「宇宙生物が地球に来る目的」いくつかの問題点、ロボットの可能性

何者が来るのか

 地球に、地球外生物、いわゆるエイリアン(宇宙人)が来ることはありうるだろうか。

 (太陽系のような)恒星系同士の距離というのは、数光年ずつ離れているから、当然、銀河系内の(同じ恒星系に属していない)各惑星同士も、そのくらい離れていることになろう。
太陽系内の他の惑星ならともかく、他の恒星系の惑星から地球にやってくるためには、長い時間か、大きなエネルギーが必要になるはず。
太陽系「太陽と太陽系の惑星」特徴。現象。地球との関わり。生命体の可能性  もちろん恒星とか惑星とか、そういうものを、発生や存在維持に必要としない地球外生物がいるとしたら、話はまた変わってくるだろうが、そんな可能性はとりあえず無視しよう。
我々にとって今確かに言えることは、我々のような生物は存在しているということだ。
しかし、 我々とは全く異なった性質の生物がいるかという話になると それは全然わからないという状態であるから、まずは我々のようなエイリアンに的を絞って考えるのは合理的であろう。
「地球外生物の探査研究」環境依存か、奇跡の技か。生命体の最大の謎  時空間をねじ曲げたり、穴を開けたりして、そこを通り抜けるというようなワープ技術が、本当に実用化できるかどうかでも変わってくる。
ただ、普通に、宇宙船の移動によって恒星間を旅するのなら、船の速度は光速(宇宙の物理的限界速度)にかなり近づく必要があるはず。
時空の歪み「特殊相対性理論と一般相対性理論」違いあう感覚で成り立つ宇宙 そのような超加速を行う場合、移動する物体の総質量はなるべく少ない方がいい(そうでないと必要なエネルギーはバカみたく大きくなっていく)
そうなると、我々のような、生命維持システムもついでに必要になるだろう生身の生命体なんかより、頑丈なロボットが操る宇宙船の方が、圧倒的に実用的になるだろう。

 他の惑星に行ったとして、そこで目的の何かを行うために知能が必要なのだとしても、優れたAI(人工知能)で可能かもしれない。
あるいは、優れた科学文明なら、コンピューター上に生物の意識の原因となるシステムを組み込むことも可能かもしれない。
人工知能の基礎「人工知能の基礎知識」ロボットとの違い。基礎理論。思考プロセスの問題点までコネクトーム「意識とは何か」科学と哲学、無意識と世界の狭間で  ようするに、長旅をしてくる エイリアンの宇宙船は、小型コンピューターである可能性が高い。
コンピュータの操作「コンピューターの構成の基礎知識」1と0の極限を目指す機械

来るとしたらロボットか

 ロボットにしろ、生身にしろ、エイリアンの宇宙船が地球にやってくる場合、それが偶然でないというのなら、あらかじめ地球が、生命体の存在する星だと理解した上でと考えるのは妥当であろう。
だがエイリアンは、我々を見つけることができるだろうか。

 太陽系を基準にするなら、人間のような知的生命体が惑星上に誕生するパターンは、わりと珍しいのだと思われる。
そして、我々のこの天の川銀河の中で、恒星は1000億くらいあると考えられている。
恒星の周囲を巡る惑星の数はもっと多くなるだろう。
その膨大な数から、例えある惑星に生命体が発生する確率が小さいのだとしても、この銀河系だけで大量の生物惑星があるはずだと考える者は多い。
なので、どこかに電波通信技術を発達させた惑星があると仮定して、人工的産物と思われる(意図的と思われる変化が与えられている)電波を捉えようという試みは、我々も行っている。
電波「電波」電磁波との違い。なぜ波長が長く、周波数が低いか宇宙のアンテナ「アンテナの基礎知識」種類ごとの用途。個々の特徴  そもそもが、知的生物というのは、基本的に、自分たち以外の存在に興味を持つものだという楽観的認識を前提としているが、逆にこちらの人工電波が、我々を探す地球外生物に感知される可能性もある。
我々がそういう技術を開発したのは、ほんの百数十年ほど前にすぎないから、まだまだ広がりが足らないかもしれない。

他の惑星の大気状態を調べる

 他の恒星系の惑星の光は捉えにくいが、無理な話ではなく、実際に我々も成功している。
そして光を捉えられるなら、「スペクトル分析(Spectral analysis)」により、その光を放ってきた星の大気組成などを調べることができる。

 スペクトルは、波としての光を、波長の強弱(周波数。視覚的には色)を基準に領域分けし、強さの順に並べて、画としたもの。
ある物質(原子)が放射、吸収するスペクトル領域は、物質ごとに固有であり、混じり合ったそれらを解析することで、各物質の比率を調べることができる。

 例えば、これは単に系外惑星を探す方法でもあるが、恒星からの光が、横切る惑星の大気を通過する際に、どの波長の光が吸収されたのかを調べたりできる。

 現在は、特に酸素の比率が重要視されやすい。
酸素というのは反応性が高く、本来は大気に蓄積されにくいが、地球においては、植物やシアノバクテリアといった光合成生物がよく放出するために、多量にある。
つまり、その比率が高いのは、光合成生物が存在しているから、かもしれないのである。
化学反応「化学反応の基礎」原子とは何か、分子量は何の量か光合成「光合成の仕組み」生態系を支える驚異の化学反応  通信技術に使われている電波がまだ届いていないような(つまり200光年以上くらいの)距離以上離れた惑星の知的生物でも、地球のこの大気組成は捉えているかもしれない。
この銀河系で、どこの誰も我々をまだ見つけていないとするなら、それは酸素が豊富な大気の惑星、つまり光合成生物が存在する(あるいは似たような効果をもたらすシステムが備わった)惑星が、大量にあるため、我々は埋もれてしまっているのではないか、という推測もある。

 それとも、やはり我々は孤独なのだろうか。

SFの理由、ありえそうな理由。なぜ地球にやってくるのか

 地球に限らず何らかの生命体のいる惑星に、それとは別の星で高度文明を築いた生物群がやってきて、惑星の原住種族を捕らえたり、殺してしまったりする描写がでてくるSFは数多い。
地球にフィールドワーク(現地調査)ならぬ、プラネットワーク(現星調査)しにくるエイリアンというのも、SFの世界ではお馴染みである。
これらのような描写は明らかに、我々の実際の歴史を参考としている。

 例えば、人類の歴史において、ある地域を侵略した者たちが、もともと住んでいた人たちを滅ぼそうとしたり、奴隷として扱った、という話は珍しくもない。

 ところで、我々人間が、他文明の人間を侵略する理由として、すぐに思いつくものは主に3つであろう。
「労働力の確保」、「欲求の解消」、「土地の確保」である。
そして上記の3つの内、土地確保以外の2つは、「生殖活動」という目的が付属的なものでありうる。
どちらの理由でも、奴隷にした人たちだけでなく、その者たちに産ませた子供たちも、よい対象になりうるだろうから。
しかし、純粋に子供の数を増やすためだけに侵略するという話は、我々の歴史においてはあまり一般的でない(人の数を増やしたい場合はあっても、それはあくまで労働力確保を考えてのことが多い)

 もちろんエイリアンが、侵略目的で地球に来るとは限らないはず。
我々の世界では、時に生物学者が、研究対象の生物が住んでいる場所を探検したりする。
また、地球にしかないような、なんらかの「特別な資源」、あるいは、自分たちとは別の発生過程を辿った「生物の研究」などは、考えやすい。

DNA、遺伝システムの問題

 我々の場合ですらそうであるように、エイリアンが生殖目的で、地球人を利用するというシナリオはちょっと考えにくい。

 そもそも地球上だけであっても、かなり近しい関係にある生物同士でないと生殖という行為はできない。
そもそも、次世代の子を作るための生殖行為というのは、本質的には遺伝子同士の営みであるため、構造が似通っていないと上手くいかないと考えられている。
卵「胚発生とは何か」過程と調節、生物はどんなふうに形成されるのかの謎  つまり、生殖のために地球人を利用するエイリアンは、以下の条件すべてに当てはまった、あるいはなんらかの調整によって当てはまることができる生物と考えないといけないだろう。
まず「エイリアンは有性生殖という方法を用いて繁殖する」
そうだとして「遺伝情報の貯蔵、伝達手段として、二重螺旋状のDNA(デオキシリボ核酸)、RNA(リボ核酸)という高分子を利用している」
だとして「遺伝情報の暗号文字として、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、 チミン(T)、ウラシル(U)の5つの塩基を利用している」
「我々の遺伝情報の中で利用されている、 タンパク質へ翻訳されるコードの方式を利用できる」
細胞分裂イメージDNAと細胞分裂時のミスコピー「突然変異とは何か?」  仮に、上記の条件すべてに当てはまっているエイリアンが発見されたとしたら、その起源は地球にあるのではないか、または我々は同じ起源を有するのでないか、という論争が巻き起こるに違いない。

 さらに、エイリアンがDNAに、タンパク質を利用する(ついでに)多細胞生物なのだとしても、地球の多彩な生物を参考にするなら、エイリアンが我々と生殖可能な生物と考えるのは難しい(人間は一番近しいだろうチンパンジーとも、通常は生殖不可能)
卵かけご飯「タンパク質」アミノ酸との関係、配列との違い。なぜ加熱はよいか  もし、 高度な文明を持ったエイリアンが、人間と生殖可能なほど近しい存在なら、知能を持てる生物の典型的、もしかしたら唯一のタイプが、人間型な可能性が高まる。
それに、生殖が可能ならば、現在の進化学的には、同種ということになる。
進化の分かれ道「進化論」創造論を最も矛盾させた生物学理論  だが、地球にやってきたエイリアンに誘拐されたという人たちの中には、異性のエイリアンと生殖行為を強制されたという者も多い。
「エイリアン・アブダクション」宇宙と進化の真相か、偽物の記憶か そもそも我々は生殖行為というものに対する関心が高くありがちだ。
SFの世界でも、別の惑星の出身者同士のハーフが特別な力を持っているとかいう設定が時々ある。
しかし、もし雑種が優れた存在になるのだとしても、本来は生殖ができない地球人との生殖を可能とするような遺伝子操作技術があるなら、直接的にそういう生物を作ることができるのでなかろうか、という疑問がある。
「ナノテクノロジー」未来、錬金術、世界征服。我々は何をしようとしているか だから、優れた雑種を作ろうとする目的を持っているエイリアンというのは、遺伝子の操作技術があまり高くなく、かつ人間と近しい構造の生命体ということになる。
もちろん、地球人の遺伝子と混ざることによって強力な存在となるような遺伝子を有する生物ということにもなる。

オートメーションの方がいい

 もし、生命体がどこかの恒星系の惑星で生まれるものなら、労働力確保のために他の惑星の者たちを奴隷にするというのも、ちょっと妙な話である。

 まず恒星間旅行が可能なほどに、高度な機械文明を持っているか、エネルギー資源を確保する事に長けた種族が、わざわざ生物の奴隷を必要とするだろうか、という疑問がある。
今の我々がそういう方向を目指しているように、様々な労働は、機械によるオートメーション(自動化)の方が、効率的にははるかによいであろう。
機械に比べると、人間は弱く、修理しにくく、さらに食料や、時には息抜きのための娯楽などの報奨を用意する必要が大きい(力による恐怖で支配する場合ですら、苦しみや痛みを和らげる調整という褒美が必要である)

他の生物を必要としているのか

 だがそれはどういう場合か。

 空腹だろうか。
だがエイリアンが、我々のような地球生物を栄養素とするのだとしても、なぜわざわざ遠くの惑星にまで来てと考える時、そこには、 物質、あるいは遺伝子の組み換えの方が早いのではないか、という疑問がある。

 もちろん我々が、同種の異性に感じるような魅力や、それによって湧き上がる欲望などをエイリアンが持っているとしても、エイリアンが地球人に対し、そういう欲望を持つとは考えにくい。
魅力的な異性に持つような欲望を、人間以外の生物に持つ人は少ないだろう。

 ありそうなのは娯楽かもしれない。
我々が他の生物の戦いや、可愛らしい仕草などに魅了されるように、エイリアンたちも、我々の観察が楽しいのかもしれない。
ゲーム中ゲームとは何か。定義と分類。カイヨワ「遊びと人間」より

ここにしかない資源はあるか

 いったい地球に、彼らの求める何があるのだろうか。
こういう環境でしか作られないある種の好物とかであろうか。
だがそれならば、やはり物質操作の方が簡単ではないか、という疑問が残る。

 だがどうしても単に物質の操作だけでは作れないものなのだとしたらどうか。
普通に考えて、最もありえそうなのは我々という存在。
つまり生命体である。

 ようするに、十分に環境さえ整えば、生命体というのは勝手に発生するものなのか。
あるいは、魂とか、神の奇跡といった、そういう特別な要素が必要なのか、という話だ。
生命がそこまで特別な存在であるというのなら、 つまり物質の操作だけでは決して作れないような存在であるというのなら、遠くからそれを求めてやってくるシナリオも、そこまで妙ではなくなるかもしれない。

 ちなみに、時々古かったり、あまり深く考えてなさそうなSFでは、エイリアンが地球に豊富な水を求めてやってくるのだという設定が見られるが、水は宇宙にかなり溢れていると考えられているので、ほぼありえない。
 

研究旅行に来ているか

 これもありえそうというか、もっともありえそうだという人も多い。

 仮に生物というのは、環境さえ整えば勝手に発生するものだとしても、ある自然下の状態で発生した、自分たちとは別の生物がどのような発展を遂げているか。
進化の道筋をたどってきたのか。
その歴史など、エイリアンが我々と同じような好奇心を持っているのなら、興味を抱きそうなことは多くある。