生やした大蛇とされる事もあるが、それ以外にも巨大な水牛だの、昆虫のような怪物だのといろいろ言われる。
ただ、いずれにしても四本足があるようである。
虫取り網 「昆虫」最強の生物。最初の陸上動物。飛行の始まり。この惑星の真の支配者たち
 マシェナマクは巨大な魚。
「魚類」進化合戦を勝ち抜いた脊椎動物の始祖様
英語ではよくBig Sturgeon(巨大チョウザメ)と呼ばれるらしく、似てるのだと思われる。

 レナピザは、アラミピチ(Aramipichi)やミチピンチワ(Michipinchiwa)とも言われる水の精霊で、その姿はヤマネコに似ているが、角を持ち、背中にはトゲが生えているという。
なぜか流れ星と関連付けられる事があるという。
かつてはTrue Tiger(真実の虎)と英訳されたこともあるが、これは語訳らしい。
しかしこの怪物は確かに虎に似ているという説もある。

 ウィーウィルメクは、そういう怪物の存在は知られているが、情報がかなり少ない。
巨大なカタツモリ、巨大なイモムシ、ワニみたいな怪物と、いろいろな説があるが、とりあえず水の精霊ではあるようである。
カタツムリ 「カタツムリ」殻を捨てなかった陸の巻き貝
巨大水蛇のクシアチュソスと敵対関係にあるという話がある一方で、実は両者は同じ存在なのだとする説もあるという。

地上を歩く巨大怪物精霊

 ヤクワウィアク(Yakwawiak)、アチパトコバ(Atipa-Tcoba)

 ヤクワウィアクは、クマに似ているが、クマではない人食いの怪物だという。
その正体は、マンモスかゾウでないかと考える人もいる。
水浴びする像 「象」草原のアフリカゾウ、森のアジアゾウ。最大級の動物
似たようなカトシツアシュク(Katshituashku)という怪物もいるが、こちらも、マンモスやマストドンの化石などから連想された説が有名。

 アチパトコバとは、人食いの怪物らしいが、その外見については、クマに似ているのか、猫に似ているのか、あまりはっきりしない。
この怪物も、はやりマンモスやマストドンの化石が関連してるのでないかと、よく推測されるという。

フライングヘッド

 かつて、邪悪な怪物や精霊達が、人間を食い物にしていた時代があった。
怪物達は、普段は深い洞窟の穴に隠れていたが、嵐の夜には、自分達の巣を出て、地上をさまよい歩いた。
ダグワノエンウェント(Dagwanoenyent)と呼ばれるフライングヘッド(飛ぶ首)は、中でも最も恐ろしいものとして恐れられていた。

 フライングヘッドは、体がなく首だけだが、人間の男の数倍の大きさがあった。
皮膚が分厚く、毛に覆われていて、どんな武器でも突き刺すことはできない。
また、頬からは翼が生えていて、ワシのごとく、空に舞い上がったり、急降下したりすることができた。
そして、その大きく尖った牙により、命あるあらゆる者が餌食にされた。

 「結局、誰かがこの怪物に立ち向かわなければならない。それが私であってもおかしくはない」
そう考えた、とある女は、熱して、非常に熱くなった石を食べるふりをして、「なんておいしいのかしら、素晴らしいご馳走だわ」と嬉しそうに言った。
そして、それが気になってしまった怪物は、見事、女の策略通りにそれを食べて、大きな悲鳴を上げ、やがてその姿を消した。
以降、この怪物が現れることはなかった。

 フライングヘッドは、また旋風の精霊と言う説もある。

蚊になった吸血巨人

 トリンギット族は、昔、血を飲むのが好きな巨人がいたと伝える。
人を襲い、命を奪っては、その心臓を食べたのだという。
人々は、恐ろしい吸血巨人を退治しない限り、自分たちに未来はないと、理解していた。
そこで一人の英雄が、あえて死んだふりをして、巨人を油断させ、その大きなナイフを奪い、素早く巨人に突き刺した。

 巨人は命を失っても、しばらくの間、話し続けた。
「俺はお前に負けた。だが、俺はずっと、お前や世界中の人間共を食い続けてやる」

 その後、巨人の体はバラバラにして燃やされたが、その際に、 空中に舞った灰の一つ一つが、蚊になったのだという。
蚊取り線香 「蚊」人間同士を、生態系を血と病気で繋ぐ小さな怪物

死を拒む幽霊魔女

 邪悪な魔女はしばしば、自らの死を拒む。
月夜の魔女 「黒魔術と魔女」悪魔と交わる人達の魔法。なぜほうきで空を飛べるのか
そういう魔女がスカデガムク(Skadegamutc)になるそうである。

 この死にぞこないの魔女ゾンビは出会うどんな人の命も、その炎で奪う。
どうも、それが無理やりに生き続ける術らしい。

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